【事例7選】社内コミュニケーションの課題とは?組織崩壊を招く原因と対策

社内コミュニケーションの課題とは、単なる人間関係の悪化ではなく、組織の急拡大に仕組みが追いつかないことで生じる成長痛です。主な原因として、以下の要素が挙げられます。

  • 理念なきスキル偏重の採用
  • 経営陣と現場の情報格差
  • マネジメント層の育成不足

本記事では、組織崩壊や人数の壁に直面した企業7社の生々しい実例から、課題が起こる根本的な原因と乗り越えるためのヒントを徹底解説します。慶應大・前野隆司教授と共同でウェルビーイング診断ツールを独自開発した株式会社スカイベイビーズの監修のもと、実践的な対策をお届けします。

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

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社内コミュニケーションに課題が起きた企業の実例7選

急激な組織拡大の過程で、社内コミュニケーションの壁や組織崩壊に直面した企業の実例をご紹介します。経営者自らが当時の生々しい失敗談や、原因、そしてそれをどう乗り越えたのかを赤裸々に語った貴重な記録です。

株式会社I-ne

主力商品のヒットで社員が300名へ急拡大する中、スキル優先の採用を続けた結果、理念との違和感が生じ組織が崩壊しかけた事例です。指示待ち他責の風土が蔓延し、約200人の採用者のうち4割が退職。

事業にも悪影響を及ぼし数十億円の不良在庫を抱えましたが、社長自身が未熟さを認めて反省し、経営陣で会社改革を進めて立て直した過程が綴られています。

参考:https://note.com/yoheionishi_ine/n/n7ace1674b0f0

株式会社グッドパッチ

60〜100名への急成長期に行動指針の浸透や評価制度の導入に失敗し、新旧メンバーの対立や大反発を招いた事例です。社内ツールでの怪文書投稿や共有会の廃止が起き、2年間で計80名が退職し取締役も全員辞任しました。

マネジメントや人材育成が追いつかず、経営層と現場の意思疎通が欠如したことが原因です。採用面接では組織が崩壊していると正直に伝えて期待値調整を行いました。

参考:https://note.com/naofumit/n/n028df2984256

サイボウズ株式会社

2006年に離職率が過去最高の28%に達し、人が次々と辞める事態に陥った事例です。青野社長は、社員が辞めるのは自分の理想を実現するためだと気づき、その理想を社内で実現できるよう支援する方針へ転換しました。

サイボウズ式・問題解決メソッドを考案し、現実、理想、原因、課題を明確に区別することで、各人が理想に向けて自分が実行できる行動に集中できる仕組みを構築しました。

参考:https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m001277.html

株式会社kubell

事業と組織の急拡大における組織のスケールの壁について解説した事例です。30人の壁では、社長の決定に依存するシステムからの脱却が難しく、一定の権限委譲が必要になります。

50人の壁では、高効率を維持しつつ拡大するため、社長の右腕となるシニアマネージャーに領域を任せることが不可欠です。経営会議の基準を定めた決裁基準表を作成し、権限委譲と効率化を進める過程が語られています。

参考:https://note.com/cwmasaki/n/n73c57f0d8696

株式会社SmartHR

100の問題を100人で1問ずつ解く経営を掲げ、情報の透明性を徹底した事例です。社長1人でなく全員で問題を解決する方がスピードも正答率も上がるという考えのもと、給与と個人面談以外の全情報をフルオープンにしています。

社長とメンバーの情報格差をなくすことで意思決定の質を揃え、組織が拡大してもスピードを落とさずに自律的に問題を解決できるカルチャーを構築しています。

参考:https://blog.shojimiyata.com/entry/2018/02/15/125904

株式会社ダイニー

社長が人事や採用に責任を持たなかったことが原因で、オフィスで飲酒する社員が現れるなど組織崩壊を招いた事例です。社長自身の社内での立ち振る舞いが組織の問題に直結していると気づき、採用の入り口を厳格化して価値観の浸透に注力しました。

一挙手一投足を見直し、目標設定の仕組みOKRを徹底することで、組織の質を保ちながら体制を立て直した軌跡がまとめられています。

参考:https://note.com/maochil/n/n29170e4f9417

株式会社ナンバーナイン

社員数50人の壁を突破するため、ミッション実現に向けた価値観の共有を重視した事例です。経営陣が自らの言葉で説明責任を果たすことを大切にし、個人情報を除くほぼ全ての社内情報をフルオープンにすることで情報格差や噂の発生を防ぎました。

社長自身が毎週全社員に向けてプレゼンを行い、誠実に発信し続けることでメンバーからの信頼を獲得していくプロセスが書かれています。

参考:https://note.com/takuma828/n/n282b83224bdd

実例に基づく社内コミュニケーションの頻発課題

急成長する企業が直面する社内コミュニケーションの課題には、明確な共通パターンが存在します。単なる人間関係のトラブルではなく、組織構造の変化に伴う成長痛として頻発する4つの課題を解説します。

1. 理念なきスキル優先の採用

組織を急拡大させるフェーズにおいて最も頻発する課題です。事業を回すためにカルチャーフィットよりもスキル優先で採用を急いだ結果、組織の土台が揺らいでしまいます。

症状として指示待ちや他責思考が蔓延し、創業期からの既存メンバーと新しく入ったメンバーとの間で対立が起こります。

  • I-neの事例:スキル優先で採用した結果、理念との違和感が生じ不平不満・指示待ちが蔓延した。
  • グッドパッチの事例:行動指針が浸透せず新旧メンバーが対立し、評価制度への大反発が起きた。
  • ダイニーの事例:採用の入り口での価値観(Values)のすり合わせが甘く、組織の空気が乱れた。

2. トップダウンとマネジメントの限界

いわゆる30人の壁50人の壁と呼ばれるものです。創業期の社長のツーカーで全てが決まるという高効率な意思決定システムが、人数が増えることで限界を迎えます。

結果として意思決定が遅れ、経営層と現場間の意思疎通が断絶し、中間管理職の育成が間に合わず現場が混乱するという症状を引き起こします。

  • kubellの事例:社長依存の意思決定から脱却できず、シニアマネージャーへの権限委譲や決裁基準の整備が必要になった。
  • グッドパッチの事例:急成長に対してマネジメント層の成長が追いつかず、階層間でコミュニケーションが断絶した。

3. 経営陣と現場の情報格差

経営陣が持っている情報と、現場のメンバーが持っている情報に差があることで生じる課題です。背景や文脈が伝わらないまま結果や制度だけがトップダウンで降りてくることで、現場に不満が溜まります。

症状として、経営陣への不信感や変な噂が蔓延し、最悪の場合は匿名での経営批判などの事態に発展します。

  • SmartHRの事例:情報格差をなくすため、給与と個人面談以外をフルオープンにし、メンバー全員が経営者と同じ目線で意思決定できる環境を作った。
  • ナンバーナインの事例:経営陣が説明を怠らず、自らの言葉で発信して情報をオープンにすることで、噂を防ぎ信頼を獲得した。
  • グッドパッチの事例:意思疎通の欠如から、全社ツールに経営批判の怪文書が投稿される事態に発展した。

4. 個人の理想と会社の目標の乖離

会社が目指す方向性や与える役割と、社員個人が実現したいキャリアや理想の働き方がリンクしなくなった時に発生する課題です。双方が向いている方向のズレを放置すると、社員のモチベーション低下に直結し、結果として優秀な人材の継続的な流出や高い離職率といった深刻な症状を招きます。

  • サイボウズの事例:社員が辞めるのは自分の理想を実現するためだと定義づけ、個人の理想に向けて行動できる問題解決メソッドを導入した。
  • ダイニーの事例:組織のクオリティを保ち、同じ方向を向くためにOKR(目標設定)の仕組みを徹底した。

実例に見る社内コミュニケーションに課題が起きてしまう原因

急成長する企業が直面するコミュニケーションの壁や組織崩壊は、単なる人間関係の悪化ではなく、組織規模の拡大に仕組みが追いついていないことが原因です。各社の実例から見えてくる5つの根本原因を解説します。

1. 理念なきスキル優先の採用

事業が急拡大し人手不足に陥った際、企業の価値観や理念への共感よりも即戦力となるスキルを優先して採用してしまうことが大きな原因です。

面接での違和感を無視して目先の採用を急いだ結果、既存メンバーとの対立や指示待ち・他責といった風土が社内に蔓延し、組織の土台が揺らぐことになります。

  • I-neの事例:面接で違和感があってもスキルで採用し指示待ち・他責が蔓延した。
  • ダイニーの事例:採用の入り口での価値観のすり合わせが甘く、組織の空気が乱れた。
  • グッドパッチの事例:新しく入ったメンバーと既存メンバーの間で価値観の対立が起きた。

2. 経営陣と現場の情報格差

経営陣が把握している会社の現在地や意思決定の背景と、現場メンバーが持っている情報に大きな差がある状態です。なぜその決断に至ったのかという文脈が伝わらないまま、結果だけがトップダウンで降りてくると現場に不信感が募ります。

これが変な噂の増幅や、組織の分断を引き起こす原因となります。

  • SmartHRの事例:情報差が意思決定の質を落とすと考え、給与と面談以外をフルオープンにした。
  • ナンバーナインの事例:経営陣が自ら説明責任を果たさないと、噂や情報格差が生じると指摘した。

3. トップダウンからの脱却遅れ

創業期の高効率な社長の阿吽の呼吸による意思決定システムに依存し続けると、人数が増えた際に社長自身がボトルネックとなります。社長がOKと言えば決まるという属人的な体制から抜け出せず、権限委譲や決裁基準の整理が遅れることが、30人の壁、50人の壁の根本的な正体です。

  • kubellの事例:社長がOKと言えば決まる体制から脱却できず、シニアマネージャーへの権限委譲や決裁基準の整理が遅れた。

4. 管理職の育成とマネジメント不足

組織の人数が増えると、必然的に経営層中間管理職現場という階層が生まれます。しかし、企業の急成長に対してマネジメント層の育成は容易に追いつきません。

階層間で意思疎通ができなくなり、経営層のマネジメント力不足が組織崩壊の引き金となってしまうことが多々あります。

  • グッドパッチの事例:組織の急成長に対しマネジメント層の成長が追いつかず、階層間で意思疎通が途絶えた。
  • I-neの事例:社長自身が300名の会社を経営するスキルがなかったとマネジメント力不足を挙げた。

5. 個人の理想と会社評価のズレ

会社が目指す方向性や新たに導入した評価制度が、社員個人が実現したいキャリアや理想の働き方とリンクしなくなった時に、強い反発や離職が起きます。社員が辞めるのは自分の理想を実現するためであり、会社の与える役割と個人の理想をすり合わせる仕組みがないと優秀な人材が流出します。

  • サイボウズの事例:社員の離職理由は個人の理想の実現であると定義し、それを支援する仕組みを作った。
  • グッドパッチの事例:初めて導入した評価制度への納得度が低く、大反発と大量離職を招いた。

社内コミュニケーションに課題が起こったときの対処法・活性化するための方法

では、もし自社内でここまでご紹介したようなコミュニケーションの課題が起こってしまったらどうすればいいのでしょうか?社内コミュニケーションを成功させる鍵は、社員が安心して発言できる心理的安全性の確保、経営陣のオープンな発信、そして制度利用のハードルを下げることです。

こうした対話の活性化は、社員のエンゲージメントを高め、離職を防いで強い組織をつくるウェルビーイング経営の実現に直結します。制度を形骸化させず、社員の幸福と企業の成長を両立させるための詳しいポイントは、ぜひこちらの記事をご覧ください。

※関連記事:社内コミュニケーションを活性化する具体的施策と企業事例6選

社内コミュニケーションの課題に関するまとめ

Q:社内コミュニケーション課題の根本的な原因は?

A:個人の性格の問題ではなく、組織拡大に対して「スキル偏重の採用」「経営陣と現場の情報格差」「トップダウンからの脱却遅れ」など、仕組みのアップデートが追いついていないことが主な原因です。

Q:課題を解決し、対話を活性化させるポイントは?

A:社員が安心して発言できる「心理的安全性」の確保と、経営層からのオープンな情報発信、そして制度利用のハードルを下げる工夫が重要です。

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