企業ブランディングの手法を完全網羅!戦略からインナー・アウターの施策まで

企業ブランディングにはどんな手法があるのか?本記事では、土台となる「戦略フェーズ」から、社内外への「実行フェーズ」まで、体系的に手法を解説します。

インナーブランディングとアウターブランディングの違いや、成功事例のご紹介も交え、強いブランドを作るための具体的なステップをご紹介します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

企業ブランディングの主な手法:戦略フェーズ(土台作り)編

企業ブランディングの手法は大きく「戦略フェーズ(土台作り)」と「実行フェーズ(伝える)」の2つに分けられます。ここからは、それぞれの違い、具体的な手法について解説します。

まずは土台となる「戦略フェーズ」から詳しく見ていきましょう。

「戦略フェーズ(土台作り)」は、企業の「らしさ」や「あるべき姿」を明確に定義する工程です。市場環境や自社の強みを分析し、ミッションやビジョン、視覚的なルールなどを言語化・可視化して設計図を作ります。

ここがブレると後の施策全てが一貫性を失うため、ブランディングの成否を握る最重要プロセスです。

1. 分析・現状把握(リサーチ)

戦略を立てるための「材料」を集めるフェーズです。客観的なデータと主観的な想いの両面からアプローチします。

環境分析フレームワーク

3C(市場・競合・自社)、SWOT(強み・弱み等)、PEST(外部環境)といったフレームワークを用い、自社を取り巻く状況を客観的に整理します。攻めるべき市場や解決すべき課題を明確にするための基礎分析です。

ブランド・エクイティ調査(ブランド診断)

現在、自社が社外からどの程度認知され、どのようなイメージを持たれているかという「ブランドの資産価値」を定量・定性データで測ります。理想と現実のギャップを把握し、これから打つべき施策の方向性を定める判断材料とします。

社内インタビュー・ワークショップ

経営層へのインタビューで創業の想いや未来の展望を引き出し、社員とのワークショップで現場の実感や課題を抽出します。数値には表れない企業固有の「想い」や「DNA」を掘り起こし、ブランドの核となるストーリーの原石を見つけます。

2. 定義・言語化(バーバル・アイデンティティ)

集めた材料をもとに、ブランドの核となる概念を「言葉」で規定するフェーズです。

MVV策定(ミッション・ビジョン・バリュー)

企業の存在意義である「ミッション」、目指す未来像である「ビジョン」、大切にする価値観や行動指針である「バリュー」を策定します。これらは企業の憲法となり、すべての意思決定や行動の判断基準となる最も重要な要素です。

ブランド・コンセプト(タグライン・スローガン)

ブランドの約束を「水と生きる SUNTORY」のような一言で表すタグラインやスローガンとして開発します。また、背景にある物語を「ブランドストーリー」として言語化し、社内外に直感的かつ情緒的に価値が伝わる言葉を紡ぎます。

ターゲット設定(ペルソナ)

「誰に」ブランドを届けたいかを明確にします。年齢や性別だけでなく、価値観、悩み、ライフスタイルまで深く掘り下げた「たった一人の理想的な顧客像(ペルソナ)」を設定し、その心に深く刺さるメッセージや施策を設計します。

ブランド・パーソナリティ

ブランドを「人」に例えた際の人格(誠実、親しみやすい、革新的など)を設定します。そこから「トーン&マナー(話し方や雰囲気)」を規定し、あらゆる発信において「あの会社らしい」と感じさせる統一された印象を作り上げます。

3. 視覚化(ビジュアル・アイデンティティ)

言語化された概念を、誰が見てもわかる「目に見える形」に落とし込むフェーズです。

CI/VI開発(ロゴ・シンボル)

言語化したコンセプトを象徴するシンボルマークやロゴタイプを開発します。単に見た目が良いだけでなく、企業の理念や想いが凝縮されたデザインに落とし込み、視覚的な記憶として人々の心に残る「ブランドの顔」を作ります。

デザインシステムの規定(カラー・フォント)

ブランドカラー(キーカラー・サブカラー)や、使用する標準フォント(書体)などを規定します。名刺からWebサイトまで、いつどこで接しても同じブランドだと認識できるよう、視覚的な統一感(トーン)をコントロールするルールです。

ブランドブック(ガイドライン)作成

策定したMVV、ロゴの使用規定、色の数値、NG例などを一冊のマニュアル(ガイドライン)にまとめます。社内の担当者や外部のパートナーが変わっても、常に一貫したブランド表現を保つための「憲法」として運用します。

企業ブランディングの主な手法:実行フェーズ(伝える)編

戦略フェーズで定めた「ブランドの約束」を、社内外のあらゆる接点(タッチポイント)を通じて体験として届ける工程です。

デザイン、広報、接客などすべての活動において統一された世界観を発信し続け、相手の頭の中に「良いイメージ」を蓄積させ、信頼と共感を獲得します。

1. 視覚・デザイン(クリエイティブ)

目に見えるすべての制作物を、戦略で定めたルールに基づいて統一し、視覚的なブランドイメージを構築する手法です。

Webサイト・LP制作

ブランドの顔となる公式サイトや、特定の商品・キャンペーンを伝えるランディングページを構築します。単なる情報掲載ではなく、戦略フェーズで定めた世界観やトーン&マナーを体現し、訪れたユーザーにブランドの魅力を直感的に伝えるデザインを実装します。

営業ツール・パンフレット

名刺、会社案内、封筒、提案資料(パワーポイント)などの実務ツールを統一デザインで刷新します。営業現場や採用活動など、対面でのコミュニケーションにおいて、手に取った瞬間から信頼感やプロフェッショナルな印象を与えるための重要な接点です。

空間デザイン・動画

オフィスの内装、店舗デザイン、制服、またはブランドムービーなどの制作です。視覚と聴覚、あるいは空間体験を通じて、理屈ではなく感性に訴えかけるアプローチを行い、ブランドの世界観への没入感や深い共感を醸成します。

2. 発信・広報(コミュニケーション)

ブランドのメッセージやストーリーを、適切な媒体を通じてターゲットに届け、関係性を構築する手法です。

オウンドメディア・SNS運用

自社ブログやSNS公式アカウントを通じて、日々の活動や想いを発信します。広告のような一方的な売り込みではなく、ユーザーにとって有益な情報や共感できるストーリーを継続的に届け、ブランドへの親近感とエンゲージメント(結びつき)を高めます。

プレスリリース・広報活動

新事業の開始や社会的な取り組みを、公式文書としてメディアや社会へ発表します。第三者であるメディアに取り上げられることで、広告とは異なる客観的な信頼性を獲得し、ブランドの社会的信用(ソーシャルプルーフ)を構築します。

広告出稿

Web広告、交通広告、テレビCMなどを活用し、ターゲットに対して能動的にアプローチします。戦略的に定めたメッセージを適切な媒体で届けることで、短期間での認知拡大や、特定の層への強力なインプレッションを図ります。

3. 浸透・体験(エクスペリエンス)

従業員の行動や顧客へのサービスを通じて、ブランドを「実体験」として提供し、信頼を確固たるものにする手法です。

インナーブランディング施策

社内報、クレドカード、社内イベントなどを通じて、従業員への理念浸透を図ります。社員一人ひとりがブランドの語り部となり、自発的にブランドらしい行動をとれるようにすることで、組織の一体感とサービス品質の向上を実現します。

顧客体験(CX)設計

接客マニュアルの整備やカスタマーサポートの品質向上など、直接的な顧客接点を磨き上げます。ロゴや広告で抱いた期待を裏切らない、あるいは期待以上の体験を提供することで、顧客満足度を高め、リピーターやファンを生み出します。

イベント・コミュニティ

ユーザーイベントやファンミーティングを開催し、顧客との直接的な交流の場を作ります。ブランドと顧客、あるいは顧客同士のつながりを深めることで、単なる消費行動を超えた強いコミュニティを形成し、愛され続けるブランドを育てます。

企業ブランディングの手法:インナーブランディングとアウターブランディングの違い

企業ブランディングにおいて、インナーブランディング(社内)とアウターブランディング(社外)でも取るべき手法は明確に異なります。

※関連記事:インナーブランディングとアウターブランディングの違いとは?相乗効果を生む手順とKPIも解説

その理由は、根本にある「伝えたいブランドの核心(理念やビジョン)」は同じであっても、「伝える相手(対象)」と「目指すゴール(目的)」が全く違うからです。

インナーブランディングは従業員の「納得・行動」を、アウターは顧客の「認知・信頼」を目指します。どちらか一方だけでは不十分であり、両輪が噛み合うことで初めて強いブランドが生まれます。

特徴インナーブランディングアウターブランディング
対象従業員(経営陣含む)顧客、社会、株主、取引先
目的理念の自分事化、エンゲージメント向上、行動変容認知拡大、ファン化、信頼獲得、購買促進
キーワード「納得・共感・行動」「認知・好意・信頼」
主なアプローチ対話と体験を通じた腹落ち視覚と発信を通じたイメージ形成

このように、インナーブランディングは「組織のカルチャー作り(内側の強化)」、アウターブランディングは「市場でのイメージ作り(外側への拡大)」という異なる役割を担います。

そのため、インナーブランディングでは対話を重視した泥臭い手法が、アウターブランディングでは洗練された表現を重視した手法が主に選ばれます。それぞれの具体的な施策を見ていきましょう。

インナーブランディングの手法

従業員が自社の理念を深く理解し、日々の業務で体現できるようにするための「対話」や「仕組み作り」が中心となります。

ワークショップ/研修

一方的な講義ではなく、社員同士が「自社の強み」や「ビジョンの実現方法」について話し合う場を設けます。自分たちで言葉にすることで理念を「自分事化」させ、日々の行動指針へと落とし込みます。

クレドカード(行動指針カード)

企業のミッションやバリュー(行動指針)を記載した、携帯可能なカードや手帳を作成します。迷った時の判断基準として常に携帯し、朝礼などで読み上げることで、理念を形骸化させず意識に定着させます。

社内報/イントラネット

経営陣のメッセージや、活躍している社員のインタビュー、部署紹介などを定期的に発信します。会社の方向性を共有すると同時に、他部署への理解や帰属意識を高めるコミュニケーションツールとして機能します。

社内アワード(表彰制度)

営業成績だけでなく、「最も理念を体現した行動」をとった社員を表彰します。どのような行動がブランドとして賞賛されるのかを具体例として示すことで、全社員の行動変容を促します。

サンクスカード

社員同士が日々の感謝や、「今の行動はバリューらしかったね」という賞賛をカードやアプリで送り合います。良い行動を互いに認め合う文化を醸成し、心理的安全性とモチベーションを向上させます。

トップメッセージ(タウンホールMTG)

社長や経営陣が、全社員に向けて直接想いを語る場です。文章だけでは伝わらない熱量や本気度を共有し、組織全体の一体感を作り上げるために不可欠な施策です。

アウターブランディングの手法

社外の人々に対して、企業の魅力や世界観を一貫性のあるメッセージとして届け、「好き」や「信頼」を積み上げるための「発信」が中心となります。

Webサイト/LP・SNS

ブランドの第一印象を決める「顔」です。デザインや言葉遣い(トーン&マナー)を戦略に基づいて統一し、機能的な価値だけでなく、情緒的な価値(世界観)を継続的に発信してファンを作ります。

プレスリリース

新商品や新事業、社会的な取り組みをメディアを通じて公式に発表します。第三者視点で報道されることで、単なる広告よりも高い信頼性を獲得し、社会的信用(ソーシャルプルーフ)を構築します。

広告・CM

Web広告、交通広告、テレビCMなどを通じて、ターゲットに能動的にメッセージを届けます。認知を一気に拡大したり、特定のイメージを刷り込んだりするためのブースト役として機能します。

ロゴ/パッケージデザイン

商品や店舗で顧客が最初に目にする視覚情報です。ブランドの思想を形や色に凝縮し、言葉を介さなくても直感的に「らしさ」が伝わるデザインにより、記憶への定着を図ります。

店舗体験/接客

顧客がリアルにブランドに触れる接点です。スタッフの立ち振る舞いや言葉遣い、店舗の香りやBGMに至るまで、五感を通じた体験をコントロールし、ブランドへの愛着を深めます。

CSR/SDGs活動

本業を通じた社会貢献活動や環境保全活動です。単に利益を追求するだけでなく、社会の公器として誠実であることを示し、ステークホルダーからの深い信頼と尊敬を集めます。

企業ブランディングの手法を上手く活用した成功事例と進め方

では、ここまで紹介してきた手法をうまく活用し、実際に企業ブランディングに成功した事例をご紹介します。

国内の有名企業でいうと「無印良品」が好例です。

無印良品は戦略フェーズで「引き算の美学」という哲学を定義。アウター施策では広告に頼らず、簡素な商品デザインや店舗空間そのもので世界観を表現しました。

インナーブランディング施策ではマニュアル「MUJIGRAM」により、「無印らしい行動」を具体的に言語化して全店に浸透させました。哲学(戦略)と現場の行動(実行)を高度に一致させ、ぶれないブランド体験を作り上げた点が成功の要因です。

なお、その他国内・海外問わず企業ブランディングの成功事例は下記記事で詳しく紹介しています。合わせて、成功事例をもとにした成功法則とステップ形式で進め方も解説しています。ぜひお読みください。

※関連記事:【2025年版】企業ブランディング成功事例18選から学ぶ!ブランドを確立する9つのステップと成功法則

手法の前に「戦略」を。一貫性が企業のブランドを強くする

企業ブランディングの手法は多岐にわたりますが、最も重要なのは「小手先のテクニック」ではなく「揺るぎない戦略」です。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)という強固な土台があり、その上にインナーブランディングとアウターブランディングへの施策が一貫して積み上がってこそ、長く愛され信頼されるブランドが生まれます。

まずは「ロゴを作る」「広告を出す」といった手段から入るのではなく、自社の「らしさ」や「あるべき姿」を言語化する現状分析から始めてみてはいかがでしょうか。正しい順序で手法を選定し、貴社だけのブランドを育てていきましょう。

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