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これからの会社経営は「コミュニティデザイン」が鍵。社内外の垣根を超えるコミュニティ経営で、新時代へ

スカイベイビーズは以前から、コミュニティを意識した組織づくりをおこなっています。今回は代表の安井省人に、スカイベイビーズが目指す新しいコミュニティデザインについてインタビュー。その試行錯誤の道のりと、掲げる理想を聞きました。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

ボーダレスなコミュニティが、個人の成長を促す

──まず「コミュニティ」の定義から考えてみたいと思います。安井さんは「コミュニティ」とは、どのようなものだと捉えていますか?

安井

はるか昔の「コミュニティ」は、農業や生活を担保するための“ムラ社会の共同体”だったと思います。そのうちに都市と地方が分化し、ムラ社会が弱体化していくにつれ、コミュニティの概念も変わってきました。

最近ではなにかを「学ぶ」とか「共有する」といった“ある目的を持って集う場”のイメージが強いかもしれません。そんななかで僕たちが模索しているのは、そうした“ムラ社会”や“目的を持ったクローズドな場”ではなく、新しいコミュニティ。

どんなかたちがいいかは模索しているところですが、自分たちなりの概念を考えていきたいと思っています。

──現段階で、スカイベイビーズが目指すコミュニティとはどのようなものですか?

安井

「社内に閉じない生態系」のようなものです。会社という制度のラインが、そのまま従業員一人ひとりの人間関係や知識、技術を切り分けるラインになる必要はありません。社内が閉じた場になればなるほど、人とのつながりや受ける刺激が減っていく。それは、従業員のさまざまな成長機会を失うことです。

だから、社内外の境目をなくし、どんどん外に広がっていくボーダレスな組織をつくれれば、そこは新たなコミュニティになると考えています。

──安井さんがそのようなコミュニティデザインを考えるようになったのは、どんな経緯があったのでしょう。

安井

種はいっぱいありますが、ひとつは以前の職場で働いていたときの経験です。そこでは従業員の成長・自立を促す組織だったんだけれど誰も何も教えてくれないんですね。

だから、必然的に社外の方からいろんなことを教わる機会が増える。ときには厳しい言葉をいただいたりお叱りを受けたりしながらも、本当にたくさんのことを教わったし、そのとき手に入れたスキルや人脈が、あとからとても役に立ちました。

そうした実感の積み重ねによって、自分の成長に寄与するものが社内にあるとは限らないし、そもそも社内/社外の垣根なんていらないんじゃないかと思うようになったんです。

──ご自身の成長経験から来ているアイディアなんですね。

安井

そうですね。当時いっしょに働いていた人たちが、そのときの会社を離れてもまた仕事をくれることもたくさんあって……会社の縁が切れても、人の縁は切れなかったりする。そういう働き方をしていくほうが豊かだし、それを実現する組織があったほうがいいと思いました。

──でも、個人としてそういうボーダレスな働き方が実現できていれば、かならずしも会社がコミュニティの母体である必要はないようにも思います。

安井

ボーダレスなコミュニティの究極を追求すれば、そうかもしれません。でも、組織としてひとつの目標に向かうと気持ちがよかったり、仲間がいるからこそドライブがかかったりすることってありますよね。

個人の集まりだけで新しいコミュニティを形づくろうとすると、目的意識が少し弱くなると思うんです。その点、スカイベイビーズが掲げる「自然体で、生きる」という理念は、強さのあるフラッグシップとして機能してくれています。

フラットな組織で、地道な成功体験を積み上げる

──そうしたコミュニティをつくっていくために、スカイベイビーズでは組織としてどんな工夫をしていますか?

安井

第一に、フラットな組織づくりを意識しています。部署を分け、上下関係のあるチームを組んで仕事をするほうが、実際の業務は進みやすいでしょう。でも、部署内にしか関わりが生まれなくなるのは大きな弊害だし、スタッフに階層をつけたり命令型のチームになったりするのは、コミュニティ型経営にふさわしくありません。

だからスカイベイビーズでは、上司・部下といった序列はなし。部署も分けず、プロジェクトチームや部活動といった横串・ななめ串をたくさん通すことで、誰と誰がどうつながっているのかわからないようなアメーバ状の構造を目指しています。

──まず社内のつながりを活性化しつつ、それぞれがフラットに関わり合える環境をつくるのは、とてもよさそうです。

安井

でも、難しさはありますね。たとえば、会社という法律的な組織である以上、入社時にはどうしても正社員か業務委託を選んでもらわなければいけません。雇用契約が違うだけで仕事への関わり方には影響がないはずなのに、そこで業務委託を選んだメンバーは、どうしても意識が「業務委託社員」になってしまう。自己紹介などでも「業務委託の」という枕をつけて、無意識のブレーキを踏んでいるように感じられるのが残念です。

そういう思い込みを外してもらうには、フラットに仕事ができる環境を保ち続けるしかないと考えています。雇用形態がなんであれ、いい意見を言えば通る。自分のアイディアが会社を動かす。そういったことの繰り返しで、組織がフラットであることを感じ、自分が成長していく実感を得てもらいたいです。そうした成功体験を地道に積み上げることが、新たなコミュニティデザインの必要性を、みんなが自分ごととして感じるきっかけにもなっていくと思います。

──社内外の垣根を超えたボーダレスなつながりのほうは、どのように促進しているのでしょうか。

安井

これもまた難しくて……外の人とも友達のようにつながっていけばいいのに、なかなかボーダレスにはなりきれていないのが現状です。まずは「多様な関わり方を増やす」というのが大事だと思うんですが、仕事を通じてつながる以外の関係性が、現段階ではあまり存在していないんですね。

そこではじめたのが、当社の理念に共感してくださる方を集めた「スカイフレンズ」というオンラインコミュニティです。ここには属性にとらわれないさまざまな人たちが集っています。いろんな人脈がいろんなところでゆるゆるとつながりはじめる。そういった動きがより活発に起きてくればいいですね。

個々が自立し、貢献しあう、互助の共同体

──いろんな人がゆるゆるつながることのメリットは、何だと考えていますか? これはまさに、コミュニティ型組織の存在意義でもあると思います。

安井

大きな話ですが、最終的にはそのコミュニティに存在していれば生きていけるような状態をつくりたいんです。ごはんも食べられるし、お金も稼げるし、生活するうえで困ることがない、というような。

スカイベイビーズはWeb制作会社としてはじまった企業体なので、ある意味では残念ながら、お客様の存在が不可欠です。つまり、いまのスカイベイビーズがひとつの共同体としてその輪のなかで生きていけるようになることは、なかなか難しい。

でも、徐々にビジネスモデルを変えていくことで、コミュニティ内で受発注を繰り返し、自治できるようなかたちをつくれたらと考えています。成長や発展を繰り返してきたこれまでの世の中が破綻し、変化しようとしているいま。これからは自治をする意識を持った人間が互助をしあい、自分たちでどう生きていくかを考えるフェーズだと思うんです。

それぞれが何かしらの役割で貢献し、何かしらの恩恵を受け取れるような共同体は、新しい時代のカギにもなるんじゃないでしょうか。

──そうしたコミュニティや組織をつくることは、安井さんご自身にとってどんなやりがいや喜びにつながっていますか?

安井

自分に何かが還元されることは、正直求めていません。このコミュニティにふれあった人たちが成長したり、うれしそうにしていてくれたりしたら、それで僕もうれしいです。「隣人を愛せよ」的な感覚で、まずは会社の仲間から幸せになってほしいという想いはありますが、目線はいつも基本的に社会へ向いています。息苦しさを感じている人がとても多い世の中で、そうした人たちを放っておけない気持ちが強いんだと思いますね。

これまでの社会やビジネスモデルで働き続け、もうすぐゴールテープを切るような人たちはいいかもしれませんが、これから走りはじめる人には、自分の生き方について考えるきっかけを持ってほしい。自分自身もうすぐ50歳が見えてきて、次の世代に何か残したい気持ちが強くあります。

──最後に、スカイベイビーズのコミュニティデザインについて、あらためて今後の展望を教えてください。

安井

やっていくのは先ほどもお話したとおり、個人や組織の成功体験を積み上げるために、地道に力を尽くしていくことです。その先で、世の中のさまざまな会社がもっとコミュニティ型になっていくといいのになぁ、と思っています。

最近のバズワードだった「パーパス経営」や「デザイン経営」などからも見てとれるように、社会は少しずつコミュニティ型組織に寄ってきている印象です。でも「自社のために」という考えが強いために、その会社のパーパスに集った人たちの幸福にしかならず、社会全体の幸福につなげる視点が抜けがち。

そこを、スカイベイビーズが模索している「コミュニティ型経営」によって補い、人と人がグラデーションでつながれるような社会を目指していけたらと思います。

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