「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


企業がワークライフバランスを推進することには、メリットだけではなく、デメリットもあります。主なメリットは、採用力の強化や離職防止につながることです。一方で、デメリットは初期の設備投資や評価制度の再構築といった運用課題が挙げられます。
この記事は企業のウェルビーイング力向上支援を手掛け、「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業」に認定されている株式会社スカイベイビーズの監修のもとワークライフバランスのメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
現状維持リスクと比較しながら自社に合った導入を検討したい経営層や人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
ワークライフバランスとは従業員が仕事と私生活を適切なバランスで両立できる状態のことです。これは単に労働時間を減らすことや従業員に楽をさせるためのものではなく、限られた時間内で業務の無駄を省き生産性を高めるための業務改革です。
たとえばテレワークやフレックスタイム制を導入することで、従業員は育児や介護といったライフイベントと仕事を両立しやすくなります。結果として企業は貴重な人材の流出を防ぎながら、持続的な成長を実現するための組織基盤を築くことができます。
ワークライフバランスの推進は企業にさまざまな成果をもたらします。採用力の強化や生産性の向上など、経営基盤を強固にする主要な8つのメリットを紹介します。
ワークライフバランスの整備は優秀な人材を獲得する強力な武器になります。求職者の多くは労働環境の良さを重視しており、働きやすさをアピールできる企業に魅力を感じるからです。
たとえば求人票にリモートワーク可や平均残業時間の短さを具体的に掲載すると応募者が増加します。ワークライフバランスに配慮した環境づくりは競合他社との差別化を生み、採用活動を有利に進める要素となります。
ワークライフバランスの推進は貴重な社員の離職を防ぐ効果があります。家庭の事情と仕事を両立できる環境があれば、ライフイベントを理由にした退職を回避できるからです。
たとえば育児休業や時短勤務制度が整っていれば、出産後も安心して働き続けることができます。社内での経験やノウハウを持つ熟練社員の流出を防ぐことは、業務の安定化や採用育成コストの削減に直接つながります。
時間あたりの生産性を意識することで業務の効率化が急速に進みます。労働時間に上限がある前提で動くことで、社員自らが無駄な業務や会議を削る意識を持つようになるからです。
たとえば打ち合わせ時間を短縮したり業務自動化ツールを導入したりする取り組みが現場から生まれます。時間的な制約を意図的に設けることは、業務プロセスの見直しを促し組織全体の生産性を高める契機となります。
時間に余裕ができることで社外からのインプットが増えて新しい価値の創出につながります。社員がプライベートで多様な人と交流したり新しい学びを得たりすることで、ビジネスの視野が広がるからです。
たとえば社外セミナーで得た知識を自社の新規事業提案に活かした事例があります。社外での刺激や知識の吸収は固定観念を打破し、イノベーションを生み出す源泉となります。
適正な労働時間の管理は社員のメンタルヘルス改善に貢献します。過度な長時間労働や不規則な勤務が解消されることで、心身の疲労が蓄積しにくくなるからです。
ストレスチェックの改善や体調不良による欠勤率低下といった具体的な効果が見込まれます。社員の健康を守る取り組みは休職リスクを下げ、不調に伴う業務の停滞を未然に防ぎます。
労働時間を適正化することで不要な残業代というコストを抑制できます。だらだらと残業をする習慣がなくなり、定められた時間内で成果を出す意識が定着するからです。
効率的な働き方が定着すれば不要な残業が削減され、固定費の肥大化を防げます。削減できた人件費を設備投資や社員への還元に回すことで、健全な経営循環が生まれます。
適切な労務管理を行う姿勢は社会的信用の獲得につながります。コンプライアンスを遵守し社員の働きやすさに配慮している企業は、ステークホルダーからの信頼を得やすいからです。
ESG投資や持続可能な経営が注目される現在では、労働環境の整備が取引条件になることもあります。社会的評価の向上は長期的かつ安定的な事業展開を支える基盤となります。
働きやすい環境を整えることで公的な認定や外部機関からの評価を獲得できます。優良な労働環境を提供する企業として客観的に証明されることで、企業ブランディングが強化されるからです。
たとえば厚生労働省の認定資格などを取得すれば、企業の健全性を外部へ強くアピールできます。客観的な評価を得ることは信頼性を高め、ビジネスの機会拡大に貢献します。
ワークライフバランスの推進には一定の課題やリスクも存在します。導入時に生じる主な8つのデメリットを理解し対策を講じることが重要です。
柔軟な働き方を実現するためには初期の設備投資コストが発生します。テレワーク環境やセキュリティ体制を整える必要があるからです。
たとえば社員へのパソコン貸与や勤怠管理システムの導入にはまとまった費用がかかります。事前に必要なコストを試算し段階的に設備投資を進める計画性が求められます。
制度設計や運用体制の見直しに伴い人事部門の業務負担が一時的に増大します。多様な働き方に対応するための就業規則の改定や新たな運用ルールの構築が必要だからです。
たとえばフレックスタイム制の導入にあたり労働時間の集計ルールを再設計する手間が生じます。導入初期は人事担当者の業務量が増加するため計画的なタスク管理が必要です。
従来の勤務時間に応じた評価から成果基準への移行が難航する場合があります。在宅勤務では働いている姿を直接確認できず従来通りの評価基準が適用できなくなるからです。
たとえば労働時間の長さではなく達成した成果物や目標達成度で評価する仕組みが必要になります。明確な評価基準を策定しないと社員の不満やモチベーション低下につながります。
管理職におけるマネジメントの難易度が上がり負担が増加します。部下が異なる時間や場所で働く環境では状況の把握や意思疎通が難しくなるからです。
たとえば対面での気軽な雑談が減ることで部下の進捗状況や不調に気づきにくくなります。定期的な面談やツールを活用した連絡など管理職へのサポート体制を整える必要があります。
職種によって制度の適用しやすさが異なり社内に不公平感が生まれるリスクがあります。現場での対面業務が必要な職種ではリモートワークなどの導入が難しいからです。
たとえば本社の事務職が在宅勤務を行う一方で店舗や工場の社員は出社が必須となります。手当の支給や別形態での働きやすさ支援など不公平感を解消する工夫が不可欠です。
柔軟な働き方の導入により部署間での連携や業務調整の手間が増えることがあります。メンバーの勤務時間や勤務場所がばらばらになると連絡がつきにくくなるからです。
たとえば急な相談が生じた際に相手の勤務時間外でやりとりが滞る事例が発生します。連絡可能なコアタイムの設定や情報共有のルール化により連携をスムーズにする対策が必要です。
短期的または突発的なトラブルが発生した際に対応が遅れる危険性があります。残業を削減する取り組みを進めていると迅速な人員の確保が難しくなるからです。
たとえばシステム障害や顧客からの急な依頼に対して即座に対応できない恐れがあります。非常時の対応手順をあらかじめ定めバックアップ体制を構築しておくことが大切です。
繁忙期に業務が逼迫し現場の負荷が高まる可能性があります。業務プロセス自体の見直しを行わずに労働時間だけを削減すると業務が溢れてしまうからです。
たとえば決算期や繁忙期に残業禁止を徹底した結果業務が完了しないリスクが生じます。時間削減だけでなく業務の棚卸しや標準化を並行して推進することが成功の鍵となります。
ワークライフバランスのメリットとデメリットは単純な数の比較で判断するべきではありません。メリットとデメリットでは発生する時期やコントロールのしやすさが大きく異なるからです。
自社の成長に向けた判断軸となる4つの捉え方を解説します。
導入時のデメリットは一時的ですがメリットは永続的な効果をもたらします。システムの導入コストや運用時の混乱は体制が整うことで徐々に解消されるからです。
たとえば初期の設備投資費用や人事制度の見直しは導入時だけの問題であり運用が軌道に乗れば落ち着きます。一方で向上した採用力や定着率といった成果は将来にわたり自社の資産として残り続けます。
そのため変化に伴う短期的な負担だけにとらわれず長期的な経営上のメリットに着目することが大切です。
デメリットは自社の対策で予防できますが取り組まないリスクは回避できません。制度設計やコミュニケーションの工夫によって課題の発生リスクを減らせるからです。
たとえば部署間の不公平感は手当の整備で軽減でき評価の難しさは成果基準の明確化で解決できます。一方で環境整備を怠ることで発生する離職や採用難は外部の労働市場の変化によるもので自社では防げません。
対策可能な社内の課題を恐れるよりも外部環境の変化による致命的なリスクを防ぐ意識が重要です。
制度の推進を検討する際は導入に伴うデメリットと現状維持のリスクを比較することが欠かせません。推進に伴うコストよりも何もしないことで生じる損失の方が経営に与える影響が大きいからです。
具体的には以下の表のように二つのシナリオによる影響の違いを比較して判断します。
| 比較軸 | ワークライフバランスを推進する場合 | 現状維持を選ぶ場合 |
| 影響の性質 | システム費用や一時的な管理負担が発生する | 採用計画の未達や若手社員の離職が増加する |
| 致命度 | 予算調整や運用の見直しで対処できる | 人手不足による事業縮小など致命傷になり得る |
一時的な運用負荷を恐れて現状維持を選ぶことは長期的にはより大きな経営リスクを抱えることになります。
ワークライフバランスは全社一括ではなく段階的に導入することでリスクを最小化できます。小さな単位で検証と改善を繰り返すことで現場の混乱を防ぐことができるからです。
たとえば一部の部署でテレワークや時短勤務を先行して試行し生じた課題を解決した上で全社へ展開します。一気にすべての制度を導入するのではなく自社の身の丈に合わせた範囲から着手することが成功のポイントです。
課題を一つずつ潰しながら進めることで無理のない組織改革を実現できます。
A:採用力の強化と離職防止により優秀な人材が定着し長期的な生産性が向上することです。
A:設備コストや制度変更などの負担は一時的なため段階的な導入でリスクを最小化することが有効です。
自社に適したワークライフバランスの推進方法や制度設計について悩んだら、企業の規模や業界を問わずウェルビーイング力向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズへお気軽にご相談ください。
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