ワークライフバランスを推進する福利厚生の選び方とおすすめ制度

ワークライフバランスを整えるには、福利厚生の充実に加え、業務効率化や組織風土の変革を同時に進めることが不可欠です。福利厚生のみでは業務過多や休みにくい風土を解消できないため、以下の三つの視点で自社に合う制度を選ぶ必要があります。

  • 時間や場所の柔軟性を高める
  • 生活負荷を直接軽減する
  • リカバリーと休養を促す

本記事では、企業のウェルビーイング向上支援を手掛け、「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業」に認定されている株式会社スカイベイビーズが、ワークライフバランスに直結する福利厚生の種類や失敗しない選び方の基準を詳しく解説します。

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この記事の監修者
Masato Yasui

株式会社スカイベイビーズ 代表取締役/クリエイティブディレクター
クリエイティブや編集の力でさまざまな課題解決と組織のコミュニケーションを支援。「自然体で生きられる世の中をつくる」をミッションに、生き方や住まい、働き方の多様性を探求している。スカイベイビーズでは、コーポレートサイト、採用サイト、オウンドメディアなどジャンルを問わず様々なWebサイトの制作・運用の支援まで幅広く手掛ける。

ワークライフバランスにおける福利厚生の役割

企業がワークライフバランスを推進するにあたり、福利厚生の充実は欠かせない要素です。しかし、制度を整えるだけでは十分な成果を得られないケースも少なくありません。

ここでは、ワークライフバランスにおける福利厚生の本来の役割と、成果を出すために必要な全体像について詳しく解説します。

福利厚生の位置づけ

福利厚生はワークライフバランスを実現するための重要な土台であり、従業員の安心感を支えるインフラです。制度が充実している企業では、従業員が健康や生活の不安を軽減でき、業務への集中力やエンゲージメントが高まるからです。

たとえば、柔軟な休暇制度や育児支援があることで、ライフイベントを迎えても働き続けられる環境が整います。ただし、福利厚生はあくまで環境づくりの一環であり、単体で機能するものではありません。

組織の土台として活用し、働きやすい環境を構築することが本来の位置づけとなります。

福利厚生のみで解決できない理由

福利厚生を充実させるだけでは、ワークライフバランスの抜本的な改善には至りません。制度が存在しても、業務量が多すぎたり、休みにくい組織風土が残っていたりすると、従業員が制度を利用できないからです。

業務過多の状態で休暇制度を設けても復帰後の負担が増すため、利用をためらう要因になります。また、長時間労働を評価する風土があると、制度を使いたい従業員が心理的抵抗を感じてしまいます。

真の改善には制度の導入と同時に、業務量の調整や組織文化の意識改革を並行して進めることが不可欠です。

ワークライフバランスに必要な要素

ワークライフバランスを確立するには、福利厚生の整備に加えて業務の効率化と評価制度の変革が必要です。どれほど優れた制度があっても、日々の業務プロセスや評価基準が従来通りのままでは制度が形骸化するからです。

たとえば、業務の標準化によって属人化を防ぎ、時間ではなく成果で評価する仕組みを整えることが挙げられます。これら三つの要素が揃って初めて、従業員が安心して制度を活用できる環境が完成します。

福利厚生の運用を開始する際は、現場の業務環境や評価のあり方も同時に見直しましょう。

改革の要素具体的な取り組み目指す状態
業務の効率化・標準化業務の可視化、不要な会議の削減、DX推進その人がいなくても業務が回る仕組みを作る
評価・組織文化の変革時間ではなく成果での評価、管理職の意識改革休むことや要領よく終わらせることを正当に評価する
実効性のある福利厚生柔軟な勤務形態、ライフステージ支援従業員が今本当に必要としている選択肢を揃える

ワークライフバランスを高める福利厚生の種類

ワークライフバランスを高める福利厚生は、従業員の個別の事情に応じた柔軟な支援が中心となります。主な取り組みは、時間の柔軟性、生活負荷の軽減、リカバリーの促進という三つの領域に分類できます。

それぞれの分類における具体的な制度と効果について解説します。

分類代表的な制度導入による効果と狙い
時間と場所の柔軟性スーパーフレックス通院や行政手続き、家庭の用事を業務の合間に調整でき、日常生活の柔軟性が向上する
時間単位有休
リモートワーク
生活負荷の直接軽減家事代行費用補助プライベートの負担を会社が物理的・金銭的に減らし、業務への集中しやすい環境を整備する
看護・介護休暇の有給化
法定超の休業制度
リカバリーと休養リフレッシュ休暇意図的な休日や専門家ケアを提供し、心身の疲労回復と心理的罪悪感のない休養を促す
アニバーサリー休暇
従業員支援プログラム

時間と場所の柔軟性を高める福利厚生

勤務時間や働く場所に柔軟性を持たせる制度は、個人の生活事情に合わせた働き方を可能にします。日常的な隙間時間を活用しやすくなるため、ストレス削減や業務効率化に即効性があります。

ここでは、時間と場所の柔軟性を高める代表的な三つの制度を紹介します。

スーパーフレックスタイム制度

スーパーフレックスタイム制度は、コアタイムを設けず始業と終業の時間を従業員が自由に決定できる仕組みです。日々の労働時間を自分で調整できるため、急な通院や家族の送迎などが発生しても柔軟に対応できます。

仕事と生活の調整が容易になり、自己管理意識の高まりや中抜けによるストレスの軽減につながります。導入する際は過重労働や深夜勤務を防ぐため、1日の勤務時間の上限や22時以降の勤務禁止ルールなどを設定することが重要です。

時間単位の有給休暇制度

時間単位の有給休暇制度は、年次有給休暇を1時間単位で取得・消化できるようにする仕組みです。1時間単位で休みを取れるため、1日や半日休むほどではない短時間の用事にも柔軟に対応できます。

有給休暇を取得しやすくなることで業務の滞りを防ぎ、有休消化率の向上にも寄与します。導入時のコツとして年間で取得できる上限時間を労使協定で定め、勤怠管理システムで簡便に集計できる運用体制を整えることが挙げられます。

リモートワーク制度

リモートワーク制度は、オフィス以外の自宅やサテライトオフィス等で業務を行えるようにする仕組みです。通勤時間が削減されることで毎日の自由時間が創出され、体力的および精神的な負担が大幅に軽減されます。

居住地に縛られない人材の採用や、家族の転居に伴う離職の防止にも効果を発揮します。制度を定着させるには、管理職が率先して利用して制度を使いやすい雰囲気を作り、評価基準を在社時間から成果へ移行することが成功のポイントです。

生活負荷を軽減する福利厚生

家庭や個人の生活で生じる物理的・金銭的な負担を直接的に軽減する制度は、離職防止に大きく寄与します。育児や介護による疲弊を防ぎ、仕事への集中を維持しやすくなるからです。

ここでは、生活負荷の直接軽減に有効な三つの制度を紹介します。

家事代行や育児の費用補助

家事代行や育児の費用補助は、料理や掃除、保育などの外部サービス利用料を会社が負担・支援する制度です。家事や育児の物理的な負担を減らすことで、従業員に自由な時間と精神的なゆとりをもたらします。

時間を創出する直接的な支援となるため、会社への愛着やエンゲージメントが高まります。導入にあたっては、福利厚生代行サービスの割引クーポンやチケットを活用し、利用申請の簡略化と事務コストの削減を図るのが効果的です。

看護や介護の特別有給休暇

看護や介護の特別有給休暇は、家族の急病や通院、介護のために年次有休とは別枠で有給の休みを与える制度です。急な家庭のトラブルが発生した際も、自身の有休残数を気にせず安心して休むことができます。

子育て世代や介護を抱えるミドル層の不安を軽減し、精神的な安全性を高める効果があります。利用率を上げるためには、事実婚や祖父母など対象となる家族の範囲を広げ、簡単な手続きで取得できるように設計することがコツです。

法定を超える育児や介護の休業制度

法定を超える育児や介護の休業制度は、法律で定められた期間以上の休業や収入減を独自の手当で補う仕組みです。ライフイベントに伴うキャリアの中断や経済的不安を和らげ、不本意な離職を未然に防ぎます。

専門性の高い人材の定着や、復職後の円滑な職場復帰をサポートする基盤となります。運用時には給付金だけでなく、休業期間中の定期的な情報共有や段階的な復職プログラムを組み合わせ、職場復帰への心理的ハードルを下げることが重要です。

リカバリーと休養を促す福利厚生

従業員の疲労やストレスをリセットし、心身の健康を維持するためにはリカバリーに特化した支援が有効です。適切な休養をとることで燃え尽きを防ぎ、持続的なパフォーマンスを発揮できるからです。

ここでは、休養とリカバリーを促す代表的な三つの制度を解説します。

リフレッシュ休暇制度

リフレッシュ休暇制度は、一定の勤続年数を迎えた従業員にまとまった特別休暇と補助金を支給する仕組みです。長期間の休日を取得することで心身を根本からリセットし、仕事への意欲を再充填することができます。

休業期間中の引継ぎを通じて、業務の標準化や属人化解消が進むという組織的なメリットも生まれます。休むことへの心理的罪悪感をなくすため、手当を支給して取得を推奨し、部署内で取得計画を共有することが成功の鍵です。

アニバーサリー休暇制度

アニバーサリー休暇制度は、本人や家族の誕生日、結婚記念日などの節目に合わせて取得できる特別休暇です。プライベートな記念日を尊重する会社の姿勢を示すことで、有休を取りにくいと感じている従業員にも休暇取得のきっかけを与えます。

定期的な休養が促進されるため、業務のオンオフの切り替えがスムーズになります。運用の際は取得理由を詳細に問わない手軽さを保ち、年度はじめに取得希望日を登録させて計画的なシフト調整を行うことが大切です。

従業員支援プログラム

従業員支援プログラムは、外部の専門家による無料の相談窓口を開設し、メンタルヘルスや個人の悩みをケアする制度です。仕事や生活に関する不安を初期段階で専門家に相談できるため、メンタル不調による休職や突然の退職を未然に防止します。

従業員が安心して本来の能力を発揮できるようになり、組織全体の生産性向上に貢献します。活用を促進するには、相談内容が会社に漏れない匿名性を徹底的に保証し、日常的に周知を行って利用のハードルを下げる工夫が必要です。

ワークライフバランスに合う福利厚生の選定方法

自社に合った福利厚生を選ぶには、自社の課題や従業員像に合わせた選定基準を持つことが不可欠です。ここでは、制度選定時にチェックすべき四つの視点について詳しく解説します。

自社の課題に直接効く制度か

福利厚生を選ぶ際は、自社が抱えるボトルネックに直接効果のある制度を見極めることが重要です。課題の原因とズレた制度を導入してしまうと、費用や労力を投じても期待した効果が得られないからです。

たとえば、業務過多で休めない現場に休暇制度だけを増設しても利用されず、根本的な改善にはつながりません。時間不足、精神的疲労、離職率の高さなど、自社のボトルネックがどこにあるのかを明確にした上で制度を選びましょう。

ターゲット層の生活像に合っているか

対象となる従業員の年齢層やライフスタイルに適合した制度を選定することが重要です。従業員属性とのズレが生じると、該当する対象者が少なくなり、利用率が著しく伸び悩むおそれがあるからです。

たとえば、子育て世代が多い企業には時間単位有休や看護休暇が有効ですが、20代独身が多い企業ではリフレッシュ休暇の方が効果的です。自社の年齢構成や家族形態、働き方の実態を正確に把握し、従業員像にフィットする制度を見極めましょう。

管理側の運用負荷が高すぎないか

制度を維持・管理する側の運用コストや負担が高すぎないかを検証することが必要です。手続きや勤怠管理が煩雑すぎると、申請手続きが敬遠されたり管理側の運用が回らなくなったりするからです。

どれほど魅力的な制度であっても、申請書類が多く手続きが複雑であれば利用率は低下してしまいます。外部のアウトソーシングサービスや管理ツールを活用するなど、運用面の負担軽減と簡便さを考慮して選定しましょう。

実際に使える風土を作れるか

制度の導入と同時に、従業員が周囲に気兼ねなく制度を利用できる環境を作れるかが重要です。実際に使える職場風土が作れていないと、制度があっても周囲の目を気にして誰も使えない状態に陥るからです。

休むことや柔軟に働くことを肯定する文化がなければ、形骸化した制度で終わってしまいます。管理職からの積極的な利用推奨や評価制度の見直しをセットで行い、安心して活用できる雰囲気を醸成しましょう。

ワークライフバランスに向けた福利厚生の運用方法

福利厚生を導入した後に成果を出すためには、他社の成功事例を参考にしながら自社に合った手順で推進することが大切です。ここでは、取り組み事例の確認方法と具体的な進め方のポイントについて解説します。

ワークライフバランスの取り組み事例をチェックする

他社の先進事例を確認することは、自社に適した制度や運用の仕組みを具体化するために役立ちます。成果を上げている企業では、単に制度を置くだけでなく、自社の文化に合わせた独自の施策を展開しています。

代表的な取り組み事例には以下のようなものがあります。

  • 残業ゼロや18時退社の徹底
  • 週休3日制やフルフレックスの導入
  • 睡眠報酬などの独自の健康支援
  • フルリモートや中抜けの自由化

自社に近い規模や業界の事例を参考にし、実効性の高い運用法を取り入れましょう。

詳しい企業の事例や具体的な施策については、ワークライフバランスの取り組み事例を解説した記事で詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてください。

※関連記事:ワークライフバランスの取り組み事例8選!プロが教える成功する企業の共通点と制度の実例

ワークライフバランスの進め方を把握する

ワークライフバランスの推進を成功させるには、適切な手順を踏んで計画的に進めることが不可欠です。十分な準備なしに制度だけを導入すると、現場の混乱や運用の形骸化を招くおそれがあるからです。

主な推進ステップは以下の通りです。

  • 現状把握と方針策定
  • 業務の棚卸しと効率化
  • 柔軟な制度と環境の整備
  • 意識改革と評価軸の見直し
  • 定期的な効果測定と改善

自社の課題に合わせた計画を立て、現場と一体となって改善を重ねましょう。

詳しい推進ステップについては、ワークライフバランスの進め方を解説した記事で詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてください。

※関連記事:企業のワークライフバランス向上を実現するには?進め方と具体策

ワークライフバランスと福利厚生に関するまとめ

Q:ワークライフバランスの改善に福利厚生は十分ですか?

A:福利厚生のみでは不十分です。業務プロセスの効率化や、時間ではなく成果で評価する組織風土の改革とセットで進めることで初めて成果につながります。

Q:自社に合う福利厚生はどのように選べばよいですか?

A:自社の課題のボトルネック、ターゲットとなる従業員属性、管理側の運用負荷、実際に利用できる職場風土の四つの基準で評価して選定します。

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※なお、スカイベイビーズのウェルビーイング力向上支援サービスページはこちらです。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

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