「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


コーポレートアイデンティティの作り方を体系的に解説します。
本記事は、規模や業界を問わず数多くの企業のブランディングを支援してきた株式会社スカイベイビーズが監修。理念の言語化から浸透まで、経営の武器となるアイデンティティ構築の手順を、実戦的な知見に基づき簡潔にまとめました。

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
コーポレートアイデンティティは、単なる名称やマークではありません。企業が社会に対して「自分たちは何者か」を宣言し、ステークホルダーからの信頼を築くための経営戦略の根幹です。
ここでは、ブランディングにおいて不可欠なこの概念の定義と、現代社会における役割を紐解きます。
コーポレートアイデンティティとは、企業の存在意義を明確化し、社会的な個性を確立することです。
独自の強みを発掘し、ミッションやビジョンを再定義することで、競合他社との圧倒的な差別化を図ります。これによって企業価値が向上し、永続的な成長を支える強固な土台となります。
多くの人がロゴの刷新をコーポレートアイデンティティそのものと誤解しますが、デザインはあくまで結果の一つです。コーポレートアイデンティティは「企業の生き方」そのものであり、それを象徴する「旗印」がロゴですので、それぞれ明確な役割の違いがあります。
下記記事でより詳しく解説していますので、合わせてお読みください。
※関連記事:コーポレートアイデンティティ(CI)とロゴの違いとは?理念をロゴデザインに落とし込む方法と成功事例を解説
両者は密接に関連しますが、主語が異なります。ブランドアイデンティティが顧客から見た「イメージ」であるのに対し、コーポレートアイデンティティは企業自らが発信する「実体」です。
社内の一貫性を保つことで、外部へ伝わるメッセージが強化され、より強固なブランドが構築されます。
| 要素 | 略称 | 役割(一言で言うと) | 具体的なアウトプット |
| マインド | MI | 企業の「精神・想い」 | 企業理念、ミッション、ビジョン、スローガン |
| ビヘイビア | BI | 企業の「行動・態度」 | 行動指針(クレド)、接客マニュアル、社内制度 |
| ビジュアル | VI | 企業の「視覚・顔」 | ロゴ、デザイン、WEBサイト、名刺、オフィス |
コーポレートアイデンティティを実効性のあるものにするためには、3つの要素をバランスよく機能させる必要があります。これらは「MI・BI・VI」と呼ばれ、企業の想いから従業員の行動指針(クレド)、視覚的な表現までを一本の串で貫く役割を果たします。
MI(マインドアイデンティティ)は、企業の「心」であり、すべての活動の源泉です。企業理念やバリュー、スローガンといった言葉で言語化され、「なぜこの会社が存在するのか」という根本的な問いに答えます。
これが明確になることで組織の方向性が定まり、独自のブランディングが始まります。
BI(ビヘイビアアイデンティティ)は、理念を行動へ移す仕組みです。定めたバリューに基づき、従業員が日々の業務でどのような振る舞いをするかという行動指針(クレド)を具体化します。
インナーブランディングを通じて、全社員が理念を体現することで、顧客体験の質が劇的に向上します。
VI(ビジュアルアイデンティティ)は、理念や行動を視覚的に表現したものです。ロゴやコーポレートカラー、フォントなどを統一し、デザインの力でブランドの「人格」を直感的に伝えます。
あらゆる顧客接点において視覚的な一貫性を持たせることで、記憶に残る強固なブランドを形成します。
現代の市場環境において、機能や品質だけで勝負する時代は終焉を迎えました。多くの製品が似通う「コモディティ化」が進む中、企業は自らの存在意義を明確に語ることが求められています。
社会との接点を再定義し、経営戦略に魂を吹き込むための背景を整理します。
モノやサービスが溢れる現代では、価格競争に陥りやすくなります。そこで重要となるのが、目に見えない価値による差別化です。
コーポレートアイデンティティによって独自のストーリーを確立することで、スペック比較を超えた選定基準を顧客に提供し、持続可能なブランディングを実現します。
近年、企業が「何のために存在するのか」を問うパーパス経営が注目されています。ステークホルダーは、企業の利益追求だけでなく社会的貢献度を厳しく評価します。
明確なミッションを掲げることは、信頼を獲得し、社会的責任を果たすための「ライセンス」としての役割を担います。
働き方の多様化が進み、対面でのコミュニケーションが減少する中で、従業員がバラバラになるリスクが高まっています。共通のビジョンやスローガンを共有することで、物理的な距離があっても組織の結束力を維持し、誇りを持って働ける環境を整えることができます。
コーポレートアイデンティティの策定は、単なる広報活動ではなく、長期的な企業価値を高めるための投資です。
インナーブランディングを通じて社内を活性化させ、外部にはデザインやロゴを通じて一貫したメッセージを届けることで、経営のあらゆる側面にポジティブな変化をもたらします。
自社のバリューを明確に打ち出すことで、共感する人材を惹きつけることが可能になります。価値観の不一致による早期離職を防ぎ、従業員一人ひとりが行動指針(クレド)を自分事化して働く組織へと進化します。これは採用コストの削減と生産性向上に直結します。
視覚的な一貫性と一貫したメッセージは、顧客に深い安心感を与えます。コーポレートアイデンティティが浸透すると、他社と比較されることなく「この会社だから買いたい」という指名買いが生まれます。
強力なブランディングは、競合との消耗戦を回避する強力な盾となります。
明確なコーポレートアイデンティティは、現場での強力な判断軸になります。経営陣から現場の従業員までが共通の価値観を持つことで、トラブル発生時や新規事業の立ち上げ時でも「我々らしい選択」を即座に下せるようになり、経営戦略の実行速度が劇的に加速します。
一貫した姿勢を貫く企業は、投資家や取引先、地域社会といったあらゆるステークホルダーから高く評価されます。自社の確固たるアイデンティティを示すことは、リスク管理の観点からも有効であり、中長期的な信頼関係の構築と、盤石な企業価値の形成を後押しします。
コーポレートアイデンティティの構築は、正しい順序で進めることが成功の鍵となります。「発掘」「定義」「浸透」という体系的なプロセスを踏むことで、従業員の意識を変え、社内外に一貫性のあるブランドイメージを定着させることが可能です。
まずは自社の歴史や強み、創業者の想いを棚卸しします。アンケートやワークショップを通じて、現場の従業員が感じている「自社らしさ」を拾い上げ、差別化の源泉を見つけ出します。この「発掘」こそが、独自の存在意義を導き出すための最も重要な土台となります。
発掘した素材を磨き上げ、マインド・アイデンティティとして企業理念やミッションに集約します。
次に、それらを具体的なアクションとしてのバリューや、視覚的なロゴ・デザインへと翻訳します。抽象的な概念を具体的な形に落とし込むことで、経営戦略としての実効性が生まれます。
策定したアイデンティティを全社に広める段階です。インナーブランディングを通じて従業員の理解を深め、日々の行動に定着させます。
同時に、広告やWebサイトを通じてステークホルダーへ発信し、社内外で共通の認識を形成することで、企業価値の向上を目指します。
MI(マインドアイデンティティ)は、コーポレートアイデンティティの核となる「精神」です。なぜこの会社が存在し、どこへ向かうのか。
その意志をミッション、ビジョン、バリューといった形式で言語化し、組織の進むべき道を示す北極星を確立します。なお、MVVについて詳しくは下記記事をどうぞ。
自社の「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「社会が求めること(Must)」の3つの円が重なる場所を探します。この重なりこそが、他社には真似できない独自の存在意義となります。
このプロセスを丁寧に行うことで、説得力のある強力なスローガンが生まれます。
企業理念を具体化したものがMVVです。社会で果たす役割(ミッション)、目指す未来(ビジョン)、大切にする価値観(バリュー)を定義します。
これらが一本の軸で繋がることで、あらゆる経営判断に一貫性が生まれ、強固なブランディングの基盤が整います。
立派なだけの言葉は、従業員の心に響きません。現場の生きた言葉を採用し、聞いた瞬間に情熱が湧くような「体温のある言葉」を選びます。
自分たちらしい表現で紡がれたスローガンは、社内の結束力を高め、外部のステークホルダーにも深い共感を与えます。
BI(ビヘイビアアイデンティティ)は、理念を具体的な行動へと変換するプロセスです。マインド・アイデンティティで定めた想いを、従業員が日々の業務で体現するための仕組みを整え、組織文化として定着させることで、ブランドに生命を吹き込みます。
価値観(バリュー)、具体的な行動基準(Do/Don’t)、そして習慣(儀式)の3層で設計します。理念を抽象的なままにせず、「朝礼で何を話すか」「顧客にどう挨拶するか」といった具体的なアクションまで落とし込むことで、一貫性のある組織風土が醸成されます。
行動指針(クレド)を作成し、迷った時の判断軸を明確にします。「利益と理念のどちらを取るか」という極限の状況でも、従業員が正しい選択をできるように仕組み化します。日常のルーティンに理念を組み込むことが、ブランディングを成功させる近道です。
新しいコーポレートアイデンティティを形にするには、社内への浸透が欠かせません。ワークショップや表彰制度を通じてインナーブランディングを推進し、従業員一人ひとりがブランドの体現者としての自覚を持つように促します。
これが結果として、質の高い顧客体験へと繋がります。
VI(ビジュアルアイデンティティ)は、企業の想いを一瞬で伝える「顔」です。デザインの力を用いて、マインド・アイデンティティやビヘイビア・アイデンティティを視覚的に表現します。
あらゆる接点で同じ世界観を提示し、記憶に残る強力なイメージを確立します。
抽象的な理念を、色や形、質感といった視覚要素に翻訳する作業です。例えば「信頼」という言葉をどの青色で表現するか、「革新」をどのような曲線で描くか。
デザインキーワードを抽出することで、ロゴが単なるマークを超え、企業の魂を象徴する旗印へと進化します。
ブランドを擬人化し、ふさわしい「声色」をフォントで、「表情」をカラーで表現します。親しみやすさ、あるいは厳格さなど、目指すべきビジョンに合致した素材を選定します。
この視覚的な戦略が、競合他社との直感的な差別化を実現する強力な武器となります。
せっかくのデザインも、バラバラに使われては効果が半減します。ロゴの使用規定や配色ルールをまとめたブランドガイドライン(マニュアル)を整備します。
これにより、あらゆる媒体で一貫性を保ち、ステークホルダーに対して常に安定したブランドイメージを届けることが可能になります。
コーポレートアイデンティティの策定はゴールではなく、新しい経営のスタートです。プロジェクトを円滑に進め、形骸化させないためには、実務上のポイントを抑える必要があります。
従業員を巻き込み、長期的な企業価値向上に繋げるための急所を解説します。
トップダウンだけで進めず、各部署から選抜された従業員による混成チームを組織します。策定プロセスに現場の声を反映させることで、完成後の「自分たちのもの」という意識が強まり、インナーブランディングの成功率が飛躍的に高まります。
単なる「見た目の変更」ではなく、採用コストの削減、離職率の低下、営業効率の向上といった実利を提示します。
コーポレートアイデンティティが経営戦略にどう寄与し、中長期的な企業価値をどう高めるかを数値や論理で語ることが、予算獲得とプロジェクト推進の鍵です。
ブランドの根幹となる存在意義は変えずに、時代や市場環境の変化に合わせて表現や手法を柔軟に調整します。
10年後も色あせない一貫性を保ちながらも、古臭さを感じさせないよう、定期的にコーポレートアイデンティティの運用状況を点検し、磨き続ける姿勢が重要です。
コーポレートアイデンティティをはじめて作る場合や刷新しようとする際には色々考えすぎたり煮詰まったりしてうまく進まないことがあります。また、そもそも基礎知識がなくては考えられる範囲が限られたり、浅いものになってしまいがちです。
そんな時におすすめなのがコーポレートアイデンティティに関する専門書です。下記記事で用途に応じたおすすめの本をご紹介していますので合わせてお読みください。
※関連記事:コーポレートアイデンティティ(CI)を学ぶおすすめ本20選|企業ブランディングのプロが名著を厳選
コーポレートアイデンティティは、企業の「魂」を言語化し、一貫した行動と視覚で社会へ示す経営の羅針盤です。MI・BI・VIが揃って初めて、採用力強化や他社との差別化で真の力を発揮します。
とはいえ、自社の「らしさ」を客観的に見極め、形にするのは容易ではありません。そんなときは規模・業界を問わず数々の企業のブランディング支援を行ってきた、私たちスカイベイビーズにぜひお気軽にご相談ください。
貴社らしさを大事にし、社員にもステークホルダーにも響く最適なコーポレートアイデンティティを共に作成します。
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