インナーブランディング成功事例15選!失敗しない実践ガイドと効果測定のコツ

「インナーブランディング」は、企業理念やビジョンを社内に浸透させ、従業員の意識と行動を変革する重要な戦略です。本記事では、人事担当者が知るべき基礎知識から成功事例15選、陥りやすい失敗と回避策、そして実践的な進め方までを徹底解説します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

インナーブランディングとは?人事担当者が知るべき基礎知識

企業が持続的な成長を遂げる上で、社内へのブランド浸透は欠かせません。インナーブランディングの基本を理解し、その重要性を確認していきましょう。

インナーブランディングの定義と目的

インナーブランディングとは、企業理念やビジョン、ブランド価値などを従業員に深く理解させ、共感を育む戦略的な活動です。これは単なる社内広報ではなく、従業員一人ひとりがブランドを体現し、顧客に価値を提供できる状態を目指すものです。

従業員のモチベーション向上や企業文化の醸成を主な目的としています。

なぜ今インナーブランディングが重要なのか?期待できる効果

インナーブランディングは、従業員エンゲージメントの向上、企業文化の強化、組織力向上に不可欠な要素です。

社内のブランド浸透により、従業員は自社への誇りを感じ、仕事への意欲が高まります。結果として、採用力の強化や離職率の低下にも繋がり、企業の競争優位性を確立する上で大きなメリットをもたらすでしょう。

インナーブランディングの定義については、下記記事で詳しく解説していますので合わせてお読みください。

※関連記事:インナーブランディングとは?メリット・進め方・失敗パターンまで解説

【企業事例に学ぶ】インナーブランディング成功事例15選

ここでは、国内外の多様な企業がどのようにインナーブランディングを成功させてきたのか、具体的な事例を15選ご紹介します。各社の取り組みから、自社に活かせるヒントを見つけていきましょう。

  1. 株式会社ホンダ
  2. スターバックスコーヒージャパン株式会社
  3. 株式会社サイバーエージェント
  4. 株式会社リクルート
  5. 株式会社ユニクロ
  6. カルビー株式会社
  7. 楽天グループ株式会社
  8. 株式会社デンソー
  9. オイシックス・ラ・大地株式会社
  10. SAP Japan株式会社
  11. 株式会社良品計画
  12. ソフトバンクグループ株式会社
  13. 富士フイルムホールディングス株式会社
  14. アサヒグループホールディングス株式会社
  15. ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社

ひとつずつ見ていきましょう。

1.株式会社ホンダ(従業員一人ひとりの「夢」を原動力に)

ホンダは「The Power of Dreams」という企業理念を掲げ、従業員一人ひとりの夢を尊重し、それを会社の原動力としています。

創業者の考えを伝える研修や社内イベントを通じて理念を共有し、従業員が自律的に挑戦する文化を育んでいるのです。これにより、新しい技術や製品が次々と生み出され、企業全体の成長を支えています。

2.スターバックスコーヒージャパン株式会社(従業員の「Our Third Place」を追求)

スターバックスでは、お客様だけでなく「パートナー(従業員)」も心地よく過ごせる「Our Third Place(第3の場所)」を大切にしています。手厚い研修やオープンなコミュニケーション文化を通じて、パートナーがブランドを体現し、最高の顧客体験を提供できるように努めているのです。

この取り組みが、高品質なサービスと熱心なファンを生み出す基盤となっています。

3.株式会社サイバーエージェント(「理念浸透」と「事業成長」を両立)

サイバーエージェントは「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、これを実現するための理念浸透を徹底しています。

例えば、「あした会議」や「CAJJ」といった独自の制度やイベントを通じて、全従業員が経営視点を持ち、事業成長に貢献できる環境を整備しています。これにより、高い成長率を維持しながら、従業員エンゲージメントも高めているのです。

4.株式会社リクルート(従業員の「主体性」を育む文化)

リクルートは、従業員一人ひとりの「個」を尊重し、主体性を最大限に引き出す文化を築き上げています。「Will-Can-Mustシート」による目標設定や、手を挙げれば挑戦できる風土がその象徴です。

これにより、従業員は自らのキャリアを主体的に形成し、会社のビジョン達成に貢献しています。結果として、イノベーションが生まれやすい組織を維持できているのです。

5.株式会社ユニクロ(グローバル展開を支える「全員経営」意識)

ユニクロは、グローバルでの成長を支えるために「全員経営」という意識を従業員全体に浸透させています。各国・地域の従業員に対して、企業理念やブランド価値を共有するための研修や情報共有を徹底しているのが特徴です。

これにより、世界中の店舗で一貫したブランド体験を提供し、強固なグローバルブランドを築き上げています。

6.カルビー株式会社(「掘りだそう、自然の力。」を従業員へ)

カルビーは「掘りだそう、自然の力。」という企業理念を従業員に深く浸透させ、商品開発やマーケティング活動に活かしています。

従業員自身が製品の価値を信じ、日々の業務に落とし込むことで、顧客への説得力あるメッセージ発信に繋がっているのです。この理念に基づき、常に新しい価値創造への挑戦が促されています。

7.楽天グループ株式会社(「楽天主義」で事業を推進)

楽天は「楽天主義」という独自の企業文化を掲げ、これを全従業員の行動規範として徹底しています。

朝会での「成功の5つの概念」の唱和や、英語を社内公用語とするなどの施策を通じて、グローバルで活躍できる人材育成と事業推進を図っています。強固な文化が、多様な事業を支える原動力となっているのです。

8.株式会社デンソー(「クルマ社会の未来」を創造する共感)

デンソーは自動車部品メーカーとして、技術革新を通じて「クルマ社会の未来」を創造するというビジョンを従業員と共有しています。社内コミュニケーションや人材育成プログラムを通じて、技術者だけでなく全従業員が未来のモビリティ社会への貢献意識を高めているのです。

これにより、新たな技術開発や顧客価値創造に繋がる活発な議論が生まれています。

9.オイシックス・ラ・大地株式会社(「食の未来」を共創する)

オイシックス・ラ・大地は「これからの食卓、これからの畑」というビジョンを掲げ、食の安心・安全や社会貢献への意識を従業員と共有しています。このビジョンに共感する人材を積極的に採用し、社内での情報共有や対話を通じて、従業員一人ひとりが「食の未来」を共創する当事者意識を持っているのです。結果、顧客からの高い信頼を獲得しています。

10.SAP Japan株式会社(グローバル企業のローカライズと一体感)

SAP Japanは、グローバル企業でありながら、日本市場の特性に合わせたローカライズを進めつつ、従業員の一体感を醸成しています。グローバルのブランドガイドラインを遵守しつつ、日本の文化や顧客ニーズを理解した施策を展開しているのです。

これにより、日本市場での競争力を高めるとともに、従業員のエンゲージメントを向上させています。

11.株式会社良品計画(無印良品:ブランド哲学を共有)

良品計画は、無印良品の「これでいい」というブランド哲学を従業員と深く共有しています。デザインや品質に対するこだわり、シンプルなライフスタイルを提案する姿勢を、社内研修やマニュアルを通じて徹底しているのです。

従業員がブランドの価値観を体現することで、顧客に対しても一貫したブランド体験を提供し、高い顧客ロイヤリティを築いています。

12.ソフトバンクグループ株式会社(挑戦と成長を促す社風)

ソフトバンクグループは「情報革命で人々を幸せに」という経営理念のもと、絶え間ない挑戦と成長を促す企業文化を築き上げています。

新しい事業や技術への積極的な投資、失敗を恐れないチャレンジ精神を従業員に浸透させているのが特徴です。これにより、常に変化し続ける市場でリーダーシップを発揮し、イノベーションを生み出し続けています。

13.富士フイルムホールディングス株式会社(事業転換を成功させた意識改革)

富士フイルムホールディングスは、写真フィルム事業の縮小という大きな転換期において、従業員の意識改革を伴うインナーブランディングを成功させました。「第二の創業」を掲げ、新たな成長分野への挑戦を促すメッセージを社内に発信したのです。

これにより、従業員は変化を前向きに捉え、医療・ヘルスケア分野など新たな領域での成長を実現しました。

14.アサヒグループホールディングス株式会社(主力ブランドを支える一体感)

アサヒグループホールディングスは、主力ブランド「アサヒスーパードライ」をはじめとする製品の成功を支えるため、従業員の一体感を重視しています。

ブランドメッセージを社内で共有し、従業員が製品に誇りを持てるような社内コミュニケーションを活性化させているのです。これにより、品質向上への意識や顧客への価値提供意欲が高まり、ブランド価値向上に貢献しています。

15.ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社(パーパスドリブンな経営)

ユニリーバ・ジャパンは、各ブランドが持つパーパス(企業目的)を明確にし、これを従業員と共有する「パーパスドリブン」な経営を推進しています。従業員が自身の仕事を通じて社会貢献を実感できる環境を整えることで、高いモチベーションとエンゲージメントを引き出しているのです。

多様性とインクルージョンを重視する文化も、従業員の創造性を高めています。

事例から紐解く!インナーブランディング成功の共通点とポイント

多くの成功事例には共通の要素が見られます。これらのポイントを理解することで、自社のインナーブランディングをより効果的に進めることができるでしょう。

経営層の強力なコミットメントとビジョン浸透

インナーブランディング成功には、経営層の強力なコミットメントが不可欠です。トップ自らが企業理念やビジョンを繰り返し発信し、率先してブランドを体現することで、従業員にその重要性が伝わるでしょう。

朝礼や全社集会でのメッセージ発信、行動規範の策定などが、ビジョン浸透を加速させる有効な手段となります。

従業員の主体的な巻き込みと共感形成

一方的な情報発信だけでは、従業員の心には響きません。ワークショップや意見交換会、社内SNSの活用などを通じて、従業員がインナーブランディング活動に主体的に関与できる機会を設けることが重要です。

これにより、自分ごととして捉え、ブランドへの共感を深め、自律的な行動を促すことができます。

継続的な施策とPDCAサイクル

インナーブランディングは一度行えば終わりというものではありません。成功企業はこれを「終わりのない旅」と捉え、継続的な施策展開とPDCAサイクルを回すことを重視しています。

定期的な従業員アンケートやエンゲージメントサーベイで効果を測定し、その結果に基づいて施策を改善していく柔軟な姿勢が求められるでしょう。このような地道な努力が、ブランドの確固たる浸透へと繋がります。

コミュニケーションの活性化とツールの活用

多様なコミュニケーションチャネルを駆使して、情報を効果的に届けることが大切です。

社内報やイントラネット、動画コンテンツ、そして社内イベントなどを活用し、経営層からのメッセージだけでなく、従業員同士の成功体験や感謝を共有できる場を設けることも有効です。これにより、社内全体のコミュニケーションが活性化し、ブランドへの理解が深まるでしょう。

失敗事例から学ぶ!インナーブランディングの落とし穴と回避策

インナーブランディングは計画通りに進まないこともあります。人事担当者が陥りやすい失敗パターンを理解し、事前に回避策を講じることで、より確実に成功へと導けるはずです。

よくある失敗パターンと失敗する原因

インナーブランディングが失敗する主な原因として、「経営層の一方的な押し付け」や「担当者任せの丸投げ」が挙げられます。また、短期的な成果を求めすぎたり、目的が不明確なまま施策を進めたりすることも失敗に繋がりやすいです。

さらに、効果測定を行わないために改善点が分からず、施策が形骸化してしまうケースも少なくありません。

失敗を回避するための具体的な対策と計画のポイント

失敗を避けるためには、まず計画段階で従業員アンケートなどを用いて現状を正確に把握することが重要です。次に、具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に効果を測定する仕組みを導入します。

インナーブランディングのロードマップを作成し、関係部署と密に連携しながら、長期的な視点で粘り強く取り組む姿勢も欠かせないでしょう。

インナーブランディングを成功させるための実践的な進め方

ここからは、人事担当者が自社でインナーブランディングを企画・実行するための具体的なステップを解説します。一つ一つのステップを丁寧に踏むことが成功への鍵となるでしょう。

STEP1: 目的設定と現状把握(人事課題との紐付け)

インナーブランディングを始める前に、「なぜ行うのか」という目的を明確にすることが最優先です。

離職率の高さや採用難、従業員エンゲージメントの低下といった具体的な人事課題と紐付け、その解決策として位置づけることで、経営層の理解も得やすくなります。現状の従業員意識調査を行うことで、具体的な課題点を把握し、施策の方向性を定めることができるでしょう。

STEP2: ブランドコンセプトの策定とメッセージ開発

次に、企業の理念、ビジョン、バリューを再定義し、従業員に分かりやすく響くブランドコンセプトとメッセージを開発します。この際、経営層だけでなく、様々な階層の従業員を巻き込んだワークショップなどを開催し、共感を深めるプロセスが有効です。

シンプルで記憶に残りやすいメッセージは、社内浸透を強力に後押しするでしょう。

STEP3: 施策の企画と実行(具体的な取り組み例)

ブランドコンセプトが固まったら、それを従業員に浸透させるための具体的な施策を企画し実行に移します。社内報やイントラネットでの情報発信、経営層との対話イベント、ブランドを体現するロールモデルの表彰制度、新入社員研修への組み込みなどが考えられます。

部署や階層、目的に合わせた多様なアプローチを組み合わせ、飽きさせない工夫も重要です。

STEP4: 効果測定と改善(KPI設定、アンケート、エンゲージメントサーベイ)

施策の効果を定量的に測定し、改善サイクルを回すことが非常に大切です。

従業員エンゲージメントスコア、定着率、採用応募数の変化などをKPIとして設定し、定期的なアンケートやエンゲージメントサーベイで従業員の意識を調査します。測定結果を分析し、次の施策に活かすことで、インナーブランディングはより洗練され、大きな成果を生み出すでしょう。

インナーブランディング推進でよくある課題と解決策

インナーブランディング推進において、様々な壁に直面します。ここでは、よくある課題と、その具体的な解決策について詳しく見ていきましょう。

経営層の理解を得るための説得方法とROIの示し方

経営層の理解と予算獲得は、インナーブランディングを成功させる上で最初の難関となりがちです。

従業員エンゲージメントの向上による生産性改善、離職率低下による採用・教育コスト削減など、具体的なROI(投資対効果)をデータに基づいて提示することが重要です。他社の成功事例や業界トレンドを交えながら、長期的な企業価値向上に繋がることを論理的に説明しましょう。

社内浸透が進まない時の打開策と巻き込み方

社内浸透が進まない場合、原因は部署間の連携不足や従業員の無関心にあるかもしれません。まずは、各部署のキーパーソンや社内のインフルエンサーを特定し、彼らを巻き込むことで口コミでの浸透を促すことができます。

成功事例を積極的に共有し、双方向のコミュニケーションの場を増やすことで、従業員が「自分ごと」として捉えるきっかけを作りましょう。

限られたリソースでの効果的な運用術

中小企業やリソースが限られている場合でも、インナーブランディングは実施可能です。まずはスモールスタートで、既存の社内イベントやミーティングにインナーブランディングの要素を組み込むことから始められます。

無料で利用できる社内SNSツールを活用したり、従業員からのアイデアを募って低コストで実現できる施策を検討したりすることも効果的でしょう。

インナーブランディングを加速させるツール・サービス

インナーブランディング活動をより効率的かつ効果的に進めるために、外部のツールやサービスを活用するのも良い選択肢です。自社の状況に合わせて検討してみましょう。

社内SNSやコラボレーションツールの活用

従業員間のスムーズな情報共有やコミュニケーション活性化には、社内SNSやコラボレーションツールが有効です。

Slack、Microsoft Teams、Yammerなどのツールを導入することで、部署や役職を超えた対話が生まれ、企業理念やビジョンの自然な浸透を促すことができます。成功事例や感謝のメッセージを共有し、一体感を高める場としても活用できるでしょう。

外部コンサルティングや研修サービスの検討

インナーブランディングの専門知識やノウハウが社内に不足している場合は、外部コンサルティングや研修サービスの活用も検討すべきです。専門家の知見を借りることで、自社の課題に合わせた戦略策定や効果的な施策立案が可能になるでしょう。

従業員向けの研修を通じて、ブランドへの理解を深め、行動変容を促すことも期待できます。

インナーブランディングで企業価値向上の実現を

インナーブランディングは、単なる社内施策ではなく、企業文化を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることで、組織全体の成長を加速させる戦略です。

本記事で紹介した成功事例や実践的な進め方、そして課題解決策を参考に、自社に最適なインナーブランディングを推進し、持続的な企業価値向上を実現しましょう。

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