ESG投資は「意味ない」のか?言われる理由と実利につながる対策

ESG投資が「意味ない」と言われる理由は、短期的収益に繋がらず、開示対応で現場が疲弊し、本来の経営目的を見失って形骸化してしまうからです。しかし、対応を怠ると大手企業からの取引排除や採用難のリスクを招きます。

ESG投資を実利に変えるためのポイントは以下の3点です。

  • 本業の改善に直結する課題(省エネや離職防止など)に絞る
  • ウェルビーイングなど採用や融資に響く身近な指標を改善する
  • 豪華な報告書は捨て、自社サイトで等身大の実績を公開する

本記事は、ウェルビーイング経営支援や独自の組織計測ツールの開発を手掛ける株式会社スカイベイビーズがプロの視点で監修しています。コストを抑え、組織を強くする実践的な対策を解説します。

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この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

ESG投資が「意味ない」と言われる理由

ESG投資が意味がないと批判される最大の理由は、かけた費用や労力に対して見合った効果が得られにくい構造にあります。ここではコストや評価基準、現場の疲弊など、具体的な9つの理由を解説します。

短期的な収益に繋がらずコストが先行する

ESG対応には多額の先行投資が必要ですが、それが即座に売上や利益に直結しない点が課題です。たとえば脱炭素に向けた設備の導入やサプライチェーンの監査には多大な費用がかかります。

しかし、これらの取り組みが製品価格への転嫁や新規顧客の獲得に結びつくまでには時間がかかります。結果としてコストだけが膨らみ、短期的には企業の財務状況を圧迫してしまうため、投資対効果が見えにくいと批判されがちです。

株価や資金調達への効果が不透明である

費用をかけてESGの評価を高めても、それが直接的なリターンや株価の上昇に結びつくとは限らないのが実情です。市場では、ESGスコアが高い企業の株価が必ずしも市場平均を上回るわけではないという結果も出ています。

また、非財務情報であるESGの取り組みが将来の成長にどう寄与するのかを投資家に論理的に説明することは難しく、資金調達コストの低下といった具体的な恩恵を実感しづらい構造があります。

評価基準の乱立と開示対応の負担が大きい

評価機関によって重視する指標や採点基準がバラバラであり、対応する企業の業務を大きく圧迫しています。ある機関では高評価でも別の機関では低評価になるなど、世界統一の基準が存在しないため企業は対応に振り回されます。

さらに、温室効果ガスの排出量など膨大なデータの収集やサステナビリティレポートの作成には専門的な知識が必要であり、人的リソースが不足している企業にとっては重い負担となっています。

本業のリソースを圧迫し現場が疲弊する

ESGの開示業務が現場の負担となり、本来注力すべきコア事業へのリソースが奪われるという本末転倒な事態が起きています。データ収集やアンケート回答が通常業務に追加されることで、現場の従業員には過度なストレスがかかります。

企業価値を高めるはずの取り組みが従業員のウェルビーイングを損ない、疲弊させてしまっては本質的な成長にはつながりません。現場の理解を得られないまま進めるESGは形骸化しやすくなります。

手段が目的化して経営が形骸化する

評価機関の質問票を埋めることや、国際的な基準に合わせた書類を作成すること自体がゴールになってしまうケースが後を絶ちません。本来、ESGは経営課題を解決し持続可能な成長を実現するための手段です。

しかし、報告書の体裁を整えることに注力するあまり、事業そのものの改善や社会への実効的なインパクト創出が置き去りにされています。このような表面的な対応では、投資家や顧客から評価されることはありません。

グリーンウォッシュと批判される炎上リスクがある

実態が伴っていないにもかかわらず、環境や社会に配慮しているように見せかける行為は厳しく批判されます。誇大な目標を掲げながら具体的な達成計画がない場合、消費者やNGOからグリーンウォッシュだと指摘され、訴訟に発展するケースもあります。

良かれと思って発信したPRが裏目に出てしまい、企業ブランドや信頼を大きく損なうリスクを孕んでいるため、情報発信には誠実さと正確な実績の提示が求められます。

政治的な反発や法的リスクが生じている

米国などを中心に、ESGを推進する企業との取引を制限する反ESGの法規制が敷かれるなど、政治的な分断の火種となっています。国際的な枠組みに賛同して脱炭素などを進めることが、特定の地域では独占禁止法や消費者保護法に抵触すると見なされるリスクがあります。

グローバルな善意の目標がローカルな法律違反に問われる可能性があり、企業は市場ごとの法整備や政治動向を慎重に見極めて対応しなければなりません。

事業戦略と現場の目標が切り離されている

経営層が掲げるサステナビリティ方針が、現場のKPIや人事評価制度と連動していないことも意味がないと言われる要因です。現場にとってESGが自分たちの評価に影響しない追加業務であれば、優先順位は当然下がります。

事業戦略の中にESGの要素を組み込み、従業員一人ひとりが納得して取り組める環境やウェルビーイングを高める制度設計がなければ、組織全体の実行力は生まれません。

流行語化によって取り組みが風化している

ESGやSDGsといった言葉がマーケティング用の流行語として消費され、本質的な経営変革を伴わないまま風化しつつあります。世間の注目を集めるための飾りのような扱いになってしまうと、トレンドが過ぎ去った瞬間に社内の推進力も失われます。

一過性のブームに乗るのではなく、自社の存在意義や長期的なビジョンと深く結びつけ、持続可能な取り組みとして組織文化に定着させることが不可欠です。

「意味ない」と言われてもESG投資を無視できない理由

批判がある一方で、ESGの視点を欠いた経営は今後のビジネスにおいて致命的なリスクを招きます。ここでは取引の維持、人材確保、そして資金調達という経営の根幹に関わる3つの理由を解説します。

取引先からのサプライチェーン排除リスク

大企業が自社だけでなく、調達先を含めたサプライチェーン全体のESG対応を義務付ける動きが加速しています。温室効果ガスの排出量や労働環境のデータを提出できない企業は、新規の入札から除外されたり既存の契約を打ち切られたりするリスクがあります。

もはやESG対応は単なる社会貢献ではなく、事業を継続し大手顧客との取引を維持するための必須条件になりつつあるのが現実です。

求職者からの印象悪化による採用難

労働環境や社会課題へのスタンスは、求職者が企業を選ぶ際の重要な基準になっており、対応の遅れは採用競争力の低下を招きます。特に若い世代は、自身の働きがいやウェルビーイングを大切にし、企業の透明性や社会的な意義を厳しく見極めています。

有休消化率や残業時間の削減、多様な人材が活躍できる環境づくりといった身近なESG課題に取り組むことは、優秀な人材を獲得し定着させるための強力な武器になります。

金融機関の融資基準の変化

金融機関が融資の審査において、財務状況だけでなく企業のESGへの取り組み姿勢を評価に組み込むようになっています。環境対応やガバナンス体制が整っている企業に対しては、金利の優遇や特別な融資枠を設けるケースが増加しています。

逆に言えば、ESGに無関心な企業は将来的に資金調達のコストが上がり、事業拡大や設備投資に必要な資金をスムーズに確保できなくなる恐れがあります。

ESG投資を「意味ある」ものにする実践方法

ESG投資を形骸化させず企業成長の力とするには、限られたリソースを自社の実利につながる領域へ集中させることが重要です。ここでは現場の負担を減らしつつ、確かなリターンを得るための4つの実践方法をお伝えします。

課題を本業の改善に直結する項目に絞る

すべての評価項目を網羅しようとするのではなく、自社の経営課題の解決に直接貢献する1つか2つのテーマに絞り込むことが成功の鍵です。

たとえば製造業であれば省エネ化による光熱費の削減、サービス業であれば働き方改革を通じた従業員のウェルビーイング向上による離職防止などが挙げられます。これらを社会貢献ではなく現場の無駄を省く改善活動の延長として位置づけることで、追加の専用コストを発生させずに収益基盤を強化できます。

取引を維持するための防衛策と割り切る

大企業からの脱炭素や人権対応の要請に対しては、取引を継続するための必須条件と割り切り、最低限必要なデータを即答できる体制を整えるべきです。

サプライチェーン全体での対応が求められる現在、親会社から自社の電気代や燃料使用量などの数値を求められた際にスムーズに提出できなければ、取引先としての資格を失う恐れがあります。高額なツールを導入する必要はなく、まずは自社の現状を正確に把握しておくことが最大の防衛策になります。

採用や融資に響く身近な指標を設定する

人材確保や資金調達を有利に進めるためには、求職者や金融機関が重視する生活や経営に密着した指標を改善しアピールすることが効果的です。残業時間の削減や有休消化率の向上など、働きがいやウェルビーイングに直結する数値を改善することは、採用コストの削減に大きく貢献します。

また、地元の金融機関が提供するサステナビリティ関連の優遇融資の条件を満たす目標を設定すれば、資金繰りの面でも直接的なメリットを享受できます。

豪華な報告書は捨てて自社サイトで実績を公開する

外部のコンサルタントに依頼して見栄えの良い分厚いレポートを作るよりも、自社サイトの1ページを使って実際の数値を誠実に公開するほうが実利につながります。

達成不可能な非現実的な目標を掲げるとグリーンウォッシュの批判を受けるリスクがあるため、今期実施して成果が出た事実だけをシンプルに掲載します。たとえばLED照明への切り替えによる削減量や女性管理職の比率などを箇条書きで示すだけで、取引先や求職者からの信頼は十分に得られます。

ESG投資の推進を支援する主なサービス

外部の専門知識を適切に活用することで、自社の負担を軽減しながら実効性の高いESG経営を実現できます。ここでは、企業の現状分析から実行までをサポートする4つの主な支援サービスをご紹介します。

戦略や目標を策定するコンサルティング

自社が優先して取り組むべき課題を特定し、中長期的なサステナビリティ戦略やロードマップの策定を専門家が伴走して支援します。どの課題に取り組めば企業価値や従業員のウェルビーイング向上に最も寄与するかを客観的に分析し、経営戦略と連動した無理のない目標を設定します。

自社の強みと社会のニーズをすり合わせることで、形骸化しない本質的な経営計画を描くことができます。

温室効果ガスなどのデータ管理ツール

サプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量や、人事に関する非財務データを自動で可視化し一元管理するクラウドサービスです。手作業による煩雑なデータ収集の手間を大幅に削減できるため、現場の担当者が本来の業務に集中できるようになります。

また、蓄積された正確なデータは、取引先への提出や金融機関からの評価を受ける際の信頼性の高い根拠として機能します。

サステナビリティなどの情報開示支援

国際的なガイドラインや国内の基準に沿って、投資家やステークホルダーに向けた適切な情報開示をサポートするサービスです。複雑化するルールを的確に解釈し、統合報告書やサステナビリティレポートの構成案の作成から執筆までを専門の視点で支援します。

自社の取り組みを過不足なく正確に伝えることで、外部からの不当な評価やグリーンウォッシュ批判のリスクを回避できます。

グリーンボンドなどの資金調達支援

環境保全や社会課題の解決を目的とした事業に必要な資金を調達するために、金融機関や証券会社が提供するアドバイザリーサービスです。グリーンボンドのフレームワーク策定や、外部評価機関からの第三者意見の取得に向けたコーディネートを行います。

ESGの取り組みを直接的な資金調達という経営の武器に変換し、長期的な成長に向けた安定した財務基盤の構築を後押しします。

ESG投資は意味ないのか?に関するまとめ

Q:なぜ企業のESG投資は「意味がない」と言われるのですか?

A:多額のコストが先行して短期的な収益に繋がりにくく、評価基準の乱立による開示対応で現場が疲弊し、手段が目的化してしまうからです。

Q:企業がESG投資で実利を得るにはどうすべきですか?

A:見栄えの良い報告書作りをやめ、本業の無駄を省く改善や、従業員のウェルビーイング向上といった「採用や融資に直結する身近な指標」に絞って取り組むことが重要です。

ESG投資は、単なる開示対応のコストとして捉えると意味のないものに終わります。しかし、本業の改善や従業員の働きがいに直結する課題に絞り込むことで、組織を強くする確かな投資へと変わります。

株式会社スカイベイビーズは、働く人々の幸福が企業の持続的成長に不可欠と考え、慶応義塾大学の前野教授と独自開発した計測ツールによるウェルビーイング経営支援を行っています。見えにくい心の状態を数値化し、実効性のある組織改善を後押しします。

ESG対応や組織風土の改善でお悩みの場合は、ぜひ一度私たちにご相談ください。

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※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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