「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


心理的安全性の指標や適切な測定方法を探している方へ、結論として以下の3つのアプローチを組み合わせるのが最も効果的です。
自社のフェーズに合わせてこれらを活用することで、見えない組織の課題を正確に可視化できます。本記事では、企業の組織開発やウェルビーイング向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズの監修のもと、各指標の具体的なエビデンスや正しい選び方、測定時に陥りがちな誤解までをプロの視点でわかりやすく解説します。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
心理的安全性を測定する最大のメリットは目に見えない職場の空気を数値化し具体的な改善行動につなげられることです。ここでは組織の現状把握と課題解決という2つの視点から解説します。
心理的安全性を測定することで、経営陣の認識と現場の実態にあるギャップを客観的に把握できます。目に見えない職場の雰囲気や従業員の心理状態は、感覚的な評価に偏りがちです。
指標を用いて数値化すれば特定の部署だけスコアが低いといった偏りを発見できます。定期的に測定を行うことで組織の健康状態を定点観測するダッシュボードとして機能します。
現状を数値化することで組織が次に取り組むべき具体的な改善アクションが明確になります。ただ漠然と風通しを良くしようと呼びかけても、現場は何をすべきか迷ってしまいます。
指標を用いることで、意見は言えるが助け合いが足りないといった詳細な弱点が判明します。課題が特定できれば、リーダーのマネジメント方針や研修内容を的確に設計できるようになります。
心理的安全性を正確に測るためには、アンケートによる定量測定と日々の行動指標を組み合わせることが有効です。ここでは代表的な3つのアプローチとその根拠となるエビデンスを紹介します。
世界基準の指標として最も活用されているのがハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が提唱した7つの質問です。1999年の論文内で定義され学術的な実証研究に基づいています。
ネガティブな質問のスコアが低くポジティブな質問のスコアが高いほど安全性が高いと評価します。
| 質問項目 | 質問の性質 |
| 1. チーム内でミスをするとたいてい非難される | ネガティブ |
| 2. チームのメンバーは難しい問題や課題を互いに指摘し合える | ポジティブ |
| 3. チームのメンバーは自分と異なるという理由で他者を拒絶することがある | ネガティブ |
| 4. チームに対してリスクのある行動をとっても安全である | ポジティブ |
| 5. チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい | ネガティブ |
| 6. チーム内の誰も他者を意図的に陥れるような行動をしない | ポジティブ |
| 7. チームで業務を進める際自分のスキルや才能が尊重され活かされていると感じる | ポジティブ |
出典:Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams(1999)
日本企業の現場でよく用いられるのが株式会社ZENTech代表取締役の石井遼介氏らが2020年に提唱した4つの因子です。これは世界基準の指標をベースに日本の組織文化において改善アクションを起こしやすいよう再構築されたものです。
職場で以下の要素が満たされているかをアンケートで測定します。
| 因子 | 問い |
| 話しやすさ | 不安なく率直な意見や質問ができるか |
| 助け合い | 行き詰まった際に、隠さずに助けを求められるか |
| 挑戦 | 新しいアイデアを提案した際に、否定されず推奨されるか |
| 新奇歓迎 | 一人ひとりの個性やバックグラウンドが活かされているか |
出典:心理的安全性の4つの因子とは|話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎を解説
アンケートへの回答すら本音で書けない組織では、日常業務のデータである代替指標の観察が必要です。建前の回答によるスコアの歪みを防ぎ、実際の行動に基づく客観的な事実を把握できるからです。
会議の録画分析や各種システムのログから以下のデータを収集し総合的に判断します。
| 日常業務のデータ | 代替指標 |
| 会議における発言の均等性 | 特定の人物だけでなく全員が発言しているか |
| トラブルやミスの報告数 | 隠蔽されず小さなヒヤリハットが報告されているか |
| 新しいアイデアの提案数 | 現場からのボトムアップの改善案がどれだけあるか |
| 従業員の離職率と休職率 | ストレスによるメンタル不調や退職が増加していないか |
自社に合った心理的安全性の測定方法を選ぶには、組織の現状や目的に応じた判断が必要です。ここでは日本企業において最も効果的で失敗の少ないアプローチと具体的な選び方のポイントを解説します。
これから測定を始める日本企業には、4つの因子を用いたアンケート指標が最も適しています。なぜならこの指標は、日本の組織文化に合わせて作られており、現場が具体的な改善アクションをイメージしやすいからです。
例えば、スコアの低い項目が判明した場合に、もっと雑談を増やそうといった日常的な行動レベルの目標にすぐ落とし込めます。グローバル基準と比較する明確な目的がない限り、まずは現場の行動変容に直結しやすい4つの因子を主軸にするのがおすすめです。
測定の精度を高めるためには、アンケートの結果と日常業務の代替指標を組み合わせて評価することが重要です。心理的安全性があまりに低い職場では、従業員が報復を恐れてアンケートに本音を書かず、スコアが不自然に高く出る罠があるからです。
そのためアンケート結果だけでなく、会議での若手の発言量やミスの報告数といった客観的な業務データを併用して裏付けをとります。複数の指標をクロスチェックすることで、忖度のない組織の真の姿を見極めることができます。
心理的安全性を測定し改善を進める際、多くの経営者が誤解しがちな落とし穴があります。それは、心理的安全性の高さを単なる仲の良さだと勘違いしてしまうことです。
ここでは真の心理的安全性と業績水準の関係性について解説します。
心理的安全性において最も陥りやすい誤解は、ただのぬるま湯組織を目指してしまうことです。心理的安全性とは、仕事に関する意見を率直に言い合える状態であり、単に人間関係が良好で衝突がないことではありません。
仕事の基準が低いまま心理的安全性だけが高まると、従業員は快適ゾーンに入り業績の向上や個人の成長に繋がりません。測定によってスコアが高く出た場合でも、それが単なる仲良しクラブになっていないか注意深く見極める必要があります。
真の心理的安全性は、仕事に対する要求基準の高さとセットになって初めて機能します。高い目標や基準がある中で心理的安全性が確保されることで、健全な意見の衝突が生まれ、学習ゾーンと呼ばれる理想的な状態に到達するからです。
測定を行う際はアンケートのスコアだけでなく、目標達成度などの業績指標も同時に評価することが不可欠です。以下に示す4つのゾーンを参考に、現在の組織がどの位置にあるかを確認してみてください。
| ゾーン | 心理的安全性 | 仕事の基準 | 状態 |
| 無気力ゾーン | 低い | 低い | やる気もなく言われたことだけやる |
| 不安ゾーン | 低い | 高い | 罰を恐れてミスを隠す |
| 快適ゾーン | 高い | 低い | 仲は良いが成果にこだわらない |
| 学習ゾーン | 高い | 高い | 高い目標に向けて率直に意見をぶつけ合える |
A:世界基準であるエドモンドソン教授の「7つの質問」や、日本企業で活用しやすい「4つの因子(話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎)」があります。
A:アンケート指標だけでなく、会議での発言量やミスの報告数といった客観的な「代替指標」を組み合わせることが重要です。
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