「幸福学」研究の第一人者、前野隆司氏と共同研究したサーベイ『ソラミドWell-being』を通して、次世代の自由でフラットな組織を模索する


本記事では、エンゲージメントとウェルビーイングの違いやセットで取り組む重要性を分かりやすく解説します。両者の違いを一言で表すと以下の通りです。
土台となる個人の健康を整えたうえで、組織への情熱を引き出す両輪の視点が現代の経営には欠かせません。本コンテンツは、企業の組織開発やウェルビーイング向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズが監修しています。
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株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。
エンゲージメントとウェルビーイングの決定的な違いは、焦点を当てる対象とエネルギーの向かう方向にあります。一言で言えば、前者は組織と個人の繋がりを指し、後者は個人の満たされた状態を指します。
組織の成長と個人の幸福を両立させるためには、まずこの二者の違いを正しく理解することが不可欠です。
| 項目 | ウェルビーイング | エンゲージメント |
| 主語と対象 | 個人(働く人自身) | 個人と組織の関係性 |
| 焦点 | 心身の健康、満たされた状態 | 仕事への熱意、自発的な貢献意欲 |
| ベクトルの向き | 内向き(個人の状態を整える) | 外向き(組織へ情熱を注ぐ) |
| 主な施策例 | 柔軟な働き方、ストレスケア | 理念の浸透、成長機会の提供 |
| 期待される効果 | 離職予防、メンタル不調の防止 | 生産性向上、業績貢献 |
両者の最も大きな違いは、何を対象として捉えているかという焦点の位置にあります。ウェルビーイングが働く人自身の心身の健康や満たされた状態という個人そのものを対象とするのに対し、エンゲージメントは個人と組織との繋がりや関係性を対象としています。
たとえば、残業が少なくプライベートが充実している状態は前者の充足を意味しますが、会社理念に共感して自発的に業務改善へ挑む姿勢は後者の高まりを意味します。つまり、個人という土台を見るか、組織との接点を見るかという視点の違いが存在します。
エネルギーが向かうベクトルの方向も、二つの概念を区別する重要な要素です。ウェルビーイングのベクトルは内向きであり、自分自身のコンディションや生活の質を整える方向へ働きます。
一方でエンゲージメントのベクトルは外向きであり、自分の情熱やスキルを仕事や組織の目標達成に向けて注ぎ込む方向へ作用します。自分自身の状態を良好に保つ内向きの力と、周囲や組織へ働きかけて成果を生み出す外向きの力という違いを理解することが大切です。
企業活動において期待できる成果や効果の質も、それぞれの概念で大きく異なります。ウェルビーイングの向上は、離職率の低下やメンタル不調の防止といった、組織のマイナス要因を削減する持続的な効果をもたらします。
対してエンゲージメントの向上は、業務の生産性向上やイノベーションの創出といった、組織のプラス成果を最大化する推進力を生み出します。組織の基盤を守り維持する効果と、組織を成長させ前進させる効果という役割の違いを把握して施策を講じる必要があります。
ウェルビーイングとは、個人が身体的、精神的、社会的に良好で満たされた状態を意味する概念です。ビジネスにおいては、従業員が健康かつ健全に働き続けるための重要な土台として捉えられています。
ウェルビーイングとは、単に病気ではないというだけでなく、心身ともに健康で社会的にも満たされている良好な状態を指します。世界保健機関憲章で提唱された概念であり、現代のビジネスシーンでは従業員の持続可能な働き方を支える基盤として重要視されています。
具体的には、職場での適度な裁量権や円滑な人間関係、プライベートとの調和が取れている状態が含まれます。企業がこの状態を整えることで、従業員の不安やストレスが軽減され、長期的に安心して能力を発揮できる環境が整います。
ウェルビーイングが高い状態とは、個人の生活と心身が満たされており、自分らしく穏やかに働けている状態です。たとえば、リモートワークや柔軟な勤務制度を活用し、プライベートの時間や睡眠を十分に確保できている従業員の姿が挙げられます。
職場での人間関係も良好で過度な不満がなく、精神的にも安定した状態で日々の業務に取り組めています。このように自分自身のコンディションや生活の基盤が十分に整っていることこそが、ウェルビーイングの高さを象徴する具体的な姿となります。
エンゲージメントとは、従業員が企業の掲げるビジョンや目標に共感し、自発的に仕事や組織へ貢献しようとする意欲や繋がりの深さを指す概念です。組織の成長と生産性向上を牽引する力として重視されています。
エンゲージメントとは、企業と従業員の双方向的な深い信頼関係や、仕事に対する強い熱意を意味します。単なる会社への満足感や居心地の良さとは異なり、目標達成に向けた自発的な行動を引き出す点が特徴です。
従業員が組織の方向性に共感しているため、自分の役割に誇りを持って前向きに業務へ取り組むようになります。このように自発的な貢献意欲と組織との結びつきを表す姿勢こそが、エンゲージメントの持つ本質的な意味です。
エンゲージメントが高い状態とは、企業の目指す方向に共感し、自らの意思で熱量高く仕事へ打ち込んでいる状態です。たとえば、自社のビジョンに納得したうえで、提示された指示の範囲を超えて自発的な提案や改善活動を行う姿が挙げられます。
周囲のメンバーとも積極的に協力し、会社の成長を自分のこととして捉えて成果創出へ向き合います。このように組織の目標達成を自らのやりがいと感じて意欲的に動く姿勢が、エンゲージメントの高さを表す具体像です。
ウェルビーイングとエンゲージメントは、概念の性質や組織において果たす役割に明確な違いがあります。それぞれの性質を深く捉えることで、より実効性の高い組織開発施策を策定できます。
ウェルビーイングが個人の状態を表す概念であるのに対し、エンゲージメントは個人の行動や接続を表す概念です。前者は自分が満たされているかという受容的かつ静的なコンディションを示します。
これに対して後者は自ら組織や仕事にどう関わるかという能動的かつ動的な姿勢を示します。静的な状態か動的な行動かという性質の違いを理解することが、適切な目標設定に繋がります。
ウェルビーイングが組織の持続力を生み出すのに対し、エンゲージメントは事業の推進力を高めます。良好なコンディションの維持はストレス耐性を高め、長期的に働き続けられる強固な土台を作ります。
一方で仕事への情熱や高い貢献意欲は、高い目標を達成しイノベーションを起こす原動力を生み出します。基盤を守る持続力と成果へ向かう推進力という補完関係を理解することが大切です。
エンゲージメントとウェルビーイングの掛け合わせにより、組織の状態は四つのパターンに分類できます。自社がどの状態に該当するかを把握することで、優先して取り組むべき課題が明確になります。
| パターン | エンゲージメント | ウェルビーイング | 状態の特徴 |
| 燃え尽き予備軍 | 高い | 低い | やりがいはあるが過労により突然離職する |
| ぬるま湯組織 | 低い | 高い | 居心地は良いが熱意がなく成長が停滞する |
| 不満を抱える組織 | 低い | 低い | 居心地も悪く熱意もなく離職リスクが高い |
| 理想的な高パフォーマンス組織 | 高い | 高い | 健康的に成果を出し続けられる |
燃え尽き予備軍とは、エンゲージメントが高くウェルビーイングが低い状態の組織です。社員は仕事のやりがいや高い貢献意欲を持っていますが、過度な残業や休日出勤により心身の疲弊が進んでいます。
たとえば、裁量権を持って熱心に業務へ取り組むものの、十分な休日や睡眠が取れず限界を迎えてしまうケースが該当します。この状態を放置すると優秀な人材が突然の休職や退職に追い込まれるため、業務量の見直しや労働環境の改善が必要です。
ぬるま湯組織とは、エンゲージメントが低くウェルビーイングが高い状態の組織です。残業が少なく福利厚生も充実しているため居心地は良いものの、組織の目標に対する情熱や挑戦心は不足しています。
たとえば、定時退社ができ職場の人間関係もマイルドですが、誰も自発的な提案や高い目標設定を行わない状況が当てはまります。離職率は低いものの組織の成長やイノベーションが停滞しやすいため、適切な評価や成長機会の提供による意識改革が必要です。
不満を抱える組織とは、エンゲージメントとウェルビーイングの双方が低い状態の組織です。職場環境や労働条件に対する不満が強く、仕事に対する熱意や目標達成への意識も著しく低下しています。
たとえば、過酷な長時間労働に加え職場の人間関係も悪化しており、従業員が指示された最低限の業務しか行わない状態が該当します。この状態では早期離職の増加やメンタル不調の頻発を招くため、労働環境の是正と信頼関係の再構築が最優先課題となります。
理想的な高パフォーマンス組織とは、エンゲージメントとウェルビーイングの双方が高い状態の組織です。個人の健康や生活の基盤が充足したうえで、会社のビジョンに共感し自発的に貢献する環境が整っています。
たとえば、柔軟な働き方で心身のコンディションを保ちつつ、自ら高い目標を掲げてチームで成果を追求する姿が挙げられます。健全な状態を保ちながら持続的に高い成果を生み出せるため、企業が目指すべき理想的な組織像と言えます。
現代の企業経営において二つの要素を同時に追求すべき理由は、片方だけの施策では組織が持続的に成長できないからです。個人の健康と組織への熱意を双方高めることで、初めて健全で生産性の高い状態を維持できます。
従来のように熱意や貢献意欲のみを追求する施策は、従業員の疲弊を招くため限界を迎えています。個人の健康や生活という基盤を無視して成果ばかりを求めると、優秀な社員ほど過労により燃え尽きてしまうからです。
どれほど会社に愛着があっても、身体的や精神的な限界を超えて働き続けることは不可能です。従業員が元気に働き続けられる環境を整えることが、持続可能な高パフォーマンスを実現するための第一歩となります。
残業削減や労働環境の整備といったウェルビーイング施策のみでは、組織がぬるま湯化する危険性があります。快適な職場環境を提供するだけでは、会社の目標に向かって自発的に挑戦する意欲まで引き出せないからです。
居心地の良さだけに満足した状態が続くと、組織全体の生産性やイノベーションが停滞してしまいます。安心感のある環境を整えたうえで、仕事への情熱や貢献意欲を高める施策を組み合わせることが重要です。
人材を投資対象と捉える人的資本経営の観点からも、両者の同時追求が求められています。従業員をコストではなく価値を生み出す資産として捉える場合、保全と活用の双方に投資する必要があるからです。
| 観点 | 従来の考え方 | 人的資本経営の考え方 |
| 人材の捉え方 | 消費するコスト | 価値を生む資本 |
| ウェルビーイングの位置づけ | 福利厚生の一環 | 資本の保全と安定化 |
| エンゲージメントの位置づけ | 労働量の最大化 | 資本の価値発揮と最大化 |
資本の保全にあたるウェルビーイングで基盤を固め、資本の活用にあたるエンゲージメントで成果を最大化させる視点が欠かせません。
A:ウェルビーイングが心身の健康や満たされた状態という個人の基盤を指すのに対し、エンゲージメントは組織や仕事に対する熱意や貢献意欲といった関係性を指します。
A:個人の健康という土台がない熱意は燃え尽きを招き、自発的な熱意がない環境は組織の停滞を招くため、両方をバランスよく高めることが持続的な成長に不可欠だからです。
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