「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


働きがいを高めるには、次の3つのステップを年単位で繰り返すことが最も効果的です。
本記事では、ウェルビーイング経営を支援する株式会社スカイベイビーズの監修のもと、国内外11社の具体例から見えた7つのポイントと、最初にやるべき施策を解説します。
立場ごとの役割や、施策を進めるうえでの注意点もあわせて紹介しますので、自社の取り組みにお役立てください。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
働きがいとは、社員が仕事に意味や手応えを感じ、前向きに取り組めている状態のことです。働きがいを高める方法を考える前に、混同されやすい働きやすさとの違いと、働きがいを把握するための測り方を確認しておきましょう。
働きがいは、働きやすさを整えるだけでは高まりません。働きがいのある会社を調査するGreat Place to Work Institute Japanは、働きがいを「働きやすさ」と「やりがい」の両輪からなるものと捉え、その双方の観点から企業を評価しています。
働きやすさは、労働時間や休暇、柔軟な働き方などの環境面を指します。やりがいは、仕事の意味や成長実感、貢献の手応えといった心の面を指します。
環境が整っても仕事に意味を感じられなければ、社員の意欲は長続きしません。
| 観点 | 働きやすさ | やりがい |
| 主な要素 | 労働時間 | 仕事の意味 |
| 休暇 | 成長実感 | |
| 柔軟な働き方 | 貢献の手応え | |
| 処遇 | ||
| 施策の例 | テレワーク | 戦略の浸透 |
| フレックスタイム | 評価への納得感 | |
| ベースアップ | キャリア支援 |
なお、似たような言葉には「働きがい」と「働きやすさ」があります。この違いについては下記記事で詳しく解説していますので合わせてお読みください。
※関連記事:働きやすさと働きがいの違いとは?企業が取り組むべき順番と具体策
働きがいは、社員へのアンケート調査(エンゲージメントサーベイ)で定期的に測るのが一般的です。測らなければ、どこに課題があり、施策が効いているのかを判断できません。
指標としては、仕事から活力を得ていきいきとしている(活力)、仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)、仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)の3つがそろった状態を示す、ワーク・エンゲイジメントという考え方もよく使われます。
また、働きがいは心身の健康や幸福感、つまりウェルビーイングと深く結びついています。働きがいとあわせてウェルビーイングも測ると、スコアの背景にある社員の状態まで見えやすくなります。
働きがいを高めるには、成果を上げている企業に共通するポイントを押さえることが近道です。国内外の企業が自社サイトなどで公開している取り組みをもとに、7つのポイントを具体例とあわせて紹介します。
働きがいを高める第一歩は、調査に答えた社員に、その声を受けて何を変えたかを見せることです。答えても何も変わらないと感じると、社員は次の調査で本音を書かなくなります。
たとえば、東京を中心に訪問看護ステーションを運営するRecovery Internationalでは、初回の働きがい調査で寄せられた要望をもとにオンライン目安箱を設け、150件以上の投稿を集めました。管理職研修なども続けた結果、スコアは2022年の3.71から2024年には3.85に上がっています。
参考:Recovery International公式サイト
新しい施策は、一部の部署や期間に限って試し、効果を確かめてから広げるのが確実です。大きな制度を一度に入れると、うまくいかなかったときに撤回しにくくなります。
たとえば、グループウェアを開発するサイボウズでは、2010年8月に全社員を対象とした在宅勤務制度を試験導入しました。最初は約3か月の期間を区切り、原則月4日までという条件で始めています。
その後も見直しを重ね、現在は勤務時間や場所を社員と会社が話し合って決める仕組みになりました。かつて28%あった離職率は、2025年12月期には4.36%まで下がっています。
参考:サイボウズ プレスリリース(2010年8月2日)、サイボウズ 企業概要(PDF)、サイボウズ チームワーク総研ブログ
柔軟な働き方や処遇の改善だけでなく、仕事の意味や成長実感にも手を打つことで、働きがいは高まります。働きやすさの施策は不満を減らしますが、それだけでは意欲は高まりにくいためです。
たとえば、DX支援などを手がけるプロジェクトホールディングスでは、会社の戦略を社員に浸透させる取り組みを強化しました。戦略と自分の仕事のつながりが見えたことで、調査の事業戦略と仕事の項目が伸び、総合スコアでもS評価を獲得しています。
働きがいの改善は、人事だけで抱え込まず、現場の管理職や社員を当事者にすることで進みます。全社一律の施策より、職場ごとに課題を見て動く方が、現場の実感に合った改善ができます。
たとえば、人材業界向けの業務システムを開発するブレイン・ラボでは、人事3名に開発部と営業部から1名ずつを加えた組織改善チームをつくりました。各部署のマネージャーにも調査結果の分析と施策づくりを任せ、約4年でスコアを全体で11.5ポイント改善しています。
施策は完璧を目指すより、例外や後退を織り込んで設計した方が長続きします。制度どおりにいかないことを失敗と見なすと、制度そのものを元に戻す圧力がかかるためです。
たとえば、SNS運用ツールを提供する米国のBufferでは、週4日勤務を導入する際に、5日目を「必要なときだけ働く予備日」と定義しました。忙しい週に5日目を使っても制度違反にはならないため、導入から約3年たった時点でも、調査の回答者全員が継続を希望しています。
働きがいの総合スコアは簡単には動かないため、年単位で取り組む前提が必要です。総合点だけで判断せず、設問ごとの小さな変化を成果として捉えることが大切です。
たとえば、塗料大手の日本ペイントホールディングスでは、2025年の全体スコアは前年とほぼ同じでした。一方で、会社に留まりたいと答えた社員が39%から53%に増えるなど、構成要素はすべて改善しており、同社はこうした変化を統合報告書で開示しています。
リモートワークが広がった今、社員同士のつながりは自然には生まれないため、意図して場をつくる必要があります。在宅勤務が増えると、社員の状態や関係性が見えにくくなるためです。
たとえば、JiraやConfluenceなどのチーム向けツールを提供するAtlassianでは、働く場所を社員が自由に選べるようにする一方で、チームで年に3回ほど集まる機会を設けています。その結果、つながりの実感が27%高まり、効果は4〜5か月続いたと報告されています。
ここで紹介した企業を含む国内外11社の取り組みと成果は、次の記事で詳しく紹介しています。
※関連記事:働きがいを高める具体例11選|国内・海外企業の取り組みと共通するポイント
この記事では、サイボウズやGitLabなど国内外11社が実際に行った施策と、その成果を数値つきで解説しています。国内と海外の取り組みの違いもまとめていますので、施策を選ぶ際の参考にしてください。
働きがいを高めようとするとき、最初の半年は新しい制度をつくるより、測る、返す、小さく変えるという1サイクルを確実に回すことが重要です。ここでは、どの会社にも当てはまりやすい4つの施策を、取り組む順番に紹介します。
最初の一歩は、10〜15問程度の短いアンケートで、社員の働きがいを数字と言葉で把握することです。設問は、仕事のやりがい、成長実感、評価への納得感、上司との関係、会社の方向性への理解、働き方の柔軟さなどから選びます。
心身の状態を問う設問も加えると、ウェルビーイングの視点から課題の背景が見えやすくなります。否定的に答えた人に理由を尋ねる自由記述や、退職理由・残業時間などの既存データもあわせて確認しましょう。
アンケートの結果は、良い点も課題も含めて社員に返し、取り組むテーマを1〜2個に絞って宣言します。この工程を省くと、社員は答えても変わらないと感じ、会社への信頼を失ってしまいます。
米国のソフトウェア企業GitLabでも、調査を受けて行動が起きると思う社員は58%にとどまりました。会議室の予約ルールや申請手続きなど、すぐに直せる不満を先に解消すると、声を上げれば変わるという実感が生まれます。
働きがいの多くは職場と直属の上司で決まるため、部署ごとに結果をもとに話し合う場をつくります。30〜60分程度の場で、自分たちの職場で一つ変えるなら何かを決めてもらうのが目安です。
前述のブレイン・ラボが、各部署のマネージャーに分析と施策づくりを任せたのと同じ考え方です。ただし、管理職に丸投げすると形だけになりがちです。進め方の手引きを用意し、最初の数回は人事が同席するなど、支える体制をセットにしましょう。
アンケートで最も弱かった領域について、一つの部署や希望者だけで2〜3か月の試行を行います。たとえば評価への納得感が低ければ、評価期間中の面談を1回増やします。
会社の方向性がわからないという声が多ければ、経営方針を部署の仕事に置き換えて説明する場を設けます。試行の前に成功の基準を決めておき、終了後に参加者へ短いアンケートを取って、広げるかどうかを判断しましょう。
働きがいを高める取り組みは、経営層・人事・管理職がそれぞれの役割を果たすことで、はじめて組織全体に広がります。ここでは、立場ごとに担うべき役割を整理します。
経営層の最も重要な役割は、働きがい向上を経営課題として位置づけ、調査結果に応えることを約束することです。現場は、経営層が本気かどうかを敏感に感じ取ります。
前述の日本ペイントホールディングスが役員向けに対話と共感を重視したリーダー研修を取り入れ、プロジェクトホールディングスが戦略の浸透に力を入れたように、経営層が自ら方針を語り、対話の場に出ることが求められます。
施策の予算と、年単位で続ける覚悟を示すことも経営層の役割です。
人事の役割は、働きがいを測り、改善を回すための仕組みを設計し、現場を支えることです。具体的には、調査の設計と匿名性の確保、結果の分析と共有、管理職向けの手引きづくりなどを担います。
前述のブレイン・ラボのように、人事だけでなく現場部門のメンバーを加えたチームで進めると、現場の実感とずれない施策を立てやすくなります。人事は施策を決める人ではなく、現場の改善を後押しする存在として動くことが大切です。
管理職の役割は、職場の声を拾い、自分のチームで改善を実行することです。働きがいの多くは日々の仕事と上司との関係で決まるため、管理職の関わり方がスコアに直結します。
前述のRecovery Internationalが管理職向けの研修を毎週開いているように、管理職自身が対話や支援の力を身につけることが欠かせません。部下との1on1や職場での話し合いを通じて、小さな改善を積み重ねていきましょう。
働きがいを高める施策は、進め方を誤るとかえって社員の信頼を損なうことがあります。ここでは、施策を始める前に押さえておきたい7つの注意点を紹介します。
アンケートは、結果に応える準備が整ってから実施しましょう。調査をして何も返さないと、調査をしなかったとき以上に信頼を失います。
前述のGitLabのように、先進的な企業でも、調査後に行動が起きることへの期待が低く出ることがあります。実施前に、結果を何週間以内に共有するか、少なくとも一つは必ず手を打つかを、経営として決めておくことが大切です。
本音を集めるには、回答者が特定されない仕組みを徹底することが欠かせません。誰が書いたかわかるかもしれないと思われた時点で、本音は出てこなくなります。
回答者が少ない部署の結果は単独で表示しない、自由記述は個人が特定されないよう表現を整えてから共有する、といったルールを事前に決めて社員に伝えましょう。前述のGitLabでも、回答者が5名を超える場合に限って、管理職が結果を見られる運用にしています。
働きがいのスコアは、管理職の人事評価に直結させないようにしましょう。評価に結びつけると、部下に良い回答を促す圧力がかかり、数字が実態からずれていきます。
スコアは管理職の通信簿ではなく、職場で対話するためのきっかけです。その位置づけを、調査を始める段階で社内に明確に伝えておくことが重要です。
最初の半年は、取り組むテーマを1〜2個に絞りましょう。調査をすると多くの課題が見えてきますが、手を広げすぎると何も終わらないまま現場が疲れてしまいます。
まずは一つのテーマをやり切り、変化を社員に示すことが、次の取り組みへの信頼につながります。
調査の設問やツールは、少なくとも1〜2年は同じ形で使い続けましょう。途中で変えると、前後の結果を正しく比べられなくなります。
前述のブレイン・ラボや日本ペイントホールディングスでも、途中で調査システムを切り替えた時期があり、前後の結果をそのまま比べにくくなっています。最初の設問は、長く使う前提で慎重に作ることが大切です。
新しい制度を入れる際は、職種などの理由で制度を使えない社員への配慮が必要です。一部の人だけが恩恵を受ける制度は、かえって不公平感を生みます。
たとえばテレワークは、現場作業や顧客対応の多い職種では使いにくい制度です。前述のBufferでも、金曜休みの週4日勤務を全社で導入する中で、顧客対応を担う部門だけは別の運用が必要でした。
制度を使えない職種向けに、代わりとなる選択肢もあわせて検討しましょう。
働きがいの総合スコアは年単位でしか動かないため、すぐに成果を求めないことが大切です。最初の1年は、回答率や自由記述の量、調査後に行動が起きると思うかといった、社員の信頼が戻ってきているかを示す指標の変化を見るのが現実的です。
社員の心身の状態、つまりウェルビーイングの変化もあわせて追うと、総合スコアより早く変化の兆しをつかめることがあります。
A:社員の声を測り、結果に応え、課題の大きい領域で小さく試すという流れを、年単位で繰り返すことが効果的です。
A:10〜15問程度の短いアンケートで現状を測り、結果を社員に返したうえで、取り組むテーマを1〜2個に絞ることです。
A:調査をやりっぱなしにしないことです。結果に応える準備が整ってから測りましょう。
何から手をつければよいかわからない、調査をしても改善につながらない、とお悩みでしたら、業界や規模を問わずウェルビーイング経営支援を手がける当社、株式会社スカイベイビーズにご相談ください。
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※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
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