「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


人的資本経営とエンゲージメントは深く関わっており、エンゲージメントは人財投資の成果を何倍にも引き上げる鍵となります。両者の関係において重要なポイントは以下の通りです。
本記事では企業のウェルビーイング向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズの監修のもと、人的資本経営におけるエンゲージメントの役割や陥りやすい落とし穴をわかりやすく解説します。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
人的資本経営を成功させる上で、エンゲージメントは欠かせない要素です。両者の関係性を正しく理解することが、効果的な人財投資の第一歩となります。
ここでは基本定義から事業価値への変換メカニズム、情報開示における位置づけまでを解説します。
人的資本経営とは、従業員をコストではなく価値を生み出す資本として捉え、対話や投資を通じて能力を最大限に引き出す経営手法です。一方のエンゲージメントとは、企業と従業員が互いに貢献し合い、同じ目的に向かって高め合っている信頼関係を指します。
単なる労働時間や給料のやり取りではなく、会社の目指す方向性と個人の成長が重なり合っている状態のことです。人的資本経営を進める上では、人材を単に管理する対象として見るのではなく、共に価値を創出するパートナーとして捉える視点が大切になります。
人財への投資を企業の業績や、新しい価値の創出へとつなげる架け橋になるのがエンゲージメントです。いくら魅力的な研修や制度を用意しても、働く社員の成長意欲や事業への共感が低ければ十分な投資効果は得られません。
| 人的資本経営の要素 | エンゲージメントの役割 |
| 人財への投資(インプット) | 研修や環境整備などの経営施策 |
| エンゲージメント | 投資を成果に変える力(掛け算の倍率) |
| 企業価値の向上(アウトカム) | 業績向上やイノベーションの創出 |
エンゲージメントが高まることで、与えられた環境や成長機会を活かし、自発的に成果へつなげる行動が社内に広がります。その結果として、人財投資が大きな成果となって企業に還元される仕組みが成り立ちます。
エンゲージメントは、国内外の人的資本開示フレームワークにおいても主要な指標として位置づけられています。投資家は単にいくら教育費用をかけたかという金額だけでなく、それによって組織の意欲や風土がどう変化したかを重視しているからです。
| フレームワーク | エンゲージメントの扱い |
| ISO 30414 | 組織風土などの領域で測定と開示が推奨されている指標 |
| 伊藤レポート2.0 | 経営陣と現場をつなぐ重要な要素として明記 |
企業が持続的な成長力を示すためには、エンゲージメントを定期的に測定し、経営戦略と連動させて開示していく姿勢が求められます。
人的資本経営においてエンゲージメントが重視される背景には、明確な理由があります。なぜ企業価値の向上に直結するのか、投資対効果や戦略の連動といった視点から3つのポイントで解説します。
人財投資の成果を大きく左右するのがエンゲージメントです。同じ教育研修費用を投入しても、受講する社員の意欲や会社への共感度によって得られる成果には大きな差が生まれます。
エンゲージメントが高い状態では、学んだ知識やスキルを自発的に業務改善や顧客対応に活かすため、投資以上の成果が社内に生み出されます。逆に意欲が低ければ受講すること自体が目的となってしまい、投入した資金が単なるコストとして浪費されかねません。
人財投資の費用対効果を最大化するためには、土台となるエンゲージメントの向上が欠かせません。
エンゲージメントの向上は、中長期的な企業価値の創出に直結します。社員が会社の目指す方向に共感して自発的に動く組織では、現場から業務改善の工夫や新しいアイデアが継続的に生まれるためです。
得られた成果や利益を再び人財育成や働きやすい環境へと還元することで、企業と社員が共に成長する好循環が作られます。一時的な業績アップにとどまらず、環境変化に強い組織基盤を構築することが、持続的な企業価値の向上をもたらします。
経営戦略と人事戦略を一貫させて機能させる際にも、エンゲージメントが大きな役割を果たします。経営陣がどれほど優れた成長戦略を描いても、現場の理解や共感が伴わなければ描いた戦略を実行に移すことはできません。
エンゲージメントが高まることで、事業方針の転換や新しい取り組みに対して、現場が自発的に行動を合わせられるようになります。経営の目指すビジョンと現場の行動の向きがそろうことで、戦略の実行力は飛躍的に高まります。
エンゲージメントの高低は、人的資本経営という仕組みの成果を大きく左右します。以下に両者の状態による影響の違いを一覧で比較しました。
この違いを踏まえ、それぞれの状態がどのような経営状況をもたらすのか詳しく解説します。
| 人的資本経営の要素 | エンゲージメントが低い場合の人的資本経営 | エンゲージメントが高い場合の人的資本経営 |
| 人財投資の効率 | 投資が単なるコストに終わってしまう | 投資が新たな価値を生み続けられる |
| 経営と人財戦略の連動 | 掲げた戦略が現場で形骸化してしまう | 戦略に基づいた行動が現場で素早く実行される |
| 市場・投資家への開示 | 見せかけの施策と見抜かれてしまう | 成長ストーリーを裏付ける根拠となる |
エンゲージメントが低い状態では、人的資本経営が十分に機能せず、人財投資が単なるコストに終わってしまいます。いくら施策や制度を増やしても現場が受け身のままであり、事業成果やイノベーションにつながらないためです。
例えばリスキリングの機会を提供しても、研修を受けること自体が目的となり、実務で活用されないといったケースが目立ちます。経営陣が描く構想と現場の行動が噛み合わないまま費用ばかりがかさみ、期待したリターンを得られない状況に陥ります。
エンゲージメントが高い状態では、人財投資が大きな事業成果やイノベーションとなって手元に戻ってきます。経営陣の目指す方針に現場が共鳴し、与えられた環境や身につけたスキルを活かして主体的に行動するためです。
現場から業務効率化の工夫や新規事業の提案が自然と生まれ、人財という資本が自ら価値を高めていくサイクルが実現します。その結果として持続的な業績向上につながり、市場や投資家からも将来性のある企業として高い評価を得られます。
エンゲージメントの差は、社員個人の行動だけでなく組織全体の風土にも大きな変化をもたらします。現場における具体例について、以下の比較表と合わせてわかりやすく解説します。
| 比較軸 | エンゲージメントが低い状態 | エンゲージメントが高い状態 |
| 仕事へのスタンス | 指示をこなす作業者 | 自律的に動く当事者 |
| 成長や学習への態度 | 義務として捉える受動型 | 自ら学びを深める能動型 |
| 組織風土への波及 | 不満の伝播と停滞 | 士気の向上と相乗効果 |
当事者意識の有無によって、日々の行動や生まれる成果に大きな開きが出ます。エンゲージメントが高い社員は自社の目指す姿勢や目標に納得しており、自分の仕事の役割を理解して自発的に動き出します。
期待以上の成果を出すために業務の進め方を見直したり、新しい施策を提案したりするのが特徴です。
一方、低い状態では給料の対価として求められた最低限の仕事だけをこなす姿勢になり、指示を待つだけの状態にとどまります。仕事に対する意識の違いが、個人の行動力と成果の差にそのまま表れます。
学びに対する主体的な姿勢の有無が、人財の成長スピードや成果の質を左右します。エンゲージメントが高い社員は、自身の成長と会社の発展を重ね合わせて考えるため、自己研鑽やスキルアップに意欲的です。
研修や勉強会で得た知識を、すぐに現場の課題解決へ活かそうと行動します。
反対に低い状態では、会社から教育機会を提供されても負担に感じやすく、受け身の姿勢で参加して終わってしまいます。能力開発に対する向き合い方の違いが、将来的な人財価値の伸び幅を大きく左右します。
個人レベルの意識や行動の変化は、時間とともに組織全体の空気感や文化へと広がっていきます。エンゲージメントが高い社員の前向きな言動は周囲の意欲を刺激し、お互いの強みを活かし合う協力関係を作り出します。
失敗を恐れずに意見を言い合える環境が保たれ、活発な提案が行われる組織風土が作られていきます。
一方で低い状態では諦めや不満の感情が職場に伝播しやすく、新しい挑戦を阻む雰囲気が生まれがちです。一人ひとりの意識の変化が集まることで、最終的な組織全体の風土が形作られます。
人的資本経営を推進する際、多くの企業が目的と手段を逆転させてしまう課題に直面します。取り組みを形骸化させず、本質的な企業価値の向上につなげるために注意すべき5つのポイントを解説します。
| 落とし穴の類型 | 主な原因と表面化する問題 |
| スコアの目的化 | サーベイの数値向上のみを追求し、課題解決が放置される |
| 開示の形骸化 | 対外的な見栄えを重視し、実態の伴わない表面的な開示になる |
| 戦略の分断 | 経営戦略と人事施策が連動せず、人財投資が空回りする |
| インプットの勘違い | 研修時間など施策の投入量を成果と錯覚してしまう |
| 一律指標の適用 | 事業特性を無視した一律管理により、成長の芽が摘まれる |
サーベイスコアの数字を上げること自体を目的にするのは避ける必要があります。調査の数値は組織の状態を把握するための指標に過ぎず、スコアを高めることそのものがゴールではないからです。
数字を気にするあまり、回答前に良い評価をつけるよう依頼したり、根本的な問題の解決を後回しにしたりしては意味がありません。本来の目的は、調査によって見えた現場の課題に対して有効な改善策を講じ、働きやすい環境を整えることです。
数値の上下だけに気を取られず、結果の背景にある現場の声に向き合って具体的な改善行動へ移すことが大切です。
情報開示だけを目的に人的資本経営を進めてしまうと、取り組みの内容が形骸化します。他社の取り組みや投資家の目線ばかりを意識して形式を整えても、実態が伴っていなければ企業の成長には結びつかないからです。
有休消化率や研修時間といった見栄えの良い数字を並べても、社内の風土や社員の意識が変わらなければ実質的な効果は得られません。形だけの開示に終始していると、社員や外部から表面的な施策であると見抜かれ、かえって企業の信頼を落とすリスクがあります。
開示は取り組みの結果として行うものであり、まずは社内の体制や人財育成の実態を整えることが先決です。
経営戦略と人事戦略が別々に進められている状態では、人的資本経営はうまく機能しません。経営の目指す方向性と人財の配置や育成方針が連動していなければ、せっかくの投資も効果を発揮できないからです。
たとえば新規事業の拡大を経営目標に掲げているにもかかわらず、人事部門が従来通りの育成施策を続けていては成果につながりません。人事部門の中だけで閉じた取り組みにするのではなく、経営層や現場の部門と対話を重ね、必要な人財像を明確にする必要があります。
経営戦略の実現に向けて、人財戦略を確実にすり合わせていく作業が重要です。
施策の実施回数や投入した費用の多さを、そのまま成果と勘違いしてはいけません。いくら研修時間や制度の数を増やしても、それが事業の成果や個人の成長に結びついていなければ意味を持たないためです。
研修の実施回数を増やすこと自体を成果として評価しても、参加した社員のスキルが上がっていなければ費用が増えただけに過ぎません。大切なのは、施策によってどのような変化や価値が生まれたかという結果の部分を検証することです。
掛けた時間や費用の量ではなく、取り組みがもたらした具体的な成果の質に目を向ける姿勢が求められます。
全社で一律の評価指標を適用しようとすると、各事業の強みや成長の機会を削いでしまう恐れがあります。収益構造が安定している既存事業と、立ち上げたばかりの新規事業では、求められるスキルや適した働き方が大きく異なるためです。
全社一律の離職率目標や評価基準をあてはめてしまうと、新規事業に必要なチャレンジ精神や独自の強みを持った人財が動きにくくなります。事業の置かれた状況や成長段階に合わせて、柔軟に評価指標や運用ルールを調整していく対応が欠かせません。
それぞれの事業特性に応じた適切な指標を設定していくことが求められます。
A:人財投資を事業成果やイノベーションへ変換する触媒となり、投資対効果や持続的な成長力を最大化させるためです。
A:サーベイスコアの向上自体を目的化させ、経営戦略と切り離された表面的な施策で終わらせてしまうことです。
エンゲージメント向上を通じた本質的な人的資本経営を推進したいとお考えでしたら、業界や規模を問わず企業のウェルビーイング向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズにご相談ください。
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