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組織力を高めるために従業員のウェルビーイングが重要である3つの理由

急速に変化する社会環境、価値観の多様化、そして働き方改革。これらの影響により、従来の「成果主義」や「効率性重視」だけでは持続可能な成長を実現することが難しくなっています。

従業員が疲弊し、離職率が高まり、チームワークが機能不全を起こす——こうした問題の背景には、「人の状態」が置き去りにされてきたことが考えられます。

そこで近年、注目されているのが「ウェルビーイング(Well-being)」という考え方です。これは単に身体的な健康だけでなく、精神的・社会的にも良好な状態を指し、個人の満足度や幸福度を重視する概念です。

そして今、企業や組織運営において、このウェルビーイングが「組織力の基盤」として位置づけられ始めています。

この記事では、なぜ従業員のウェルビーイングが組織力を高める土台となるのかについてや従業員のウェルビーイングを実現するために組織が取り組むべき実践方法についてご紹介します。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

そもそもウェルビーイングとは?

まずは、ウェルビーイングの定義について見ていきましょう。

世界保健機関(WHO)憲章のウェルビーイングの定義

世界保健機関憲章のウェルビーイングの定義は以下の通りです。

原文
HEALTH IS A STATE OF COMPLETE PHYSICAL, MENTAL AND SOCIAL WELL-BEING AND NOT MERELY THE ABSENCE OF DISEASE OR INFIRMITY.

日本語訳
健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、單(ひとえ)に疾病又は病弱の存在しないことではない。

(引用元:外務省『世界保健機関憲章』

原文の「WELL-BEING」の日本語訳は、「福祉の状態」です。福祉の状態とは、「幸福な状態」「満たされている状態」のことを指します。つまり「肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされていて、幸福な状態」のことをウェルビーイングと定めています。

厚生労働省のウェルビーイングの定義

厚生労働省のウェルビーイングの定義は以下の通りです。

「ウェル・ビーイング」とは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念。

(引用元:厚生労働省『雇用政策研究会報告書』

厚生労働省の資料には、「就業面からのウェル・ビーイングの向上が労働者一人ひとりの能力発揮を通じ、企業の生産性向上に寄与する」と書かれています。また「企業の生産性向上が、就業面からのウェル・ビーイングの向上のための原資をもたらす」とも書かれています。

つまりウェルビーイング経営を推進していく企業が増えることで、企業の生産性も向上し、さらに人々のウェルビーイングの実現にもつながるということです。

組織力を高めるために従業員のウェルビーイングが重要である3つの理由

組織力を高めるために従業員のウェルビーイングが重要である理由は以下の3つです。

  1. パフォーマンス向上につながるから
  2. チームのつながりを強めるから
  3. エンゲージメントを高めるから

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. パフォーマンスの向上につながるから

どれほど優れたスキルや戦略があっても、それが十分に発揮できるかは従業員の心身の状態にかかっています。従業員が心身ともに健康であれば、集中力・判断力・創造性など仕事のパフォーマンスが十分に発揮されるでしょう。

反対に、ストレスや疲労、不安が蓄積していれば、本来の力を発揮できず、業務パフォーマンスも低下してしまいます。このように従業員がウェルビーイングであることは、持続的に成果を上げるためのパフォーマンスの源であり、組織力の土台と言えます。

2. チームのつながりを強めるから

従業員それぞれのウェルビーイングが高まることで、人間関係にもポジティブな影響が及びます。例えば、心に余裕のある従業員は、他社員に対しても寛容になりやすく、協調的な態度が自然に生まれるはずです。

その結果、チーム内での信頼や助け合いが促進され、心理的安全性の高い職場につながります。そのため従業員それぞれがウェルビーイングを高めることは、単に個人の問題ではなく、組織全体にポジティブな連鎖をもたらす起点になるものです。

チームのつながりが強い組織では、情報共有・アイデアの創出・フィードバックなどが活性化し、組織力が格段に高まります。

3. エンゲージメントを高めるから

従業員のウェルビーイングが高いほど、離職率は低く、エンゲージメントは高くなる傾向にあります。一方で、心身の負担が大きい職場では、短期的な成果は出せても、長期的には人が離れ、ノウハウも蓄積されません。

定着率の向上は、採用・育成にかかるコストを削減するだけでなく、チーム内の経験値や結束力を高め、組織の成長に直結します。ウェルビーイング向上への投資は、「人材を活かし続ける」ための有効な打ち手と言えるでしょう。

【事例】組織として取り組むべき4つのウェルビーイング施策

従業員のウェルビーイングを実現するために、組織として取り組むべき施策は以下の通りです。

  1. 健康支援
  2. 柔軟な働き方の推進
  3. 心理的安全性を高める風土の醸成
  4. 自己理解と内省の機会提供

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1. 健康支援

定期健康診断の徹底はもちろんのこと、従業員の健康を支援できるような制度を設けると、従業員のウェルビーイングにつながります。スカイベイビーズでは、栄養管理士の資格を持つメンバーが他のメンバーに対して健康指導を行っていたり、ヘルスケア情報をまとめた新聞を定期的に配信していたりします。社内で1週間の歩数を競い合うウォーキング大会を開催したこともあり、積極的に従業員の健康を支援しています。

2. 柔軟な働き方の推進

働き方の柔軟性を高めることも、従業員のウェルビーイングを実現するのに欠かせません。たとえばリモートワークやフレックス制度を導入することで、社員は自分のライフスタイルに合わせて働くことができるようになります。

また、副業や兼業を認めることもひとつの従業員が働きやすさを感じる制度のひとつです。スカイベイビーズでは、フルリモート、スーパーフレックス、副業・兼業推奨といった環境に整えており、従業員がより柔軟な働き方ができるようにしています。

3. 心理的安全性を高める風土の醸成

制度の整備に加えて、日々のコミュニケーションや職場の雰囲気も、従業員がウェルビーイングを実現できるかどうかに大きな影響を与えます。たとえば、上司と部下が定期的に対話できる1on1ミーティングを仕組み化することで、信頼関係を築きやすくなりますし、ポジティブなフィードバックや感謝を伝え合う機会を設けるようにすると、職場全体に心理的安全性が高まります。

スカイベイビーズでは、オンラインミーティングの際にチェックインの時間を設けるようにしており、その時の自分の感情やモヤモヤしていることなどを共有し合うようにしています。

4. 自己理解と内省の機会提供

従業員一人ひとりが自分の状態に気づき、どのような働き方が自分にとって心地よいのかを考える機会も必要です。スカイベイビーズでは、健康アンケート、働き方の調査、社内満足度調査を年に1回実施しています。ただアンケートや調査を実施するだけではなく、結果をもとにそれを改善するための取り組みを企画、実施することを意識しています。

ウェルビーイングを起点に組織力の強化を

これからの時代、組織力は「人をどれだけ活かせるか」にかかっています。そのためには、従業員一人ひとりが心身ともに健やかで、自分らしく働ける、いわゆるウェルビーイングを実現できる環境づくりが必要不可欠です。

健康支援、柔軟な働き方、良好な関係性など、多面的なアプローチが求められますが、共通するのは「従業員を大切にする姿勢」です。人が活きる組織こそが、変化に強く、未来を切り拓いていけるでしょう。

なお、「自社の従業員のウェルビーイングはどんな状態にあるんだろうか?」と気になった際には無料・登録も不要でウェルビーイング度合いを測定できる「ソラミドウェルビーイング(しごととあなたのウェルビーイング診断)」をご利用ください。

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