インナーブランディングは「社員アンケート」から。失敗しない始め方と設問設計

インナーブランディングに取り組む企業が増えています。しかし、「何から始めればいいかわからない」という担当者も多いはず。

実は、最初の一歩として最も有効なのが「社員アンケート」です。本記事では、企業が失敗せずにインナーブランディングを始めるためのアンケート設計と活用法を解説します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

当社の「インナーブランディングサービス」の特長、料金例、提供サービスなどは下記のサービスページで詳しくご紹介しています。

企業にインナーブランディングが不可欠な理由

組織の一体感醸成や人材定着において、インナーブランディングは経営戦略の要です。規模を問わず、あらゆる企業にとって持続的な成長に欠かせない理由を解説します。

経営層と現場の「距離」が組織の成長を左右する

経営層が熱い想いを持っていても、現場との間に温度差があれば組織力は低下します。インナーブランディングによってビジョンの背景にあるストーリーを共有し、この距離を縮めることが重要です。

社員が理念に共感し、自律的に判断して動く「自走する組織」へ変わるためには、内面の動機付けが欠かせません。

採用難や離職防止におけるインナーブランディングの効果

知名度や条件スペックだけでなく、「この会社で働く誇り」や「理念への共感」は強力な差別化要素になります。自社独自のカルチャーを言語化できれば、価値観の合う質の高い人材が集まりやすくなります。

また、ミスマッチによる早期離職を防ぎ、エンゲージメントを高める「最強の定着策」としても機能します。

「社員アンケート」がインナーブランディングの最初の一歩として有効な理由

施策を闇雲に打つ前に、まずは現状把握が必須です。アンケートは単なる調査ツールではなく、実施すること自体が重要なインナーブランディング施策となります。

なぜ開始直後のアンケートが成功のカギを握るのか、3つの理由を解説します。

現状の浸透度を「定量化」して健康診断を行う

「なんとなく雰囲気が良い・悪い」という感覚値ではなく、理念の浸透度や現場の課題を数値化することが重要です。データにより「認知度は高いが共感度が低い」と判明すれば、打つべき施策は周知ではなく対話だと判断できます。

まずは組織の健康診断を行い、客観的な事実に基づいて施策の優先順位を決めましょう。

会社が「社員の声を聞く姿勢」を示すメッセージになる

アンケートを実施すること自体が「会社は皆さんの考えを知りたい」という意思表示(メッセージ)になります。社員にとって、自分の意見を聞いてもらえる機会があることは、それだけで参加意識(エンゲージメント)を高める効果があります。

ただし、単なるポーズで終わらせないよう、結果に対して真摯に向き合う姿勢を見せることが信頼構築の条件です。

今後の施策効果を測るための「基準点」を作る

インナーブランディングは目に見えない意識を扱うため、効果測定が難しい取り組みです。

だからこそ、開始時点でのスコアを記録し「基準点(ベースライン)」としておく必要があります。半年後、1年後に同じ質問をして数値を比較することで、「施策によって推奨度が向上した」といった成果を社内に証明でき、活動を継続するための説得材料になります。

【厳選】インナーブランディング調査で聞くべき5つの設問

多くの設問は回答者の負担になり、本音が見えなくなります。初期段階では、現状の重要ポイントを網羅しつつ、1分で回答できる「厳選された5問」に絞るのが成功の秘訣です。

Q1【認知】理念の内容を知っていますか?

まずはスタートラインの確認です。選択式で「よく知っている」「あやふや」「知らない」を聞きます。

ここで「知らない」が多ければ、共感や行動を促す前に、ポスター掲示やカード配布といった単純接触を増やす施策が必要だとわかります。

Q2【共感】会社の方針に納得・共感していますか?

「知っているけれど納得していない」のか、「そもそも知らない」のかを区別するために5段階で評価します。

認知はあるが共感が低い場合、理念という言葉そのものではなく、その背景にある創業の想いやストーリーを伝える場が必要です。

Q3【自分事化】日々の業務と理念のつながりを感じますか?

インナーブランディングの最大の壁である「他人事」の度合いを測ります。ここが低いと「理念はただの飾りで、現場の仕事とは関係ない」と思われています。業務と理念の結びつきを翻訳して伝えることが急務となります。

Q4【推奨度】知人にこの会社への入社を勧めたいですか?

いわゆるeNPS(Employee Net Promoter Score)です。細かい満足度を聞かなくても、この1問で「会社への愛着度・信頼度」の総量がわかります。

インナーブランディングの成果指標(KPI)として、定点観測するのに最適です。

Q5【本音】現場と理念の間に「ズレ」を感じますか?

唯一の自由記述設問です。「お客様第一と言いながら、売上目標ばかり詰められる」といった具体的な阻害要因(ボトルネック)がここに集まります。

施策のヒントは全てここにあると言っても過言ではありません。

自社の課題に合わせて追加したい「+1」の設問パターン

基本の5問に加え、自社の状況や解決したい課題に合わせて1問だけ追加することで、より解像度の高い分析が可能になります。代表的な4つのパターンを紹介します。

理念を新設・改定した場合の「理解度」確認

理念を刷新したばかりの頃は、言葉の上辺だけでなく意図が伝わっているかが重要です。

「今回の新しい理念が策定された『背景』や『理由』について、どの程度理解していますか?」と問いかけ、浸透の深さを確認しましょう。

経営層と現場の温度差がある場合の「メッセージ到達度」確認

社長が一人で発信しているが現場が冷めている場合、「経営陣からのメッセージは、あなたに届いている(伝わっている)と感じますか?」と聞きます。

届いていなければ、発信方法や伝える人(管理職経由など)を変える必要があります。

セクショナリズム解消のための「部署間連携」確認

自部署の利益ばかり優先し、全体最適の意識が低い場合は、「他部署の仕事内容や、会社全体への貢献について理解していますか?」を追加します。

組織の一体感(One Team)を目指す際の指標となります。

組織の強みを探すための「ポジティブ要素」発掘

ネガティブな空気を変えたい時は、「あなたがこの会社で働いていて、『よかった』『楽しい』と感じる瞬間はどんな時ですか?」と聞きます。

回答から得られた「現場のやりがい」を社内広報することで、ポジティブな雰囲気を醸成できます。

回答率UP!「アンケート依頼文」テンプレート

アンケートの回答率と質は、設問内容だけでなく「誰が、どのような想いで依頼するか」で9割決まります。事務的な連絡ではなく、インナーブランディングの一環として「会社の本気度」を伝えるための依頼文パターンを3つ用意しました。

状況に合わせて調整し、活用してください。

社長名義で送る「本気度重視」パターン

初めて実施する場合は、社長(代表)名義での発信を推奨します。「会社を良くするために、皆さんのありのままの声を聞きたい」というトップの意思を示すことで、社員は「適当には答えられない」と感じ、質の高い回答が集まります。

「匿名性の担保」と「結果を経営に活かす約束」を明記するのがポイントです。

件名:【重要】より良い会社を作るためのアンケートご協力のお願い(所要時間:約1分)

社員の皆さん お疲れ様です。代表の〇〇です。

現在、当社では改めて「働きがいのある会社」「全員が同じ方向を向いて進める組織」を目指し、社内体制や風土の見直しを進めようとしています。

その第一歩として、皆さんが今、会社の現状についてどう感じているか、「ありのままの声」を聞かせてほしいと思い、簡単なアンケートを実施することにしました。

■このアンケートの約束

  1. 匿名です: 誰が書いたかは特定されません。
  2. 短いです: 全5問、1〜2分で終わります。
  3. 本音重視です: 良いことだけでなく、違和感や不満も正直に書いてください。

いただいた意見は必ず私が目を通し、今後の会社づくりに活かしていきます。 業務でお忙しいところ恐縮ですが、ご協力をお願いいたします。

▼アンケート回答はこちらから(回答期限:〇月〇日まで)

[ URLをここに貼る ]

担当者名義で送る「親しみやすさ重視」パターン

プロジェクトチームや広報担当から送る場合は、柔らかいトーンで心理的ハードルを下げます。「より良い職場を作るためのプロジェクト始動」と位置づけ、負担にならないよう「厳選した5問(所要時間1分)」であることを強調します。

義務感を減らし、ポジティブな協力姿勢を引き出すのに有効です。

件名:【全社アンケート】会社の「今」について教えてください(全5問)

社員の皆さん お疲れ様です。インナーブランディング担当の〇〇です。

この度、私たちの会社をより良くしていくためのプロジェクトを始動します。 施策を検討するにあたり、まずは「現場の皆さんが今、どう感じているか」を正しく把握したいと考えています。

つきましては、意識調査アンケートへのご協力をお願いします。 皆さんの負担にならないよう、厳選した5問(所要時間1分)に絞りました。

無記名式ですので、誰が回答したかは分かりません。 ぜひ、率直な感想をお聞かせください。皆さんの声が、これからの会社づくりの土台になります。

▼回答フォームはこちら

[ URLをここに貼る ] (期限:〇月〇日 18:00まで)

ご協力よろしくお願いいたします。

チャットツールで送る「スピード重視」パターン

SlackやTeams、LINEWORKSなどを利用している場合は、堅苦しい挨拶を抜きにして「サクッと回答」を促します。「スマホで移動中に1分で完了!」といったメリットを提示し、URLへの導線をシンプルにします。

即時性が高いため、短期間で回収したい場合に最適です。

件名:【1分で終わります】社内アンケートのお願い

お疲れ様です!インナーブランディング担当の〇〇です。 今後の会社づくりのために、皆さんの率直な声を頂きたく、簡単なアンケートを実施します。

■ここがポイント

  • 超簡単: たったの5問(1〜2分で完了!)
  • 安心: 完全匿名です(誰が書いたかバレません)
  • スマホOK: 移動中や休憩中にサクッと回答できます

「もっとこうしてほしい」「現場とズレている」といった本音も大歓迎です。 ぜひ、皆さんの力を貸してください!

▼回答はこちらから

[ URL ] 期限:〇月〇日(曜日)まで

インナーブランディングを阻害するアンケートの「3つのタブー」

アンケートは使い方を誤ると不信感を招き、逆効果になります。インナーブランディングの土台となる「信頼」を守るために、絶対に避けるべき3つの禁止事項を解説します。

給与・待遇に関する質問を混ぜない

理念やビジョンの質問に「給与に満足していますか?」を混ぜてはいけません。回答者の意識が「条件面(待遇)」に向き、「給料が低いから理念どころではない」という思考になります。

今回は「会社のあり方」についての調査であると明確に切り分けましょう。

ネガティブな回答の「犯人探し」をしない

批判的な意見が出た際に「誰が書いたか」を特定しようとするのは厳禁です。「本音を書くと特定されて不利益を被る」という噂が立てば、二度と本音は聞けなくなります。

匿名性を担保し、心理的安全性を守ることが最優先です。

都合の悪い結果を「隠蔽」しない

結果が悪かったからといって公表しなかったり、良い部分だけを見せたりするのは逆効果です。現場は既に問題を肌感覚で知っています。

悪い結果を隠すと「経営陣は現場を見ていない」「隠蔽体質だ」と判断され、心が離れてしまいます。

アンケートを有効活用!インナーブランディングを次の段階に進めるための4ステップ

アンケートは「聞きっ放し」が最も信頼を損ないます。回答回収後、熱が冷めないうちに実行すべき、分析から改善アクションまでの4つのステップを整理しました。

ステップ1:実施直後の「お礼」メール

集計前でも構いません。まずは3日以内に「協力してくれてありがとう」という感謝を伝えます。

「出しっぱなし」の不安を消し、「会社は声をちゃんと受け取った」という安心感を与えることが、次の施策への協力体制を作ります。

ステップ2:課題の「ボトルネック」分析

データを分析し、課題が「認知不足(知らない)」「共感不足(納得していない)」「行動阻害(仕組みがない)」のどこにあるかを見極めます。

自由記述の内容と合わせて分類することで、打つべき施策の方向性が明確になります。

ステップ3:悪い結果も含めた「全社共有」

結果は正直にフィードバックします。特にネガティブな結果こそ「真摯に受け止め、改善します」と公表することで、経営の本気度が伝わります。

「You said, We thought(皆さんの声を受けて、会社はこう考えた)」の形式での共有が有効です。

ステップ4:信頼獲得のための「即改善(クイックウィン)」

分析結果を受けて、何か一つで良いので「すぐに目に見える変化」を起こします。

「無駄な会議を廃止する」「備品を新しくする」など、小さなことでも「アンケートに書いたら会社が変わった」という実績を作ることが、信頼構築の最短ルートです。

アンケートはインナーブランディングの羅針盤

良い結果も悪い結果も、組織の現在地を示す重要な資産です。インナーブランディングを進めるためにはアンケートを恐れずに現状を可視化し、その結果を誠実に受け止め、社員と共に改善していく姿勢こそが、最強のインナーブランディングとなります。

自社の「自然体」を引き出すブランディングサービスはいかがですか?

この記事をお読みの企業様で、

✓ 従業員のウェルビーイングを高めたい
✓ 自社のブランドを高める施策がしたい
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