企業のワークライフバランス向上を実現するには?進め方と具体策

企業が従業員のワークライフバランスを実現するためには、単に制度を設けるだけでなく、以下の5つのステップを段階的に進めることが重要です。

  • フェーズ1:現状把握と方針の策定
  • フェーズ2:業務プロセスの見直し
  • フェーズ3:制度とインフラの整備
  • フェーズ4:組織風土と意識の改革
  • フェーズ5:定着と継続的な改善

本記事では、数々の企業のウェルビーイング向上支援を手掛け、「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業」に認定されている株式会社スカイベイビーズ監修のもと、各ステップの具体策をプロの視点から詳しく解説します。自社の労働環境改革にぜひお役立てください。

スカイベイビーズの「ウェルビーイング力向上支援サービス」の詳細は下記ボタンから!

この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

ワークライフバランス向上を実現するための進め方

企業がワークライフバランスを向上させるには、単に制度を導入するだけでなく、業務改善と風土改革を段階的に進める必要があります。制度だけを整えても現場の運用が追いつかず形骸化しやすいためです。

ここでは実現に向けた5つのステップを解説します。

フェーズ取り組み内容目的
フェーズ1:現状把握と方針の策定実態調査と経営陣の発信現状を正しく知り、目指すゴールを定義する
フェーズ2:業務プロセスの見直し業務の棚卸しと属人化の解消不要な業務を減らし、時間と余力を創出する
フェーズ3:制度とインフラの整備柔軟な労働制度とIT環境の構築場所や時間に縛られない働き方を実現する
フェーズ4:組織風土と意識の改革管理職の意識改革と相互サポート制度を気兼ねなく利用できる環境を創る
フェーズ5:定着と継続的な改善定期的なデータ測定と現場還元効果を可視化し、組織に定着させる

フェーズ1:現状把握と方針の策定

ワークライフバランス推進の第一歩は、自社の課題把握と明確な方針設定から始まります。取り組みの目的が曖昧なままでは、社員の協力や理解を得られないからです。

具体的には、勤怠データや社員アンケートで現場のリアルな労働環境を数値化し、経営陣が会社の重要戦略としてメッセージを発信します。自社の現在地と目指す姿を共有することが、全社を巻き込む土台となります。

フェーズ2:業務プロセスの見直し

制度を整える前に、業務プロセスの見直しによって現場の作業負担を減らす必要があります。業務量が変わらない状態で早く帰ることを求めると、持ち帰り残業などの弊害が生じるためです。

具体的には、無駄な会議や資料作成を削減する棚卸しと、特定の社員しか担当できない業務を平準化する属人化の解消を進めます。業務を効率化して時間に余裕を作ることが、柔軟な働き方の前提となります。

フェーズ3:制度とインフラの整備

業務の無駄を省いた後は、柔軟に働ける労働制度とIT環境を一体で整備します。どれほど効率化を進めても、時間や場所に制限があると実際の働き方は変わらないからです。

例えば、フレックスタイム制や時間単位の休暇制度を設けつつ、社外からでも安全に業務を行えるクラウドツールを導入します。制度とツールの双方を揃えることで、多様なライフスタイルに対応できる環境が整います。

フェーズ4:組織風土と意識の改革

制度や環境を活かすためには、組織全体で制度を安心して使える風土を醸成する必要があります。職場の雰囲気や上司の評価軸が変わらなければ、周囲の目を気にして制度が使われないためです。

具体的には、時間あたりの生産性を評価する仕組みへ変更し、管理職のマネジメント手法を更新します。さらに、休暇を取る人をサポートした社員が報われる仕組みを作り、互いを支え合う空気を生み出します。

フェーズ5:定着と継続的な改善

取り組みを持続的な成果につなげるには、定期的な効果検証と継続的な改善が不可欠です。一施策で終わらせず、数値データをもとに組織の状態を常にモニタリングする必要があるからです。

残業時間や有休取得率に加え、離職率や生産性の変化を追跡し、成果や課題を現場へオープンに還元します。PDCAサイクルを回し続けることで、ワークライフバランスが企業の文化として根付きます。

フェーズ1:ワークライフバランス実現に向けた現状把握と方針の策定

現状把握と方針の策定では、以下の2つの取り組みを柱として進めていきます。自社の課題を可視化し、経営としての明確な方向性を示すことが重要となるためです。

  1. 実態調査の実施
  2. 経営陣のコミットメント

ここでは、客観的な調査の手法と、経営陣が本気度を示す具体的なアプローチを解説します。

1.実態調査の実施

実態調査では、単に残業時間を測るだけでなく、時間がかかっている構造的な原因と現場の本音を可視化します。表面的な数値の追跡のみでは、業務のボトルネックを見落としてしまうためです。

調査期間の決定や多様な手法の組み合わせ、参照すべきデータの設定について詳しく解説します。

最適な調査期間

実態調査の期間は1.5ヶ月から2ヶ月程度で設定するのが最適です。短すぎると分析が不十分になり、長すぎると現場の関心が薄れて実行の勢いが失われるためです。

具体的には、準備に2週間、アンケートや聞き取りに2から3週間、データ分析と課題の整理に2から3週間を配分します。このスケジュールで進めることで、鮮度を保ちながら精度の高い現状把握が可能となります。

調査の手法

実態調査の手法には、全社アンケートによる定量調査と個別ヒアリングによる定性調査の併用が効果的です。数値データだけでは分からない職場の雰囲気や、個別の事情による負担感を捉える必要があるためです。

例えば、Webアンケートで全社員の意識を集計しつつ、残業の多い部署や育児中の社員へグループインタビューを行います。多角的なアプローチによって、現場のリアルな課題が浮き彫りになります。

収集すべきデータと数値

収集すべきデータは、勤務データだけでなく、心理的負担や人材流出コストまで多角的に集めることが重要です。特定の数値だけでは労働環境の実態を正しく測定できないためです。

以下の表を参考に、勤怠データや意識調査、離職率などを組み合わせて客観的な数値を収集します。

データ区分具体的な参照数値・指標分析のポイント
勤怠・時間データ部署別平均残業時間、有給休暇取得率など特定の個人や部署への仕事の偏りとサービス残業の有無を特定する
意識・感情データ心理的負担感、WLBを阻害する理由など業務量だけでなく、組織風土におけるボトルネックを可視化する
経営・人事データ離職率、離職理由、休職者数の推移など働きづらさが優秀な人材の流出コストに及ぼす影響を試算する

2.経営陣のコミットメント

経営陣のコミットメントでは、会社としての本気度を明確な行動とメッセージで全社に示すことが求められます。トップの本気度が伝わらなければ、現場は単なる一時的なイベントとして受け止めてしまうからです。

経営戦略としての目標設定から行動変容まで、信頼を得るための具体策を説明します。

経営戦略としての目標設定

ワークライフバランスの推進は、福利厚生ではなく経営戦略の柱として宣言することが不可欠です。会社の成長に必要な投資であると定義しなければ、現場の優先順位が上がらないためです。

単に残業を減らそうと呼びかけるのではなく、特定の期日までに残業時間を月何時間まで縮小するといった数値目標を経営指標として掲げます。明確な目標設定が全社の意識を揃える推進力となります。

専用プロジェクトの立ち上げ

全社横断の専用プロジェクトチームを発足させ、経営幹部が直接指揮を執る体制を作ります。人事部だけの取り組みにとどめず、経営直轄の重要事項として位置付けるためです。

各部門のエース級メンバーをアサインし、定期的に進捗を経営陣へ報告する仕組みを構築します。トップ直轄の体制を示すことで、組織全体に事業の重要性が浸透します。

役員層の行動変容

経営陣や役員自身が自らの働き方を率先して変える姿勢を見せる必要があります。上層部が長時間労働を続けていると、現場の社員は早く帰ることに罪悪感を抱いてしまうからです。

役員自らが定時退社日を設けたり、休日の連絡を禁止したりする取り組みを実行します。上層部の具体的な行動変容が、現場の安心感と意識改革を促します。

評価制度改定の宣言

初期の段階で、時間をかけた労働ではなく生産性を高く評価する仕組みへ変えることを約束します。早く帰ると評価が下がるという社員の不安を払拭しなければ、行動の変容は期待できないからです。

労働時間の短さや時間あたりの成果を適正に評価軸へ組み込む方針を、あらかじめ明確に発信します。評価の約束があることで、社員は安心して効率化へ踏み出すことができます。

フェーズ2:ワークライフバランス向上のための業務プロセスの見直し

業務プロセスの見直しでは、以下の2つの取り組みを中心に作業負担を軽減します。無駄な業務を残したまま労働時間だけを削ると、現場の疲弊を招くためです。

  1. 業務の棚卸しと削減
  2. 属人化の解消

ここでは、業務のムダを削り平準化を進める具体的な手順を解説します。

1.業務の棚卸しと削減

業務の棚卸しと削減では、日々の作業を徹底的に洗い出して不必要な業務を止めます。業務量を削減せずに時間短縮だけを求めても、かえって現場のストレスが増すためです。

ここでは、推進体制の構築から業務の可視化、仕分け、廃止宣言までの手順を詳しく解説します。

必要な期間と推進体制

業務の棚卸しと削減に必要な期間は1.5ヶ月から2.5ヶ月程度です。推進体制としては、事務局が全体進行を担い、現場社員が業務の書き出しを行い、管理職が削減の決断と責任を負います。

現場社員だけにやめる判断を委ねると、万が一の事態を恐れて削減が進まないためです。責任者が明確な体制を整えることで、スムーズな業務の削減が可能になります。

業務可視化シートの作成

業務削減の第一歩として、全社員が日々の業務を洗い出す可視化シートを作成します。各自が抱えるすべての業務を一覧化しないと、無駄の所在を正確に特定できないためです。

具体的には、業務名や発生頻度、所要時間に加え、業務の目的や成果物の提出先まで明記させます。業務全体を可視化することで、見落とされていた不必要な作業が明確になります。

業務の仕分けと削減

集約した業務シートをもとに、ECRSというフレームワークを活用して仕分けを行います。排除、結合、交換、簡素化の視点で検証することで、論理的に業務を削減できるためです。

以下の表をもとに業務の必要性を分類し、優先度の低い作業から段階的に削減していきます。

ECRSの視点具体的なアクション具体例
排除(Eliminate)不要な業務をやめられないか検証する目的が曖昧な報告書や定例会議の廃止
結合(Combine)類似した業務を一緒にまとめられないか検討する部署ごとに重複している集計作業の統合
交換(Rearrange)順序や担当者を変更できないか見直す決裁ラインを短縮して権限を移譲する
簡素化(Simplify)作業手順を簡易化できないか工夫する資料のページ数削減やツールの自動化

業務廃止の宣言

業務の仕分けが完了したら、管理職がやめる業務を明確に指定して全社へ宣言します。現場の判断だけに任せると、周囲への配慮から削減した作業を復活させてしまうためです。

具体的には、対象となる会議の廃止や報告書の作成不要を部門内に正式に通知します。管理層が責任を持って宣言することで、現場は安心して業務を手放すことができます。

2.属人化の解消

属人化の解消では、特定の人しか対応できない業務をなくし、チーム全体でカバーできる体制を築きます。特定の社員へ負担が集中すると、休暇の取得や急な欠勤に対応できなくなるためです。

ここでは、スキル一覧の作成から手順の共有、引き継ぎ、検証までのプロセスを解説します。

必要な期間と推進体制

属人化の解消には3ヶ月から6ヶ月程度の期間を見込んで進めます。業務の標準化やトレーニングには一定の時間と反復が必要となるためです。

管理職が進捗計画を立て、業務に精通した主担当者が手順書作成と指導を行い、副担当者が実際に作業を引き継ぎます。役割を分担して計画的に進めることで、組織全体の対応力を着実に高められます。

スキル一覧による現状把握

属人化を解消するには、誰がどの業務をどこまでこなせるかをまとめたスキル一覧を作成します。部門内の能力や対応範囲を一覧化しなければ、単独で担当している危険な業務を特定できないためです。

業務ごとに対応レベルを数段階で設定し、主担当者が1人しか存在しない業務を抽出します。スキル状況を数値で捉えることで、優先して平準化すべき業務が明確になります。

副担当の指名と手順の可視化

単独担当の業務が特定できたら、必ず副担当を指名して簡易な手順書を作成します。マニュアルがない状態では、副担当へのスムーズな引き継ぎが困難になるためです。

主担当者は完璧な文章を作る必要はなく、画面のキャプチャ画像や作業画面の録画動画を活用して手順を残します。可視化された教材を用意することで、短期間で効率的な引き継ぎが可能になります。

ペアリングによる引き継ぎ

手順書を作成した後は、主担当者と副担当者が一緒に業務を行うペアリング期間を設けます。マニュアルを読むだけでは伝わりにくい実際の判断基準や細かな操作を体得させるためです。

実務を通じて指導を行った後、主担当者のサポートなしで副担当者のみで業務を完遂する日を設けます。実践的なトレーニングを重ねることで、副担当者の対応能力が確実に向上します。

連続休暇による検証

引き継ぎの仕上げとして、主担当者に連続して有給休暇を取得してもらい運用の検証を行います。実際に主担当者が不在の状況を作ることで、業務が滞りなく回るかを証明できるためです。

具体的には、主担当者が1週間の休暇を取得し、その期間中の業務を副担当者のみで運用します。不在でも問題なく業務が完遂できれば、その業務の属人化解消は完了となります。

フェーズ3:ワークライフバランスを実現する制度とインフラの整備

制度とインフラの整備では、以下の2つの取り組みを連携して進めます。業務を効率化しても、就業ルールやIT環境が不十分では柔軟な働き方ができないためです。

  1. 柔軟な働き方の導入
  2. デジタル環境の構築

ここでは、多様な働き方を支える制度設計とITツールの選定方法を解説します。

1.柔軟な働き方の導入

柔軟な働き方の導入では、時間や場所に縛られずに働ける制度を設計します。社員のライフステージに応じた働き方を認めることで、離職防ぎ生産性を高められるためです。

ここでは、勤務場所や勤務時間の具体的な選択肢と、自社に合った制度の選び方を説明します。

勤務場所の選択肢

勤務場所の柔軟化では、在宅勤務やサテライトオフィスの活用といった選択肢を設けます。通勤時間を削減し、育児や介護と仕事を両立しやすくするためです。

例えば、週に数日のテレワークを認めたり、契約シェアオフィスでの勤務を許可したりします。働く場所の選択肢を増やすことで、個々の生活環境に応じた効率的な就労が可能になります。

勤務時間の選択肢

勤務時間の柔軟化では、スーパーフレックス制や時間単位年休などの制度を導入します。日々の始業や終業時刻を個人の事情に合わせて調整できれば、突発的な用事にも対応できるためです。

具体的には、コアタイムを設けないフレックス制や、1時間単位で取得できる有給休暇を用意します。時間にゆとりが生まれることで、社員の心理的負担が大幅に軽減されます。

自社に合う制度の選定方法

自社に適した制度を選ぶ際は、業務特性と現場のニーズに合わせて優先順位を決めます。全社一律で制度を当てはめようとすると、現場で不公平感や運用上の不都合が生じるためです。

以下の表をもとに、職種や対象者に合わせた制度を選択して導入を進めます。

業務特性時間制限あり(育児・介護など)時間制限なし(一般社員など)
現場・対面作業が多い時間単位年休、短時間正社員制度シフト交換の柔軟化、選択的週休3日制
デスクワーク・個人作業が多いスーパーフレックス制、在宅勤務フルリモート勤務、サテライトオフィス

2.デジタル環境の構築

デジタル環境の構築では、離れた場所や異なる時間でも滞りなく業務が進むITインフラを整えます。制度だけを導入しても、情報を共有し業務を管理するツールが無ければ現場が混乱するためです。

ここでは、活用すべきITツールの役割と適切な選定基準を詳しく解説します。

活用すべきITツールの役割

導入すべきITツールは、コミュニケーション、タスク管理、労務管理、セキュリティの4分野に分かれます。時間のずれや場所の離れた環境下でも、非同期で正確に情報をやり取りする必要があるためです。

以下の表を参考に、それぞれの目的に合わせたデジタルツールをバランスよく配置します。

カテゴリー主なツール例柔軟な働き方での役割
コミュニケーションチャットツール、Web会議システムメールや口頭連絡をなくし迅速な情報共有を行う
業務可視化・タスク管理タスク管理ツール、社内Wiki業務の進捗やマニュアルをリアルタイムで見える化する
労務・勤怠管理クラウド勤怠管理システム社外からの打刻と適正な労働時間の把握を自動化する
セキュリティ・インフラクラウドストレージ、リモートアクセス社外から安全にデータやファイルへアクセスする

適切なツールの選定基準

ツールを選定する際は、非同期で仕事が進むか、現場の操作性に適しているか、ツール間で連携できるかを基準にします。高機能なツールであっても、現場が使いこなせなかったり入力の手間が増えたりしては逆効果になるためです。

例えば、直感的に操作できるシンプルな画面を選び、勤怠とチャットが連動するサービスを選択します。現場の負担を増やさないツール選定が、デジタル環境の定着につながります。

フェーズ4:組織風土と意識の改革

組織風土と意識の改革では、以下の2つの取り組みを重視して進めていきます。制度を作っても、周囲の目や評価軸が変わらなければ利用が進まないためです。

  1. 管理職のマネジメント改革
  2. 相互理解と協力の風土づくり

ここでは、管理職の意識更新と社内のサポート体制を築く具体策を解説します。

1.管理職のマネジメント改革

管理職のマネジメント改革では、評価の仕組みを変更し管理者の行動変容を促します。長時間労働を評価する風土が残っていると、現場の意識改革が進まないためです。

評価基準の変更や外部研修の活用、個別対話の仕組み化について詳しく説明します。

時間当たりの生産性を高める評価

管理職の評価指標に時間当たりの生産性や部下の労働時間を組み込みます。成果だけでなく投入した時間を評価しなければ、長時間労働に頼る管理が改善されないためです。

具体的には、部下の有休取得率や残業削減の達成度を管理職の目標管理項目に設定します。適切な評価軸を設けることで、効率的な組織運営を目指すマネジメントへ変化します。

外部の専門家や研修の活用

管理職向けの意識改革には外部専門家による研修を活用することが有効です。社内からの指摘だけでは、従来のマネジメントスタイルへの固執を解きにくいためです。

例えば、他社の成功事例や最新の労働法制を踏まえたダイバーシティ研修を定期開催します。外部の客観的な視点を取り入れることで、変化の必要性を納得感をもって受け入れられます。

個別対話の定期化

上司と部下が1対1で対話するミーティングを定期的に実施します。日常会話だけでは把握しきれない業務の抱え込みや家庭の事情を把握するためです。

具体的には、隔週や月1回の頻度で業務の課題や働き方の希望をヒアリングする時間を設けます。対話を重ねて状況を把握することで、状況に応じた柔軟な業務配分が可能になります。

2.相互理解と協力の風土づくり

相互理解と協力の風土づくりでは、休む人とそれを支える人の双方に配慮した環境を整えます。一部の社員だけに負担が偏ると、職場の不満や分断につながってしまうためです。

手当による評価や全員が休める仕組み、経営陣の主導、情報共有の工夫を解説します。

業務をサポートした社員への評価

休暇を取得した社員の業務を代わりに担当した社員に対し、手当や評価で還元する仕組みを作ります。周囲のサポートに対する見返りがないと、業務の肩代わりによる不満が溜まるためです。

具体的には、業務をカバーした期間に応じて手当を支給したり、手厚い評価を行ったりします。カバーした人が報われる仕組みを作ることで、周囲も快くサポートできるようになります。

全員が休める仕組みの構築

一部の人だけでなく、すべての社員が気兼ねなく休暇を取れる業務体制を整えます。特定の人だけが休める状態では、周囲の不公平感が強まり組織の調和が乱れるためです。

具体的には、業務の標準化とマニュアル化を徹底し、いつでも誰でも代行できる状態を作ります。業務の平準化を進めることで、誰もが安心して休める職場環境が実現します。

経営陣主導による休暇取得の推進

経営陣や役員が自ら進んで有給休暇を取得し、休みやすい雰囲気を全社に広げます。トップが休みを取らない姿勢を見せていると、社員も休暇を申請しづらくなるためです。

具体的には、全社的な有休取得推奨日を設定し、役員自らが率先して連続休暇を取得します。上層部が行動で示すことで、休暇の取得が当然であるという意識が定着します。

成功事例とプロセスの共有

ワークライフバランスを実現して成果を出している部署の取り組みを社内に共有します。具体的な成功例とそこに至る苦労が伝わることで、他部署も実践しやすくなるためです。

社内報などで工夫した点や克服した課題をインタビュー形式で紹介します。試行錯誤の過程を共有することで、全社的な取り組みへの意欲が高まります。

フェーズ5:ワークライフバランスの定着と継続的な改善

定着と継続的な改善では、以下の2つの取り組みを軸にPDCAサイクルを回します。一過性の取り組みで終わらせず、組織文化として根付かせる必要があるためです。

  1. 数値による状況測定
  2. 現場へのフィードバック

ここでは、定期的な現状分析の手法と、現場の意欲を高める共有方法を解説します。

1.数値による状況測定

数値による状況測定では、定量的・定性的なデータを追跡して変化を把握します。客観的なデータで現状を捉えなければ、課題の発見や対策の検証が困難になるためです。

指標の基準と、自社に最適なデータの絞り込み方を詳しく解説します。

主な指標と目安

状況測定では、労働時間や組織の健全度、経営上の成果を網羅する指標を設定します。単一の指標だけでは、職場環境の全体像を正確に評価できないためです。

以下の表を参考に、自社の目指すべきゴールに応じた目標数値を設定します。

カテゴリー具体的な数値指標一般的な目標基準・目安
労働時間系(労務管理)月間平均残業時間残業月20時間未満
有給休暇取得率有休取得率70%から80%以上
組織・人材系(エンゲージメント)離職率離職率一桁(9%以下)
ストレスチェック高ストレス者割合高ストレス者10%以下
財務・生産性系(経営効果)時間当たり生産性時間当たり生産性の向上
総残業代の削減額削減コストの事業還元

自社に適した指標の絞り込み

指標を選定する際は、自社が最優先で解決したい経営課題に合わせて数値を絞り込みます。すべての指標を同時に追いかけると、集計や分析の負担が増えて現場が疲弊するためです。

例えば、人材定着が課題であれば離職率や有休取得率を、生産性向上なら時間当たり利益を重点指標にします。課題に直結する数値を追うことで、改善活動の効果を的確に評価できます。

2.現場へのフィードバック

現場へのフィードバックでは、測定した成果や課題をオープンに共有して改善を促します。成果や苦労が報われないと、現場の納得感が薄れて反感を招く恐れがあるためです。

コストの還元、試行錯誤の共有、サポートの評価、課題の開示について解説します。

削減できたコストの現場還元

業務効率化によって削減された残業代などのコストの一部を現場へ還元します。効率化しても手取りが減るだけでは、現場の改善に対するモチベーションが低下するためです。

具体的には、削減額に応じた一時金の支給や、業務環境を整える設備投資に費用を充てます。成果が自らに還元される仕組みがあることで、能動的な改善活動が定着します。

試行錯誤のプロセスの共有

成果だけでなく、取り組みの過程で生じた失敗や工夫のプロセスを共有します。完璧な成功事例だけでは、他部署が実践する際の参考になりづらいためです。

社内広報などを活用し、試行錯誤した現場の生の声を伝えます。現実的な課題解決のプロセスを共有することで、全社での横展開が容易になります。

業務を支えた社員への評価

休暇を取った人の業務を裏でサポートした社員へスポットライトを当てます。休みを取った人だけが評価されると、現場で業務を支える社員に不満が溜まるためです。

具体的には、感謝の気持ちを伝える制度などを活用して貢献を可視化し、評価に反映します。周囲のサポートを評価することで、真の相互協力体制が築かれます。

課題を含めた情報開示

良い結果だけでなく、未達成の課題や特定の部署に生じている負荷も隠さず開示します。都合の良いデータのみを公表すると、現場の実態との乖離から不信感が生まれるためです。

進んでいる部署の事例を称えつつ、負荷が高い部署への追加対策を併せて公表します。真摯な姿勢で情報を開示することが、組織全体の信頼関係と取り組みの継続性につながります。

ワークライフバランスの向上・実現をするために知っておきたい知識

ワークライフバランスの向上に取り組む際は、他社の導入事例や自社にもたらされる影響をあらかじめ理解しておくことが重要です。自社に適した取り組みのヒントを得るとともに、推進時のメリットとデメリットを正しく把握できるためです。

ここでは、具体的な企業実例と導入時のメリット・デメリットを解説します。

ワークライフバランス向上に取り組む企業の実例

ワークライフバランスの向上に成功している企業の実例をご紹介します。自社の課題や風土に合わせた独自の仕組みづくりが成果につながるためです。

  • 株式会社クラシコム:18時完全退社の徹底とプライベートでのインプット推奨
  • サイボウズ株式会社:働く時間や場所を自由に選べる制度と最長6年の休業制度
  • 株式会社CRAZY:睡眠時間を評価する報酬制度や長期休暇制度の導入
  • 株式会社スカイベイビーズ:コアタイムなしのフルフレックスと完全フルリモートの運用

各社の詳しい取り組み内容や成功のポイントについては、こちらの記事をご覧ください。

※関連記事:企業にワークライフバランスはなぜ必要?必要性と推進が必要な理由を徹底解説

ワークライフバランス向上に取り組むことのメリットとデメリット

ワークライフバランスの推進は企業に多くの成果をもたらす一方で、導入時にはいくつかの課題も発生します。双方の要素をあらかじめ把握し、適切な対策を講じることが取り組みを成功させる鍵となるためです。

  • メリット:採用力の向上、離職防止、業務効率化、メンタルヘルスの改善など
  • デメリット:設備投資コストの発生、管理職のマネジメント負担、職種間での不公平感など

制度の導入によって人材確保や生産性向上の効果が期待できる一方、デジタル環境の整備や評価ルールの見直しが必要となります。メリット・デメリットの詳細や具体的な対策については、こちらの記事をご覧ください。

※関連記事:企業がワークライフバランスを推進するメリットとデメリット

ワークライフバランスの向上と実現に関するまとめ

Q:ワークライフバランス実現で最も重要なポイントは何ですか?

A:制度を整える前に業務プロセスを見直し、業務の削減や属人化の解消によって時間的な余裕を創出することです。

Q:制度を形骸化させないためには何が必要ですか?

A:時間あたりの生産性を評価する仕組みへ変更し、休暇取得者をサポートした周囲の社員も正当に評価する風土を創ることです。

ワークライフバランスの向上を自社だけで進めるのは難しすぎる、リソースも時間もないとお悩みの際は、業界や規模を問わず企業のウェルビーイング向上支援を手掛ける株式会社スカイベイビーズにご相談ください。貴社の課題に応じた最適な伴走支援を提供いたします。

無料相談やお問い合わせの予約は下記ボタンから!

※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

貴社の魅力を引き出す
ブランディングなら、
私たちにお任せください!