【プロが解説】MVVはなぜ必要なのか?組織を強くする5つの理由とないことのリスク

「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を作ろう」という話が出たとき、「MVVってなぜ必要なの?作る必要がある?」という疑念が出ることがあります。

しかし、成長し続ける強い企業には、必ずと言っていいほど浸透したMVVが存在します。逆に言えば、MVVがないまま組織だけが大きくなると、どこかで必ず成長の壁にぶつかります。

本記事では、数多くの企業のブランディング支援を行ってきた当社・スカイベイビーズが監修し「そもそも、なぜ企業にMVVが必要なのか」という理由と、MVVがないことのリスクまでわかりやすく解説します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

MVVとは、企業経営における「羅針盤」であり、組織が進むべき方向を示す3つの要素の総称です。まずはそれぞれどんなものなのか簡単に解説しておきます。

Mission(ミッション)とは?

企業が社会において果たすべき「使命」や「存在意義」のことです。「なぜ、私たちは存在するのか(Why)」という根源的な問いへの答えであり、企業活動の全ての土台となります。

時代や環境が変わっても、簡単には変わらない企業のDNAと言えます。

Vision(ビジョン)とは?

ミッションを実現するために目指すべき「将来のありたい姿」や「中長期的な到達点」のことです。

「私たちはどこを目指すのか(Where)」を示す、未来の地図のような役割を果たします。抽象的なミッションに対し、具体的な期限や状態を描くのが特徴です。

Values(バリュー)とは?

ミッションやビジョンを達成するために、社員一人ひとりが大切にすべき「価値観」や「行動指針」のことです。

「どのように行動するのか(How)」を定義したものであり、日々の業務で判断に迷った際の基準となります。これが積み重なり、企業文化が作られます。

MVVが必要な理由

MVVは単なる標語ではなく、経営、採用、現場の意思決定など、あらゆる企業活動の土台となる「OS(オペレーティングシステム)」と言えます。MVVが必要とされる理由を5つ紹介します。

1. 経営の「自動化」と「権限委譲」ができる

創業期は社長がすべての意思決定を行いますが、組織が拡大するとそれは物理的に不可能です。しかし、基準がないまま権限を渡せば組織はバラバラになります。 ここでMVVが役立ちます。

  • Before:部下が「どうすればいいですか?」と毎回上司に確認する。
  • After:「ウチのミッション・バリューに照らし合わせると、A案よりB案が適切だ」と現場が自律的に判断できる。

つまり、MVVという「判断基準」をインストールすることで、経営者がその場にいなくても、経営者と同じような意思決定が現場で行われるようになります。これが経営の自動化であり、スピード経営の要です。

2. 顧客に選ばれる「最強の差別化」になる

商品やサービスの「機能」や「価格」は、すぐに競合他社に模倣されます。しかし、「なぜその事業を行うのか(Mission)」というストーリーは誰にも真似できません。

顧客は商品だけでなく、その背景にある企業の想いや姿勢を買います。「機能は同じだけど、この会社のビジョンに共感するから買う」という状態を作ることこそが、価格競争から脱却する唯一の方法です。

MVVは、顧客に対する最強のセールストークであり、ブランドの核心となります。

3. 「やらないこと」が明確になり、業務の無駄が減る

企業のリソース(人・モノ・カネ)は有限です。あれもこれもと手を出すと、全てが中途半端になります。MVVは「我々が目指す未来(Vision)」を定義すると同時に、「そこへ行くために不要な荷物は何か」を教えてくれます。

  • 「この新機能は、我々のミッション達成に本当に寄与するのか?」
  • 「この案件は売上になるが、我々のバリューに反するため断る」

このように、MVVは「やらないこと(No)」を決めるための強力なフィルタリング機能を果たします。これにより、現場は迷う時間を減らし、本当に重要な業務にリソースを集中させることができます。

4. 採用のミスマッチを防ぎ、エンゲージメントを高める

「スキルは高いが、社風に合わない人」の採用は、組織にとって大きなリスクです。MVVを明確に打ち出すことで、最初から企業文化に共感する人材(カルチャーマッチする人材)を集めることができます。

「給料が良いから」だけで入社した人は、より高い給料を提示されればすぐに去ります。しかし、「ミッションに共感したから」入社した人の熱量は高く、定着率も圧倒的に高くなります。

5. 組織の「ベクトル」が合い、馬力が最大化される

組織が大きくなったり、事業が多角化したりすると、組織には「遠心力(バラバラになろうとする力)」が働きます。部門ごとに部分最適が始まり、「営業vs開発」のような対立構造が生まれやすくなります。

MVVは、この遠心力に対抗する唯一の「求心力」です。「登るべき山(Vision)」が共有されていれば、役割は違っても全員が同じ方向を向いて走ることができます。全社員のベクトルが揃ったとき、組織の馬力は最大化されます。

もしMVVがなかったらどうなるか?

逆説的ですが、「MVVがない組織」を想像すると、その必要性がより浮き彫りになります。ここではMVVがない場合のリスクについて解説します。

1. 「社長の顔色伺い」が正解になる

判断の拠り所となる「理念」がないため、正解は常に「社長(または上司)の今の気分」になります。社員は顧客の方ではなく上司の方を向き、忖度ばかりするようになります。結果、指示待ち人間が増え、イノベーションは枯渇します。

2. 「言った言わない」の不毛な議論が増える

共通の判断軸(バリュー)がないため、会議のたびに「俺はこう思う」「私はこう思う」という主観のぶつけ合いになります。決定事項もすぐに蒸し返され、組織の意思決定スピードは著しく低下します。

3. 人材が「傭兵化」し、組織が脆くなる

ビジョンによる求心力がないため、社員と会社をつなぐのは「金銭的報酬」のみとなります。これは「傭兵」の集まりと同じです。

業績が悪化した際や、他社から好条件のオファーがあった際、誰も会社に残ろうとせず、組織は簡単に崩壊します。

MVVの必要性について考えるときに知っておきたい知識

その他、ここまで解説した以外で「MVVが必要な理由」をより深く理解するために、よくある疑問や知っておきたい知識を整理しました。

MVVと「理念(経営理念)」「パーパス」の違いは?

ビジネスシーンでは似たような言葉が多く、混乱の元になりがちです。以下のように整理するとスッキリします。

比較項目MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)経営理念(Philosophy)パーパス(Purpose)
一言でいうと「組織の戦略的フレームワーク」「創業の精神・教え」「社会的な存在意義」
重視する視点戦略・機能
(どこへ向かい、どう動くか)
想い・精神
(創業者が何を大切にしたか)
社会との繋がり
(なぜ社会にこの会社が必要か)
構成3層構造
(Why、Where、Howに分解)
包括的
(社是・社訓などで一つにまとまることが多い)
一点集中
(「なぜ」という問いに絞る)
主なターゲット従業員・投資家
(判断基準や成長性を伝える)
従業員(内向き)
(精神的支柱とする)
社会・顧客・従業員
(共感を呼び起こす)
時間軸未来志向
(これからどうするか)
普遍・過去
(変わらない教え)
現在進行系
(今、果たすべき役割)

「経営理念」は創業の精神や想いを重視する源流です。「MVV」はそれを組織運営のために使命・未来・行動へ構造化した戦略的枠組みです。

一方「パーパス」は、より社会的な存在意義を強調する概念です。これらは対立するものではなく、誰に何を伝え、どう組織を動かしたいかという「手法と視点」の違いに過ぎません。

MVVが意味ないと言われる理由

ここまではMVVは企業の経営にとって必要なものであるという視点で解説してきましたが、一方で「MVVは作っても意味がない」という意見があるのも確かです。

主な理由としては「判断基準ではなく「ただの飾り」になっている」「経営陣の言動と矛盾している」など、いくつか考えられます。

なお、より詳しくは下記記事で解説していますので合わせてお読みください。

※関連記事:「MVVは意味がない」と言われる5つの理由と意味あるMVVにするための具体的なステップ

参考にすべきMVVの企業事例

優れたMVVを持つ企業は、言葉がシンプルで、かつ社員の行動に直結しています。

下記記事で詳しく事例を紹介していますので合わせてお読みください。

※関連記事:MVV企業事例39選|大手・中小・海外から変革フェーズ別まで徹底解説

MVVは「経営戦略」そのものである

「MVVを作成しよう」というプロジェクトは、単に良い言葉を作るだけの活動ではありません。

  • 意思決定のスピードを上げる
  • 市場での競争優位性を築く
  • 強いチームを作る

これらの目的・利点がある極めて実利的な経営戦略プロジェクトです。

これからMVV策定に取り組む際は、「言葉の美しさ」よりも、「現場の判断基準として機能するか?」「心が熱くなるか?」を重視して進めていくことが成功の鍵となります。

なお、MVVの策定に迷ったり、進め方がわからない…などのお悩みがあれば、企業規模・業界問わず多くの企業のブランディング支援をしてきた当社におまかせください。「企業のもつ自然体」を大切にしつつ、貴社に最適なMVV策定をお手伝いします。

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