ウェルビーイングな仕事とは何か?仕事で幸福な状態を実現するための条件と個人・会社へのメリット

人生の多くの時間を費やす仕事においてウェルビーイングが満たされているかどうかは、個人の幸福度を大きく左右します。本記事では、働く人にとって「ウェルビーイングな仕事」が達成される条件や、個人・会社にもたらすメリットを海外の研究結果をもとに解説します。

なお、本記事は慶應義塾大学・前野隆司教授と共同でウェルビーイング診断ツールを独自開発した、株式会社スカイベイビーズが監修しています。

スカイベイビーズの「ウェルビーイング力向上支援サービス」の詳細は下記ボタンから!

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

「ウェルビーイングな仕事」が達成される条件

働く人が仕事を通じてウェルビーイングを実感するためには、単に「残業が少ない」「給与が高い」といった条件だけでは不十分です。海外の組織心理学研究では、主に以下の4つの条件が整うことが重要であると示されています。

  1. 基本的心理的欲求が満たされている(自己決定理論)
  2. 仕事の「要求」と「資源」のバランスが適正である(JD-Rモデル)
  3. 強みを活かせるマネジメントと心理的安全性が確保されている
  4. 満足度・感情・意味の3つの次元が満たされている

1. 基本的心理的欲求が満たされている(自己決定理論)

心理学者のエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論(SDT)」によると、人間は以下の3つの欲求を満たしたときに強い幸福感と内発的モチベーションを感じます。

  • 自律性(Autonomy): 仕事の進め方や時間の使い方において、指示に従うだけでなく「自分でコントロールしている」と感じられること
  • 有能感(Competence): 自分の強みやスキルを発揮し、成果や自身の成長を実感できること
  • 関係性(Relatedness): 職場の上司や同僚と信頼関係で結ばれ、互いに助け合える環境があること

自社で実践するためのポイント

まずは「細かく指示しすぎず仕事の進め方を本人に委ねる(自律性)」「日々の努力や成長を言葉で認める(有能感)」「雑談や1on1で気軽に話せる関係を作る(関係性)」の3つを意識してみましょう。日常のちょっとした接し方を変えるだけでも、社員の主体性と満足度は大きく高まります。

※参考:Center for Self-Determination Theory (CSDT)Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). The “what” and “why” of goal pursuits: Human needs and the self-determination of behavior. Psychological Inquiry

2. 仕事の「要求」と「資源」のバランスが適正である(JD-Rモデル)

仕事のストレスとエンゲージメントを説明する「仕事の要求度–資源モデル(JD-Rモデル)」では、業務上の過度なプレッシャーや負担(仕事の要求)に対して、それを乗り越えるためのサポート(仕事の資源)が十分にあるかが問われます。

周囲からの手厚いサポート、的確なフィードバック、自社でのキャリア開発機会といった「資源」が豊富にある環境では、業務負担によるバーンアウト(燃え尽き症候群)を防ぎ、むしろやりがいを感じやすくなります。

自社で実践するためのポイント

過度な残業や無理な納期といった「負担」を減らすことだけに目が行きがちですが、それ以上に「助け合える体制」や「業務ツール・マニュアルの整備」といった「サポート(資源)」を増やすことが鍵となります。相談しやすい環境を作るだけでも、社員の燃え尽き防止に大きな効果があります。

※参考:Demerouti, E., Bakker, A. B., Nachreiner, F., & Schaufeli, W. B. (2001). The job demands-resources model of burnout. Journal of Applied Psychology

3. 強みを活かせるマネジメントと心理的安全性が確保されている

ギャラップ社の研究によると、従業員のウェルビーイング低下を引き起こす主因は、労働時間そのものよりも「不適切なマネジメント」にあるとされています。

従業員が「自分の強みを毎日発揮できる役割」を与えられており、失敗を恐れずに発言・挑戦できる「心理的安全性」が確保されている職場環境こそが、ウェルビーイングな仕事を実現する土台となります。

自社で実践するためのポイント

まずは適性診断などを活用して社員個々の「得意なこと」を可視化し、それを活かせる業務配置を行いましょう。あわせて、ミスをした際に責めるのではなく「次にどう活かすか」を対話する風土を作ることで、失敗を恐れずに新しいアイデアを提案・挑戦できる現場へと変化していきます。

※参考:Gallup: State of the Global Workplace ReportGallup: How to Create a Culture of Employee Wellbeing

4. 満足度・感情・意味の3つの次元が満たされている

オックスフォード大学ウェルビーイング研究センターのヤン・エマニュエル・デ・ネーブ教授らは、仕事におけるウェルビーイングを以下の3つの次元で整理しています。

  • 認知の評価(仕事満足度): 正当な評価や報酬、成長機会が得られているか
  • 感情の体験(日々の気分の質): ポジティブな感情(やりがい、楽しさ)が多く、過度な不安や焦燥感が少ないか
  • 意味・目的(パーパス): 自分の仕事が社会や他者への貢献につながっていると感じられるか

自社で実践するためのポイント

正当な給料や評価体制を整える(満足度)だけでなく、日常的に感謝や労いの言葉を掛け合う(感情)こと、そして「自分の仕事が誰の役に立っているか」を定例会議や顧客の声として届ける(意味)ことが大切です。身近なコミュニケーションの工夫から手軽にスタートできます。

※参考:2304 | Workplace Wellbeing and Firm Performance — Wellbeing Research Centre

仕事におけるウェルビーイング向上がもたらすメリット

従業員のウェルビーイング向上に取り組むことは、決して企業による「福利厚生や慈善事業」ではありません。個人と会社の双方に極めて高いビジネス価値と人生価値をもたらす持続可能な施策です。

従業員(個人)のメリット

まずは働く個人(従業員)側のメリットです。

心身の健康とストレスの軽減

職場におけるウェルビーイングが高まることで、過度なプレッシャーや不安が和らぎ、バーンアウト(燃え尽き症候群)やメンタルヘルス不調のリスクが大幅に抑えられます。心理的な安定は自律神経の調整や睡眠の質の改善にも良い影響を与え、慢性的な疲労の蓄積を防ぎます。

心身ともに健全で良好な状態を保てるため、日々の業務に高い集中力と活力を持って取り組めるようになり、生活全般のコンディションが底上げされます。

内発的モチベーションと成長実感の獲得

自律性や個人の強みを活かせる環境で働くと、「指示されたからやる」という受動的な態度から、「自ら価値を生み出したい」という内発的なモチベーションへ移行します。自分の強みを活かして成果を出すプロセスを通じて高い自己効力感が養われ、仕事を通じた確かな自己成長を実感できます。

単なる労働の対価を得る作業にとどまらず、仕事そのものに深いやりがいと達成感を見出せるようになります。

人生全体の満足度向上(スピルオーバー効果)

心理学における「スピルオーバー効果」が示す通り、仕事で得られたポジティブな感情や達成感は、退勤後のプライベートな時間や家庭生活にも好影響を及ぼします。仕事での充足感が気持ちのゆとりを生み出し、ご家族や友人との人間関係を良好かつ穏やかに保ちやすくなります。

結果として職場内にとどまらず、人生全体の幸福度やQOL(生活の質)が長期的・持続的に向上していくという大きなメリットがあります。

持続可能なキャリア形成

心身の健康と高いエンゲージメントが維持されることで、長期にわたって安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。バーンアウトによるキャリアの一時中断を防げるだけでなく、前向きな姿勢で業務に挑むことで新しいスキルの習得や困難な課題への挑戦の機会も増えていきます。

年齢やライフステージの変化にしなやかに対処しながら、自分らしい豊かなキャリアを長期的に築くことが可能です。

会社・組織のメリット

会社・組織側のメリットは次のとおりです。

業績・生産性の向上

オックスフォード大学などの研究により、従業員のウェルビーイング向上は企業の収益性や株価パフォーマンスと強い相関があることが実証されています。高い幸福度を持つ従業員はモチベーションや判断力が研ぎ澄まされ、コールセンターの実証実験では生産性が13%向上したというデータもあります。

社員の満たされた状態がダイレクトに業務効率へ還元され、企業全体の持続的な業績拡大を力強く押し上げます。

離職率の低下と定着率の改善

自分の価値が正当に認められサポートが得られる職場では、他社への転職を検討する割合が著しく低下します。従業員の定着率が高まることで、人材の流出に伴う現場業務の停滞を防げるだけでなく、新しい人材の採用活動や初期教育にかかる膨大なコストを大幅に削減できます。

熟練したスキルを持つ優秀な社員が長期間活躍し続けることで、組織全体のナレッジやノウハウも着実に蓄積されていきます。

プレゼンティズム(隠れた生産性低下)の解消

出社はしているものの心身の不調や意欲低下により本来のパフォーマンスが出せない「プレゼンティズム」は、企業にとって最大の潜在的損失とされています。ウェルビーイングな環境を整えることで従業員の健康状態やエンゲージメントを取り戻し、目に見えにくい労働損失を最小限に抑えられます。

個々の能力がフルに発揮されるようになるため、組織全体の真の稼働率を大きく引き上げることが可能になります。

イノベーションと創造性の創出

心理的安全性とウェルビーイングが高い組織風土では、従業員が失敗を恐れずに意見を表明し、新しい施策に前向きに挑戦しやすくなります。

オープンなコミュニケーションを通じて多様な視点やアイデアが活発に交わされるため、既存の枠組みにとらわれない業務改善や革新的なプロダクトの開発が促進され、変化の激しい市場環境における強力な競合優位性につながります。専門家からも高く評価される要因です。

採用ブランディングの強化

求職者が就職先・転職先を選ぶ際、給与条件や企業規模だけでなく「働きやすさ」や「従業員を大切にする企業姿勢」を最重要視する傾向が年々強まっています。ウェルビーイング経営を積極的に実践・発信することは、企業の社会的信頼を高める優れたエンプロイアーブランディングとなります。

結果として、優秀で自社の価値観に合致する優秀な人材を競合他社よりも優位に獲得できるようになります。

ウェルビーイングな仕事に関するまとめ

最後に、仕事とウェルビーイングの関係性について、特に重要なポイントをQ&A形式で整理しました。

Q:「ウェルビーイングな仕事」とはどのような状態を指しますか?

A:単に「残業が少ない」「休日が多い」といった条件面だけでなく、仕事を通じて自分の強みを発揮でき、職場での信頼関係や社会的意義を感じながら、心身ともに満たされて働けている状態を指します。

Q:従業員のウェルビーイングを高めると、企業にはどのようなメリットがありますか?

A:オックスフォード大学などの研究で実証されている通り、生産性の向上(最大13%増)や業績拡大、優秀な人材の離職防止、イノベーションの促進、そして採用ブランディングの強化など、経営における多様なプラス効果がもたらされます。

Q:自社でウェルビーイング経営に取り組む際、何から始めればよいですか?

A:業務負担を減らすことだけに注目するのではなく、1on1での適切なフィードバックや相談体制の整備(仕事の資源の拡充)、社員の強みを活かせる役割配置、日々の労いや感謝の言葉掛けなど、マネジメントやコミュニケーションの工夫から手軽にスタートできます。

「自社でもウェルビーイング経営を取り入れたいが、具体的に何から手をつければいいか分からない」「社員のエンゲージメント低下や離職防止に向けた実効性のある施策を知りたい」とお悩みでしたら、業界や企業規模を問わず豊富な経営支援実績を持つ当社・スカイベイビーズにぜひご相談ください。

貴社の課題に寄り添い、持続可能な組織づくりをトータルでサポートいたします。

無料相談やお問い合わせの予約は下記ボタンから!

※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

  1. HOME
  2. ウェルビーイング
  3. ウェルビーイングな仕事とは何か?仕事で幸福な状態を実現するための条件と個人・会社へのメリット

貴社の魅力を引き出す
ブランディングなら、
私たちにお任せください!