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子どもに向き合うことと仕事の充実をどう両立する? 葛藤しながら前に進み、見つけた自分らしさ  

仕事と子育ての両立をどんなふうに考えていくか、誰もが悩むことではないでしょうか。スカイベイビーズで経理を担当している藪木さんも、その1人です。 

子どもが生まれてからの自分にどんな変化があり、それをどう乗り越えてきたのか。またどんな環境ができれば子どもを育てつつ、充足感を感じる社会生活が送れるのか、今のストレートな気持ちをとことん語っていただきました。 

エンジニアや営業など、さまざまな仕事を経験。フリーランスとして働く中で、友人が会社を立ち上げた際に経理としてのスキルを身につけた。現在はスカイベイビーズをはじめ複数社のバックオフィス業務 在宅で請負い、忙しく過ごしている。 

働いている私は子どもに向き合うことはできている?」日々感じる葛藤 

──働きながら子育てをされているスカイベイビーズのメンバーが、仕事や子育てにどんな想いを持っているのか、そんなことを率直にお聞きできればと考えています。藪木さんは保育園に通うお子さんがいらっしゃるそうですが、仕事との両立についてはどんな状態でしょうか。 

藪木

私の場合は子どもが生まれてからずっと葛藤し続けていますね。私はいろんな職種を経験してきましたが、現在は複数の会社のバックオフィス業務を請け負っていて、忙しい毎日です。仕事自体は好きで、子どもができても働き続けたいという気持ちはずっと持っていました。でも実際に子どもが生まれると、自分らしくいるには仕事は外せないけれど、それが母親としていいのかどうか?とも感じるようになりました。仕事を優先してしまうと母親としての自分を少し失いそうな感覚といいますか…。

──そのように思った瞬間はいつ訪れましたか?またどんな葛藤がありますか? 

藪木

私は子どもが生まれて早期に仕事復帰したんですが、最初は思うように仕事が進まず、イライラしたり、「自分はすごく仕事ができない人間だ」と、自己肯定感が下がってしまった時期がありました。おそらく、いろんなことを抱え込んでいたんだと思います。少しずつそうした状態は改善されましたが、依然として葛藤はありますね。

日常的に思うのは、子どもにちゃんと向き合えているのか、もっと優先すべきことがあるんじゃないのか、みたいなことはよく考えますね。例えば、保育園に行くときに「急いで」と言うのは何気ない言葉ですが、それは私の都合であって、子ども第一の考え方になっていないな、とか。毎日のふとした瞬間に葛藤を感じています。

仕事は周囲とつながりを持つ手段、でも一言では表現できない 

──でも藪木さんにとって仕事は外せないものだということですが、その理由は? 

藪木

私は母親が専業主婦でしたが、あまりコミュニケーションが上手くない人で、周囲とのつながりもほとんどありませんでした。成長とともにうちの様子は友達の家庭とはギャップがあるな、と思うようになりました。その反動なのか、私自身は結婚しても社会というか、誰かとつながっていたい気持ちが強かったです。仕事は私にとって、つながりを持つ一つの手段なんだと思います。

あとはもちろんお金の問題もあります。お金に執着はそれほどなく、毎月の収支の計算も全くやっていないんですけど(笑)、お金に振り回されないようにいたいというのは仕事をしている理由の一つです。夫婦のためでもあるし、子どものためでもあります。親も年老いてきたので、お金のことは考えざるを得ないですね。

──そうすると仕事をすることはアイデンティティと義務感、どちらが強いのでしょうか? 

藪木

そこはどちらともいえず、難しいです。そんなに義務とも感じたことはないですし、働くこと自体は楽しんでいます。でもこれは誰しも抱えている、答えが出ない問いなのかなとも思います。周りには子育てしながら働いている方もたくさんいますが、話を聞くと私と悩みはそう変わらないんです。みんなが葛藤しつつもがいていて、「みんな同じなんだ」と、感じますね。

──金銭的な問題はさておき、周囲の親たちの悩みも、つながりの薄さが原因の一つだと感じられることはありますか? 

藪木

それは結構あります。ちょっとしたことを頼めなくて、困っているという話は聞きますね。働く親同士はみんな忙しく、保育園で顔を合わせても挨拶だけということが多いです。例えばこれちょっとお願いしたいなと思っても、つながりが薄いので頼めず抱え込んで困っていたり。かといって、つながろうと自らが発信して動いてというのは、なかなか勇気が出ないというのが本音なんだろうなと。私自身もそうなので。こんなことを考えていると、もう少し社会の中に“心のつながり”とでもいうものがあった方が、肩の荷を下ろして子育てができるんじゃないかと思うようになりました。

ママ友や地元の人たちとつながる場を自ら作る 

──藪木さん自身はそんな葛藤を続ける状態でも、周囲とのつながりを作るような活動をされていると伺いました。 

藪木

定期的にママ友たちと花火やキャンプなど、子どもを通じて遊びごとを設定して集まっています。また、地域で古民家を借りて誰でも参加できる場づくりをされている活動に、参加させてもらっています。

──地域の集まりというのはどんなものですか?気になります。 

藪木

2年ほど前にはじまった、特に名前もない活動なんですが、地元にある古民家を月に1度借りて、そこに誰でもおいでよ、という感じで開いているオープンな集まりです。平日開催で6時から9時頃まで、ママや子どもはもちろん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんなど、年齢や性別を問わず、さまざまな人が入れ替わり立ち代わりでやって来ます。多いと40人くらい集まるときもありますね。知り合いの農家さんから食材をいただいたり、参加者の方が差し入れとして料理を持ってきてくれたりすることも多いですが、「今日はご飯を作りたくないから来た」と、お子さんとご飯を食べに来たりする方もいます。口コミを聞いてやって来たり。

──すごく面白いですね。集まって食事のほか、みなさん何をされるんですか? 

藪木

いろんな話をします。仕事のストレスを発散したり、子育ての悩みを話したり。「家にいてもやることがないから手伝いに来た」など、本当に特に理由なく来る方もいます。中止のお知らせがない限りは、この週のこの曜日にやります、誰でも来て大丈夫です、という縛りもゆるい集いです。

──すごく居心地の良さそうな場ですね。イベントを企画したり、場づくりって、仕事との両立は大変だと思いますが、藪木さんにとってどんなメリットがあるのでしょう? 

藪木

やはり“つながり”ということが大きいと思います。連絡を回したり、こまごました作業はありますが、その分つながりができます。いろんな人がいるので自分の知らなかったことを知れるのも面白く、楽しんでいますね。あとは言葉を選ばずに言うと、吐き出す先があることが何より大きいです。仕事や子どものことで悩んでいても、人に会って話すことで解消されたり、悩んでいたことがそんなに大したことじゃないなと思えたり、発散する場になっていると思います。葛藤自体が消えることはないんですが、それを外に出したり、共有できる場がある感覚です。

──それは参加する他の人にとってもそうなっているのでしょうか? 

藪木

とある集まりで、ママ友が何気ない話をしているうちに号泣されたことがあります。子育てで抱え込んでいるものがあって、「これまで誰にも話せなかった」と言っていました。やはりみんなそうなんだ、そういう人って多いんだなと。私だけじゃなく、こういった場 を助けにしている人がいるんだと感じた一件です。

葛藤は抱えつつも生きやすさも感じる日々へと徐々に変化 

──こうしたつながりを作ることは、お子さんにとってはどんな影響がありますか? 

藪木

うちは女の子で一人っ子、ちょっと慎重なところがあります。イベントに集まりに来る子どもは少し年上の子たちが多く、よく面倒を見てもらっていますが、それをすごく楽しく感じているようです。そのおかげか、自分の保育園では同い年相手にお姉さんのように振る舞って、精神的に成長したなと思えます。また、最近は核家族で祖父母と接触がない子どもって多いですよね。おじいちゃんやおばあちゃんといった方と普段接しているせいで、そうした年代の方にも抵抗なく話しかけることができていると思います。他にも障がいを持った方もいらっしゃいますが、他の人と変わらない接し方をしていますね。

──昔は地域の人が子どもを育てたといいますが、そんな役割を持っているような場になっているんですね。この先どうなればいいな、など考えていることはありますか? 

藪木

私自身は世の中がどうなればいいな、とか大きなことを常に考えているわけじゃないんです。でも自分に関わる周囲の人たちが少しでも生きやすい状態になればいいな、というのはあります。

──藪木さん自身がこうした活動を通し、影響を受けて楽になったと思えるところはありますか? 

藪木

この活動のおかげ、というだけではないかもしれませんが、つながりを意識していろんなことをするうちに、少しずつ生きやすくなった感覚はあります。子どもと同級生の親は私より若い方が多く、私は年齢を重ねている分、周囲には何でも知っているだろうと思われることが多かったんです。でもそんなことはなく、子育ては自分にとっては初めてのことだし、わかっているわけがありません。最初は言えませんでしたが、徐々に「いやいや、わからないことだらけなので教えて!」とさらけ出せるようになってきています。

──仕事にも影響があるでしょうか? 

藪木

あります。昔は今よりも葛藤がありました。忙しくても人に言えず抱え込んだり、自分の意見を言えていないことが多かったです。でも今は子育てで助けを求めたように、仕事でも自分をさらけ出して、少し肩肘張らなくなったように思います。だめならだめと言った方が助けてもらえるなとわかってきたし、少しずつですが、まわりを頼るようになりましたね。出産時に自分がすごくできない人になってしまったと思い悩んだ感覚も、今ではだいぶ和らいでいます。

「私が笑っているためには?」頭と心と身体の反応を大切に選択していく 

──お子さんは仕事をしている藪木さんに対して何か言うことはあるのでしょうか? 

藪木

ある日、子どもに「ママが笑っていると私も嬉しい!」と言われたことがあります。すごく単純ですが、ハッとさせられた瞬間でした。子育てと仕事の両立は本当に難しくて、うまくできていると感じたことは一度もありません。でも私が笑っていられるときってどういう状態かな?と考えると、今の私にとっては仕事が充実しているときであり、仕事は外せない一つの大事な事柄であることに気づかされました。それを子どもも喜んでくれている。だからこそ葛藤しつつ、今は続けているのだと思います。でもそれと同時に、切り替えもするようになりました。以前は時間制限なくずっと仕事をしていたんですが、今は子どもが帰る時間にはサッと仕事をやめるとか、終わらせることに集中していますね。

──葛藤しているとはいいますが、いい形で両立をされているようにも見えます。 

藪木

私は普段から「頭と心と身体」がつながった行動をするように意識しています。子どもや動物ってそういうことが顕著だし、それこそ「今を生きているってこういうことだな」と感じませんか?だから「私が笑っているためには?」という問いかけに、「頭と心と身体」で正直に答えを出していければいいのかなと思っています。もしかしたらその答え次第で、スパッと仕事を辞めることもあり得るかもしれませんけど(笑)。

──これからパパやママになる人に対して、あるいは現在葛藤しているパパやママに向けて伝えたいことはありますか? 

藪木

パパやママになるときは、いろんな準備をすると思います。今は調べたら何でもわかる時代ですが、逆に情報がありすぎて迷いが生じます。でもいざ子どもが生まれてみると、調べたことにはなかったことばかり起きるんですよね。ですから、情報に頼りすぎないで、目の前の子どもに向き合って、悩むけれど、そこから答えを見つけていってもらいたいです。

子どもがよく「ま、いっか」と言うのですが、これは私の口癖が移ったものです。子どもが生まれるまでは何かときっちりしたいタイプでしたが、子育てをするうちに「ま、いっか!」と思えるようになり、随分気持ちが楽になりました。何でもそれで済ますわけにはいかないのですが、この言葉が今の私を楽にさせてくれる、魔法の言葉かもしれません。そういう気楽さを持つのも、大事なことだと思います。考え込まず、楽にしていいんだよ、そんなふうにみなさんにはお伝えしたいですね。

──自分らしさを追求し、つながりを作りながらお子さんにも向き合おうという姿勢が伝わるお話でした。藪木さん、ありがとうございました! 

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