「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


MVVを策定しても現場まで浸透しないという課題は多いものです。
本記事では、業界・規模を問わず数多くの企業のMVV策定やブランディングを行ってきた株式会社スカイベイビーズが監修し、理念を組織文化として定着させる具体的な施策を解説します。
社員が共有された価値観に共感し、日々の行動や評価に繋がる仕組み作りなど、経営課題を解決しエンゲージメントを高めるプロのノウハウを凝縮しました。

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
MVV浸透とは、単に理念の内容を暗記することではありません。社員一人ひとりが掲げられた価値観に自発的に共感し、日々の意思決定や行動に落とし込めている状態を指します。
どれほど立派な言葉を共有しても、現場での振る舞いが変わらなければ組織の力にはなりません。言葉を「知っている」段階から「使いこなしている」段階へ引き上げ、企業文化として定着させることが、浸透における真のゴールです。
多くの企業において、MVVが形骸化してしまうのには共通の理由があります。経営陣が描く理想と、現場が抱える課題の乖離が主な要因です。
MVV浸透しない組織が陥りがちな3つの代表的な原因を見ていきましょう。
上位層だけで作り上げた言葉は、時に現場の実態を無視したものになりがちです。日々の業務の苦労や実情が反映されていないと、「現実はそんなに甘くない」と社員が冷めてしまい、どれほど強力なメッセージを届けても心に響かなくなります。
全社発表会などのイベント直後は盛り上がっても、その後の継続的な施策が不足していると、意識は次第に薄れます。日常的に触れる機会がなければ、具体的なイメージは風化し、エンゲージメントを高めるはずの理念は過去の遺物となってしまいます。
バリューを体現しても正当に評価されない仕組みでは、行動変容は起きません。掲げた理想が報酬や昇進などの実利と紐付かない限り、社員にとっての優先順位は上がらず、形だけのスローガンとして扱われるリスクが高まります。
理念を組織の隅々まで行き渡らせるには、単なる周知ではなく「仕組み化」と「対話」の両輪が必要です。社員がバリューに基づき自律的に行動できるよう、以下のステップで具体的かつ段階的にアプローチを進めていきましょう。
言葉に魂を込めるには、経営陣が「なぜこの言葉を選んだのか」という背景を語り続けることが不可欠です。ストーリーを通じて価値観を共有することで、社員は単なるスローガンではなく、自分たちが目指すべき方向性として深く共感できるようになります。
抽象的な言葉は、現場での解釈が分かれる原因となります。「このバリューに基づくと、どのような具体的な振る舞いが正解か」を、Do(すべき行動)とDon’t(避けるべき行動)の形式で言語化し、誰でも実行可能なレベルにまで落とし込みます。
人は忘れる生き物です。朝礼での発信、社内チャットでの活用、オフィスへの掲示など、日常業務の中で自然とMVVに触れる機会を最大化します。接触頻度を高めることで、組織全体の共通言語として定着させ、形骸化を防ぎます。
バリューを体現した人が正当に評価される仕組みは、MVV浸透の強力な推進力となります。評価制度への反映や、価値観にマッチした人材の採用を徹底することで、理念と実務の矛盾を解消し、一貫性のある組織文化を構築します。
事務局だけでなく、現場のエース級メンバーを巻き込み、文化醸成の核となる「アンバサダー」を任命します。彼らが自発的に周囲へ働きかけることで、トップダウンの押し付けではない、ボトムアップの共感の輪が広がります。
組織文化を醸成し、エンゲージメントを高めるためには、日々の業務に自然とMVVが組み込まれる施策が有効です。現場の課題に合わせて、以下の表のような多角的なアプローチを組み合わせて実施することをおすすめします。
| 施策カテゴリー | 具体的な施策内容 | 期待できる効果 |
| コミュニケーション | 全社表彰(アワード)の実施 | 模範となる行動を可視化・称賛する |
| ワークショップ | バリューを自分事に落とし込む対話会 | 言葉と個人の価値観を紐付ける |
| デジタル活用 | Slack等のバリュースタンプ活用 | 日常的な称賛文化を習慣化する |
| 人事システム | バリュー評価の導入 | 行動変容を促進し、納得感を高める |
| 広報・ツール | MVVブック(コンセプトブック)制作 | 理念の背景をいつでも深く理解できる |
MVVの浸透は一朝一夕には進みません。施策を急ぐあまり、現場の反発を招いては逆効果です。組織全体で腰を据えて取り組むために、経営陣や担当者が事前に把握しておくべきリアルな課題と、よくある質問への回答をまとめました。
組織文化が定着するには時間がかかります。半年程度で成果を求めず、経営陣が飽きるほど理念を語り続ける忍耐が必要です。
具体的な行動変容が現場で目に見えるようになるまで、最低でも1年はかかると想定し、長期的な視点で施策を継続しましょう。
全員を一度に動かそうとせず、まずは前向きな2割の社員から巻き込みます。反対派の意見には、現状の組織が抱える矛盾や評価への不満が隠れていることが多いため、真摯に耳を傾け課題解決のヒントにします。
無理な説得より、共感の輪を広げることが近道です。
エンゲージメントサーベイなどの定量データに加え、現場で「バリューに沿った共有エピソード」がどれだけ生まれたかという定性面も重視します。
数値だけを追うのではなく、社員の価値観にどれだけ深く浸透したかを多角的に分析し、次なる改善につなげます。
MVVは、策定して終わりではありません。むしろ、策定後の浸透プロセスこそが、企業の真の強さを決めます。言葉に魂を込め、仕組みで支え、粘り強く発信し続ける。
この地道な積み重ねが、5年後、10年後の強い組織を作ります。自社の理念を信じ、現場と共に歩む姿勢こそが、最大の推進力となるはずです。
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