働きがい改革とは?働き方改革との違いや背景、メリットをわかりやすく解説

働きがい改革とは、社員が仕事に意味や誇りを感じ、意欲的かつ主体的に働ける状態をつくる取り組みです。労働環境を整える働き方改革の次の段階にあたり、両者には次のような違いがあります。

  • 働き方改革:労働時間や休暇、働く場所など、働く環境を整える
  • 働きがい改革:仕事の意味や成長、信頼関係など、働く人の内面に働きかける

本記事では、ウェルビーイング経営を支援する株式会社スカイベイビーズの監修のもと、国内外の調査データをもとに、働きがい改革が注目される背景や海外の状況を解説します。あわせて、企業と社員の双方にとってのメリット、進め方と注意点もわかりやすく紹介します。

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働きがい改革とは

働きがい改革とは、社員が仕事に意味や誇りを感じ、意欲的かつ主体的に働ける状態をつくる取り組みのことです。法律で定められた用語ではなく、働き方改革の次の段階として、企業や自治体などが使い始めた言葉です。

働き方改革との違い

働き方改革と働きがい改革の違いは、改革の対象が働く環境なのか、働く人の内面なのかという点にあります。働き方改革は、2019年4月から順次施行された働き方改革関連法にもとづき、長時間労働をなくし、ワーク・ライフ・バランスと多様で柔軟な働き方の実現を目指す取り組みです。

一方で働きがい改革は、仕事や役割への誇り、やる気、組織や上司との信頼関係、仲間との連帯感など、一人ひとりがやりがいを持って主体的に働ける環境を整える取り組みです。

観点働き方改革働きがい改革
目指すもの働きやすさ働きがい(やりがい)
主な対象労働時間、休暇、働く場所などの環境仕事の意味、成長実感、信頼関係などの内面
位置づけ法律にもとづく取り組み働き方改革の次の段階として各社が自主的に行う取り組み

※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html、https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcm-hatarakikata/gai-commentary.html

働きやすさと働きがいの関係

働きやすさと働きがいは、どちらか一方ではなく、両方がそろってはじめて社員の力が発揮されます。広島県は、この関係を心理学者ハーズバーグの二要因理論で説明しています。

二要因理論では、達成感や成長などの「動機付け要因」は、満たされるほどやる気が高まるとされます。一方で労働環境や給与などの「衛生要因」は、不満をなくすためには必要ですが、それだけで満足が生まれるわけではありません。

働きやすさは主に衛生要因に、働きがいは動機付け要因にあたります。なお、働きやすさと働きがいの違いは下記記事で解説しています。合わせておよみください。

※関連記事:働きやすさと働きがいの違いとは?企業が取り組むべき順番と具体策

働きがい改革が注目される背景

働きがい改革が注目される最大の理由は、人手不足が深刻になる中で、働きやすさを整えるだけでは人が定着せず、生産性も上がらないとわかってきたことです。その背景は、大きく次の4つに分けられます。

時期出来事働きがい改革とのつながり
2008年〜日本が人口減少局面に入る人材の確保と定着が経営課題に
2019年4月〜働き方改革関連法が順次施行働きやすさの整備が全国的に進む
2019年9月厚生労働省『令和元年版 労働経済の分析』国が働きがいを数値化して分析
2020年〜コロナ禍でテレワークが普及つながりや一体感の低下が新たな課題に
2020〜2022年人材版伊藤レポート、人的資本可視化指針エンゲージメントが開示項目の例に
2023年3月期〜有価証券報告書で人的資本の開示が義務化働きがいが投資家から見られる指標に

深刻な人手不足

人手不足が深刻になり、今いる社員に長く意欲的に働いてもらうことが経営課題になりました。2018年度の有効求人倍率は1.62倍と45年ぶりの高水準となり、2019年3月の調査では、人手不足感がバブル期に次ぐ水準に達しています。

日本は2008年をピークに人口減少局面に入っており、将来的にも生産年齢人口や就業者数の大幅な減少が予想されています。

※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/19/19-1.html

働き方改革による働きやすさの改善

働き方改革によって働きやすさが整ってきたことで、次の段階として働きがいに目が向けられるようになりました。働き方改革関連法の施行後、年次有給休暇の取得率は上がり続け、2024年には66.9%と過去最高になりました。

2019年には厚生労働省の労働経済白書が、働きがいの指標としてワーク・エンゲイジメント・スコアを紹介し、スコアが高いほど人材の定着率や企業のパフォーマンスが向上するとしました。国が公式に、働きやすさの次は働きがいだと示した節目といえます。

※参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/houdou.pdf

働きやすさだけでは成果が出ない現実

働きやすさを整えるだけでは、社員の満足度や会社の業績は上がらないことがわかってきました。多くの企業の働き方改革を支援してきた越川慎司氏は、働きやすさを追求するだけでは会社の成長率や離職率は改善せず、社員の不満を解消しても満足度は上がらなかったと述べています。

不満がないことと、意欲的に働けていることは別物です。不満を減らす取り組みに加えて、仕事への意欲そのものを高める取り組みが求められるようになりました。

※参考:https://president.jp/articles/-/89468

人的資本開示の広がり

働きがいは、投資家からも企業価値を測る指標として見られるようになっています。2023年3月期決算から、有価証券報告書を提出する上場企業などに、人的資本の情報開示が義務化されました。

2022年8月に内閣官房が公表した人的資本可視化指針でも、開示項目の例として挙げられた19項目の一つにエンゲージメントが含まれています。社員の働きがいは、社内だけの問題ではなく、社外に説明すべき経営課題になっています。

※参考:https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20260323_1.pdf、https://www.fs.hub.hit-u.ac.jp/inc/files/staff-research/workingpaper/FS-2024-J-003.pdf

働きがい改革を始めるタイミング

働きがい改革は、働き方改革が完了するのを待つ必要はなく、並行して進めるのが基本です。ただし、法律で定められた最低限の労働環境だけは、先に守っておく必要があります。

働き方改革と並行して進める

働きやすさと働きがいは、順番に取り組むものではなく、両輪として同時に進めるものです。広島県も、これからの働き方改革を、働きやすさの整備に加えて、社員が働きがいを持って意欲的・自律的に働ける職場づくりに取り組むことだとしています。

実際に、テレワークや定年延長といった働きやすさの施策と、役員との対話や評価制度の見直しといった働きがいの施策を、同じ時期に進めて成果を上げている企業もあります。働きがいの施策の中には、戦略の浸透のように、大きな制度改革をしなくても始められるものもあります。

※参考:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcm-hatarakikata/gai-commentary.html、https://www.taisei-setsubi.jp/corporate/engagement/

先に守るべき最低ライン

働きやすさがまったく整っていない状態で働きがいだけを語るのは、かえって逆効果です。長時間労働の是正や有給休暇の取得などは、働き方改革関連法にもとづく法的な義務なので、後回しにはできません。

また、過重労働が続く職場で「やりがいを持とう」と呼びかけると、社員には労働条件の問題をすり替えているように映りかねません。法律で求められるルールを守ったうえで、深刻な不満の解消と働きがいの施策を並行して進めましょう。

※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html

海外における働きがい改革の状況

海外にも日本の働きがい改革と同じ方向の取り組みはありますが、出発点が異なります。日本では働き方改革の次の段階として語られるのに対し、海外では社員の仕事への熱意や会社への愛着を経営指標と捉え、長年にわたって高める取り組みが続けられてきました。

観点日本海外
呼び方働きがい改革(働き方改革の次の段階)エンゲージメント、社員の体験、ウェルビーイング
きっかけ人手不足と働き方改革の限界生産性と業績を高める経営課題として長年の取り組み
現状(2025年)8%と世界でも最低水準20%と2年連続で低下
共通の課題管理職・経営層への信頼の揺らぎ管理職・経営層への信頼の揺らぎ

世界でも低下している働きがい

海外の企業がうまくいっているわけではなく、世界全体で働きがいの低下が問題になっています。Gallupの2026年版レポートによると、2025年の世界のエンゲージメントは20%まで下がり、2020年以来の最低水準となりました。

これによる生産性の損失は、世界経済全体で約10兆ドルと推計されています。なかでも落ち込みが大きいのが管理職で、2024年から2025年の1年間で27%から22%へと5ポイント下がりました。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/349484/state-workplace.aspx

世界でも最低水準にある日本

日本の働きがいは、世界の中でも際立って低い水準にあります。同じ調査で、日本のエンゲージメントは8%にとどまり、世界平均の20%を大きく下回りました。

世界全体では働きがいが下がり始めているのに対し、日本はもともと低い状態が長く続いている点が大きな違いです。見方を変えれば、日本企業には働きがいを高める余地がまだ大きく残されています。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/705794/state-global-workplace-japan-country-level-data.aspx

働きがい改革で目指す状態

働きがい改革で目指すのは、社員が仕事に活力と熱意を持って没頭し、それを支える意味・成長・信頼・つながり・貢献が職場で満たされている状態です。国内外で使われている代表的な5つのモデルから、働きがいが高い状態を具体的に見ていきましょう。

活力・熱意・没頭がある状態

働きがいを一人ひとりの心の状態として捉えるのが、ワーク・エンゲイジメントの考え方です。オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授が提唱した概念で、2019年の厚生労働省の労働経済白書でも働きがいとして取り上げられています。

次の3つがそろった状態を、働きがいが高い状態とします。

要素高い状態
活力仕事から活力を得て、いきいきとしている
熱意仕事に誇りとやりがいを感じ、意味を見出している
没頭仕事に夢中になり、熱心に取り組んでいる

※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/19/19-1.html

信頼・誇り・連帯感がある状態

働きがいを職場の信頼関係として捉えるのが、Great Place to Work Institute Japanのモデルです。同社は、あらゆる社員が会社やリーダーを信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、仲間と連帯感を持てる会社を、働きがいのある会社と定義しています。

立場や仕事内容、働く場所に関係なく、全員がそう感じられることが条件です。

要素高い状態
信用社員が経営層や管理職を信用している
尊重社員が経営層や管理職から尊重されていると感じている
公正社員が経営層や管理職から公正に扱われていると感じている
誇り社員が自分の仕事に誇りを持っている
連帯感社員が職場で仲間との連帯感を感じている

同社は、これらの要素が高いレベルにある状態でこそ、人は潜在能力を最大化できるとしています。

※参考:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/583846.pdf、https://toyokeizai.net/articles/-/678407?display=b

4つの段階が満たされた状態

働きがいを満たすべき欲求の段階として捉えるのが、米国Gallup社のQ12です。Gallupは100万人以上の管理職へのインタビューをもとに、社員と会社の間の暗黙の約束の核となる12の要素を特定し、基本的な欲求から成長までの段階構造に整理しました。

段階社員の問い高い状態の例
基本的な欲求自分は何を得られるか仕事で何を期待されているかがわかっている
個人の貢献自分は何を提供できるか職場で自分の意見が尊重されている
チームワーク自分はここに属しているか同僚が質の高い仕事に打ち込んでいる
成長自分はどう成長できるか仕事を通じて学び、成長する機会がある

役割の明確さなどの基本的な欲求が満たされてはじめて、目的意識や成長といった上の段階の条件が根づくとされています。

※参考:https://hr.uiowa.edu/sites/hr.uiowa.edu/files/2021-06/12%20questions.pdf、https://www.gallup.com/workplace/321725/gallup-q12-meta-analysis.aspx

5つの心理的要素が満たされた状態

国内の行政が示したモデルとして参考になるのが、広島県のモデルです。広島県では、社員が所属する組織で働く価値を感じながら、意欲的かつ自律的に仕事に取り組めている状態を働きがいと考えています。

その働きがいを生むのが、仲間との連帯感、組織への信頼、組織への貢献、仕事への誇り、仕事を通じた成長・自己実現の5つの心理的要素です。これらを高めるには、制度づくり、効果的なマネジメント、企業文化の醸成の3つの面から組織として働きかける必要があるとしています。

※参考:https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hcm-hatarakikata/gai-commentary.html

幸せの4つの因子が高い状態

働きがいを幸せ(ウェルビーイング)の観点から捉えるのが、慶應義塾大学の前野隆司教授による幸せの4つの因子です。日本人1,500人へのアンケート調査を因子分析し、人が幸せになるために必要な4つの因子が導き出されました。

因子内容
やってみよう!因子自己実現と成長
ありがとう!因子つながりと感謝
なんとかなる!因子前向きと楽観
ありのままに!因子独立と自分らしさ

前野教授は、やってみよう!因子はやりがいにあたると説明しています。この4つの因子が高まる働き方をしていると、社員の幸福度は高まるとされています。

※参考:https://jp.ext.hp.com/techdevice/business/jbp_o08/、https://www.advertimes.com/?p=324092

働きがいが高い状態に共通する要素

5つのモデルに共通するのは、意味・成長・信頼・つながり・貢献の5つの要素です。これらが満たされた結果として、社員が仕事に活力と熱意を持って没頭している状態が生まれます。

共通する要素高い状態対応するモデル
意味・誇り自分の仕事に意味を感じ、誇りを持っているワーク・エンゲイジメント(熱意)、GPTW(誇り)、広島県(誇り)
成長仕事を通じて学び、成長を実感しているGallup(成長)、広島県(成長・自己実現)、前野(やってみよう)
信頼・公正経営層や上司を信頼し、公正に扱われていると感じているGPTW(信用・尊重・公正)、広島県(信頼)
つながり仲間との連帯感や、所属している実感があるGPTW(連帯感)、Gallup(チームワーク)、広島県(連帯感)、前野(ありがとう)
貢献・承認自分の役割が明確で、貢献が認められているGallup(基本的な欲求・個人の貢献)、広島県(貢献)

働きがい改革の企業にとってのメリット

働きがいが高い組織ほど、利益や人材の定着、安全などの面で成果が良いことが、国内外の大規模な調査で繰り返し確認されています。これが、企業にとっての最大のメリットです。

指標働きがいが上位25%と下位25%のチームの差(中央値)
利益23%
離職(離職率が高い組織)21%
離職(離職率が低い組織)51%
労働災害63%
欠勤78%

出典:Gallup Q12メタ分析(第11版、18万以上のチームが対象)

離職の防止

働きがいが高い職場ほど、社員は辞めにくくなります。Gallupの分析によると、働きがいが上位25%のチームは下位25%のチームより、離職が21〜51%少ない結果でした。

厚生労働省の労働経済白書でも、働きがいの向上によって定着率や離職率が改善する可能性が示されています。採用が難しい今、育てた人材を失わずに済むことの意味は小さくありません。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/321725/gallup-q12-meta-analysis.aspx

生産性と利益の向上

同じ人数でも、意欲を持って働く人が増えれば成果は上がりやすくなります。前述のGallupの分析では、上位25%のチームは下位25%のチームより利益が23%高くなっていました。

厚生労働省も、働きがいの向上によって労働生産性や顧客満足度が改善する可能性を示しています。いずれも相関関係を示すもので、取り組めば必ず利益が上がるわけではありませんが、多くの調査で同じ傾向が確認されています。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/321725/gallup-q12-meta-analysis.aspx

事故や欠勤の減少

働きがいの高さは、安全面にも表れます。同じ分析で、上位25%のチームは下位25%のチームに比べて、労働災害が63%、欠勤が78%少ない結果でした。

建設業や製造業、医療など、現場での作業が多い業種ほど効果が期待できます。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/321725/gallup-q12-meta-analysis.aspx

採用力と企業価値の向上

働きがいは、社外からの評価を高めることにもつながります。人的資本の開示が広がる中で、働きがいは投資家が企業価値を判断する材料の一つになりました。

実際に、内閣官房の人的資本可視化指針でも、エンゲージメントは開示が期待される項目の一つに挙げられています。働きがいを高め、その取り組みを発信することは、人材と投資の両方を呼び込む力になります。

※参考:https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20260323_1.pdf、https://www.fs.hub.hit-u.ac.jp/inc/files/staff-research/workingpaper/FS-2024-J-003.pdf

働きがい改革の社員にとってのメリット

働きがい改革は、経営だけでなく社員にとってもメリットの大きい取り組みです。特にストレスの軽減や人生全体の満足度の向上は、国内外の調査データで裏付けられています。

社員にとってのメリット主な根拠
ストレスの軽減Gallup:働きがいの影響は働く場所の3.8倍
人生全体の満足度の向上Gallup:熱意を持つ社員の半数は人生全体でも充実
心身の健康Gallup:不満の強い社員ほど病欠が多い
成長と正当な評価評価制度の見直しやキャリア開発への投資
自分の声が届く実感社員の声を聞き、応える仕組みづくり

ストレスの軽減

働きがいを持って働けている人ほど、ストレスが少ない傾向があります。Gallupの分析では、仕事に熱意を持って取り組めている社員は、生活の中で感じるストレスが大幅に低いことがわかっています。

さらに、働きがいがストレスに与える影響は、働く場所の3.8倍でした。どこで働くかより、日々の仕事にどれだけ熱意を持って関われているかの方が、ストレスを減らすうえで重要だといえます。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/506798/globally-employees-engaged-stressed.aspx

人生全体の満足度の向上

働きがいは、仕事の時間だけでなく、人生全体の満足度にも影響します。Gallupのレポートでは、仕事に熱意を持っている社員の半数が、人生全体でも充実した状態にあるとされています。

逆に、仕事に強い不満を抱えて働いている状態は、ストレスや不安、孤独といった多くの項目で、失業しているのと同じか、それより悪い結果でした。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/506798/globally-employees-engaged-stressed.aspx、https://news.gallup.com/businessjournal/147443/good-job-means-good-life.aspx

心身の健康

働きがいは、心と体の健康とも深く結びついています。仕事に強い不満を抱えている社員は、熱意を持って働いている社員に比べて、過去1か月に3日以上病欠した割合がかなり高くなっています。

厚生労働省の労働経済白書でも、働きがいの向上によって、働く人のストレスや疲労感が改善する可能性が示されています。働きがい改革は、社員のウェルビーイングを高める取り組みでもあります。

※参考:https://news.gallup.com/businessjournal/147443/good-job-means-good-life.aspx

成長と正当な評価

働きがい改革で行われる施策の多くは、社員自身の成長や評価への納得感に直結します。たとえば、評価基準を明確にする、評価期間中に上司が支援する面談を設ける、キャリア開発やリスキリングに投資するといった取り組みです。

こうして身につけたスキルや経験は、会社の外でも通用する社員自身の財産になります。

自分の声が届く実感

社員の声を聞き、それに応える仕組みは、自分の意見で職場を変えられるという実感につながります。たとえば英国の水道会社United Utilitiesでは、自分の声が届いていると答えた社員が90%にのぼり、離職率も4%と低く抑えられています。

声を上げれば職場が変わるという経験が、仕事への主体性を育てます。

※参考:https://corporate.unitedutilities.com/corporate/responsibility/employees/engagement/

働きがい改革の進め方

働きがい改革は、新しい制度をいきなりつくるより、現状を測り、結果に応え、小さく試すという流れを年単位で繰り返すことが効果的です。基本となるのは、次の3つのステップです。

現状を測る

最初の一歩は、短い社員アンケートで、働きがいの現状を数字と言葉で把握することです。設問は、仕事のやりがいや成長実感、評価への納得感、上司との関係など、前述の共通する5つの要素をもとに選ぶと効果的です。

心身の状態を問う設問も加えておくと、疲れや不安など、スコアの背景にある課題も見えやすくなります。

結果を社員に返して応える

アンケートの結果は、良い点も課題も含めて社員に返し、取り組むテーマを1〜2個に絞って宣言しましょう。調査をして何も返さないと、調査をしなかったとき以上に社員の信頼を失います。

すぐに直せる小さな不満を先に解消すると、声を上げれば変わるという実感が生まれます。

小さく試してから広げる

課題の大きい領域から、一つの部署や希望者だけで2〜3か月の試行を行い、効果を確かめてから全社に広げます。大きな制度を一度に入れると、うまくいかなかったときに撤回しにくくなるためです。

各ステップの詳しい進め方や注意点は、「働きがいを高めるには?成功企業に共通する7つのポイントと最初にやるべき施策」で、実際の企業の取り組みは「働きがいを高める具体例11選|国内・海外企業の取り組みと共通するポイント」で解説しています。

働きがい改革の注意点

働きがい改革は、進め方を誤ると、かえって社員の信頼や意欲を損なうことがあります。特に押さえておきたいのは、次の3点です。

形だけの調査は逆効果になる

働きがいの調査をしても結果に応えなければ、調査をしなかったとき以上に社員の信頼を失います。実際に、海外の先進企業でも、米国GitLabでは調査を受けて行動が起きると思う社員が58%、ドイツのDeutsche Telekomでは調査後のフォローへの評価が65%と、いずれも低い結果でした。

調査を始める前に、結果をいつ共有し、少なくとも何に手を打つのかを経営として決めておくことが大切です。

※参考:https://handbook.gitlab.com/handbook/people-group/engagement/、https://report.telekom.com/hr-factbook/2025/organizational-culture/results-from-pulse-survey-2025.html

やりがいの押し付けにしない

働きがい改革は、会社が社員にやりがいを押し付ける取り組みではありません。労働条件を改善しないまま社員にやりがいだけを求めると、いわゆる「やりがい搾取」と受け取られ、信頼を損ないます。

これを防ぐには、働きがいのスコアとあわせて、ストレスや疲労感など社員の心身の状態も測ることが有効です。働きがいのスコアが上がっても心身の負担が増えていれば、本当の改善とはいえません。

成果が出るまでに時間がかかる

働きがいの総合スコアは簡単には動かないため、年単位で取り組む前提が必要です。国内の先進企業でも、サイボウズは10年以上、人材業界向けシステムを手がけるブレイン・ラボは約4年かけて成果を出しました。

最初の1年は総合スコアだけで判断せず、調査の回答率や自由記述の量など、社員の信頼が戻ってきているかを示す指標の変化を成果として捉えましょう。

※参考:https://teamwork.cybozu.co.jp/blog/aono-makoto.html、https://note.com/brainlab/n/n4601c4837a76

働きがい改革に関するまとめ

Q:働きがい改革とは何ですか?

A:社員が仕事に意味や誇りを感じ、意欲的かつ主体的に働ける状態をつくる取り組みです。労働環境を整える働き方改革の次の段階にあたります。

Q:働き方改革が終わらないと、働きがい改革は始められませんか?

A:いいえ。法律で定められた労働条件を守ったうえで、働き方改革と並行して進めるのが基本です。

Q:働きがい改革には、どのようなメリットがありますか?

A:企業は離職や欠勤の減少、利益の向上が期待できます。社員にとっても、ストレスの軽減や心身の健康につながります。

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※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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