【AI時代の働き方】効率よく仕事ができても疲れるのはなぜ?「余白」が生む創造性と組織の力

AIやリモートワークによって、仕事はずいぶん効率化された。それなのに、なぜか前より疲れている。予定が詰まっている。

この違和感は、多くの組織でまだ十分に言葉にされていないのかもしれません。

効率化は、本来、人間らしく働くための余白を取り戻すためにあるはずです。けれど実際には、空いた時間にさらに仕事を詰め込み、より高密度に働く方向へ進んでいる組織も少なくありません。

スカイベイビーズでは、自然体で働ける組織には「余白」が必要だと考えています。余白とは、ただの空き時間ではありません。考える、感じる、話す、立ち止まる。そうした人間らしい営みを取り戻すための時間です。

AI時代の効率化は、何のためにあるのか。余白がない組織では、何が見えなくなるのか。創造性や組織の力は、どこから生まれるのか。

代表・安井の視点からひも解きます。

Masato Yasui

クリエイティブディレクター・代表取締役。クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。2016年より山梨との二拠点生活をスタート。

スカイベイビーズの「ウェルビーイング力向上支援サービス」の詳細は下記ボタンから!

効率化されたのに、なぜ人は忙しくなるのか

――AIやリモートワークで仕事は効率化されているはずなのに、現場ではむしろ忙しくなっている感覚があります。

安井

ここ数年で、仕事によってはものすごく効率化されていると思います。エンジニアの方と話していても、「以前の3割くらいの時間で、同じ仕事ができるようになった」という話を聞くことがあります。

私自身も、調べものや考えを整理するときにAIを使います。以前なら2、3日かけて考えていたことが、5分くらいである程度見えてくることもある。そう考えると、時間は確実に圧縮されています。

でも、時間が空いたはずなのに、みんな余計に忙しくなっている感じがある。

なぜかというと、空いた時間にまた何かを詰め込んでしまうからです。効率化によって30分浮いたら、その30分を休むのではなく、次の会議や作業で埋める。結果として、仕事の密度だけが上がっていく。

効率化が、人間の余白を増やす方向ではなく、仕事量を増やす方向に使われてしまっているのだと思います。

――その状況に苦しんでいる人も増えてきているように感じます。

安井

そうですね。便利になった状態は、すぐに当たり前になります

ヘドニック・トレッドミルという考え方があります。何かが便利になったり、よい状態になったりしても、人はそれに慣れていく。

最初は時速5キロで走っていたのに、それに慣れると10キロ、20キロと速度が上がっていく。けれど、本人の幸福度がその分上がるとは限らない。

仕事でも同じことが起きていると思います。

AIを使えば速くできる。速くできる状態が当たり前になる。すると、もっと速く、もっと多く、もっと詰めて働くことになる。

気づくと、以前より速く走っているのに、何かがよくなった実感はあまりない。売上が上がったわけでも、残業が減ったわけでも、幸福度が上がったわけでもない。ただ、忙しさだけが増している。

そうなっていないかを、一度見つめ直す必要があると思います。

なくなったのは、移動時間ではなく「考える間」かもしれない

――リモートワークで、移動時間や会議の合間がなくなったことも影響しているのでしょうか

安井

リモートワーク以前は、会議と会議の間に移動時間がありました。別の部屋に移動する、外出先へ向かう、駅まで歩く。そういう時間が自然に挟まっていた。

その間に、人はいろいろ考えていたと思います。次の会議で何を話そうか。さっきの議論はどうだったか。少し引っかかったことは何だったのか。移動中に同僚と話して、そこで何かが整理されることもあった。

リモートになって、その時間がかなり消えました。1時間単位で会議が並び、終わった瞬間に次の画面へ入る。効率的ではありますが、考える間がない。

失われたのは、単なる移動時間ではないと思います。仕事と仕事の間にあった、頭と感情を整える時間です。

――移動中の雑談にも意味があったということですね。

安井

会議では言いにくいことが、2人や3人で歩いているときには出ることがあります。

「さっきの話、どう思った?」「自分はこう考えていたんだけど」「実は少し引っかかっていて」

こういう会話は、公式な場では出にくい。でも、移動中や休憩中の雑談では出る。そこに、その人の考え方や状態が表れます。

今は、その小さな会話を拾いにくくなっています。会議では発言しないけれど、2人なら出る意見がある。5、6人の場では言わないけれど、雑談なら言える違和感がある。

効率化によって、そうした声が消えてしまうと、組織は表面的にはスムーズに動きます。でも、メンバーの本当の温度や引っかかりは見えにくくなります。

「何もしない時間」に仕事は育つ

――仕事と仕事の合間の余白には、どのような価値があると思いますか?

安井

特に、創造性が必要な仕事では、仕事をしていないように見える余白の時間に考えが育つことがあります。

会議中に答えが出ることもありますが、パッと答えが出るような問題ばかりではありません。

クリエイティブな仕事や、まだ形になっていない問いを考えるときは、電車に乗っているとき、お風呂に入っているとき、散歩しているときに、ふと見えてくることがあります。

仕事モード全開で机に向かっているときより、少し力が抜けた時間に、ようやく考えがつながることがある。

私自身、クリエイティブの仕事をしているので、余計にそう感じます。間の時間にゆっくり考えて、ようやく答えにたどり着く。そういう仕事の育ち方は確実にあると思います。

――余白は、サボりではなく、考えが熟成する時間でもある。

安井

何もしない時間を、すぐに無駄と見なさないことが大事だと思います。

もちろん、ただ時間を浪費しているだけの場合もあります。でも、すべての空白を埋めようとすると、考えが育つ時間まで失われてしまう。

効率的に処理する仕事と、ゆっくり考えることで深まる仕事は違います。前者はAIや仕組みでどんどん速くできるかもしれません。

でも後者まで同じように詰めてしまうと、表面的な答えは出ても、本当に必要な発想や納得には届きにくくなる。

余白は、仕事の外にあるものではありません。仕事が深まるための一部なのだと思います。

日々の小さな感覚は、忙しさの中で消えていく

――余白がないと、自分のことを考える時間も減っていくのでしょうか

安井

キャリアや仕事の未来は、意外と日常の中で積み上がっていくものだと思います。

自分はなぜ成長できていないと感じるのか。今の仕事のどこに違和感があるのか。誰と働くと力が出るのか。どんな場面で疲れているのか。

こういうことは、日々少しずつ考えていくものです。土日にまとめて振り返ろうとか、月に一度どこかで整理しようというやり方もありますが、それだけでは見逃してしまう感覚があります。

忙しくなると、そのとき感じたことをすぐに忘れていきます。2日前に感じた違和感も、かなり思い出しにくくなる。

けれど、その忘れていくものの中に、実は大事な手がかりが隠れていることがあります。

――小さな違和感を拾うには、余白が必要なのですね。

安井

余白がないと、感じたことを感じたままにしておけません。

何か引っかかった。少し嬉しかった。なんとなく疲れた。あの人の一言が気になった。そういう小さな反応は、忙しさの中ではすぐに流れていきます。

でも、そうした反応の中に、自分の仕事の意味や、組織の状態を知る手がかりがあります。

自分一人で考える時間も大切ですし、誰かの意見を聞きながら自分のことを考える時間も大切です。いわゆる壁打ちのように、誰かと話しながら考えることで、自分一人では気づけなかったことが見えてくる。

組織のことは、なおさら一人では見えにくい。メンバー同士で話しながら、「今、自分たちはどう感じているのか」を捉えないと、変えるべきことも見えにくくなります。

余白がない組織では、メンバーの状態が見えなくなる

――経営や組織運営において、余白はなぜ必要なのでしょうか?

安井

特に中小企業では、メンバーがどれだけ元気に、幸福度高く、生産性高く働けるかが、会社の力に直結します。

効率だけを見ていると、メンバーが疲れていることに気づけなくなることがあります。個人の悩みや、仕事への違和感が見えないまま進んでしまう。問題がかなり大きくなってから、ようやく気づく。

そうなると、その人だけでなく、周囲にも負荷が広がります。

急に誰かが動けなくなる。仕事が他の人に寄る。チーム全体の空気が重くなる。経営としても、結局うまくいかないことが突然やってくる。

でも、本当は突然ではないことが多い。もっと前から小さなサインはあったはずです。

余白がある組織では、そのサインを拾いやすい。メンバーの状態が見えているから、変化に対応するスピードも上がります。

――変化対応力にも、余白が関係する。

安井

変化対応力という言葉はよく使われますが、みんなの状態が見えている組織と、見えていない組織では、対応の速さも質も変わります。

余白があると、メンバー同士が話す時間が生まれます。誰が何に悩んでいるのか、どこに負荷がかかっているのか、どんな違和感が出ているのかが見えやすくなる。

それは一見、直接的な成果には見えにくいかもしれません。でも、いざ変化が起きたときに効いてきます。

効率化だけで詰め込まれた組織は、平常時には速く見えます。けれど、変化が起きたときにしなやかに動けないことがある。

余白がある組織は、一見ゆっくりに見えても、メンバーの状態を理解している分、変化に対応しやすい。

スピードが速い組織が強いのか。余白を持っていて、しなやかな組織が強いのか。

これは、経営者やリーダーが考えるべき問いだと思います。

チェックインの10分は、ただの雑談ではない

――スカイベイビーズでは、ミーティングの最初にチェックインの時間を取っています。そこにはどんな意味がありますか?

安井

1時間のミーティングのうち、最初の10分をチェックインに使うと、「この時間は必要なのか」と見えることもあると思います。ただの雑談に見えることもあります。

でも、後から考えると意味のある10分だと感じます。

その時間で空気が温まる。メンバーの状態が少し見える。言いたいことを言いやすい雰囲気ができる。会議の本題に入る前に、人としての温度が少し戻ってくる。

仕事だけを効率よく進めようとすると、人の状態が抜け落ちます。でも、実際には人の状態が会議の質に影響します。

誰かが疲れているのか、少し迷っているのか、今日どんなテンションなのか。それが見えるだけで、話の進み方は変わります。

――雑談のような時間が、組織の空気をつくっている。

安井

雑談は、目的がはっきりしないからこそ意味があることがあります。

会議の本題では出ない話が、雑談では出る。何気ない一言から、誰かの状態や関心が見える。そういう時間があると、メンバー同士の理解が少しずつ深まります。

効率だけで見ると、最初に削られやすい時間です。でも、削ってはいけないものもある。

空気が温まっていない状態で、いきなり結論を出そうとしても、うまくいかないことがあります。逆に、少し話してから本題に入るだけで、意見の出方が変わることがある。

余白は、会議の外側にあるものではありません。会議の質そのものを支えるものでもあります。

余白をつくるには、まず「詰め切らない」ことから始める

――忙しい人や組織が、余白をつくるには何から始めればよいのでしょうか?

安井

私自身も予定を詰めがちな人間なので、簡単ではありません。

ただ、意識していることはあります。たとえば、1時間の会議だからといって、必ず1時間やらない。30分で終わるなら30分で終わる。その結果、30分が空く。

会議の時間を、決められた枠いっぱいに使うことが目的になってしまうと、本来は空いたはずの時間まで埋まってしまいます。

まずは、必要以上に時間を使わないことが大事だと思います。

また、カレンダーにあらかじめ余白を入れておくのも一つの方法です。1時間の会議なら、実際には1時間10分で押さえておく。あるいは、1日30分でも1時間でも、考える時間を先に入れておく。

本当は、自然に余白が生まれるのが一番いいのかもしれません。わざと「余白の時間」と入れると、少し作為的になってしまう感じもあります。

でも、まったく取れない人は、まず入れてしまったほうがいいと思います。

――現場が忙しすぎて、余白なんて作れないという組織もありそうです。

安井

もともと人手が足りず、常に忙しい状態であれば、作業効率化を進める必要があります。そこは現実的に向き合わなければいけません。

ただ、時代の変化やツールの導入によって効率化されているはずなのに、以前より忙しくなっている場合は、元々どうだったのかを忘れないほうがいい。

効率化した結果、何がよくなったのか。売上が上がったのか。勤務時間が短くなったのか。残業が減ったのか。メンバーの幸福度は上がったのか。

そこを見ないまま、ただ仕事量だけが増えているなら、立ち止まったほうがいいと思います。

すごく忙しいのに、何も進んでいないということがあります。不思議ですが、よくあることです。そういうときは、もっと速く走るより、ゆっくり見直したほうがいい。

効率化のゴールは、仕事量を最大化することではない

――経営者やリーダーは、余白をつくることをどう捉えればよいのでしょうか?

安井

「余白をつくる」と言うと、サボっていいと言っているように感じる人もいるかもしれません。特に経営者やリーダーは、少し言いにくい部分もあると思います。

でも、余白はサボりではありません。成果を出すために必要な時間です。

もしAI活用や効率化によって30%改善したのであれば、その30%分の何かが現れているはずです。売上が上がる、勤務時間が短くなる、残業が減る、創造的な仕事に時間を使えるようになる。何かしらの変化があるはずです。

それが何も見えていないなら、効率化した分が、ただ追加の仕事で埋まっている可能性があります。

経営としては、効率化の結果をもう一度見比べる必要があります。仕事は速くなったのか。成果は上がったのか。人は疲れていないか。創造性は高まっているか。

効率化のゴールは、仕事量を最大化することではありません。人間性や創造性を回復する余白を確保することなのだと思います。

――AIで浮いた時間を、何に戻すのかが問われますね。

安井

AIで浮いた時間を、余白に戻せているか。それとも、さらに高密度な仕事で埋めてしまっているか。

そこは、これからの働き方において重要な問いになると思います。

効率化は悪いことではありません。むしろ、必要です。ただ、その先に何を増やしたいのかを考えないと、ただ忙しさだけが増えていきます。

人が考える時間。誰かと話す時間。違和感を拾う時間。創造性が育つ時間。組織の空気を見る時間。

そうしたものを取り戻すために効率化があるのだとしたら、AI時代の働き方は少し違って見えてくると思います。

組織活性化とは、予定を埋めることではない

――最後に、余白と組織活性化の関係について聞かせてください。

安井

活性化している組織というと、会議が多く、動きが速く、常に何かが進んでいる組織を想像する人もいるかもしれません。

でも、予定が埋まっていることと、組織が生きていることは違います。

本当に強い組織には、立ち止まる時間があります。メンバー同士が話す時間があります。考えがまだまとまっていない状態を置ける時間があります。誰かの小さな違和感を拾う時間があります。

それは、短期的には非効率に見えるかもしれません。でも、長い目で見ると、組織の創造性や変化対応力を支えています。

スカイベイビーズが大切にしている自然体経営は、余白を恐れないことでもあります。

余白があるから、人は自分の状態に気づける。余白があるから、誰かの言葉を受け取れる。余白があるから、まだ形になっていない発想が育つ。

効率よく働くことは大切です。でも、効率化によって人間らしさや創造性が削られているなら、その効率化はどこかで見直す必要があります。

これからの働き方に必要なのは、速さだけではない

AI時代の働き方では、仕事はますます速くなっていきます。調べる時間、つくる時間、整理する時間は、これからも短くなっていくでしょう。

けれど、速くなった分だけ、人は幸せになるのでしょうか。空いた時間をさらに仕事で埋めた先に、創造性は残るのでしょうか。予定がすべて埋まったカレンダーの中で、組織の小さな違和感に気づけるのでしょうか。

効率化のゴールは、仕事量を最大化することではありません。人間性や創造性を回復する余白を取り戻すことです。

何もしないように見える時間に、仕事は育つことがあります。雑談のように見える時間に、組織の空気が温まることがあります。立ち止まる時間に、次の変化への力が生まれることがあります。

スカイベイビーズは、人が自然体で働くためには、余白が必要だと考えています。

あなたの組織では、AIで浮いた時間を、何に使っているでしょうか。さらに仕事を詰め込んでいるでしょうか。それとも、人が考え、話し、創造するための余白に戻せているでしょうか。

スカイベイビーズの「ウェルビーイング力向上支援サービス」の詳細は下記ボタンから!

  1. HOME
  2. ウェルビーイング
  3. 【AI時代の働き方】効率よく仕事ができても疲れるのはなぜ?「余白」が生む創造性と組織の力

貴社の魅力を引き出す
ブランディングなら、
私たちにお任せください!