MVVとパーパスの違いとは?ブランディングのプロが図解で教える定義と使い分けの正解

「パーパスがなぜ今必要なのか?」「MVVと何が違うのか?」という疑問に対し、規模・業界を問わず数多くの企業のブランディングを支援してきた株式会社スカイベイビーズがブランディングの専門的な知見から、具体例を交えて分かりやすく解説します。

社会から共感され、社員の指針となる「企業の志」を正しく言語化し、経営に活かすためのヒントとしてご活用ください。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

MVVとパーパスの違いを一覧表で比較

パーパスとMVVは、どちらも企業の根幹を成す「志」ですが、その視点や役割に明確な違いがあります。まずはその違いを比較表で確認しましょう。

項目パーパス (Purpose)MVV (Mission/Vision/Value)
問いなぜ存在するのか(Why)何を、どこで、どう行うか
視点社会的な存在意義(外向き)組織の指針・目標(内向き)
対象社会・全ステークホルダー社員・組織内部

ひと目でわかる比較表:視点・時間軸・対象の違い

パーパスは「社会に対してどのような価値を提供するために存在するのか」という、企業の究極的な理由(Why)を明確にしたものです。対してMVVは、その存在意義を果たすために「自分たちが何を目指し、どう動くか」という組織の具体的な指針(What/How)を定めたものです。

例えばコーヒーショップの場合、パーパスを「人々に心休まるひとときを提供する」とすれば、ミッションは「最高品質の豆と空間を提供する」となります。このように、パーパスは社会との繋がりを、MVVは組織の目標を定義することで、社内外への一貫した発信が可能になります。

なぜ混同されるのか?両者の共通点

両者が混同されやすい理由は、どちらも企業の「理念」を言語化したものであり、組織の向かうべき方向を示す点にあります。どちらも社員のモチベーション向上やブランド価値の強化に寄与するため、境界が曖昧に見える場合があります。

しかし、パーパスが「社会的な役割」に主眼を置くのに対し、MVVは「組織としての達成」に軸足があるという根本的な違いを理解することが重要です。この違いを整理することで、形骸化しない、実効性のあるブランディングへと繋がります。

パーパス(Purpose)とは:社会における「存在意義」

パーパスは、企業が「何のために存在するのか」という根源的な問いに対する答えです。

単なる利益追求を超え、社会に対してどのような価値を提供し、どのような影響を与える存在でありたいかという「社会的な意義」を定義したものを指します。

パーパスが問いかけるのは「Why(なぜやるのか)」

パーパスが焦点を当てるのは、事業の根底にある「なぜ(Why)」という動機です。例えば、テクノロジー企業であれば、単に「優れた製品を売る」ことではなく、「技術を通じて人々の可能性を最大化する」といった目的を掲げます。

この「なぜ」を明確にすることで、変化の激しい時代でも揺るがない企業の軸が定まり、社会からの深い共感を得る原動力となります。

特徴:社会と組織を接続する「外向き」の視点

パーパスの大きな特徴は、視点が常に「社会」という外部に向いていることです。自社の成長だけを追うのではなく、環境保護や地域貢献といった社会課題の解決と自社の存在を地続きで捉えます。

この「外向き」の姿勢が、顧客や投資家などのステークホルダーとの間に強固な信頼関係を築き、ブランド価値の向上に直結します。

MVVとは:組織を動かす「羅針盤」

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、組織の目的を達成するための具体的な行動指針となるものです。

パーパスが社会的な意義を示すのに対し、MVVは組織内部の人々が日々の業務において、何を目指し(Vision)、何を成すべきか(Mission)、どう振る舞うべきか(Value)を明確にします。

ミッション(Mission):果たすべき任務と「What」

ミッションは、企業が社会の中で日々果たすべき具体的な任務や役割(What)を指します。例えば、飲料メーカーなら「心身の健康を支える高品質な飲料を世界に届ける」といった、事業活動そのものの目的を示します。

社員にとっては「今、自分たちが成すべきこと」を再認識するための重要な基盤となります。

ビジョン(Vision):目指すべき未来と「Where」

ビジョンは、企業が将来的に到達したい姿や、実現したい中長期的な理想像(Where)を描いたものです。「2030年までに業界で最も信頼される企業になる」といった具体的な到達点や、「誰もが自分らしく輝ける社会」といった未来像を示します。

これが組織の進むべき方向を指し示し、チーム全体の士気を高める役割を果たします。

バリュー(Value):共有すべき価値観と「How」

バリューは、ミッションやビジョンを達成する過程で、全社員が共通して持つべき価値観や行動基準(How)です。「誠実さ」「スピード重視」「挑戦を称える」といった具体的な言葉で定義されます。

日々の意思決定や行動の基準となることで、組織内の一貫性を保ち、独自の企業文化を形作る核となります。

なぜ今、パーパスが重視されるのか?注目された背景と経緯

企業が利益だけでなく「社会的な存在意義」を問われるようになった背景には、社会構造の大きな変化があります。なぜ今、世界中でパーパスが求められているのか、その経緯を紐解きます。

歴史的転換:株主至上主義からステークホルダー資本主義へ

かつての経営は株主利益の最大化を優先していましたが、現在は従業員や顧客、地域社会など全ての関係者への配慮が不可欠な「ステークホルダー資本主義」へと移行しています。

社会全体の幸福に貢献しない企業は持続できないという認識が広まり、企業の存在理由であるパーパスが経営の核となりました。

パーパスが急浮上した4つの決定的理由

パーパスが単なるスローガンではなく、経営戦略として不可欠になった背景には、主に4つの要因があります。それぞれの側面から具体的に解説します。

1. 金融・投資:ESG投資の拡大とリスク管理

投資家は今、財務情報だけでなく環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)への取り組みを重視しています。パーパスを掲げ、社会課題解決にコミットする企業は「長期的成長が見込める」と判断され、資金調達の面でも有利になります。

逆に、社会的な意義を欠く企業は投資リスクが高いと見なされる時代です。

2. 消費行動:Z世代を中心とした「共感消費」へのシフト

若年層を中心に、商品を選ぶ基準が「機能や価格」から「企業の姿勢への共感」へと変化しています。

例えば、環境に配慮した素材を使うといったパーパスに基づいた行動が、消費者の支持を集める鍵となります。社会に良い影響を与えるブランドであることが、購買の決定打となっています。

3. 労働環境:優秀な人材が求める「働く意味」の多様化

金銭的な報酬だけでなく、「この会社で働くことで社会にどう貢献できるか」を重視する求職者が増えています。

明確なパーパスは社員の帰属意識を高めるだけでなく、志を同じくする優秀な人材を引き寄せる採用力にも繋がります。働く意味を共有することで、組織のエンゲージメントが強固になります。

4. 地球環境:ビジネスの前提となる「持続可能性」の限界

気候変動など地球規模の課題が、ビジネスの継続そのものを脅かしています。

企業が生き残るためには、自社の利益のみを追求するモデルから脱却し、社会全体の持続可能性に寄与することが前提条件となりました。パーパスはこの大きな転換点における指針となります。

パーパス策定のパイオニア「パタゴニア(Patagonia)」

パタゴニアは、単なるアウトドアブランドではありません。彼らは「ビジネスを通じて社会を変える」というパーパス(存在意義)を、創業以来50年以上にわたり体現し続けてきた先駆者です。

なぜ世界中の企業が彼らを指標とするのか、その核心は以下の3つの歴史的な転換点に集約されます。

利益に背を向けてでも「理念」を貫く勇気

パタゴニアが伝説的なパイオニアと呼ばれる最大の理由は、短期的な利益とパーパスが衝突した際、迷わず後者を選ぶ一貫性にあります。

反消費主義の象徴「Don’t Buy This Jacket」

2011年、1年で最も物が売れるブラックフライデーに、彼らは「このジャケットを買わないで」という全面広告をニューヨーク・タイムズに出しました。

これは、製品を作る過程で排出される温室効果ガスや消費される水資源の多さを指摘し、消費者に「本当に必要でないなら買うべきではない」と訴えるものでした。自社の売上よりも消費抑制を優先させたこの行動は、世界に大きな衝撃を与えました。

売上の1%を地球へ還元する仕組み

また、1985年から続く「1% for the Planet」の活動も特筆すべき点です。これは利益ではなく「総売上」の1%を環境保護団体に寄付する仕組みであり、たとえ赤字の年であっても支払いが続けられます。

パタゴニアにとってこの寄付は、単なる慈善活動ではなく、ビジネスを行う上で当然支払うべき「地球への家賃」であり、事業コストそのものとして定義されています。

「ビジネスの定義」を根底から書き換えた新宣言

2018年、パタゴニアは創業以来のミッションを、より切実で、より力強い言葉へとアップデートしました。

故郷である地球を救うために

新たなミッションとして掲げられた「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」という言葉は、ビジネス界におけるパーパスの概念を一段階引き上げました。

それまでの「環境に配慮したビジネス」という受動的なスタンスから、「ビジネスは地球を救うための武器である」という能動的なツールへの転換です。

この瞬間、彼らにとってアパレル製品は、環境保護という目的を達成するための手段へと完全に定義し直されました。

「地球を唯一の株主にする」という究極のゴール

2022年、パタゴニアはパーパス経営の歴史に刻まれる前代未聞の決断を下しました。創業者一家が数千億円規模にのぼる全株式を放棄し、地球を守るための信託と非営利団体へ譲渡したのです。

資本主義の限界を超えた所有権の譲渡

彼らは「上場して富を独占する」という従来の成功モデルを捨て、「地球を唯一の株主にする」という道を選びました。

これにより、会社の所有権は環境問題に取り組む組織へと移り、企業活動から生まれる利益のすべてが気候変動対策や自然保護に再投資される仕組みが完成しました。

永続的なパーパスの継承

この仕組みの構築は、パーパスを単なる個人の信念から「企業のDNA」へと昇華させ、将来にわたって経営陣が変わっても理念が揺らがないことを保証するものです。

所有と経営のあり方そのものを変革したこの決断は、パーパス経営における究極の到達点と言えます。

ブランディングにおけるMVVとパーパスの活用法

パーパスとMVVは、組み合わせて活用することで真価を発揮します。単に言葉を作るだけでなく、実効性のあるブランディングに繋げるための具体的な手法を解説します 。

パーパスとMVV、ともに一貫性を持つ

パーパスは「社会的な究極の目的」であり、MVVはその目的を達成するための「具体的な戦略と行動指針」です。

両者を一貫させることで、企業の社会的価値と事業成長が両立します。例えば、社会課題解決をパーパスに掲げ、それを具体的な事業目標に落とし込むことで、組織の力が最大化されます 。

「言行一致」を心がける

これからの経営には、掲げたパーパスと実際の事業活動が一致している「言行一致」が厳しく問われます。

形だけのパーパスは批判の対象になりかねません。意思決定の基準に常にパーパスを置き、社会的な意義に反する事業は行わないといった、覚悟を持った経営が信頼を生みます 。

パーパスを組織に浸透させる

パーパスを浸透させるには、社員が「自分事」として捉えられる仕組み作りが必要です。

具体的には、パーパスに基づいた評価制度の導入や、日々の業務との繋がりを話し合うワークショップの開催などが有効です。全社員が同じ方向を向くことで、強いブランドが形成されます 。

自社に最適な「パーパス」を定義しよう

パーパスとMVVは、どちらか一方があれば良いというものではなく、互いに補完し合うことで企業の真の価値を発揮します。社会的な存在意義を問うパーパスが「志」となり、それを実現するためのMVVが具体的な「指針」となります。

これらを一貫性のある言葉で定義し、組織の隅々まで浸透させることで、ステークホルダーからの深い共感と持続可能な成長を手に入れることができるのです。

2026年現在、社会は企業の「言葉」だけでなく、その裏側にある「実行力」を厳しく見ています。自社の想いを正しく言語化し、社内外に共感の輪を広げていくプロセスこそが、持続可能なブランディングの根幹となります。

もし、自社独自のパーパスの策定や言語化、組織への浸透方法に困ったら、ぜひ私たちスカイベイビーズにご相談ください。貴社の想いに伴走し、未来を切り拓く言葉を共に作成します。

自社の「自然体」を引き出すブランディングサービスはいかがですか?

この記事をお読みの企業様で、

✓ 従業員のウェルビーイングを高めたい
✓ 自社のブランドを高める施策がしたい
✓ 従業員のエンゲージメントを高めたい

などの要望・お悩みをお持ちの担当者様はぜひ下記資料「ソラミドブランディングサービス資料」をお役立てください。

企業・個人のウェルビーイングを実現するための、当社が開発したサーベイのご紹介、取り組み方法などをご紹介しています。最短30秒程度で無料ダウンロードいただけます。

「できるだけ急ぎたい」、「資料の説明だけでは物足りないので相談したい」という方は下記ボタンからお気軽にお問い合わせください。

貴社の魅力を引き出す
ブランディングなら、
私たちにお任せください!