インナーブランディングを成功させるためのグッズ具体例とグッズ活用方法

インナーブランディングにおいて、グッズは単なる記念品ではありません。その価値は、目に見えない「理念」や「文化」といった抽象的な概念を、手で触れられる「実体」に変換することにあります。

本記事は、数々の企業のブランディング、採用支援、そしてインナーブランディングを成功に導いてきた株式会社スカイベイビーズが監修しています。

現場での豊富な支援実績に基づき、デジタル化が進む今だからこそ、インナーブランディングにおいてグッズは効果的です。グッズの具体例から活用法、注意点まで解説します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

当社の「インナーブランディングサービス」の特長、料金例、提供サービスなどは下記のサービスページで詳しくご紹介しています。

インナーブランディング向けグッズの3大効果

なぜ多くの企業が、あえてリアルなグッズ制作に投資するのでしょうか。そこには、デジタルコミュニケーションだけでは補いきれない、人間の本能に訴えかける3つの明確な効果があるからです。

所属意識を視覚化してアイデンティティを確立する

同じロゴの入ったアイテムを身に付けることは、自分たちが同じ「志」を持つチームの一員であることを再確認させてくれます。視覚的な一体感は、理屈を超えた安心感と帰属意識を生み出します。

「このチームのメンバーである」というアイデンティティがグッズを通じて可視化されることで、組織へのコミットメントは自然と高まっていくのです。

理念を日常に定着させるアンカー効果

理念は、一度聞いただけで浸透するものではありません。毎日使うタンブラーやノートにブランドのエッセンスがデザインされていれば、ふとした瞬間に会社の姿勢を思い出す「リマインダー」として機能します。

グッズが「錨(アンカー)」となり、多忙な日常業務の中でもブランドの大切な価値観を繋ぎ止め、行動指針を無意識に意識させる環境を作り出します。

部署の垣根を超えた会話を生むきっかけ

共通のグッズは、社内のコミュニケーションを活性化させる「フック」になります。

エレベーターで一緒になった他部署のメンバーが同じステッカーを貼っていたり、イベント限定のTシャツを着ていたりすることで、「それ、いいですよね」といった会話のきっかけが生まれます。

こうした偶発的な交流の積み重ねが、組織内の壁を取り払い、心理的安全性を高める一助となります。

企業規模によってグッズ活用法は異なる

グッズ活用の意味合いは、組織のフェーズによって劇的に変化します。従業員が抱える課題に合わせて役割をチューニングすることで、投資対効果を最大化できます。規模別の狙いを整理しました。

小規模組織は結束を高める旗印として活用する

創業期のスタートアップや少人数のチームでは、グッズは「自分たちは何者か」を定義する旗印となります。人数が少ないからこそ、少し尖った熱量の高いデザインを採用し、「この不確実な航海を共にする仲間である」という強烈な連帯感を醸成します。

綺麗にまとめるよりも、創業者の強い想いや、その瞬間だけの熱狂を形にすることが成功の秘訣です。

中規模組織は文化を浸透させる接着剤として活用する

人数が増え、部門間の壁が生じ始める中規模組織では、グッズは「共通点作り」の役割を担います。特定のプロジェクトやイベントの節目で配るアイテムは、部署を超えた共通の体験を思い出させる装置になります。

実用性が高く、日常的に社内で使いやすいアイテムを選ぶことで、バラバラになりがちな組織文化を一つに繋ぎ止める接着剤として機能します。

大規模組織はブランドへの誇りを醸成する象徴として活用する

大規模組織では、自分が「巨大な組織の一部」であると感じやすくなります。ここでのグッズは、ブランドへの誇りを再燃させる象徴です。

街中で使っても恥ずかしくない洗練されたデザインや高い品質を追求することで、「この企業の一員である自分」を肯定する力を与えます。家族や知人にも自慢したくなるようなクオリティが、社外へのブランド伝播にも繋がります。

現場で愛されるインナーブランディンググッズの具体例

アイテム選びで最も重要なのは、「従業員の日常のどの瞬間にブランドを登場させたいか」という設計です。単なる流行に流されず、自社のワークスタイルに最もフィットするカテゴリーから検討を始めましょう。

接触頻度を高めて自分事化を促す日常品と文房具

例:PC用ステッカー、高品質なノート、多機能ペン、マウスパッド これらのアイテムは仕事中に何度も目に触れるため、ブランドの「手触り感」を養うのに最適です。

特にPC用ステッカーは、安価でありながら「私はこのチームの一員だ」という意思表示を、PCの天板という最も目立つ場所で行える強力なツールになります。

ノートを制作する場合は、最初の数ページに創業の想いやミッションを印刷しておくことで、ノートを開くたびに原点に立ち返る仕掛けを組み込むのが専門家の定石です。

役職の壁を取り払い一体感を醸成するアパレル

パーカー、Tシャツ、靴下、ロゴ入りタグのトートバッグ アパレルは心理的な「制服」として機能し、役職の壁を超えたフラットな連帯感を生みます。ここで重要なのは「休日にカフェへ着ていけるか」というクオリティの基準です。

胸元に巨大なロゴがあるよりも、裾にさりげなくタグがあるような洗練されたデザインの方が、結果として長く愛用されます。また、近年では派手な色使いでも遊び心を出せる靴下も、エンジニアやクリエイティブ職を中心に高い支持を得ています。

従業員の生活の質を高めて好意度を上げるライフスタイル雑貨

真空断熱タンブラー、ガジェットポーチ、スマホスタンド、エコバッグ 生活の質(QOL)を向上させるアイテムは、会社からの「配慮」として受け取られます。

サステナビリティを体現するマイボトルを社内の給水機とセットで導入したり、リモートワークを支援する多機能ポーチを贈ることは、「どこでもプロとして働けるように」という会社からのエールになります。

実用性が高いグッズほど、従業員の日常に自然に溶け込み、会社への信頼感をじわじわと高める効果があります。

称賛の文化を形にする特別なシンボルアイテム

真鍮製クレドカード、チャレンジコイン、アワード用トロフィー 全員に配るものとは別に、特定の成果を出した人にだけ贈る「シンボル」も有効です。

迷った時の判断基準を記した「真鍮製のクレドカード」や、目標達成時に贈られるずっしりと重い「チャレンジコイン」などがこれにあたります。

「持っている人しか持っていない」という希少性と物理的な重みは、言葉だけの称賛よりも深く心に残り、その人の誇りを形にします。これらは単なるグッズを超え、社内の文化を象徴する聖遺物のような存在になります。

インナーブランディング向けグッズ作成時の注意点

グッズ制作において、成功と失敗を分けるのは「予算の多寡」ではありません。そのアイテムが従業員にとって「贈り物(ギフト)」として機能しているか、あるいは一方的な「配布物」になっているかの違いです。

従業員がプライベートでも使いたくなるデザインの重要性

最大の失敗は「ダサい」ことです。会社名がデカデカと入ったグッズは、従業員にとって「歩く広告塔」にさせられている感覚を与え、ブランドへの誇りを逆に下げてしまいます。

成功するグッズは、ロゴがデザインの一部として溶け込んでおり、従業員が自ら「オシャレだから使いたい」と思えるものです。「自分がプライベートでお金を払ってでも欲しいか」という厳しい基準でデザインを吟味することが、失敗を避ける唯一の道です。

制作の背景にあるストーリーを共有できているか

なぜこのアイテムを選んだのか、なぜこの色なのかという「理由」が語られないまま配られると、グッズはただの在庫処分のように受け取られてしまいます。

素材に再生材を使った理由や、デザインに込めた行動指針の意味などをコンセプトカードで伝えることで、グッズは初めてブランドの「媒体」になります。

ストーリーという魂が吹き込まれて初めて、そのモノは単なる物質から、会社の想いを届ける「手紙」へと昇華するのです。

押し付けではなく選べる楽しさがあるか

インナーブランディングの理想は、従業員の自発的なファン化です。そのため、複数のデザインやカラーバリエーションから好きなものを選べるようにする工夫が効果を発揮します。

人は「与えられたもの」よりも「自分で選んだもの」に対して強い愛着(オーナーシップ)を感じる性質があるからです。こうした「選べる余白」を用意すること自体が、会社が従業員一人ひとりの個性を尊重しているというメッセージとして伝わります。

インナーブランディング施策としてグッズを活用する際の注意点

グッズ制作は、会社の意志を物理的な形に落とし込むデリケートな作業です。一歩間違えると「経営陣の自己満足」や「経費の無駄遣い」と受け取られ、逆効果になるリスクがあります。

従業員の期待を裏切らず、ポジティブなエネルギーに変えるために、企画段階で必ずクリアすべき5つの重要事項を解説します。

給与や賞与との心理的なバランスを考慮する

これが最も現実的で、かつ炎上しやすいポイントです。業績が厳しい時期や昇給が据え置かれているタイミングで豪華なグッズを配ると、従業員からは「この予算があるなら、1円でも給料に反映させてほしい」という冷ややかな反感を買います。

グッズを配る際は、その予算の目的をクリアにし、「これは労働の代替品ではなく、共に歩む仲間への感謝と誇りの共有である」というメッセージを誠実に添えることが不可欠です。

理念を体現するサステナビリティと倫理観

ブランドを語る上で「安かろう悪かろう」の使い捨てグッズを作ることは、ブランド価値を毀損します。「環境に配慮しています」と言いながら、大量のプラスチックで過剰梱包された安価なノベルティを配るのは、言行不一致の典型です。

素材の選定や製造背景に至るまで、「そのグッズの存在自体が自社の理念を体現しているか」を厳密に問い直してください。

多様な働き方や価値観に配慮した選択肢

全員に同じものを配ることが、必ずしも正義ではありません。アパレルならサイズ展開やジェンダーレスなデザイン、食品なら制限への配慮が必要です。

また、リモートワーカーとオフィスワーカーで利便性が極端に偏らないアイテム選びも重要です。今の時代、「選べる選択肢」を用意すること自体が、会社が多様性を尊重しているという強力なブランドメッセージとして評価されます。

想いを伝えるコンセプトカードの同梱

グッズを単体で渡すのは、手紙のないプレゼントのようなものです。なぜこのアイテムを選んだのか、デザインのどこに会社のこだわりが隠されているのかを説明する「コンセプトカード」を必ず添えてください。

「この青色は私たちの誠実さを表している」といった語れるネタをセットで提供することで、グッズは初めてブランドの媒体になります。ストーリーという魂が吹き込まれて初めて、そのモノは日常の中で特別な意味を持ち始めます。

使用を強制しない心理的な余白の設計

インナーブランディングのゴールは、従業員の自律的なファン化です。そのため「社内では必ずこれを着用すること」といった強制ルールを作るのは逆効果です。

グッズは「管理の象徴」ではなく、あくまで「自発的な愛着の証」であるべきです。「持っているとちょっと気分が上がる」という心理的な自由度を残しておくことが、結果として長期的なエンゲージメントを最大化させます。

インナーブランディングの成果を出すまでのステップ

グッズを「ただ作って配る」だけでは、一時的な話題で終わってしまいます。インナーブランディングとして長期的な資産にするためには、戦略的なプロセスが必要です。

ステップ1 従業員に記憶させたい感情と体験を定義する

いきなりアイテムを選び始めるのではなく、まずは「そのグッズを手にしたとき、従業員にどんな感情を抱いてほしいか」というゴールを定義します。

入社時の安心感なのか、プロジェクト達成時の高揚感なのか。グッズは記憶を呼び起こす「しおり」です。呼び起こしたい感情を先に決めることで、デザインの方向性が自ずと絞り込まれ、ブレのない企画になります。

ステップ2 ブランド価値を損なわない品質を追求する

中途半端な品質のグッズは、ブランドへの期待値を下げてしまいます。「会社からもらったものが一番使いやすい」という体験は、そのまま会社への信頼感に直結します。

予算に限りがある場合は、安価なものを大量に作るのではなく、アイテムを絞ってでも「本当に良いもの」を追求してください。その品質へのこだわりが、会社が従業員を大切にしている姿勢として伝わります。

ステップ3 入社時や周年記念など感情が動くタイミングで手渡す

「いつ渡すか」は「何を渡すか」と同じくらい重要です。特に、新入社員が期待と不安を抱いて出社した初日にデスクに置かれたウェルカムキットや、困難な目標を達成した瞬間のアワードなどは、最も効果的なタイミングです。

従業員の感情が動いている瞬間にグッズを介在させることで、そのアイテムを見るたびに当時のポジティブな記憶が蘇る、強力なブランディング装置へと進化します。

インナーブランディングを成功させるために戦略的にグッズを活用しよう

インナーブランディングにおけるグッズとは、単なるロゴ入りの備品ではありません。それは、会社の理念や想いを「物質」という形に閉じ込めて、従業員一人ひとりの日常に届ける「手紙」のような存在です。

優れたグッズは、目に見えない文化を可視化し、部署や役職を超えた共通言語を生み出します。しかし、その根底にあるべきは「従業員への深い敬意」です。

デザインの美しさ、使い心地の良さ、そして配布するタイミング。そのすべてに配慮が行き届いたとき、グッズは組織を一つに束ねる最強の武器となります。

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