中堅社員が辞める理由とは?離職の原因特定から防止対策まで解説

中堅社員が辞める企業には、特定社員への業務集中や評価への不満など、社員の働きがいや健康を損なう環境が存在します。離職を防ぐには、真因を特定した上で、社員が健全に長く働けるウェルビーイング経営の視点を取り入れた対策が不可欠です。

本記事では、慶應義塾大学・前野隆司教授と共同でウェルビーイング診断ツールを独自開発し、自社でもウェルビーイングの研究・探求を行う株式会社スカイベイビーズが監修し、以下のポイントを解説します。

  • 中堅社員が辞める9つの主な原因
  • 退職の本当の理由を突き止める調査手法
  • ウェルビーイングを高め定着率を向上させる対策手順

自社の中堅社員流出に悩む経営層や人事担当者の方は、持続可能な組織作りのヒントとしてお役立てください。

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この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

中堅社員が辞める主な原因

中堅社員が辞める背景には、特定の社員への負荷集中や評価への不満など、複数の構造的な問題が潜んでいます。ここでは離職につながる9つの主な原因について詳しく解説します。

離職の原因現場で発生しやすい主な症状
業務の過度な集中特定の優秀層に仕事が集中し疲弊する
権限なき責任責任のみ問われ自身の判断で動けない
ロールモデル不在上司やベテランが疲弊し将来に希望が持てない
スキルの停滞単調な業務の繰り返しで成長を感じられない
不公平な評価成果を出しても働かない層より処遇が低い
給与のギャップ自身の市場価値と自社の提示額に差がある
意見の放置業務改善の提案を出しても無視される
過度な管理細かな判断まで承認が必要で裁量がない
働き方の硬直ライフイベントへの柔軟な対応が得られない

一部の優秀な社員への業務集中

中堅社員の離職を防ぐには、特定の人材に業務や負荷が偏る構造を解消することが最も重要です。実務能力が高い社員ほど周囲から頼られ、自身の目標達成だけでなく若手の指導や他部署のフォローまで抱え込む傾向があります。

例えば、営業トップの社員がトラブル対応に追われて自身の業務が圧迫されるケースです。頑張りが正当に報われない状態が続くと限界を迎え、より評価される環境へと転職してしまいます。

権限がないまま課される重い責任

現場の責任だけを問われて裁量権が与えられない環境は、中堅社員の離職率を高めます。成果やトラブル対応の責任を厳しく求められながら、予算や人員配置の決定権がないと精神的に疲弊するためです。

例えば残業削減を指示されても体制変更の権限がなく、自身のサービス残業で埋め合わせる事例があります。自身の意思で状況を変えられない無力感から、身を守るために退職を選ぶようになります。

理想となるロールモデルの不在

社内に目指すべき将来像が存在しない企業では、中堅社員の定着率が著しく低下します。数年後の姿である上司やベテランが疲弊していると、昇進に対する希望を失ってしまうからです。

例えば管理職が連日遅くまで残業し、役員と現場の間で疲弊する姿を見る場合です。役職が上がっても報われないと察した社員は、社内での昇格を目指す情熱を失い、理想のキャリアが描ける他社へ目を向けるようになります。

単調な業務によるスキルの停滞

同じ業務の繰り返しによる成長の停滞感は、中堅社員が会社を去る大きな理由になります。新たな挑戦の機会がないと、他社で通用するスキルが身につかない焦りが生まれるためです。

例えば社内独自のシステム操作や調整業務だけに詳しくなり、専門性が磨かれないと気づくケースがあります。市場価値が高まる時期に成長の頭打ちを感じると、スキルアップが見込める新しい環境を求めるようになります。

成果に見合わない不公平な評価

貢献度に見合わない評価制度は、現場を支える中堅社員の離職を強く引き起こします。成果を出している社員より、年功序列で高給を得るシニア層が存在すると強い不公平感が生まれるためです。

例えば成果を上げないベテランが、深夜まで対応する自分の倍近い給与を得ていると知った場合です。努力を正当に評価しない組織に時間を捧げるのは無駄だと感じ、成果主義の他社へ流出してしまいます。

転職市場との給与水準のギャップ

転職市場における自身の価値と自社給与のギャップは、離職の直接的な決定打になります。他社からのオファーを通じて自身の価値を客観視した際、自社の給与水準が低いと移籍を即断するためです。

例えば現在の年収に対して、他社から大幅に高額なオファーが届くケースが挙げられます。自社での昇給が見込めない場合、適正な金銭評価をしてくれる企業へ移ることは合理的な選択となります。

現場からの改善提案が通らない風土

現場からの改善提案が軽視される風土は、会社への愛着を完全に消失させます。業務課題に対する提案が無視されたり放置されたりすると、組織を変える期待を持てなくなるためです。

例えば業務改善策を提出したにもかかわらず、従来のやり方だからと却下され続ける事例があります。組織は変わらないと諦めた社員は、改革に向けられていた情熱をそのまま自身の転職活動へと切り替えます。

裁量が与えられない過度な管理

極端なマイクロマネジメントは、自律的に働きたい優秀な中堅社員の離職を招きます。細かな判断まで上司の承認が必要な状態では、自身の裁量で仕事を進める面白さを奪われてしまうためです。

例えば軽微な仕様変更にも複数階層の決裁が必要で、スピード感ある対応が阻まれるケースです。自律して能力を発揮できない環境に限界を感じ、裁量の大きい職場へ移っていきます。

ライフステージの変化への対応不足

ライフスタイルの変化に対応できない柔軟性の低い環境は、継続勤務を困難にさせます。結婚や育児などのイベントに対して、柔軟な働き方を支援する制度や風土がないと退職を選ぶしかないためです。

例えば子供の急病や送迎があっても、リモートワークや短時間勤務が認められない事例です。会社側に配慮がないと確信した社員は、仕事と生活を両立できる企業へ移っていきます。

中堅社員が辞める本当の理由の調査方法

離職の表面的な理由に惑わされず、本当の原因を突き止めるには多角的な調査が必要です。ここでは中堅社員の本音を正確に把握するための4つの手法を解説します。

第三者による退職出口調査の実施

退職の本音を把握するには、第三者を通じた退職出口調査の実施が最も有効です。直属の上司や人事との面談では、波風を立てないために建前の理由を語る退職者が多いためです。

例えば、退職後しばらく経ったタイミングで外部機関から匿名アンケートを行う方法があります。会社との利害関係がなくなった状態で回答を得ることで、在職中には言えなかった職場環境や人間関係への不満といった真因を浮き彫りにできます。

属性別データの比較分析

全社データから中堅社員の課題を抽出するには、属性別データの比較分析が欠かせません。全体の平均値だけを見ていては、特定層が抱える固有の不満が埋もれてしまうためです。

例えば、入社5年から10年目の社員に絞って満足度調査の回答を集計し、他年代とのスコア差を検証します。評価の納得感や業務量の適正さといった項目で中堅層のみスコアが低い場合、そこに離職の根本原因があると特定できます。

過去の離職者の行動パターンの分析

退職の予兆を事前に察知するためには、過去の離職者の行動パターン分析が効果的です。辞めていった社員の共通点をデータで把握すれば、離職につながる先行指標が見えるためです。

例えば、過去に退職した中堅社員の前年の残業時間や昇格ペース、チームの若手比率などを分析します。成果を出しているにもかかわらず評価が据え置かれていたなどの共通点が見つかれば、それが離職を招く構造的な要因であると裏付けられます。

現役の中堅社員への個別インタビュー

今まさに起きている現場の課題を捉えるには、現役の中堅社員への個別インタビューが適しています。すでに退職を決めた人だけでなく、現場を支えているキーマンの生の声を拾うことで離職予防につなげられるためです。

例えば、他社からのスカウトに対する本音や、業務上の最大の阻害要因について1対1で深く聞き取ります。心理的安全性を確保した場で対話することで、辞める前段階でのリアルな危機感を察知できます。

中堅社員が辞めるのを防ぐ対策の進め方

原因を特定した後は、単なる応急処置ではなく、社員が健康で意欲的に働ける環境を整えることが大切です。ここではウェルビーイング経営の視点に基づき、中堅社員の離職を防ぐ5つの具体的なステップを解説します。

優先順位の設定と即効性のある施策の実行

離職防止対策を成功させるには、優先順位を設定して即効性のある施策から着手することが重要です。現場の不満に対して会社が迅速に対応する姿勢を示すことで、社員の諦め感を払拭できるためです。

例えば、無駄な会議の廃止や決裁権限の少額緩和など、数週間で実行できる改善を優先します。短期間で変化を感じさせる取り組みを先行させることで、組織改革への信頼と期待を高められます。

段階実施する施策主な目的
即効施策優先順位の設定と迅速な改善諦め感の払拭と信頼回復
構造改革評価制度と業務設計の再設計ウェルビーイング向上と将来不安の解消
現場巻き込み管理職の負荷軽減と評価軸追加現場での施策の確実な運用
情報開示ロードマップ共有と現場対話組織の変革姿勢の透明化
定着監視指標モニタリングと定期対話離職予兆の早期発見と定着

評価制度や業務構造の抜本的な再設計

中堅社員の定着率を根本から高めるには、ウェルビーイング経営の観点を取り入れた抜本的な制度改革が必要です。不公平な待遇や将来への不安といった課題は、社員の心身の健康や働きがいを損なう大きな要因となるためです。

例えば、貢献度に応じた評価還元や多様なキャリアパスの構築に加え、過剰な負荷を減らす業務再設計を行います。心身ともに健全に働ける環境を整えることで、中堅社員が長期間自社で活躍できる基盤を築けます。

現場管理職の巻き込みとマネジメント強化

定着施策を現場で機能させるには、現場管理職を巻き込んでマネジメント力を強化することが不可欠です。制度を変更しても現場の管理職が疲弊していたり運用方法が変わらなければ、効果が出ないためです。

例えば、管理職自身の業務負担を減らした上で、部下の定着率を評価指標に組み込みます。1対1での対話トレーニングなども実施し、現場で寄り添う体制を作ることが大切です。

改善ロードマップの開示と現場との対話

社員の不信感を招かないためには、改善ロードマップを開示して現場と丁寧に対話することが重要です。調査だけ実施して対策が見えないと、会社への諦めが強まるためです。

例えば、経営陣から現場の課題をこのように認識し改善するという方針を発表します。その上で対話の場を設け現場の意見を取り入れながら微調整を行うことで、一体となって改善を進められます。

定着率の継続的なモニタリング

離職防止の取り組みを定着させるには、離職率や意識調査の継続的なモニタリングが必要です。一度の施策で終わりにせずPDCAサイクルを回し続けることで、新たな課題に早期対処できるためです。

例えば、毎月の定着率推移を追うとともに、社内に留まっている優秀層へ定期的な面談を行います。状態を常に把握することで、退職を決意する前の予兆を察知し対策を打てます。

中堅社員が辞める原因と防止対策に関するまとめ

Q:中堅社員が辞める一番の理由は何ですか?

A:業務の集中や責任の過重、評価への不満など、社員の心身の健康や働きがい(ウェルビーイング)が損なわれる環境が主な理由です。

Q:離職を防ぎ定着率を高めるには何が必要ですか?

A:真因を特定した上で、即効性のある業務改善とあわせ、社員が健やかに意欲高く働けるウェルビーイング経営の観点から環境を整えることが不可欠です。

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※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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