採用広報のKPI設定ガイド!初心者向けの選び方から改善方法まで解説

採用広報のKPIの最適な設定方法は、求職者のフェーズに合わせてPV数や面談申込数などの具体的な指標を段階的に配置することです。

この記事では、株式会社スカイベイビーズの監修のもと、初めて採用広報に取り組む担当者の方に向けて、失敗しないKPIの選び方や効果的な改善方法を分かりやすく解説します。自社に最適なモノサシを見つけ、採用活動を成功させましょう。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

なぜ採用広報にKPI設定が必要なのか

採用広報を成功させるためには、KPIの設定が不可欠です。多くの企業が認知度向上を目的に採用広報を始めますが、指標がないと効果が見えにくくなります。

ここでは、採用活動においてなぜKPIが必要なのか、その重要な理由を5つの視点から解説します。

施策の自己満足化を防ぐ

採用広報では、記事を公開して満足してしまう状態を防ぐためにKPIが必要です。数値を設定しないと、社内での評判が良いだけで終わってしまい、実際の採用活動に貢献しているかが判断できなくなります。

たとえば、おもしろい社員インタビュー記事を執筆して社内で盛り上がっても、求職者の応募に繋がっていなければ本来の目的を果たせません。客観的な数値目標を持つことで、趣味の延長ではなく、成果を出すためのビジネス施策として採用広報を継続できるようになります。

ボトルネックを可視化する

採用広報の課題を見つけ、的確に改善していくためにはKPIによる可視化が必要です。プロセスのどこで求職者が離脱しているかを数値で把握できなければ、正しい改善策を打つことができません。

例えば、オウンドメディアの閲覧数は多いのに応募数が少ない場合、記事の内容ではなく、応募ページへの導線に問題があると判断できます。このようにKPIを設定して数値を追うことで、課題のあるボトルネックが明確になり、無駄のない効果的なアプローチが可能になります。

予算とリソースを確保する

経営陣から採用広報の予算やリソースを確保するためには、KPIが強力な武器になります。投資対効果を気にする経営層に対して、感覚的な成果ではなく、定量的なデータで進捗を示す必要があるからです。

具体的には、採用広報を始めたことで求人広告費が前月比で何割削減できたか、といった費用対効果を数字で提示します。納得感のある数値データをKPIとして継続的に報告することで、活動の重要性が認められ、必要な予算や人員をスムーズに獲得できます。

社内の協力体制を築きやすくする

他部署の社員からインタビューなどの協力を得るためには、KPIで成果を共有することが有効です。協力する側の社員にとって、自分の行動が採用にどう貢献しているかが数値で見えると、協力への納得感が高まります。

たとえば、営業部の社員に記事協力をお願いする際、前回の記事によって同職種の応募者が2倍に増えたという実績を伝えます。KPIによって活動の成果を全社にオープンに伝えることで、採用は人事だけのものではなく、全社で取り組む文化が醸成されます。

メンバーのモチベーションを維持する

採用広報を担当するチームのモチベーションを維持するために、KPIは大きな役割を果たします。採用広報は成果が出るまでに時間がかかるため、中間目標がないとメンバーが達成感を得られず、疲弊してしまうからです。

最終的な採用の決定だけでなく、今月の目標である記事の閲覧数や、SNSのフォロワー数の達成をみんなで喜び合います。小さな成功体験を数値として積み重ねていくことで、メンバーのモチベーションが保たれ、長期的な活動の継続に繋がります。

採用広報のKPIを設定する前に知っておくべき基礎知識

実際にKPIを決める前に、必ず押さえておくべき基本の考え方があります。これを無視して数値を集めても、最終的な採用というゴールには結びつきません。

ここでは、設定の土台となるKGIの重要性と、KPIとの明確な違いについてわかりやすく解説します。

最終目標となるKGIを明確にする

KPIを設定する前に、まずは最終目標であるKGIを明確に定める必要があります。目指すべきゴールが決まっていなければ、途中の進捗を測るための指標を正しく選ぶことができないからです。

たとえば、半年後にエンジニアを3名採用するという具体的な目標をKGIとして最初に設定します。このように、いつまでに、どのような人材を、何人採用するのかという最終ゴールを数値で確定させることで、初めて有効なKPIの設計が可能になります。

KGIとKPIの役割の違いを理解する

採用広報を迷わず進めるためには、KGIとKPIの役割の違いを正しく理解することが大切です。両者の関係は、最終目的地とそこへたどり着くためのチェックポイントという役割に分かれているからです。

具体的には、エンジニア採用という最終ゴールがKGIであり、そのために必要な記事の閲覧数や面談の実施数がKPIにあたります。この2つの役割の違いを整理しておくことで、目先の数字に振り回されることなく、常に最終ゴールを見据えた正しい運用ができます。

初めての採用広報で失敗しないKPIの選び方

初めて採用広報のKPIを設定する際は、手順の標準化が成功の鍵となります。他社の数値をそのまま真似するのではなく、自社の現状に合わせて選ぶ必要があります。

ここでは、失敗を避けるための具体的な選び方を3つのステップに分けて紹介します。

選考フロー全体の歩留まりを洗い出す

初めてのKPI選定では、選考フローの歩留まりを事前に洗い出すことが重要です。最終ゴールから逆算して各プロセスの数値を出すことで、現実的なKPIが見えてくるからです。

具体的には、1人の採用を獲得するために、何人の応募が必要かを計算します。一般的な中途採用では、書類選考の通過率が約30%と言われています。

この数値を基に逆算することで、採用広報が追いかけるべき中間の目標値が明確になります。

SMARTの法則を意識して指標を置く

KPIの指標を選ぶときは、SMARTの法則を強く意識する必要があります。曖昧な目標はメンバーの行動を迷わせ、効果的な検証ができなくなるためです。

たとえば、認知度を上げるという抽象的な目標ではなく、3ヶ月以内にオウンドメディアの月間PV数を5,000にする、というように設定します。期限が明確で、数値として計測可能な指標を置くことで、誰が見ても進捗がひと目でわかるようになり、施策の精度が上がります。

自分がコントロールできる行動目標を設定する

成果指標だけでなく、自分がコントロールできる行動目標をKPIに組み込むことが大切です。応募数などの成果は相手の動きに左右されますが、行動は自社で確実に管理できるからです。

具体的には、毎週2通のスカウトメールを送る、あるいは月に4本の採用記事を公開する、といった自発的な行動を数値化します。このように行動目標をセットにすることで、成果がすぐに出ない初期段階でも、チームが迷わずに活動を前進させられます。

求職者のフェーズに合わせた採用広報KPIの具体例

採用広報のKPIは、求職者の検討度合いに応じたフェーズごとに切り替える必要があります。求職者の心理状態によって、求める情報や取るべき行動が異なるからです。

まずは各フェーズの全体像と、追うべき指標の対応表を確認しておきましょう。

フェーズ求職者の状態主なKPI指標
認知会社の存在をまだ知らない記事のPV数、SNSインプレッション数
興味関心どんな会社か気になっている記事の読了率、平均滞在時間
比較検討働く環境や現実的な情報を集めている採用サイトのUU数、採用動画の視聴回数
応募行動この会社で働きたいと行動を起こす応募ページへの遷移率、面談の申込数

認知フェーズ

認知フェーズでは、まずは自社の存在を求職者に広く知ってもらうことが最優先目標となります。この段階の求職者は自社を認知していないため、接触の機会を増やす指標を追う必要があります。

記事のPV数

認知度を測る代表的な指標として、公開した記事のPV数を追うことが効果的です。PV数はコンテンツがどれだけ多くの人に閲覧されたかを示す直接的なデータだからです。

たとえば、新しい採用ブログを開設した際は、月間のトータルPV数をKPIとして追いかけます。この数字が伸びていれば、自社の情報が市場に届き始めているという初期의証明になります。

SNSのインプレッション数

オウンドメディアへの流入を増やすため、SNSのインプレッション数を指標として活用します。拡散性の高いSNSで投稿がどれだけ表示されたかは、潜在層への広がりを示す指標になるためです。

具体的には、公式アカウントの投稿がタイムラインに表示された回数を毎月カウントします。インプレッション数が高まるほど、これまで自社を知らなかった層への認知が拡大していると判断できます。

興味関心フェーズ

興味関心フェーズでは、自社を知った求職者がカルチャーに共感しているかを測定します。単にアクセスされただけでなく、中身がしっかり読まれているかを見極める必要があります。

記事の読了率

求職者の興味の深さを測るために、記事の読了率をKPIに設定します。読了率は、訪問者がコンテンツを最後まで熱意を持って読んでくれたかを表す指標だからです。

たとえば、スクロール計測ツールを用いて、記事の最下部まで到達した割合を算出します。読了率が高ければ、自社の魅力やメッセージが求職者に深く刺さっていると評価できます。

平均滞在時間

コンテンツへの関心度を知るために、WEBサイトの平均滞在時間をチェックします。滞在時間が長いということは、求職者が自社の情報に強い関心を持ち、じっくり読み込んでいる証拠だからです。

具体的には、1ページあたりの滞在時間が2分を超えているか、などを基準にします。滞在時間を追うことで、表面的なアクセスではなく、質の高いエンゲージメントを計測できます。

比較検討フェーズ

比較検討フェーズでは、他社と自社を比べて入社後のイメージを膨らませている状態を捉えます。求職者がより具体的な情報を求めて自発的に動いているかを測定します。

採用サイトのユニークユーザー数

企業の詳細な情報を集める採用サイトにおいて、ユニークユーザー数を計測します。この数値は、自社を就職先の候補として真剣に検討している実人数に近いデータとなるためです。

たとえば、会社概要や福利厚生が載っている専用サイトの月間訪問者数を追います。ユニークユーザー数が増えていれば、転職の意向を持った候補者が順調に集まっている証拠です。

採用動画の視聴回数

働く環境や社員の雰囲力を伝えるため、採用動画の視聴回数をKPIに置きます。動画はテキストよりも情報量が多く、職場のリアルな様子を伝える比較検討の材料になるからです。

具体的には、社員インタビュー動画やオフィス紹介動画の再生回数を追いかけます。動画が最後まで再生されているかも合わせて確認することで、志望度の高まりを予測できます。

応募行動フェーズ

応募行動フェーズでは、採用広報の最終的な成果であるアクションを測定します。これまでの情報発信が、最終的に求職者の背中を押せたかどうかが確定するフェーズです。

採用サイトから応募ページへの遷移率

採用広報の効率性を評価するために、応募ページへの遷移率をKPIとして確認します。どれだけサイトに人が集まっても、応募ボタンを押す行動に繋がらなければ採用は成立しないからです。

具体的には、採用サイトを訪れた人のうち、何パーセントが応募フォームに進んだかを計算します。この遷移率を高めるための導線改善を繰り返すことが、応募者数の最大化に繋がります。

カジュアル面談の申込数

選考の心理的ハードルを下げる施策として、カジュアル面談の申込数をKPIに設定します。いきなり本選考に応募するのを躊躇している優秀な層を、採用広報を通じて獲得できているかを測るためです。

たとえば、記事の末尾に設置した面談フォームからの申込数を週単位で集計します。面談の申込が増えることは、自社に対する信頼と応募への意欲が高まっている明確なサインです。

設定した採用広報KPIの効果観測と改善方法

KPIを設定した後は、日々の数値をどのように観測し、改善へ繋げるかが重要になります。ただ数字を眺めるだけでは、採用広報の成果を最大化することはできません。

ここでは、設定したKPIを効果的に運用し、施策を素早く改善していくための具体的な手法について3つのポイントで解説します。

リアルタイムに数値を追う

採用広報の効果を最大化するためには、日々の数値を可能な限りリアルタイムで観測することが重要です。WEB上の動向や求職者の反応は常に変化しているため、月単位の確認では問題への対応が遅れてしまうからです。

たとえば、新しく公開した記事のアクセス数が初日に急増した場合、SNSでの拡散が影響している可能性が高いため、すぐに追撃の投稿を行います。数値をリアルタイムにチェックすることで、市場のトレンドや求職者の反応の波を逃さず、今打つべき施策を瞬時に判断できるようになります。

週間ベースで予定と実績を管理する

採用広報の進捗を確実に管理するためには、週間ベースで予定と実績の表を作成して運用します。1週間という短いスパンで振り返りを行うことで、目標に対する遅れにすぐ気づき、軌道修正ができるようになるからです。

具体的には、以下のようなシンプルな予実管理表を用いて毎週の数字を比較します。

  • 今週の行動目標:記事公開2本/実績:2本
  • 今週の成果目標:サイト遷移数50件/実績:30件
  • このように毎週データを蓄積していくことで、計画の狂いを早期に発見し、翌週の行動を具体的に見直すことが可能になります。

流入経路の上流から順番に改善する

目標数値が未達成のときは、求職者の流入経路の上流にあたるフェーズから順番に改善を行います。最初の入り口である認知が十分に取れていなければ、その後の応募や面接の数をいくら改善しようとしても全体の数字が伸びないからです。

たとえば、採用サイトからの応募数が少ないという課題がある場合、まずはサイトの手前にある記事の閲覧数(PV数)が足りているかを確認します。このように上流から下流へと順番にボトルネックを潰していくことで、限られた時間とリソースを最も効果的な改善施策に集中させられます。

採用広報のKPI設定が間違っていると判断する基準

初めて設定したKPIはあくまで仮説に基づいたものであるため、運用していく中で自社の実態に合わなくなることがあります。間違った指標を追い続けると、採用という本来のゴールから遠ざかってしまいます。

ここでは、設定したKPIを見直すべきタイミングや、判断の基準となる3つのサインを紹介します。

行動目標を達成しても成果が出ない

自社の行動目標を100%達成しているにもかかわらず、全く成果に繋がらない場合はKPIの変更が必要です。設定した行動指標と、最終的に得たい成果との間に因果関係が成り立っていない可能性が高いからです。

たとえば、毎週2本の記事をスケジュール通りに3ヶ月間公開し続けたのに、採用サイトへの遷移数が1件も増えないケースが該当します。この場合は、記事の公開本数という量だけを追うのをやめ、読了率やSNSでのシェア数など、質を評価する指標へKPIを切り替えるべきです。

目標数値が現実的ではない

算出した目標数値が自社のリソースに対して現実的ではないと判明した段階で、KPIの設定を見直します。不可能な数字を追い続けると、チームのモチベーションが低下し、採用活動そのものがストップしてしまう危険があるからです。

具体的には、1人の採用のために毎月500件のスカウトメールを送信しなければならない、という計画になり、日々の通常業務を圧迫してしまうような状況です。

このような場合は、量を追うのではなく、書類選考の通過率を高めるための記事作成など、質を高める方向へと数値を修正する必要があります。

応募者と現場の希望がズレている

応募数の目標は達成できているのに、面接に進む人の層が現場の求める人物像とズレている場合もKPIを見直します。表面的な数字の獲得だけに意識が向いてしまい、採用広報がターゲットではない層に届いている状態だからです。

たとえば、エンジニアを募集しているのに、記事の内容が全社向けのものばかりで、未経験者の応募ばかりが増えてしまうようなケースです。

この場合は単なる応募数をKPIにするのではなく、必須スキルを満たしたターゲット層からの面談申込数、へと指標をより具体的に絞り込む必要があります。

採用広報のKPIに関するまとめ

Q:採用広報のKPIにはどのような指標を設定すればよいですか?

A:認知フェーズのPV数やSNSインプレッション数、応募行動フェーズの面談申込数など、求職者の心理ステップに合わせた指標を設定します。

Q:設定したKPIが間違っているかどうかを判断する基準はありますか?

A:記事の公開などの行動目標を達成しても成果が出ない場合や、目標数値が自社のリソースに対して現実的でない場合は見直しのサインです。

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