組織風土と組織文化の違いとは?見極め基準や改善の順番を解説

組織風土と組織文化の違いは、以下の通りです。

  • 組織風土:日常的に表出している「変わりやすい職場の雰囲気(機嫌)」
  • 組織文化:企業の根底にある「変えにくい価値観や暗黙のルール(DNA)」

働きやすい環境を作るには、この2つを正しく見極め、改善しやすい「風土」から着手して「文化」を変革する順番が重要です。

本記事では、独自のウェルビーイング計測ツールの開発や数多くの企業変革を手掛ける「株式会社スカイベイビーズ」監修のもと、学術データに基づく5つの比較項目や具体的な判断基準をプロの視点で解説します。

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この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

組織風土と組織文化の基本的な違い

ウェルビーイング経営支援の現場でも、組織風土と組織文化は混同されやすいテーマです。一言で表すなら、組織風土はそこから生まれる「職場の雰囲気や空気感」、組織文化は企業に根付く「価値観やDNA」という違いがあります。

働きやすい組織づくりや改革を進めるうえで、まずこの2つの違いを正しく捉えることが最初のステップです。

比較項目組織文化(Culture)組織風土(Climate)
本質価値観、信念、行動規範雰囲気、空気感、心理的状態
深度深い(無意識・暗黙の了解)浅い(表面的・意識的に感じ取れる)
形成期間長期的(歴史や伝統の蓄積)短期的(現在の環境や状況の反映)
変化のしやすさ非常に変わりにくい比較的変わりやすい
例え人格、DNA、土壌機嫌、気分、天気

組織文化とは

組織文化とは、企業が長年かけて培ってきた暗黙のルールや行動規範のことです。人間の性格や自然界の土壌に例えられることが多く、一朝一夕には変わりにくい特徴を持っています。

創業者の理念や過去の成功体験がもとになり、顧客第一主義や挑戦を尊ぶ姿勢などが組織内に根付いていきます。社員が無意識のうちに判断基準としているため、時間をかけてじっくり向き合う必要があります。

組織風土とは

組織風土とは、メンバーが日常的に職場で肌で感じている雰囲気や空気感のことです。組織文化を土台として表出するもので、人間のその日の気分や機嫌、自然界の天気に例えられます。

例えば、若手でも意見が言いやすい空気や、ミスが許されずピリピリした状態などが該当します。経営陣の発信するメッセージや上司のマネジメント手法によって、短期間で変化しやすいのが大きな特徴です。

組織内の関係性や働きやすさを改善する際は、まずこの変化しやすい風土へのアプローチが効果的です。

組織風土と組織文化の違いがわかる5つの比較項目

組織風土と組織文化の違いは、学術的な研究データをもとに紐解くとより明白になります。ここでは組織心理学や経営学の知見を踏まえ、5つの視点から両者の違いを深掘りします。

本質の違い

社員が共有している対象が価値観なのか、それとも知覚なのかという点に本質的な違いがあります。組織心理学の研究では、この対象の違いが明確に示されています。

シュナイダー博士の研究による定義

メリーランド大学のシュナイダー博士らの研究によると、文化は「共有された価値観や信念」、風土は「共通の知覚」と定義されています。文化は「なぜ我々はそのように行動するのか」という存在理由や根源的な問いに対する答えです。

対して風土は、職場で今何が起きていて何が評価されているかという、従業員の主観的な体験を指します。良好な働く環境を作るには、まずこの日々の知覚である風土を整えることが先決となります。

※参考:https://www.drbenschneider.com/

深度の違い

組織内で認識できる深さの違いに注目することも大切です。無意識の領域に潜むものと、意識的に感じ取れる領域の違いを解説します。

シャイン教授の氷山モデルによる解説

MITのエドガー・シャイン名誉教授は、組織構造を氷山に例えて深度の違いを説明しました。組織文化は氷山の水面下にある「無意識の前提」であり、普段は社員自身も意識していません。

一方で組織風土は氷山の見えている部分であり、オフィス環境や会議の空気感など五感で捉えられる領域です。組織のエンゲージメントや状態を把握する際も、まずは目に見える水面上(風土)の観察から始めます。

※参考:https://www.berlinerteam.de/en/blog/iceberg-model-corporate-culture-how-to-make-hidden-levels-visible/

形成期間の違い

文化と風土が形作られるまでに必要な時間軸にも明確な違いが存在します。それぞれの形成スピードについて知ることで、施策の計画が立てやすくなります。

デニソン組織文化モデルが示す歴史的背景

デニソン・コンサルティング社のモデルが示すように、組織文化の形成には数年から数十年という長い歴史を要します。過去の成功体験が正解として定着し、世代を超えて継承されていくためです。

それに対して風土は、体制変更やリモートワーク導入といった環境変化によって、数ヶ月単位で素早く変化します。職場環境の改善に向けた取り組みも、数ヶ月継続することで新しい風土として定着していきます。

※参考:https://www.denisonconsulting.com/

変化のしやすさの違い

組織改革を進めるうえで、文化と風土の変化の難易度を理解しておくことは不可欠です。現場での介入しやすさという観点から比較します。

ギャラップ社の調査に基づくマネージャーの影響力

組織文化は個人のアイデンティティと結びついているため、急に変えようとすると強い拒絶反応が起きます。しかし組織風土は、アプローチが容易で、ギャラップ社の調査では職場の雰囲気の約70%が直属のマネージャーによって決まるとされています。

マネジメントの関わり方を変えるだけでも、風土は短期間で劇的に改善します。上司がメンバーとの対話姿勢を改めることが、風土改善の大きな一歩となります。

※参考:https://www.gallup.com/workplace/713033/managers-and-team-productivity.aspx

例え話での違い

概念の違いを直感的に捉えるため、学術分野でよく用いられる例え話を紹介します。イメージを共有する際の参考にしてください。

心理学や経営学で用いられるメタファー

組織文化は人間の「性格や人格」に例えられ、長年の経験で作られ大人になってからは簡単には変わらない性質を表します。一方で組織風土は「機嫌や態度」に例えられます。

穏やかな性格の組織であってもトラブルがあれば不機嫌な風土になり、成果が出れば一時的に明るい風土になります。スカイベイビーズの支援でも、この機嫌にあたる風土を常に健全に保つ仕組みづくりを重視しています。

組織風土と組織文化の違いを見極める4つの診断基準

自社の課題が風土と文化のどちらに起因しているかは、人や環境といった変数を変えた際の反応で判断できます。組織の課題要因を特定する4つの基準を活用してください。

判断項目風土(雰囲気)に起因する可能性が高い文化(根底のルール)に起因する可能性が高い
発生範囲(その問題はどこで起きているか?)特定の部署やチームに偏っている全社的・部署横断的に起きている
上司が変わると問題が変化する誰がトップでも同じ問題が起き続ける
時間軸(その問題はいつからあるか?)組織変更や業績悪化など、何かのきっかけ以降に発生した昔からずっと続いている
過去の成功体験などに紐づいている
中途社員の反応(外から来た人はどう感じるか?)環境や仕組みへの不満を口にする建前と本音のギャップに戸惑い、最悪の場合は辞めていく
トラブル時の行動(追い込まれた時にどう動くか?)パニックになりつつも表向きのルールには従うとりあえず隠すなど、暗黙のルールを優先する

発生範囲による見極め

問題が一部の現場にとどまっているか、会社全体に広範囲で起きているかが境目となります。特定チーム限定の離職率増加や士気低下は、上司のやり方など風土に起因するケースが大半です。

対して全社で一様に同様の悩みが存在するなら、組織全体の文化に原因があると見立てられます。組織改善の初期段階では、まず局所的な風土の乱れを解消することが基本方針となります。

発生時期による見極め

その課題がいつから浮上したのかという時期の特定も有効な手がかりです。部署異動や新システムの導入など、特定の事象のあとに始まった不満は風土の問題といえます。

長年ずっと変わらず抱え続けている課題であれば、過去のしきたりに囚われた文化の問題です。社内のエンゲージメント数値などが急落した時期があれば、風土の変調を示す重要なシグナルです。

中途社員の反応による見極め

他社の空気感を知る中途入社者の意見は、自社では当たり前化している課題を浮き彫りにします。設備や業務フローへの不満であれば、風土の整備で解消できる範囲です。

しかし「表向きの理念と実際の評価基準が違う」といった本音と建前のギャップへの落胆は、文化に起因しています。多様な人材が真に力を発揮できるかは、この見えない暗黙のルールが健全かどうかにかかっています。

トラブル時の行動による見極め

有事の際の振る舞いには、組織の隠れた本質が如実に現れます。混乱しながらも規定の連絡手順を守る場合は、風土が一時的に荒れている状態です。

しかし「怒られたくないから隠す」といった対応が優先されるなら、ルールより暗黙の了解を重んじる文化の病理です。心理的安全性が不足している職場ほど、後者のような悪習慣が生じやすくなります。

組織風土と組織文化の違いを示す具体例

ここまでの見極め基準を実際の職場でありがちなケースにあてはめて検討してみましょう。一見すると同じ現象に見えても、背景にある原因によって打つべき対策は全く異なります。

若手社員が意見を言わないケース

会議の場で若手から提案や発言が出ないという悩みは多くの企業で見られます。風土と文化のどちらが原因かによる構造の違いを整理します。

組織風土が原因の場合

上司の圧力が強く、発言しても厳しい叱責を受けるため口を閉ざしている状態です。これは現場の空気が冷え切っている風土の典型例といえます。

異動やマネジメント教育によって上司の接し方が変われば、職場の対話はすぐに復活します。心理的ハードルが下がることで若手も意見を出しやすくなり、チームの活気が戻ります。

組織文化が原因の場合

上司が穏やかに意見を促していても、挑戦して失敗した人が降格された過去があり、全員が保身に走っている状態です。これは「減点主義」という組織のDNAに刻まれた文化の問題です。

いくら上司が優しい雰囲気を作っても、評価の仕組みや失敗への寛容さが変わらない限り問題は解決しません。スカイベイビーズでは、こうした根深い文化の刷新も含めた組織変革を支援しています。

組織風土と組織文化を改善する正しい順番

組織を変革する際は、まず組織風土の改善から着手し、時間をかけて組織文化へ波及させる順番が鉄則です。長年培われた価値観にいきなり手をつけようとすれば、社員の反発や現場の大きな混乱を招くためです。

まずはマネジメントの関わり方を改善し、社員が安心して働ける風土を整えることが先決となります。その良好な状態が当たり前として定着したとき、初めて企業の根底にある組織文化が自然とアップデートされていきます。

スカイベイビーズでも、着実な変化を生むために「風土から文化へ」の順序による変革アプローチを推奨しています。

組織風土と組織文化の違いに関するまとめ

Q:組織風土と組織文化の違いは何ですか?

A:組織文化は企業に根付いた「変えにくい価値観(DNA)」であり、組織風土はそこから生じる「変わりやすい職場の雰囲気(機嫌)」です。

Q:組織を変革する際はどちらから着手すべきですか?

A:マネジメントや対話の改善で素早く変化させやすい「組織風土」から着手し、その良い状態を継続させることでじっくり「組織文化」を変革していくのが正しいアプローチです。

「自社の問題が風土と文化のどちらにあるのか見極めたい」「社員が真に活き活きと働ける組織に変革したい」とお考えでしたら、業界や規模を問わずウェルビーイング経営支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズへお気軽にご相談ください。

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