「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


「素晴らしい理念を作ったのに、現場が冷めている」「ポスターを貼ってイベントもやったが、数ヶ月後には誰も覚えていない」
インナーブランディングのプロジェクトに関わる多くの担当者が、このような壁にぶつかります。施策を行った直後は盛り上がっても、それを組織の文化として定着させるのは容易ではありません。
インナーブランディングは、外科手術のような即効性のあるものではなく、時間をかけて体質を変えていく漢方薬のようなものです。施策を実行したその後こそが、本当のスタートラインと言えます。
本記事では、数々の企業のブランディングや採用支援を行ってきた株式会社スカイベイビーズの知見を基に、一過性のイベントで終わらせず、理念やビジョンを確実に浸透させるための具体的なアプローチと、多くの企業が陥りやすい落とし穴について解説します。
※この記事は「インナーブランディングの施策・手法14選!進め方から効果測定まで徹底解説」で解説している手法・施策をもとに解説していますので、合わせて読んでいただくことでより理解が深まります。

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
当社の「インナーブランディングサービス」の特長、料金例、提供サービスなどは下記のサービスページで詳しくご紹介しています。
バラバラに施策を行っても、なかなか効果は出ません。浸透には量、質、環境という3つの必須要素があります。これらが揃って初めて、社員の行動変容が起こります。
浸透における最大の敵は、社員の忘却です。人は一度聞いただけの情報を記憶し続けることはできません。イベントなどの単発施策(点)で終わらせず、日常の中で繰り返し目に触れる状態(線)を作ることが重要です。
例えば、タウンホールミーティングでトップが熱く理念を語ったとします。その場では感動しても、翌日には日常業務に忙殺され、記憶は薄れていきます。だからこそ、しつこいほどのリマインドが必要です。
トップのメッセージを、社内報、イントラネット、社内ラジオなど、メディアを変えて繰り返し発信し続けます。一度で伝わると思わず、形を変えて何度も届けることが重要です。
オフィス環境や空間デザインにメッセージを反映させる、あるいは全社員にクレドカードを配布し携帯させることも有効です。物理的に目に入る場所を増やします。
意識して読もうとしなくても、ふとした瞬間に視界に理念が入る環境を作ります。これにより、サブリミナル(潜在意識的)に刷り込みを行い、自然な浸透を図ります。
トップダウンで「この理念を守れ」と通達するだけでは、現場には上から押し付けられた仕事としか映りません。言葉を記憶した後は、それを自分事にするプロセスが必要です。
重要なのは翻訳です。会社が掲げる大きなビジョンを、個々の現場業務に落とし込むとどうなるのか。これを社員自身の頭で考えてもらう必要があります。
部署ごとのワークショップや、マネージャーとの1on1を通じて、自分の業務に置き換えると、どういう行動をとることなのか?を対話させます。自分の言葉で語れるようになって初めて、借り物だった言葉が自分の指針へと変わります。
どれだけ接触頻度を高め、対話を重ねても、最終的に理念を守ると損をするような環境であれば、定着はしません。精神論ではなく、仕組みによる裏付けが必要です。
理念を体現した行動をとった人が、昇進や昇給においてしっかりと評価される人事制度を構築します。会社が何を大切にしているかを示す最も強力なメッセージとなります。
サンクスカードやピアボーナスを活用し、理念に沿った行動を同僚同士で称賛し合う仕組みを作ります。
理念を大切にする人が、組織の中で一番得をする(評価される)という整合性が取れたとき、社員は安心してその行動を習慣化できるようになります。
具体的に何から手をつければいいのか?と迷った場合は、以下の順序で進めるのが最もスムーズであり、失敗が少ない王道です。
まずは認知のフェーズです。議論のテーブルに乗せるために、社員が理念やメッセージを知っている状態を作ります。
PCのデスクトップ壁紙、スクリーンセーバー、社内報、ポスターなどを活用し、強制的に目に触れる頻度を高めます。またこの言葉を見たなと思わせるくらいが丁度よいスタートラインです。
言葉が頭に入ったら、次は理解・共感のフェーズです。ステップ1でインプットした内容を元に、部署単位でのワークショップやチームミーティングを行います。
ここで重要なのは、一方的な講義ではなく、双方向の対話です。今の業務でこのバリューを発揮するには?というテーマで話し合い、会社の方針を個人の行動目標へと翻訳していきます。
最後は行動・習慣化のフェーズです。ステップ2で定めた行動目標を実行した人が報われるよう、評価制度や表彰制度を整備します。
最初から評価の話をするとお金のためになりがちですが、十分な対話を経て納得感が醸成されたこの段階であれば、制度は行動を後押しする強力な武器になります。
上記の王道ステップは基本ですが、すべての企業に当てはまるわけではありません。組織の健康状態や規模に合わせて、着手する優先順位をカスタマイズする必要があります。
会社と社員の間に信頼関係があるかどうかで、最初に着手すべき施策が異なります。
| 組織の状態 | 推奨の進め方 | 理由 |
| 信頼関係が高い (オープンな雰囲気) | 王道ステップ通り (ステップ1から開始) | 素直にメッセージを受け取る土壌があるため、認知から対話へと順当に進めることでスムーズに浸透します。 |
| 信頼関係が低い (シニカル・冷笑的) | 仕組みの見直しから (ステップ3から開始) | 「どうせ口だけ」と思われている状態で対話を求めても逆効果です。不合理なルールの撤廃など、行動で本気度を示し信頼を回復させるのが先決です。 |
従業員数によって、物理的に可能なコミュニケーション手法が変わるため、優先順位を調整します。
| 従業員規模 | 優先すべき施策 | 理由 |
| 小規模 (〜100名程度) | 対話を最優先 (ステップ2) | 経営層の声が直接届く距離感です。ポスター作成などに時間をかけるより、膝を突き合わせて熱量を伝える方が圧倒的に早く浸透します。 |
| 大規模 (数百名〜) | 環境づくりと仕組み化 (ステップ1・3) | 全員との対話が不可能なため、メディアを通じた接触頻度の確保と、評価制度による強制力がより重要になります。 |
インナーブランディングは長期戦です。途中でプロジェクトが頓挫したり形骸化したりしないよう、あらかじめ知っておくべき失敗パターンがあります。
これが最も多い失敗です。現場がようやく認知し始めた頃(半年〜1年後)に、毎日発信している経営陣やプロジェクトメンバーが同じことばかり言っていて飽きたと感じてやめてしまうのです。
しかし、発信側が飽きた頃が、ようやく現場に届き始めるスタートラインです。壊れたテープレコーダーになる覚悟を持ち、言葉自体は変えず、伝えるエピソードや表現方法を変えながら発信し続けてください。
組織には2:6:2の法則があります(上位2割は推進派、中位6割は様子見、下位2割は反対・無関心)。全員を振り向かせようとして、反対する下位2割の説得にエネルギーを使うと、チームは疲弊します。
反対派は一旦放置し、熱意ある上位2割と様子見の6割にリソースを集中させてください。6割の層が動き出せば、オセロのように組織全体の空気が変わります。
挑戦を掲げたのに、新しい提案をした部下を頭ごなしに否定する。こうした言行不一致が一つあるだけで、それまでの100回の発信は嘘になります。
特にリーダー層は、何をするか以上に、理念に反するこの行動は絶対にしない(NG行動)を握り合い、徹底することが信頼の担保になります。
インナーブランディングをやって、来月の売上はいくら上がるのか?と問われても、答えはNOです。文化の醸成には時間がかかります。
売上などの財務指標だけでなく、離職率、社内公募への応募数、サンクスカードの流通量といった非財務指標をKPIに設定すること。また、現場からこんないい話が出たという定性的なストーリーも合わせて報告し、プロジェクトの意義を共有し続けることが重要です。
インナーブランディングの浸透は、一朝一夕にはいきません。しかし、適切な手順を踏み、接触頻度、対話、仕組みの3つを回し続ければ、必ず組織文化として根付きます。
短期的な成果に一喜一憂せず、自社の組織状態に合わせたステップをじっくりと踏み進めていってください。
株式会社スカイベイビーズでは、企業規模を問わず、インナーブランディングの戦略立案からクリエイティブ制作、そして最も重要な社内浸透のフェーズまでを一貫してサポートしています。
自社だけでは客観的な現状把握が難しい、どのステップから始めるべきか迷っているという方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の組織風土に合わせた最適なプランを無料でご提案いたします。
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この記事をお読みの企業様で、
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