「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


若手社員の静かな退職とは、退職はしないものの、必要最低限の仕事だけをこなし、自発的な貢献を避ける働き方です。この現象が発生する主な要因と有効な対策は、以下の通りです。
若手の自発性を引き出すには、仕事を通じた自己実現や健全な人間関係を育む環境づくりが欠かせません。本記事では、ウェルビーイング経営支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズが、若手が静かな退職を選ぶ真因と企業が取るべき対策をプロの視点で詳しく解説します。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
若手社員の間で広がる静かな退職は、退職こそしないものの必要最低限の仕事だけをこなし、自発的な貢献を避ける働き方を指します。多くの若手がこの状態にある背景や実態を公的データから正確に把握することが、組織改善の第一歩となります。
静かな退職とは、企業に在籍しながら指示された最低限の業務のみを行い、それ以上の成果や貢献を求めない働き方です。
株式会社クレオが実施した「静かな退職とエンゲージメント調査」によると、20代~50代の会社員の6割超が静かな退職に該当または共感しています。社員が心身ともに満たされて働くウェルビーイングの視点では、この状態は真の健康とは言えず改善が必要です。
静かな退職は、特に20代を中心とする若手社員の間で強く望まれているのが実態です。
株式会社マイナビの調査レポート「正社員の静かな退職に関する調査2026年(2025年実績)」では、正社員の46.7%が静かな退職をしており、20代・30代では約半数にのぼります。さらに全体の7割以上が今後も続けたいと回答しています。
単に雇用を守るだけでなく、仕事を通じて良好な人間関係や自己実現を得られるウェルビーイングな職場づくりが求められます。
若手社員が静かな退職を選択する背景には、個人の怠慢ではなく、社会の変化や組織構造に起因する課題が存在します。若手社員を取り巻く主な3つの構造的要因について解説します。
若手社員が静かな退職を選ぶ大きな理由は、時間対効果を最優先するタイムパフォーマンスの価値観にあります。責任や負担が増加する管理職への出世が魅力的でないと判断し、最低限の業務だけをこなすことが最も合理的な選択だと考えています。
成果を出してもリターンが少ないと感じる環境では、必要以上のエネルギーを使わず、プライベートや自己投資に時間を充てる行動に繋がります。このように時間や労働を機械的に切り売りする状態は、仕事を通じた満足感やウェルビーイングを著しく低下させる原因になります。
若手社員の静かな退職は、自身の市場価値が上がらない環境に対する失望と焦りからも発生します。過度な労務管理やハラスメント防止により、失敗を恐れて裁量や挑戦機会を与えない職場を「ゆるブラック」と感じる若手が増加しています。
適切な負荷や指導がない環境では、成長を実感できず、会社への期待を放棄して割り切った働き方にシフトしてしまいます。適度な課題に挑み、自身の成長を実感できる環境づくりは、若手の自己実現や精神的なウェルビーイングを高めるために不可欠です。
若手が静かな退職に至る背景には、自らの業務が持つ意味や社会的な価値を見出せていない点があります。売上数値の達成や社内都合の業務ばかりが強調されると、誰の役に立っているのかというパーパスを実感できず、意欲を失います。
仕事の目的が曖昧なままでは、会社目標を自分事として捉えられず、心を閉ざして言われたことだけをこなす状態に陥ります。業務の社会的意義を提示し、貢献感を実感させることが、社員のモチベーションと心のウェルビーイングを育む鍵となります。
静かな退職は、一時的なストレス回避に見えるものの、若手社員自身の将来に対して大きなリスクをもたらします。若手が負うことになる中長期的なリスクについて解説します。
若手時代に定時退社や最低限の業務に固執することは、スキルの成長機会を自ら手放す結果となります。ビジネスでの能力開発は、少し背伸びが必要な難易度の高い仕事に挑戦するプロセスで促進されます。
20代のうちに適切な負荷や失敗の経験を避けてしまうと、業務を完遂するポータブルスキルが身につきません。自身の成長実感や自己効力感が得られない働き方は、長期的には働く喜びを阻害し、ウェルビーイングの低下につながります。
20代で静かな退職を選択すると、30代以降に自らの市場価値が頭打ちになるリスクが高まります。キャリア初期の経験や人脈は、将来の選択肢を広げるための重要なキャリア資本として複利のように蓄積されます。
若手時代に成長投資を止めると、将来的に社外で通用する実績が残らず、キャリアの自由度を失ってしまいます。自身のキャリアに対する自律性や選択肢を持てない状態は、将来の心理的安全性やウェルビーイングを大きく損なう要因です。
若手社員の静かな退職は、現場のマネジメントや組織体制の問題によって助長されているケースが少なくありません。企業側が抱える主なマネジメントの課題について解説します。
頼りになる優秀な若手社員ほど、業務が集中して燃え尽きやすい傾向にあります。仕事をこなせる社員にグレーゾーンの業務や責任が集中すると、慢性的な負担増から意欲を失ってしまいます。
真面目に貢献してきた若手ほど、周囲からの過剰な期待に疲弊し、自分を守るために静かな退職を選択せざるを得なくなります。特定の社員に負担が偏る職場環境は、チーム全体の健康的なウェルビーイングを維持するうえで大きな障害です。
評価制度への不満や不透明さは、若手社員のやる気を削ぐ決定的な要因になります。チームへの貢献や自発的な行動が適切に評価されない場合、努力しても無駄であると悟り、業務の範囲を狭めてしまいます。
年1回の抽象的な評価では見られている実感が得られず、貢献に対する納得感を持つことができません。頑張りが正当に承認され、報酬や期待に還元される仕組みがなければ、社員のエンゲージメントやウェルビーイングは高まりません。
上司による過度な配慮や放任は、若手社員に放置されているという感覚を与えてしまいます。ハラスメントや離職を恐れるあまり、厳しいフィードバックや負荷のある業務を避けると、若手は期待されていないと感じます。
健全な摩擦や愛のある指導がない環境は、成長機会を奪い、結果として若手を静かな退職へと追い込みます。お互いに本音で向き合い、成長を支援し合える関係性こそが、持続可能なウェルビーイングな組織をつくる基盤となります。
若手社員の静かな退職は指示された業務自体は、こなすため表面化しにくい特徴があります。手遅れになる前に周囲が気づくべき変化や初期の兆候について解説します。
| 領域 | 兆候となる具体的な変化 |
| 対話 | 雑談やプロセス段階での細かな相談が激減する |
| 業務 | 指示されたタスク以外の提案やサポートを避ける |
| 態度 | 不満や異論を言わなくなり無難に同調する |
| キャリア | 責任の重い役割や将来の昇進を望まないと話す |
雑談や些細な業務相談が急激に減ることは、静かな退職の最初の兆候です。上司やチームと一定の距離を置くため、業務報告のみを行い、業務の前後にあった日常会話に応じなくなります。
困りごとがあってもプロセス段階で相談せず、自己完結しようとする態度が見られます。職場のコミュニケーションが途切れると、周囲との繋がりを感じにくくなり、心の健康やウェルビーイングの低下につながります。
指示されたタスク以上の工夫や周囲へのサポートを避けることも、静かな退職の兆候です。求められた作業のみを正確に行う一方で、業務改善の提案やチームの雑務を自発的に引き受けることがなくなります。
定時退社が優先され、業務時間外の自主的な学習や社内イベントへの参加も断るようになります。与えられた枠の中だけで働く姿勢は、本来の成果以上のやりがいやウェルビーイングを得る機会を失わせます。
会議や議論の場で不満や異論を言わなくなる変化は、静かな退職の危険な兆候です。組織に対する期待を諦めた結果、改善のための質問や議論を避け、無難な賛成や同調で済ませるようになります。
以前は疑問を口にしていた社員が急におとなしくなった場合、関心を失っている可能性が高いと言えます。本音を言えない環境は、職場のオープンな風土を阻害し、社員の安心感やウェルビーイングを害する要素となります。
将来の昇進や責任あるポジションを望まないと宣言することは、静かな退職が定着しているサインです。面談などで今の仕事で十分であると言い、管理職への就任や難易度の高い役割を拒否する発言が増えます。
負担を避けて自分を守る合理的な判断と考えていますが、中長期的な成長機会を閉ざすことになります。仕事への前向きな意味を見出せない状態は、長期的な自己実現やウェルビーイングの向上を妨げてしまいます。
若手社員の静かな退職を防ぐには、主語を会社の都合から社員自身のキャリアに切り替えた1on1が有効です。本音を引き出し、意欲を高める具体的な1on1の進め方を解説します。
| ステップ | 段階 | 具体的なアプローチ |
| 1 | 業務の棚卸し | 無駄な業務や改善点など環境に焦点を当てて傾聴する |
| 2 | キャリアの問いかけ | 数年後に社外でも通用する身につけたいスキルを尋ねる |
| 3 | 実績への意味付け | 業務を本人の職務経歴書に書ける強みとして再定義する |
| 4 | フィードバック約束 | 小さな目標を設定し短いサイクルでの確認を約束する |
1on1の最初は、個人の感情を直接問いたださず、業務の棚卸しから入ることが効果的です。やる気の有無を聞くと警戒されるため、無駄な業務や改善点など環境に焦点を当てて意見を求めます。
現場の困りごとを傾聴することで、自分の意見が尊重されているという安心感を与えられます。不満や負担を安全に吐き出せる場を作ることは、社員の心の健康やウェルビーイングを守る第一歩となります。
対話の軸を会社への貢献から社員自身の将来的な市場価値やキャリア目標へ移動させます。社内でどうなりたいかではなく、数年後に社外でも通用するどんなスキルを身につけたいかを質問します。
自らの成長に焦点を当てることで、静かな退職による成長機会の損失に自ら気づかせることができます。将来の理想像を描き、成長の道筋を見出すアプローチは、社員の自己決定感とウェルビーイングを高めます。
現在の業務が個人の将来のキャリアや実績にどうつながるかを上司が意味付けします。難易度の高い仕事を頼む際は、会社の目標達成のためではなく、やり遂げることが本人の職務経歴書に書ける強みになると伝えます。
仕事を単なる労働から自分を成長させる機会へと捉え直させることで、前向きなモチベーションを引き出します。自らの意思で意味のある仕事に挑む感覚は、高いやりがいと持続可能なウェルビーイングをもたらします。
対話の最後には小さな目標を設定し、短い間隔でフィードバックを行う約束をします。一度の面談で終わらせず、翌週に数分間の確認を行うなど高い頻度で伴走する姿勢を示します。
自分の取り組みが常に見守られ、正当に評価されている実感を与えることが大切です。日々の努力がタイムリーに承認される環境は、確かな安心感とウェルビーイングの向上を支えます。
若手社員の静かな退職を防ぐには、個人の意識改革だけでなく、組織や人事制度の仕組みを見直すことが重要です。貢献が正当に報われ、自律的に挑戦できる環境を整えるための主な組織対策について解説します。
年に数回の評価制度だけでなく、日常の小さな貢献を即座に承認する仕組みが不可欠です。チャットツールでのスポット表彰やピアボーナスを導入し、成果だけでなくチーム支援などの行動をタイムリーに称賛します。
自分の働きが見られている実感が湧くことで、放置されているという感覚や不満を解消できます。日々の貢献が正当に認められる環境は、社員の心理的安全性を高め、職場のウェルビーイングを大きく向上させます。
真面目な若手に仕事が偏る構造を解消するため、定期的な業務の棚卸しを実施します。四半期ごとにやめる業務を決める会議を設け、誰がやるべきか曖昧なタスクの発生や一部社員への過度な負担を防ぎます。
役割の境界線を明確にすることで、理不尽な業務の押し付けによる燃え尽きを防止できます。健全な負担で持続可能な働き方を実現することは、組織全体の生産性とウェルビーイングを維持するために欠かせません。
社内で新しい挑戦ができる選択肢を増やすことで、現状への諦めによる静かな退職を防ぎます。上司の許可を必要としない社内公募制度や、他部署のプロジェクトに参加できる社内副業を推進します。
現職で成長実感を得られない場合でも、社内で別の機会を得られる仕組みがあれば、意欲を再燃させることができます。自律的にキャリアを選択できる環境は、社員の自己決定感を育み、長期的なウェルビーイングの実現につながります。
A:タイパへのこだわりや成長機会の不足、評価への納得感の欠如が主な原因です。
A:本人の市場価値を高める1on1や即時称賛の導入、業務の棚卸しによる負担軽減が有効です。
若手社員の意欲低下や社内のエンゲージメント不足にお悩みの際は、業界や組織規模を問わずウェルビーイング経営支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズへお気軽にご相談ください。
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