MVV企業事例39選|大手・中小・海外から変革フェーズ別まで徹底解説

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定・浸透に悩む担当者必見。国内の大手・ベンチャーから海外有名企業まで、厳選した39社の事例を一挙に紹介します。

これまで企業の規模・業種問わず多数の企業のブランディングや採用支援に携わってきた当社・スカイベイビーズが、単なるMVVの一覧だけでなく、組織フェーズ別の選び方や、優れたMVVに共通する「5つの成功法則」も解説。

自社に最適な言葉選びのヒントが見つかります。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

国内大手企業のMVV企業事例10選

日本を代表する大企業のMVVは、創業者の精神や歴史的背景を大切にしつつ、グローバル展開や時代の変化に合わせて再定義されている点が特徴です。

「安心」「信頼」「社会貢献」といった言葉をベースに、イノベーションへの意志を組み込んだ、安定感と挑戦心が共存する事例が多く見られます。

ソフトバンクグループ株式会社

項目内容
ミッション世界の人々から最も必要とされる企業グループ
ビジョン世界に挑む。世界を変える。
バリューNo.1、挑戦、逆算、スピード、執念
参照ページhttps://group.softbank/philosophy

創業者の孫正義氏が掲げた「300年成長する組織」という構想が原点です。「情報革命で人々を幸せに」という不変の理念に対し、時代に合わせて戦略を柔軟に変える指針としてバリューが機能しています。

「No.1」へのこだわりや「逆算」という思考法は、孫氏の経営哲学そのものであり、圧倒的なスピードと成長を支えるDNAとして全社員に共有されています。

楽天グループ株式会社

項目内容
ミッションイノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする
ビジョングローバル イノベーション カンパニー
バリュー楽天主義(ブランドコンセプト・成功のコンセプト)
参照ページhttps://corp.rakuten.co.jp/about/philosophy/

創業時からのキーワード「エンパワーメント」を核に、ネットを通じて地方や中小企業の力を引き出す姿勢を貫いています。社内公用語英語化に伴い、世界基準での競争を意識した定義に刷新。

「成功のコンセプト」などの具体的な行動規範「楽天主義」は、多様な国籍の従業員が同じ方向を向くための共通言語として徹底されています。

サントリーホールディングス株式会社

項目内容
ミッション人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命(いのち)の輝き」をめざす。
ビジョンGrowing for Good(よいことのために、成長しつづける。)
バリューやってみなはれ、利益三分主義
参照ページhttps://www.suntory.co.jp/company/philosophy/

創業者・鳥井信治郎氏の口癖「やってみなはれ」は、失敗を恐れず挑戦する精神的支柱です。単なる精神論ではなく、ウイスキーやビール事業への参入など、リスクを取り市場を創造した歴史そのものです。

現在は「人と自然と響きあう」という、水と生命を扱う企業としてのサステナビリティへの責任感も強く打ち出しています。

ANAホールディングス株式会社

項目内容
ミッション安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で 夢にあふれる未来に貢献します
ビジョンワクワクで満たされる世界を
バリュー安全、お客様視点、社会への責任、チームスピリット、努力と挑戦
参照ページhttps://www.ana.co.jp/group/about-us/philosophy/

安全運航を絶対的な使命としつつ、単なる移動手段ではない「心の翼」という言葉で、顧客の喜びや夢に寄り添う姿勢を表現しています。

ヘリコプター2機から始まったベンチャースピリットを継承し、「努力と挑戦」を掲げることで、コロナ禍などの危機においても、非航空事業への拡大など柔軟な変革に挑む土壌を作っています。

中外製薬株式会社

項目内容
ミッション革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します
ビジョントップイノベーター像(期待に応える、世界中の患者さんへ、一流の人財)
バリュー患者さん中心、開拓者精神、誠実
参照ページhttps://www.chugai-pharm.co.jp/profile/philosophy/mission.html

ロシュ・グループとの戦略的提携という独自性を活かし、「トップイノベーター」を目指す姿勢を明確にしています。特に「患者さん中心」をバリューの筆頭に置くことで、研究開発や営業活動の全ての判断基準を「それは患者さんのためになるか」に集約。

科学的卓越性と倫理観を両立させ、グローバルな創薬競争に勝つための指針です。

ヤマハ発動機株式会社

項目内容
ミッション世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する
ビジョン人に創る、新たな未来(ART for Human Possibilities)
バリュー感動創造、知恵と情熱、信頼と尊敬、自律と協働
参照ページhttps://global.yamaha-motor.com/jp/about/philosophy/

日本語の「感動(Kando)」をそのまま世界共通言語として使用しています。エンジンの回転数が上がる高揚感と心の高ぶりを重ねたスローガン「Revs your Heart」とも連動。

「知恵と情熱」などのバリューは、技術者魂と遊び心を大切にする同社らしい、機能的価値と情緒的価値の融合を目指す姿勢を表しています。

三井化学株式会社

項目内容
ミッション地球環境と調和した企業活動を通じて、社会の課題解決と人々の幸せに貢献する
ビジョン化学の力で社会を変える
バリュー挑戦、多様性、一つ(One Team)
参照ページhttps://jp.mitsuichemicals.com/jp/corporate/vision/

化学産業が環境問題の要因にも解決策にもなり得るという自覚から、「地球環境との調和」をミッションの最上位に置いています。過去の業績悪化を機に高付加価値品への転換を図る際、社員を一つにするため新ビジョンを策定。

「化学の力で社会を変える」という言葉には、素材メーカーとしての誇りと責任が込められています。

SOMPOホールディングス株式会社

項目内容
ミッション“安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する
ビジョン「安心・安全・健康のテーマパーク」
バリューミッションドリブン、プロフェッショナリズム、ダイバーシティ&インクルージョン他
参照ページhttps://www.sompo-hd.com/company/philosophy/

保険の枠を超え、介護やデジタル事業へ展開する中で、「安心・安全・健康のテーマパーク」というユニークなコンセプトを掲げました。

「テーマパーク」という言葉には、人生を楽しむためのパートナーでありたいという意志と、抽象的な保険の価値を具体的にイメージさせる意図があり、事業変革の強い旗印となっています。

株式会社電通グループ

項目内容
ミッションan invitation to the never before.(かつてない「ときめき」へ。)
ビジョンPeople to People.(人の心を動かし、人々のつながりを生む。)
バリューThe 8 Ways(8つの行動指針)
参照ページhttps://www.japan.dentsu.com/jp/about/philosophy.html

伝統的な「広告会社」からの脱却と、グローバル展開に伴う組織統合を目的に策定されました。「B2B2C」の真ん中にある「People(人)」に着目し、クライアントと生活者をつなぐ役割を定義。

「The 8 Ways」は、世界中の社員が共有できる行動規範として、クリエイティビティだけでなく誠実さや社会貢献も重視しています。

KDDI株式会社

項目内容
ミッション豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献する
ビジョン想いをつなぐ信条(KDDIフィロソフィ)を共有し、お客様に感動を届け続ける
バリューKDDIフィロソフィ(詳細な行動指針群)
参照ページhttps://www.kddi.com/corporate/kddi/philosophy/

合併によって誕生した背景から、異なる企業文化を統合するために京セラ創業者・稲盛和夫氏による「KDDIフィロソフィ」が導入されました。これは単なる行動指針ではなく、人生観や労働観にまで踏み込んだ哲学です。

「心を高める」といった精神性の高い言葉が並び、全社員参加の勉強会を通じて組織の結束力の土台となっています。

国内中小・スタートアップのMVV企業事例10選

成長フェーズにあるスタートアップや中小企業のMVVは、従業員の行動変容を促すための「浸透しやすさ」が重視されています。

口語体やユニークな表現を用いることで、組織のカルチャーを形成し、迷った時の判断軸として機能させているのが最大の特徴です。

株式会社SmartHR

項目内容
ミッションwell-working(労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会を作る)
ビジョンEmployee First.(すべての人が、持てる力を最大限発揮できる社会を作る)
バリュー早いほうがカッコイイ、ワイルドサイドを歩こう、人が欲しいと思うものを作ろう 他
参照ページhttps://smarthr.co.jp/about/

人事労務SaaSを提供する同社は、アナログで非効率なバックオフィス業務を解放し、働く人が主役になれる社会を目指しています。「well-working」という造語にその想いを凝縮。

バリューには「早いほうがカッコイイ」「ワイルドサイドを歩こう」など、社員の背中を押すような口語体が使われており、急成長する組織のカルチャーを形成する原動力となっています。

ラクスル株式会社

項目内容
ミッション仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる
ビジョン滑らかな社会の実現
バリューReality(解像度を高める)、System(仕組みをつくる)、Cooperation(チームでこと・ものに向かう)
参照ページhttps://corp.raksul.com/about/vision/

印刷や物流といった伝統的な産業の非効率さを、テクノロジーで刷新することを存在意義としています。「滑らか」という独特な言葉で、摩擦のない理想的な産業構造を表現。

「Reality(現場現実を知る)」と「System(仕組み化)」をセットで掲げることで、単なるIT化ではなく、産業の裏側に入り込んで変革する姿勢を明確にしています。

株式会社マネーフォワード

項目内容
ミッションお金を前へ。人生を前へ。
ビジョンすべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。
バリューUser Focus、Technology Driven、Fairness
参照ページhttps://corp.moneyforward.com/about/mission/

お金に対する不安を取り除くことで、人々のチャレンジを後押ししたいという創業の想いが込められています。「Focus」や「Driven」といった力強い言葉を選ぶことで、何にリソースを集中するかを宣言。

「Fairness(公正)」が含まれている点は、金融サービスとして信頼を最優先する姿勢と、社内の情報の透明性を重視する文化の表れです。

Sansan株式会社

項目内容
ミッション出会いからイノベーションを生み出す
ビジョンビジネスインフラになる
バリュー強さを知る、意思と意図をもって決断する、変化を恐れずに挑戦する 他
参照ページhttps://jp.corp-sansan.com/company/philosophy

名刺管理から始まった事業を、「出会い」というより本質的な価値に昇華させています。「ビジネスインフラ」という言葉には、水道や電気のように、なくてはならない存在になるという高い視座が示されています。

バリュー(Sansanのカタチ)は、個人のプロフェッショナリズムと成長を強く求める内容になっており、自律型人材を育成する指針として機能しています。

株式会社グッドパッチ

項目内容
ミッションデザインの力を証明する
ビジョンハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる
バリュー偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる、Whyの追求 他
参照ページhttps://goodpatch.com/company

デザイン会社として、デザインが見た目だけでなくビジネス課題を解決する力であることを社会に示す決意が込められています。「ハートを揺さぶる」という情緒的な表現は、論理だけでは人は動かないというデザインの真髄を表しています。

「偉大なチーム」をバリューの冒頭に置き、個人のクリエイティビティよりもチームワークを重視する点が特徴的です。

株式会社クラウドワークス

項目内容
ミッション個のためのインフラになる
ビジョン世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる
バリュー夢中、One Team、視座
参照ページhttps://crowdworks.co.jp/corporate/philosophy/

組織に属さない働き方が広がる中で、個人(フリーランス)が安心して働ける土台を作ることを使命としています。「報酬を届ける」という非常に具体的で定量的なビジョンは、抽象的な理想論に終わらせず、経済的な実利を提供するという覚悟を示しています。

「視座」というバリューは、常に経営者視点や顧客視点で考えることを社員に求めています。

株式会社アカツキ

項目内容
ミッション世界をエンターテインする。クリエイターと共振する。
ビジョンA Heart Driven World(ハートドリブンな世界へ)
バリュー挑戦と成長、規律と自律、本質と調和 他
参照ページhttps://aktsk.jp/about/philosophy/

モバイルゲーム事業などを展開する同社は、感情やワクワクする心(Heart)を原動力にすることを経営の核に据えています。「Heart Driven」というビジョンは、合理性や数値目標だけでなく、人の心の動きを大切にするという意思表示。

バリューでは「規律と自律」のように相反する要素を並立させ、バランスの取れた組織運営を目指しています。

BASE株式会社

項目内容
ミッションPayment to the People, Power to the People.
ビジョン世界中の人々が自由に経済活動を行える社会
バリューMove Fast(速く動く)、Be Hopeful(楽観的でいる)、Speak Openly(率直に話す)
参照ページhttps://binc.jp/company/philosophy

「お母さんも使えるネットショップ」という創業時の原体験から、個人やスモールチームに力を与えることを使命としています。

「Payment to the People」はジョン・レノンの歌詞へのオマージュであり、権限を個人へ開放するという思想を表現。バリューの「Be Hopeful」は、困難な課題に対しても前向きに取り組むスタートアップらしいマインドセットです。

Retty株式会社

項目内容
ミッション食を通じて世界中の人々をHappyに
ビジョン新たな「食のインフラ」をつくる
バリューUser Happy(ユーザーの幸せ)、All Done(成し遂げる)、Breakthrough(革新)
参照ページhttps://corp.retty.me/philosophy/

実名型グルメサービスを展開する同社は、「Happy」というシンプルな言葉で食の持つポジティブな力を表現しています。「インフラをつくる」というビジョンは、単なる情報サイトではなく、予約や決済まで含めた食体験の基盤になるという目標を示唆。

「All Done」は、計画するだけでなく最後までやり切る実行力を重視する企業文化を表しています。

株式会社kubell(旧Chatwork株式会社)

項目内容
ミッション働くをもっと楽しく、創造的に
ビジョンDX for All(ビジネスの現場に、関わるすべての人に、デジタルの革新を)
バリューStep(一歩踏み出す)、Go(突き抜ける)、Fun(自分たちも楽しむ)
参照ページhttps://www.kubell.com/company/philosophy/

社名変更と共にMVVを再定義。「働く」という行為を、苦役ではなく創造的な喜びに変えることを使命としています。

「DX for All」は、ITに詳しくない中小企業でも使えるサービスを提供するという、同社の強みとターゲットを明確化。「Step, Go, Fun」というリズム感のあるバリューは、覚えやすく、社員が日々の判断に迷った時の拠り所となっています。

海外有名企業のMVV企業事例10選

グローバル企業のMVVは、論理構造が非常に明確です。「Mission(日々何をするか)」と「Vision(その結果どういう世界になるか)」の区分けがクリアで、抽象的な精神論よりも、社会における役割や最終的なゴールを具体的に定義しています。

多様な国籍の社員を束ねるため、シンプルで力強い英語表現が使われるのも特徴です。

LinkedIn Corporation(リンクトイン)

項目内容
ミッション世界中のプロフェッショナルをつなぎ、生産性を高め成功へ導く
ビジョン世界中の働くすべての人々に経済的なチャンスを作り出す
バリューMembers first(メンバー第一)、Relationships matter(人間関係を大切に) 他
参照ページhttps://about.linkedin.com/

ビジネス特化型SNSとして、「コネクションを作る(ミッション)」ことが、最終的に「全労働者の経済的チャンス(ビジョン)」につながるという、手段と目的の関係が非常にクリアです。

ミッションはユーザーへの機能提供、ビジョンは社会への影響を定義しており、MVVの教科書的な構造と言えます。

The Coca-Cola Company(コカ・コーラ)

項目内容
ミッション世界中をリフレッシュさせる。違いをもたらす。
(To refresh the world. To make a difference.)
ビジョン人々、ポートフォリオ、パートナー、地球、利益、生産性
(それぞれの領域で目指す詳細なゴールを定義)
バリューLeadership、Collaboration、Integrity、Accountability、Passion、Diversity、Quality
参照ページhttps://www.coca-colacompany.com/company/purpose-and-vision

Purpose(存在意義)とMissionを同義として扱っています。

「リフレッシュさせる」という極めてシンプルな言葉ですが、ビジョンでは「地球(Planet)」や「利益(Profit)」など6つのPを掲げ、清涼飲料を売るだけでなく、サステナビリティや収益性も同時に追求するバランス経営を示唆しています。

The Boeing Company(ボーイング)

項目内容
ミッションProtect, connect and explore our world and beyond.
(世界とその先を、守り、つなぎ、探求する)
ビジョンBe the premier global industrial champion.
(世界最高の産業チャンピオンになる)
バリューStart with engineering excellence, Be accountable, Apply Lean principles 他
参照ページhttps://www.boeing.com/company/general-info/values.page

「Protect(防衛事業)」「Connect(民間航空機)」「Explore(宇宙事業)」という3つの動詞で、同社の広範な事業領域を簡潔に表現しています。

ビジョンで「Aerospace(航空宇宙)」に限定せず「Industrial champion(産業界の王者)」を掲げている点に、製造業としての圧倒的な自負とスケール感が表れています。

Caterpillar Inc.(キャタピラー)

項目内容
ミッションインフラ整備、資源開発等を通じて、経済成長を可能にし、生活水準を向上させる
ビジョンA world in which all people’s basic needs are fulfilled.
(すべての人々の基本的ニーズが満たされた世界)
バリューIntegrity、Excellence、Teamwork、Commitment、Sustainability
参照ページhttps://www.caterpillar.com/en/company/strategy-purpose.html

建設機械の巨人である同社のビジョンは、機械そのものではなく「人々の基本的ニーズ(水、食料、住居、電力)が満たされる世界」という、インフラが整った後の平和な社会情景を描いています。

B2B企業がいかに社会課題と直結しているかを示す、視座の高い事例として知られています。

American Express Company(アメリカン・エキスプレス)

項目内容
ミッションBecome the world’s most respected service brand.
(世界で最も尊敬されるサービスブランドになる)
ビジョンProvide the world’s best customer experience every day.
(日々、世界最高の顧客体験を提供する)
バリューWe back our customers, We make it great, We do what’s right 他(Blue Box Values)
参照ページhttps://about.americanexpress.com/who-we-are/our-company/default.aspx

金融機関でありながら、ミッションで「Service Brand」と定義している点が最大の特徴です。決済機能の提供者ではなく、サービス業であるという自己定義が、同社の高いブランドロイヤリティを支えています。

バリューは「Blue Box Values」と呼ばれ、全社員の行動評価に直結しています。

IKEA(イケア)

項目内容
ミッション優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を、多くの人々が購入できるように手頃な価格で提供する
ビジョンTo create a better everyday life for the many people.
(多くの人々のより快適な毎日を創造する)
バリューTogetherness(連帯感)、Cost-consciousness(倹約)、Simplicity(簡潔さ) 他
参照ページhttps://about.ikea.com/en/about-us/ikea-culture-and-values

IKEAはミッションを「ビジネスアイデア」と呼びます。「手頃な価格(Prices so low)」という戦略的な要素をミッションに含めているのが特徴で、これが「倹約」などのバリューと強く結びついています。

ビジョンは家具に限らない「より良い毎日」という広い概念で、企業の最終ゴールを示しています。

Nike, Inc.(ナイキ)

項目内容
ミッションBring inspiration and innovation to every athlete in the world.
(世界中のすべてのアスリートにインスピレーションと革新をもたらす)
ビジョンTo remain the most authentic, connected, and distinctive brand.
(最も本物の、つながった、際立ったブランドであり続ける)
バリューDo the right thing, Be on the offense, Serve athletes 他(Maxims)
参照ページhttps://about.nike.com/

ミッションにある「Athlete」のアスタリスク(注釈)には、「If you have a body, you are an athlete(身体さえあれば、誰もがアスリートだ)」という創業者の言葉が隠されています。

単なるスポーツ用品メーカーではなく、すべての人間の可能性を拓く企業であるという強力なメッセージが込められています。

Merck & Co., Inc.(メルク / MSD)

項目内容
ミッションTo save and improve lives.
(生命を救い、生活を改善する)
ビジョン世界の人々の生活に違いをもたらす、最高の研究開発主導型バイオ医薬品企業になる
バリューPatients First、Respect for People、Ethics and Integrity、Innovation
参照ページhttps://www.merck.com/company-overview/culture-and-values/

製薬大手として「Save and improve lives」という極めて短く、本質的なミッションを掲げています。

ビジョンでは「Research-intensive(研究開発主導型)」であることを強調し、マーケティング主導ではなく科学技術で勝負するという企業のアイデンティティを明確に宣言しています。

Hilton Worldwide Holdings Inc.(ヒルトン)

項目内容
ミッションTo be the most hospitable company in the world.
(世界で最もおもてなしの心にあふれた企業になる)
ビジョンTo fill the earth with the light and warmth of hospitality.
(地球をホスピタリティの光と温もりで満たすこと)
バリューH-I-L-T-O-N(Hospitality, Integrity, Leadership, Teamwork, Ownership, Now)
参照ページhttps://www.hilton.com/en/corporate/

ビジョンの「光と温もり(Light and warmth)」という詩的な表現が特徴的です。ホテルという箱(施設)を提供するのではなく、感情的な価値を提供することを従業員に意識させています。

バリューは社名の頭文字をとったアクロニム(頭字語)になっており、世界中のスタッフが覚えやすいよう工夫されています。

Samsung Electronics(サムスン電子)

項目内容
ミッションInspire the World, Create the Future.
(世界にインスピレーションを与え、未来を創造する)
ビジョンVision 2030(詳細な数値目標や技術リーダーシップの確立)
バリューPeople(人材第一)、Excellence(最高志向)、Change(変化)、Integrity(正道)、Co-prosperity(共存共栄)
参照ページhttps://www.samsung.com/global/ir/management-center/vision/

アジア発のグローバル企業として、「人材第一」や「共存共栄」といった儒教的価値観を感じさせるバリューと、「Create the Future」という革新的なミッションを融合させています。

ビジョンは定期的に「Vision 2020」「Vision 2030」と更新され、その時々の具体的な売上目標やブランドランク目標とセットで運用される実利的なものです。

MVVの事例探しは「業種」ではなく「企業のフェーズ」で見るべき理由と3つのフェーズ

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定や見直しを検討する際、多くの担当者はまず「同業他社」や「同規模の会社」の事例を探そうとします。

もちろん競合分析は大切ですが、「機能するMVV」を作るためには、「企業の現在のフェーズ(変革段階)」で事例を探すことこそが最短ルートです。

なぜなら、MVVは単なる飾り言葉ではなく、「その時、組織が抱えている課題を解決するためのツール」だからです。

例えば、創業100年の製造業であっても、新規事業でデジタル領域に参入しようとしているなら、参考にするべきは「老舗メーカーの事例」ではなく、「急成長中のテック企業の事例」かもしれません。

あなたの会社が今、どのフェーズにいて、どんな組織課題を解決したいのか。以下の3つのフェーズから、自社の状況に最も近いものを探してみてください。

1. 創業・急成長フェーズ(0→1、1→10)

「カルチャーを言語化し、熱狂を生みたい」。創業者の頭の中にある想いを言語化し、急増する社員を束ねるための「求心力」が必要な段階です。

まだ制度やルールが整っていない中で、現場が迷わず走れるように、判断基準となる「バリュー」をどれだけ尖らせることができるかが勝負となります。

  • このフェーズの課題
    • 採用基準が曖昧で、ミスマッチが起きている。
    • 人数が増えて、創業の熱量が薄まってきた。
    • 指示待ち人間ではなく、自走できる社員が欲しい。

2. 第二創業・DX変革フェーズ(転換期)

「過去の成功体験を捨て、生まれ変わりたい」。既存事業(祖業)の安定収益がありつつも、市場の変化に合わせてビジネスモデルを根本から変えようとする「脱皮」の段階です。

これまでの歴史や強みを否定せず、かつ新しい方向(デジタル化やソリューション化)へ社員の意識を向けるための、巧みなブリッジ(接続)が求められます。

  • このフェーズの課題
    • 「モノ売り」の発想から抜け出せない。
    • 既存事業部と新規事業部の間に壁がある。
    • 社内の危機感が薄く、変化を拒む空気が強い。

3. M&A・統合フェーズ(PMI)

「異なる文化を混ぜ合わせ、新しい旗を立てたい」。合併や買収により、育ってきた環境も文化も違う社員同士が一つになる「融和」の段階です。

どちらかの会社のやり方を押し付けるのではなく、両社の良いところを認め合い、全員が納得できる「第三の新しいアイデンティティ」を確立する必要があります。

  • このフェーズの課題
    • 用語や仕事の進め方がバラバラで効率が悪い。
    • 統合によるシナジー(相乗効果)がなかなか生まれない。
    • 「あちら側の会社」「こちら側の会社」という対立構造がある。

それでは、それぞれのフェーズにおいて、先駆的な企業はどのような言葉を選び、組織を動かしているのか。具体的な事例を見ていきましょう。

創業・急成長フェーズのMVV企業事例(カルチャー形成)

創業者の熱量やビジョンを言語化し、急拡大する組織を一枚岩にするための「求心力」が求められるフェーズです。

独自の言葉選びや、従業員が共感しやすいフレーズを採用し、採用基準や評価制度にまでMVVを落とし込んでいる企業事例を紹介します。

株式会社ユーザベース

項目内容
パーパス(ミッション)誰もがエンジニアリングを楽しめる世界をつくる(※各事業ごとのMissionあり、全社は「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」)
ビジョン経済情報で、世界を変える
バリューThe 7 Values(迷ったら挑戦する道を選ぶ、渦中の友を助ける、異能は才能 他)
参照ページhttps://www.uzabase.com/jp/about/mission-values/

「The 7 Values」が非常に有名です。「異能は才能」「渦中の友を助ける」など、スタートアップ特有の混沌とした状況で、社員がどう振る舞うべきかをドラマチックな言葉で規定しています。

M&Aやグローバル展開を経ても、このバリューが組織の背骨として機能し続けています。

サイボウズ株式会社

項目内容
パーパス(ミッション)チームワークあふれる「社会」を創る
ビジョン(特定せず、多様な個性が共存する状態を目指す)
バリュー(Culture)理想への共感、多様な個性の尊重、公明正大、自立と議論
参照ページhttps://cybozu.co.jp/company/philosophy/

「100人いれば100通りの働き方」を提唱する同社は、画一的なビジョン(売上目標など)を掲げず、「チームワークあふれる社会」というパーパスへの共感を最重視しています。

バリューに「公明正大(嘘をつかない)」を掲げ、情報の透明性を極限まで高めることで、自律的な働き方を支えています。

note株式会社

項目内容
ミッションだれもが創作をはじめ、続けられるようにする
ビジョンパラレルワールド(オンラインの街)をつくる
バリュークリエイター視点で考えよう、多様性を後押ししよう、創作の空気を読もう 他
参照ページhttps://note.jp/n/n41c0c666f721

クリエイターエコノミーを牽引する企業らしく、「創作」というキーワードが軸になっています。

「空気を読もう」というバリューは、通常は「忖度」の意味で使われますが、同社では「クリエイティブな雰囲気を壊さない、良い流れを作る」というポジティブな意味で再定義されており、非常にユニークです。

第二創業・DX変革フェーズのMVV企業事例(事業転換)

祖業(既存事業)の強みを残しつつ、新たなテクノロジーや領域へ踏み出す「脱皮」を促すフェーズです。

過去を否定せず、未来への連続性を描きながら、社員の意識を「モノ売り」から「コト売り(ソリューション)」へと変革させるための事例を紹介します。

富士フイルムホールディングス株式会社

項目内容
パーパス(ミッション)地球上の笑顔の回数を増やしていく。
ビジョンValue from Innovation(イノベーションで、世界に新しい価値を。)
バリュー独自の技術・製品・サービスで、社会の要請や課題解決に貢献する
参照ページhttps://holdings.fujifilm.com/ja/about/philosophy

写真フィルム市場の消滅という危機を乗り越え、ヘルスケアやビジネスソリューション企業へと鮮やかに転換しました。

「Value from Innovation」というスローガンは、写真で培った技術を他の領域へ転用し、新しい価値を生み出し続けるという、同社の生存戦略そのものを表しています。

株式会社リコー

項目内容
ミッション“はたらく”に歓びを
ビジョンはたらく人に寄り添い、変革を起こし続けるグローバル・カンパニー
バリューGEMBA(現場)、Innovation(変革)、Ethics(倫理) 他(リコーウェイ)
参照ページhttps://www.ricoh.co.jp/about/commitment/philosophy

事務機器メーカーから、デジタルの力でワークプレイスを変革するデジタルサービス企業への転換を掲げています。

「“はたらく”に歓びを(Fulfillment through Work)」というミッションは、効率化だけでなく、働く人の充実感に貢献するというB2B企業としての新たな情緒的価値を定義しています。

オリンパス株式会社

項目内容
存在意義(ミッション)世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現
経営理念(ビジョン)Social IN(社会価値の創造)など
バリューOur Core Values(Agility, Unity, Integrity, Empathy, Long-Term View)
参照ページhttps://www.olympus.co.jp/company/philosophy/index.html

カメラ事業を譲渡し、真のグローバル・メドテックカンパニー(医療機器メーカー)へと生まれ変わる中で策定されました。

「True to Life」というブランドスローガンのもと、バリューは全て英語で定義され、世界中の社員が同じ基準で行動できるよう、グローバル水準の経営管理体制を敷いています。

M&A・統合フェーズのMVV企業事例(融和とシナジー)

異なる文化や歴史を持つ企業同士が統合する際、どちらかの色に染めるのではなく、新しい「第三の道」を示すためのフェーズです。

出身企業の違いによる対立を防ぎ、新しいグループとしてのアイデンティティと共通のゴールを確立するための事例を紹介します。

LINEヤフー株式会社

項目内容
ミッション「WOW」と「!」で、ユーザーを感動させる。
ビジョン世界中の人々の生活を、もっと便利に、もっと豊かに。
バリューユーザーファースト、やり抜く、少数精鋭、本質的価値 他(LINEヤフー Way)
参照ページhttps://www.lycorp.co.jp/ja/company/mission/

日本最大級のインターネット企業の統合において、LINEのキーワード「WOW」と、ヤフーの「!(Update)」の両方のDNAを残しつつ融合させました。

巨大組織になりながらも「少数精鋭」や「ベンチャースピリット」を掲げることで、大企業病を防ぎ、挑戦し続ける姿勢を崩さない意志を示しています。

株式会社バンダイナムコホールディングス

項目内容
パーパス(ミッション)Fun for All into the Future(夢・遊び・感動を。未来へつながる楽しみを。)
ビジョンConnect with Fans(ファンとつながる)
バリュー同質化しない、変化や進化を促す、グローバルで成長する 他
参照ページhttps://www.bandainamco.co.jp/group/philosophy/

玩具のバンダイとゲームのナムコという、異なる強みを持つエンタメ企業の統合です。「Fun for All」という共通項を見出し、ロゴやスローガンを一新しました。

IP(キャラクターなどの知的財産)を軸にファンと深くつながることを明言し、両社のリソースを最大化する方向性を示しています。

コニカミノルタ株式会社

項目内容
ミッションThe Creation of New Value(新しい価値の創造)
ビジョン「課題提起型デジタルカンパニー」への進化
バリューOpen and honest、Customer-centric、Innovative、Passionate、Inclusive and collaborative、Accountable
参照ページhttps://www.konicaminolta.com/jp-ja/corporate/philosophy.html

コニカとミノルタの統合後、カメラ事業からの撤退という大きな決断を経て、オフィス事業などのB2B領域へ集中しました。

「6つのバリュー」はグローバル全社員共通の行動規範として英語で定義されており、統合と事業転換という二重の変革を支える精神的支柱となっています。

MVVの企業事例に共通する5つのセオリー

今回ご紹介した国内外30社の事例を横断的に分析すると、優れたMVVには単なる「良い言葉」である以上に、組織を動かすための戦略的な意図が込められていることが分かります。

これからMVVを策定・刷新する企業が押さえておくべき、5つの共通事項(セオリー)を解説します。

1. 「借り物」ではない、独自の言語化(Unique Definitions)

優れた企業は、ありきたりなビジネス用語を避け、自分たちのカルチャーを最も的確に表す「独自の言葉」を選んでいます。

例えば、SOMPOホールディングスは保険会社でありながら「テーマパーク」という言葉を使い、SmartHRは「ワイルドサイドを歩こう」という歌詞のような表現を用いています。

「顧客第一」「誠実」といった誰もが反対しない一般的な言葉は、逆に誰の心にも刺さりません。その会社「らしさ」が滲み出る、手触り感のある言葉選びが、社員の共感を生む第一歩です。

2. ミッションとビジョンの「論理的な接続」(Logical Connection)

30社すべてに共通するのは、MVVの各要素がバラバラではなく、一本のストーリーで繋がっていることです。

  • LinkedInの事例
    • Mission(やるべきこと): プロフェッショナルをつなぐ
    • Vision(その結果の風景): 世界中の働く人に経済的チャンスが生まれる

このように「ミッションを遂行した先に、必ずビジョンの世界が待っている」という論理的な接続(因果関係)が明確であるほど、日々の業務の意義が腹落ちしやすくなります。

3. バリューが「迷った時の判断基準」になっている(Decision Making)

特にスタートアップや成長企業において、バリューは壁に飾る標語ではなく、意思決定のツールとして設計されています。

ソフトバンクの「逆算」や、楽天の「スピード!!スピード!!スピード!!(楽天主義)」のように、現場でAかBかの判断に迷った際、「どっちがバリューに即しているか?」を問えば答えが出るようになっています。

抽象的な概念ではなく、「行動」や「判断」に直結する動詞や命令形で書かれているのが特徴です。

4. 機能的価値を超えた「情緒的価値」の提示(Emotional Value)

B2B企業や製造業であっても、単に製品スペックの向上を目指すのではなく、その先にある「人の感情」や「社会の幸福」をゴールに据えています。

  • ヤマハ発動機: 「感動(Kando)」
  • キャタピラー: 「基本的ニーズが満たされた世界」
  • ヒルトン: 「光と温もり」

「何を売るか」ではなく「社会や人の心をどう豊かにするか」という視座(パーパス的視点)を持つことで、従業員の誇りを醸成し、求心力を高めています。

5. フェーズに合わせた「アップデート」(Update & Evolution)

MVVは一度決めたら変えてはいけないものではありません。多くの企業が事業の多角化やグローバル化に合わせてMVVを進化させています。

kubell(旧Chatwork)や電通グループのように、社名変更や組織再編のタイミングで、古い殻を破り新たな方向性を示すためにMVVを刷新するケースも多々あります。

「創業の精神」は守りつつ、表現や適用範囲を時代に合わせてチューニングし続ける柔軟性も、長寿企業の共通点です。

MVVの企業事例を参考に、自社独自の「指針」を策定しよう

優れたMVVは、美しい言葉を並べることではなく、組織の「今」と「未来」を繋ぐストーリーを描くことです。

今回紹介した39社の企業事例と成功のセオリーを参考に、ぜひ「借り物」ではない、あなたの会社だけの熱量ある言葉を紡ぎ出してください。策定したその先にある、社員の目の輝きが変わる瞬間を目指して。

なお、「MVVの策定が難しい」「自社らしさを大事にしながらも社員に響くMVV策定を急ぎたい」などお考えの方は、ぜひ当社までご相談ください。

自社の「自然体」を引き出すブランディングサービスはいかがですか?

この記事をお読みの企業様で、

✓ 従業員のウェルビーイングを高めたい
✓ 自社のブランドを高める施策がしたい
✓ 従業員のエンゲージメントを高めたい

などの要望・お悩みをお持ちの担当者様はぜひ下記資料「ソラミドブランディングサービス資料」をお役立てください。

企業・個人のウェルビーイングを実現するための、当社が開発したサーベイのご紹介、取り組み方法などをご紹介しています。最短30秒程度で無料ダウンロードいただけます。

「できるだけ急ぎたい」、「資料の説明だけでは物足りないので相談したい」という方は下記ボタンからお気軽にお問い合わせください。

貴社の魅力を引き出す
ブランディングなら、
私たちにお任せください!