ブランドストーリーの事例から学ぶ!共感を呼ぶ作り方と実践のコツ

顧客の心に響くブランドストーリーの構築は、差別化を図る上で不可欠です。本記事では、共感を呼びビジネスを成長させるブランドストーリーの作り方から、実践・運用、そして陥りがちな落とし穴まで、具体的な事例と共に紹介します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

ブランドストーリーとは?共感を呼び、ビジネスを成長させる鍵

ブランドストーリーは、単なる製品情報や企業理念を超え、顧客の感情に深く訴えかける強力なツールです。その本質を理解し、なぜ今重要なのかを知ることは、効果的なブランディング戦略の第一歩となります。

ここでは、ブランドストーリーの定義とその重要性、企業にもたらす具体的なメリットについて深掘りしていきます。

ブランドストーリーの定義と注目される背景

ブランドストーリーとは、ブランドが誕生した経緯、製品やサービスに込められた想い、そしてブランドが顧客に提供したい価値やビジョンを物語形式で伝えることです。これは単なる企業の情報開示ではなく、感情に訴えかけ、人々の心に深く刻まれるような体験を提供します。

製品やサービスが溢れる中で、消費者は企業の本質的な価値や哲学を重視する傾向にあります。そのため、ブランドストーリーを通じて共感を育むことは、顧客との強固な信頼関係を築き、長期的なエンゲージメントを深める上で欠かせない要素です。

ブランドストーリーが企業にもたらすメリット

ブランドストーリーを持つことで、企業は複数の具体的なメリットを享受できます。第一に、顧客の共感を獲得し、エンゲージメントを深めることができます。物語を通してブランドの人間性や哲学に触れることで、顧客は単なる消費者ではなく、ブランドの「ファン」へと変化していくでしょう。

第二に、競合との明確な差別化を図ることが可能です。類似製品が多数存在する市場において、独自のストーリーはブランドを際立たせ、消費者の選択基準に強く影響を与えます。

第三に、採用活動やインナーブランディングにも大きく寄与します。ブランドストーリーは、従業員に自社の存在意義や働く目的を明確に示し、一体感を醸成することで、優秀な人材の獲得や定着にも貢献する重要な役割を担います。

ブランドストーリーの定義については、下記記事で詳しく解説していますので合わせてお読みください。

※関連記事:ブランドストーリーとは?定義・メリット・作り方などを紹介

【事例分析】共感を呼びビジネスを成長させるブランドストーリー10選

世界中で愛されるブランドの裏には、必ず心を揺さぶるストーリーが存在します。ここでは、国内外の著名なブランドの成功事例を深掘りし、彼らのブランドストーリーがなぜ人々の共感を呼び、ビジネス成長に繋がったのかを分析します。

それぞれの事例から、あなたのブランド構築に活かせる具体的なヒントを見つけていきましょう。

Nike(ナイキ):スポーツの精神と挑戦を体現する物語

Nikeのブランドストーリーは、「Just Do It」というシンプルなメッセージに象徴される「スポーツの精神」と「挑戦」を核としています。単に高性能なスポーツ用品を提供するだけでなく、人々が自らの限界に挑戦し、夢を追いかける姿を応援するブランドとしての地位を確立しました。

このメッセージは、プロアスリートから一般の人々まで、誰もが共感できる普遍的なテーマを扱っており、多くの人々に勇気と行動を促しています。Nikeの成功要因は、製品の機能を超えた感情的な価値を提示し、顧客の目標達成をサポートする「共犯者」となることで、強いブランドロイヤルティを築き上げた点にあります。

自社に応用する際は、顧客の「なりたい自分」を後押しするようなビジョンを明確にすることが重要です。

Apple(アップル):イノベーションと反骨精神の物語

Appleのブランドストーリーは、「Think Different」というメッセージに集約されるイノベーションと反骨精神に満ちています。既存の常識を打ち破り、ユーザーの創造性を刺激する製品を世に送り出すことで、テクノロジー業界に革命をもたらしました。

そのストーリーは、創業者スティーブ・ジョブズの情熱的なビジョンと、既成概念に囚われない革新への飽くなき追求から生まれています。Appleが強い支持を得る要因は、単なる機能性ではなく、製品を通じて得られる「体験」や「自己表現」の価値を顧客に提示しているからです。

このアプローチを自社に活かすには、自社の製品やサービスが顧客にどのような「新しい世界」や「体験」を提供するのか、そのビジョンを明確に打ち出すことが肝要となります。

Starbucks(スターバックス):第三の場所を提供する物語

Starbucksは、単なるコーヒーショップではなく、「家と職場に次ぐ第三の場所(Third Place)」を提供するという独自のブランドストーリーを築き上げました。高品質なコーヒーを提供するだけでなく、心地よい空間、丁寧な接客、そして地域社会とのつながりを重視することで、顧客に豊かな体験を提供しています。

この「第三の場所」というコンセプトは、顧客がリラックスし、繋がりを感じられる唯一無二の存在としてStarbucksを位置づけました。成功要因は、製品そのものだけでなく、そこで生まれる「顧客体験」と「コミュニティ形成」に徹底的にこだわった点にあります。

自社に応用する際は、提供する製品やサービスを通じて、顧客にどのような特別な「体験」や「居場所」を提供できるのかを深く掘り下げてみましょう。

Coca-Cola(コカ・コーラ):幸福とつながりを伝える物語

Coca-Colaのブランドストーリーは、製品が提供する物理的な価値を超え、「幸福」と「つながり」という普遍的な感情的価値に焦点を当てています。「Open Happiness」といったキャンペーンを通じて、人々の喜びの瞬間や、大切な人との絆を分かち合うシーンに常に寄り添ってきました。

このアプローチにより、コカ・コーラは単なる飲み物ではなく、ポジティブな感情や記憶と強く結びつくブランドへと昇華されています。成功要因は、時代や文化を超えて誰もが共感できる「幸福」というテーマを、一貫してシンプルかつ力強く伝え続けている点にあります。

感情的価値を重視したブランド構築を目指すなら、自社の製品やサービスが顧客にどのような「感情」や「感覚」をもたらすのかを深く考察し、それをストーリーに落とし込むことが大切です。

無印良品:シンプルさと本質を追求する物語

無印良品のブランドストーリーは、「これでいい」という独自の哲学と、シンプルさ、本質的な価値の追求を核としています。彼らは過剰な装飾を排し、素材の選択から製造プロセスまで、生活に本当に必要なものだけを提供する姿勢を一貫して守ってきました。

この哲学は、流行に左右されず、長く使い続けられる製品を求める顧客から絶大な支持を得ています。無印良品の成功要因は、製品を通じてライフスタイル全体に「心地よさ」と「無駄のなさ」という価値を提案し、顧客と共にブランドの世界観を創り上げていく共創の精神にあると言えるでしょう。

ミニマリズムや共創を軸としたブランド構築を目指す場合、自社の存在意義を深く問い直し、顧客と共にどのような価値を創造していきたいのかを明確にすることが重要です。

サントリー:水と生きる、社会と共生する物語

サントリーのブランドストーリーは、「水と生きる」という企業理念に象徴されるように、長期的な視点での事業展開と社会貢献への強いコミットメントに根差しています。製品の源となる「水」の恵みに感謝し、その保全活動に積極的に取り組むことで、社会との共生を目指す姿勢を明確にしています。

この一貫した姿勢は、単なる利益追求ではない、企業の社会的責任を果たす信頼できるブランドとしての評価を確立しました。サントリーが信頼と共感を呼ぶ要因は、製品を提供するだけでなく、その背景にある自然や社会環境への配慮を物語として伝え続けている点にあります。

持続可能性や社会性と共存するブランド構築を目指すなら、自社の事業が社会や地球環境にどのような影響を与え、いかに貢献できるのかを具体的に示すストーリーが求められます。

Patagonia(パタゴニア):環境保護と品質への物語

Patagoniaのブランドストーリーは、単なるアウトドアウェアメーカーに留まらず、地球環境保護を企業活動の最優先事項とするパーパスドリブンな哲学に貫かれています。高品質で長く使える製品を提供すると同時に、売上の一部を環境保護活動に寄付し、顧客にも環境負荷の低い消費行動を促しています。

この強い信念は、製品の機能性だけでなく、その裏にある企業の倫理観や社会貢献への姿勢に共感する熱狂的なファンを生み出しました。成功要因は、企業の理念と製品、そしてマーケティング活動が完全に一致し、そのメッセージが一貫して顧客に届いている点にあります。

パーパスドリブンなブランド構築を考える際は、自社の存在意義を明確にし、社会課題解決への強い意志を事業活動全体で表現することが成功の鍵となります。

Airbnb(エアビーアンドビー):コミュニティと新しい体験の物語

Airbnbのブランドストーリーは、「暮らすように旅をする」という斬新なコンセプトを掲げ、単なる宿泊予約サービスではなく、世界中のコミュニティと新しい体験を提供することを目指しています。見知らぬ人同士が自宅を共有するという、これまでにない宿泊形態を通じて、文化交流や人とのつながりという価値を生み出しました。

このコンセプトは、画一的なホテル滞在とは異なる、パーソナルで心温まる旅を求める旅行者から絶大な支持を得ています。Airbnbが共感を呼ぶ要因は、サービスを通じて「信頼」と「発見」という感情的価値を提供し、ユーザー自身が物語の「主人公」になれる機会を創出している点にあります。

共有経済や体験価値を重視したブランド構築を目指すなら、顧客がどのような新しい体験や価値を求めているのかを深く洞察し、それを実現するプラットフォームをストーリーと共に提示することが有効です。

ドクターシーラボ:肌の悩みに寄り添う専門家の物語

ドクターシーラボのブランドストーリーは、医師である創業者の「肌の悩みに真摯に向き合いたい」という強い原体験から生まれました。自身の患者さんの声から着想を得て、科学的根拠に基づいた高機能なスキンケア製品を開発し、多くの人々の肌トラブル解決に貢献しています。

このストーリーは、単なる化粧品メーカーではなく、「肌の専門家」として顧客の悩みと真摯に向き合う姿勢を明確に示しています。ドクターシーラボが顧客の信頼を得る要因は、創業者の専門知識と情熱が製品開発の根底にあり、それが信頼と安心感に繋がっている点にあると言えるでしょう。

専門性や実体験を軸としたブランド構築を目指す場合、創業者の想いや製品開発に至るまでの具体的なエピソードを掘り下げ、顧客の課題解決への強いコミットメントを伝えることが重要です。

サイボウズ:チームワークあふれる社会を創る物語(BtoB事例)

サイボウズのブランドストーリーは、「チームワークあふれる社会を創る」という明確なミッションと、それを体現する独自の企業文化にあります。彼らは、自社の働き方改革や多様性を尊重する姿勢をオープンに発信し、社内だけでなく社会全体のチームワーク向上に貢献しようとしています。

この取り組みは、単なるグループウェアの提供者としてではなく、社会課題解決に挑む企業としての強いブランドイメージを確立しました。サイボウズがBtoB分野で強いブランドを築いた要因は、製品が提供する機能的価値に加え、共感できる企業文化やミッションを強く打ち出すことで、顧客企業やそこで働く人々の共感を獲得している点にあります。

BtoBブランド構築において、文化やミッションを軸とする場合は、自社の哲学や働き方、顧客との共創の姿勢を具体的に示すことが、信頼と共感を得るための重要な要素となります。

心に響くブランドストーリーの構成要素

魅力的なブランドストーリーを構築するためには、単に出来事を羅列するのではなく、物語としての構成要素を理解し、効果的に配置することが重要です。

ここでは、読者の感情を揺さぶり、記憶に残るブランドストーリーを形作る主要な要素について詳しく見ていきましょう。これらの要素を意識することで、あなたのブランドにも深みと説得力のある物語が生まれるはずです。

ブランドストーリーの「主人公」

ブランドストーリーにおける「主人公」は、読者が感情移入し、物語の中心となる存在です。これは、ブランドの創業者や製品開発者、あるいはブランドが理想とする顧客像そのものを指す場合もあります。

主人公が困難に立ち向かい、成長していく姿を描くことで、読者は自身の経験や感情と重ね合わせ、ブランドへの共感を深めることができます。例えば、Appleのストーリーではスティーブ・ジョブズが主人公となり、そのビジョンと挑戦が語られます。

どのような主人公を設定するかによって、ストーリーの印象は大きく変わるため、ターゲット顧客が最も感情移入しやすい人物像を慎重に選定することが肝心です。

ブランドストーリーの「目的」

ブランドストーリーにおける「目的」とは、そのブランドが何のために存在し、どのような価値を社会や顧客に提供したいのかという根源的な問いに対する答えです。単なる利益追求に終わらず、より高次な社会貢献や顧客の生活を豊かにするという視点を持つことが重要となります。

例えば、Patagoniaの目的は「地球を救う」ことであり、そのために高品質な製品を作り、環境活動にコミットしています。この目的が明確であるほど、ストーリーは力強く、説得力のあるものになります。

ブランドの「なぜ」を深く掘り下げ、その純粋な目的を伝えることで、顧客はブランドの真の価値を理解し、共感しやすくなるでしょう。

ブランドストーリーの「背景」

ブランドストーリーの「背景」は、ブランドが誕生した時代や市場環境、あるいは創業者の個人的な原体験など、物語が生まれる土台となる情報です。なぜこのブランドが必要とされたのか、当時の社会にはどんな課題があったのかを語ることで、ストーリーに深みとリアリティを与えることができます。

例えば、ドクターシーラボの背景には、皮膚科医であった創業者が患者さんの肌トラブルに真摯に向き合った経験があります。この背景があるからこそ、製品の信頼性が増し、顧客の共感を呼びます。

読者にブランドの必然性を感じさせるためにも、誕生に至るまでの歴史や社会状況、個人的な動機を具体的に描くことが大切です。

ブランドストーリーの「葛藤」

主人公が直面する困難、挑戦、失敗、そしてそれを乗り越える過程の「葛藤」は、ブランドストーリーに最も人間味と感動を与える要素です。順風満帆な物語よりも、苦難を乗り越える姿は人々の心を強く打ちます。

例えば、Amazonが創業初期に直面した技術的な問題や市場の不確実性などがそれに当たります。この葛藤を描くことで、ブランドは単なる企業ではなく、生き物としての存在感を持ち、読者はより強く感情移入することができるでしょう。

困難な状況にどのように立ち向かい、何を学び、いかに成長したのかを具体的に描写することで、ストーリーは深みを増し、顧客との心の距離を縮める効果が期待できます。

ブランドストーリーの「解決/旅路」

「解決/旅路」とは、葛藤を経て問題がどのように解決されたのか、あるいは主人公がどのように成長し、どのような「旅」を歩んできたのかを示す部分です。これは単なるハッピーエンドではなく、ブランドが顧客に提供できる具体的な価値や、共に歩む未来を想像させる結末であるべきです。

例えば、無印良品が「これでいい」という哲学を通じて、シンプルで豊かな生活を提案し続ける旅路などが挙げられます。顧客がブランドと共にどのような未来を築けるのかを期待させる描き方をすることで、ストーリーは顧客にとっての希望となり、ブランドへの継続的な関心を引き出すことができます。

この部分で、ブランドが顧客に約束する未来を具体的に提示することが重要です。

ブランドストーリーの「教訓/哲学」

ブランドストーリーの「教訓」や「哲学」とは、物語全体を通じて最終的に伝えたい、ブランドの核となる価値観やメッセージのことです。これは、製品やサービスを通じて顧客に提供したい、最も重要な洞察や信念を凝縮したものです。

例えば、Nikeの「Just Do It」は、挑戦し続けることの重要性という哲学を端的に表しています。この教訓や哲学が明確であるほど、顧客はブランドのメッセージを記憶しやすく、行動を促されやすくなります。

ブランドの存在意義や、顧客にどのような価値観を共有してもらいたいのかを深く考え、シンプルかつ力強い言葉で表現することが、心に響くストーリーを作る上で不可欠です。

ブランドストーリーの「未来」

ブランドストーリーの最後に提示される「未来」は、物語の先に広がるビジョンや、ブランドが目指す世界観を描くことで、顧客の期待感を高める重要な要素です。ブランドが提供する価値によって、顧客の生活や社会がどのように変化し、より良い方向に向かうのかを具体的に示すべきです。

例えば、Starbucksが「第三の場所」を提供し続けることで、どのようなコミュニティが育まれていくのか、その未来を顧客に想像させます。顧客がブランドと共にどのような未来を築けるのかを期待させる描き方をすることで、ストーリーは単なる過去の出来事ではなく、現在から未来へと続く「生きた物語」となります。

ブランドの長期的なビジョンを明確に提示し、顧客をその未来の旅路へと誘いましょう。

共感を呼ぶブランドストーリーの作り方5ステップ

実際にあなたのブランドストーリーを構築するための具体的なステップを解説します。抽象的な概念にとどまらず、各ステップで何を行うべきかを明確にすることで、担当者が迷うことなく実践できるロードマップを提供します。

これらのステップを踏むことで、心に響く効果的なブランドストーリーが完成するでしょう。

ステップ1:ブランドの核となるビジョン・ミッションの明確化

ブランドストーリーの構築は、まず「なぜこのブランドが存在するのか」という問いから始まります。ブランドが社会に提供したい究極の価値、存在意義、そして目指す未来を深く掘り下げ、ビジョン・ミッション・バリューとして言語化するプロセスが不可欠です。

これは、単なる企業理念の羅列ではなく、従業員や顧客の心を動かす羅針盤となるべきです。例えば、Googleのミッション「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」は、彼らの事業の根幹と方向性を明確に示しています。

この「なぜ」の部分が強固であるほど、ストーリー全体に一貫性と説得力をもたらすでしょう。

ステップ2:ターゲット顧客と「主人公」の設定

誰に最も響かせたいかを明確にするため、ターゲット顧客を詳細に設定することが重要です。顧客のニーズ、悩み、価値観を深く理解するペルソナを作成することで、ストーリーの方向性が定まります。

次に、その顧客が感情移入できる「主人公」を設定します。これは、ブランドの創業者、特定の製品開発者、あるいはブランドが理想とする顧客像そのものでも構いません。例えば、Nikeの「Just Do It」の主人公は、挑戦するすべての人々です。

主人公を設定することで、ストーリーに人間味が加わり、読者は自分ごととして物語を体験しやすくなります。

ステップ3:物語の軸となる「エピソード」と「葛藤」の設定

ブランドの歴史、製品開発秘話、創業者の苦労など、具体的な「エピソード」の中から、物語の核となる感動的な部分を抽出します。そして、そのエピソードの中で主人公がどのような「葛藤」に直面し、それをどのように乗り越えたのかを描くことが重要です。

真実に基づいたエピソードは、ストーリーにリアリティと深みを与え、読者の感情を強く揺さぶります。例えば、Starbucksの創業者ハワード・シュルツがイタリアでエスプレッソ文化に触れ、それをアメリカに持ち込もうと奮闘した経験は、彼らのブランドストーリーの重要なエピソードです。

人間的な弱さや困難を乗り越える姿は、顧客の共感を呼ぶ強力な要素となります。

ステップ4:伝えたい「メッセージ」と「解決策」の言語化

物語を通して顧客に何を最も伝えたいのか、そのブランドが提供する本質的な「解決策」や価値をどのように言語化するかがこのステップの核心です。ストーリー全体を要約し、シンプルで記憶に残り、かつ行動を促すメッセージを作成します。

このメッセージは、ブランドの存在意義や顧客への約束を凝縮したものでなければなりません。例えば、コカ・コーラの「Open Happiness」は、彼らが提供したい感情的価値を明確に伝えています。

顧客が製品やサービスを通じて何を得られるのか、どのように生活が豊かになるのかを明確に示し、心に残るメッセージとして洗練させることが大切です。

ステップ5:一貫した「ストーリーテリング」の戦略立案

作成したブランドストーリーは、さまざまなチャネルを通じて顧客に届ける必要があります。Webサイト、SNS、広告、PR、イベント、商品パッケージなど、多様なタッチポイントでブランドストーリーを一貫して伝えるための具体的な戦略を立てましょう。

例えば、動画コンテンツはストーリーテリングに非常に効果的です。各チャネルの特性を活かしつつ、ブランドイメージを損なわない伝え方を計画することが重要です。

継続的な運用と社内浸透もこの戦略の一部であり、すべての従業員がブランドストーリーを理解し、体現できるようにすることで、強力なブランド体験を提供できます。

ブランドストーリーを「作って終わり」にしない!実践・運用のポイント

ブランドストーリーは、一度作ったら終わりではありません。実際に運用し、社内外に浸透させて初めてその真価を発揮します。

ここでは、ブランディング担当者が直面する運用フェーズの具体的な課題に焦点を当て、その解決策や実践的なアドバイスを提供します。ストーリーを「生きた資産」として活用し、ビジネス成長へと繋げるためのヒントを見つけましょう。

社内を巻き込むストーリー浸透術

ブランドストーリーを社内外に一貫して伝えるためには、まず従業員一人ひとりがそのストーリーを理解し、「自分ごと」として捉えることが不可欠です。そのためには、経営層からの強いメッセージ発信に加え、従業員向けのワークショップや社内報での共有を通じて、ストーリーの背景や意義を深く理解してもらう機会を設けることが有効です。

例えば、ストーリーの主人公になった人物の講演会を開催したり、従業員自身の「ブランドストーリー」を募集する企画も考えられます。従業員がブランドの体現者となることで、顧客へのメッセージに一層の説得力と真実味が生まれ、ブランドへの愛着や一体感を醸成することにも繋がります。

多様なチャネルでブランドストーリーを効果的に伝える方法

ブランドストーリーを顧客に届けるためには、ウェブサイト、SNS、広告、PR、イベント、そして商品パッケージに至るまで、あらゆるタッチポイントで一貫性を持たせることが重要です。各チャネルの特性を理解し、それに合わせた最適な形でストーリーを表現する戦略が求められます。

例えば、企業の歴史や創業者への想いはウェブサイトの「Our Story」ページで深く掘り下げ、SNSでは日々の活動を通じてブランドの価値観を表現する短尺動画やインタラクティブなコンテンツを活用すると良いでしょう。イベントでは、参加型体験を通じてブランドの世界観を五感で感じてもらう機会を提供します。

動画コンテンツは感情に訴えやすく、ストーリーテリングに特に効果的です。

ブランドストーリーの効果測定とPDCAサイクル

ブランドストーリーの効果は、売上のように直接的に数値化しにくい面もありますが、間接的な指標を通じてその影響を測定し、改善につなげることが可能です。例えば、ブランド認知度調査、顧客ロイヤルティを示すNPS(ネットプロモータースコア)、ウェブサイトのエンゲージメント率、SNSでのシェア数やコメント数などを定期的に測定します。

また、従業員エンゲージメント調査も、社内浸透の度合いを測る上で重要な指標となります。これらのデータを基に、ブランドストーリーの伝わり方や共感度を分析し、必要に応じてメッセージングや発信方法を調整するPDCAサイクルを回すことが不可欠です。

経営層に成果を報告する際には、これらの間接指標を具体的に提示し、ブランド価値向上への貢献を説明することで、継続的な投資の理解を得られるでしょう。

ブランディング担当者が知るべき!ブランドストーリー構築で陥りがちな落とし穴と回避策

ブランドストーリー構築は、成功すれば大きな成果をもたらしますが、同時にいくつかの落とし穴も潜んでいます。ここでは、ブランディング担当者が陥りがちな失敗パターンを具体的に提示し、それらを未然に防ぎ、成功へ導くための実践的な回避策を解説します。

これらのポイントを押さえることで、より効果的なブランドストーリーを構築できるでしょう。

共感を生まない「作り手のエゴ」ストーリー

ブランドストーリー構築で最も陥りやすい落とし穴の一つが、企業側が伝えたいことだけを一方的に主張し、ターゲット顧客のニーズや感情に寄り添えていない「作り手のエゴ」が詰まったストーリーになってしまうことです。顧客は、自分にとって関係のない壮大な物語や自慢話には共感しません。

回避策としては、徹底的な顧客視点を持つことが重要です。ペルソナ設定を深く掘り下げ、顧客が抱える課題や夢、そしてブランドを通じて何を解決し、どのような未来を望んでいるのかを明確にしましょう。

ストーリーの「主人公」を顧客自身や顧客の代理人に設定することで、顧客は自分ごととして物語を体験し、感情移入しやすくなります。

一貫性のないメッセージとブランド毀損のリスク

ブランドストーリーが、企業の製品、サービス、コミュニケーション、そして従業員の行動と乖離している場合、ブランドの信頼性が失われ、毀損のリスクが生じます。口では素晴らしいストーリーを語りながら、実態が伴わないと顧客はすぐに不信感を抱きます。

このリスクを回避するためには、ブランドガイドラインを策定し、すべてのタッチポイントでブランドストーリーに基づいたメッセージとビジュアルが一貫していることを徹底することが重要です。また、社内研修を通じて、全従業員がブランドストーリーを理解し、日々の業務の中で体現できるようにすることも不可欠です。

一貫性こそが、ブランドの信頼と価値を維持し、高めるための基盤となります。

ストーリーがない企業でも作れる!ヒントとプロセス

「うちには特別なストーリーなんてない」と感じている中小企業や創業間もない企業でも、共感を呼ぶブランドストーリーは必ず見つけ出せます。特別な歴史や派手なエピソードがなくても、過去の出来事、創業者の個人的な想い、製品開発の背景にある小さなこだわり、顧客との感動的なエピソードなど、ブランドの核となる物語は必ず存在します。

回避策として、まずは社内でワークショップを開催し、創業時の苦労話、製品に込めた職人の想い、顧客からの感謝の声などを自由に話し合う機会を設けましょう。これらの小さな断片を集め、先述した「構成要素」に当てはめていくことで、隠れた物語が浮き彫りになります。

小さなエピソードからでも、真摯な姿勢や情熱を伝えることで、顧客の心に深く響くストーリーを構築できることを忘れてはなりません。

ブランドストーリーで顧客を惹きつけよう

ブランドストーリーの定義から、国内外の成功事例、構成要素、具体的な作り方、そして実践・運用のポイント、さらには陥りがちな落とし穴とその回避策までを解説しました。

ブランドストーリーは、単なる企業の物語ではなく、顧客の心に深く響き、共感と信頼を生み出す強力なビジネスツールです。ブランドに秘められた唯一無二の物語を見つけ出し、顧客の感情に訴えかけることで、競合との差別化を図り、持続的な成長を実現できるでしょう。

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